|
2009-3-31
祝!!百号!一回遅れで、レポートも100号です。よく続いたものです。
強風で貨物航空機がひっくり返った日に、いわき市に行っていました。早起きして上野駅に着いたら、乗るはずの特急が一時間遅れ。乗ったら、乗ったで警戒で低速運転。いわきに着いたのは予定よりも二時間以上も遅れてしまい、楽しみにしていた工場見学ができませんでした。くそー、また行ってやる。 デフレ時代のものづくりは? 山形県のこんにゃく製造工場を見学しました。山形と言えば、玉こんにゃく。その会社では、玉こんにゃく以外にも豆腐なども製造している中堅どころです。 衛生の面では、非常に厳しく管理されています。かつては、消費者も大目に見ていた点も、最近では少しのことでも取引停止につながりかねないので、衛生管理は避けて通れない課題だと言います。「大手スーパーやコンビニはもちろん、生協も非常に厳しいです。抜き打ちで検査に来ますから、気が抜けません。」 手作りによる良さや、少量多品種の加工を可能にするためにできれば従業員の手による工程も残したいと思うのだが、衛生の点から言えば、できるだけ人間が触れない方がよいと言うジレンマに陥ることもしばしばとか。 「ここの工程も、味の点から言えば、やりたくないのですが、日持ちをさせるために加熱させた加工をという流通側の要求で、導入したものです。賞味期限をできるだけ長くしたいという考えは強いですから・・・」 以前、ある製麺業者と話した時も、「できればこういうのは作りたくないのだけど、流通側の要望もあるし、利益確保も重要だから・・」という意見を聞いたとことがありました。 景気の低迷による消費意欲の減退や、低価格品への要求は、ものづくりの現場をいっそう萎縮させる傾向にあるかもしれない。 大手流通各社は、競って低価格化を表明している。もちろん、大手流通各社の利益確保がうまくいっているわけではない。各社とも売り上げの低迷に悩む中、消耗戦に突入している感がなくもない。 そうした中で、製造業者に対する要求はいっそう厳しくなりつつある。今回、訪問したのは違う地方の食品メーカーの経営者は、「とにかく安くしてくれたらいい。豆腐は四角くて、白ければなんでも良いと言われて、力が抜ける思いだった」と話してくれた。 一方で、中国製品への不信から国内への製造拠点回帰が進んでいるという意見も多い。倉敷市のあるジーンズメーカーで話を聞いた。「昨年から、受注量は増えています。産地の業者の多くは、すでに廃業や倒産してしまっているので、残ったところに集中するのは当たり前ですが、中国での生産を国内に振り替える流通も多くて、さばききれなくらいです。」 では、儲かっていいですねえと話を向けると、 「そうですねえ、価格も上がってくれたらいいのですが、中国で製造していたのに少し色をつける位で、とにかく安く、早くですから参ります。仕事が戻ってきただけましですが。」 先のこんにゃく工場でも、糸こんにゃくを結ぶ作業を従業員の人たちがせっせとしている。 「おもしろいでしょう。これも、一時は中国に流れちゃった製品なんですけれど、安全性が確保できないと言って戻ってきたんですよ。でも、価格がねえ。それに、今はまだ高齢とは言え、こういう作業をしてくれる従業員を確保できますが、これから先はどうなんでしょうか。」 中小企業の後継者がいないと、まるで全て中小企業の跡取り息子や娘が悪いように言われているが、ただひたすらにコスト削減、価格低下を押し付けられては、従業員もそうだが、経営を後継しようなどとは思わないだろう。こうした現場を見ていると、私たちは自分の尻尾をかじって、ぐるぐる回っている頭の悪い動物のように思えてくる。 先日、あるテレビの仕事で、「ちょっとこれは」と苦笑せざるを得ない場面があった。ある地方の経済団体がベトナムにでかけて、これからいっそうの投資を促進しようというのだ。現地の若者は、非常に熱心に日本語を勉強し、日本の大企業はそれに応えるために技術を学ばせる学校を作り、「組み立てだけではなく、より付加価値の高い仕事をベトナムでしていこう」と言うのだ。 おいおい、ちょっと待ってくれ・・・・ベトナム側が言うのなら、まだいいのだが、日本側が、「技術力のある日本企業もぜひベトナムに進出しよう!」と主張するのだから、困ったものだ。 「うちは自社の製品に自信を持っています。今は、流通を業者に抑えられていますが、なんとか自社の名前で、自社で販売していけるものが作れないかと試行錯誤しています。ネットとかも活用していきたいと思っています。」 こんにゃく工場の後継者はそう話してくれた。 倉敷のジーンズ工場の後継経営者も、「今は全てOEMですけど、自社ブランドを持つというのが夢です。町の建物にも魅力がありますし、自社の古い工場を魅力あるものに変えるなどして、なんとか自社のブランドで勝負をしたですね。」と笑って言っていた。 「自社ブランド品なんて、若いねえ」と苦笑する年配者も多いだろうけれど、このデフレ下で、先行き不安の中で、若い経営者が希望をもってやっていくというのであれば、できるだけ応援したいと思わねば、どこにものづくりの将来があるのだろうか。 財界と呼ばれる方々にお願いしたい。大企業の論理で、とにかく安く、大量に作れる場所に移転したいというのは、それはそれで正解だろう。それを否定するつもりもないが、自分の国で、ものづくりを続けるために、どういった試みが必要なのか、また、小さくとも自分の国、地域に根ざしてものづくりを続けようとしている若い経営者たちを応援する気持ちぐらい持っていただいてもいいのではないだろうか。異国で、酒宴を開いてもらって、異国の若者はすばらしいと言っているばかりでは情けないのだはないだろうか。 このデフレはしばらく継続しそうである。私たちも、高くてもよいものを買いたいという気持ちはあっても、なかなかこの不景気、行動を伴うことは難しいが、しかし、買うときに、その品質や味がその値段にふさわしいものなのか考えてみるのも悪くないだろう。 |
もの国総研マンスリーレポート
[ リスト | 詳細 ]
「世界一受けたい授業」でもおなじみの神戸国際大学経済学部教授 中村智彦先生のお話です。
|
2009-2-28
祝!!百号!でもレポートは99号なので、お祝いは次回・・・ちょっとさびしい・・・
岩手は一ノ関と盛岡に駆け足で行ってきました。一ノ関で氷点下の町を歩いて、橋を渡ると、川に白いもこもこしたものが浮かんでいる・・・・・「は、白鳥!!」興奮していると、町の人に「普通にいるでしょう、白鳥」とか、「喜んで抱きしめ行くと、鳥インフルにかかっちゃうよ」と言われて笑われました。 地方の危機 少子高齢化が進む中で、地方と大都市圏の格差拡大が指摘されてきたが、今回の急激な景気悪化で地方経済の衰退が加速する気配だ。 急速に悪化する商業 地方都市の中心部を歩くと、空き店舗どころか5階建て、6階建てのビルが丸々空いたままで、ガラスはくすみ、周辺も人気がなく、ゴーストタウンの様相を呈しているところに行き会うことが多い。 例えば、昨年末に高知商工会議所が実施した調査では、中心部商店街の空き店舗率が15.3%に上っている。平成10年には3.66%であり、急速に空き店舗が増加していることが理解できる。さらに、周辺部を加えた地域では、空き店舗率は18.66%と、実にほぼ5軒に1軒は店を閉じているということになる。こうした傾向は、高知市だけではなく、広く全国でも同様である。 今回、急激な景気悪化によって、さらに問題が発生しつつある。それは地方百貨店の経営の悪化、閉店である。1月末、北海道を代表する百貨店、丸井今井が民事再生法を申請した。ここ数年、地方都市での百貨店の撤退、閉店が相次いでおり、そのたびに中心部の集客力低下が指摘されてきた。 しかし、昨年秋以降の景気悪化がいっそうの経営危機を招き、閉店や撤退あるいは倒産といった最悪の事態を引き起こしつつある。 もちろん、景気の悪化だけではないという指摘もある。郊外型大型小売店舗の進出がある。以前は、百貨店に置かれている商品は、定価販売であるが、高級品が手に入るということで支持をされてきた。しかし、次第に郊外型大型小売店舗の商品構成も、百貨店と変わらなくなり、その結果、割引価格で購入できる郊外型大型小売店舗に消費者が流れたという指摘がある。この指摘は、従来、百貨店が強かった贈答品や法人需要にも大きな影響を与えていると言われる。つまり、かつては「あそこの包み紙でないと」というこだわりを消費者が持っていたのが、次第に同じ中身ならばとこだわりをなくす傾向が強まったのだ。 こうした百貨店の撤退、閉店は中心市街地の商店街にとって、大きな打撃となる。町の中心に締め切られた大きな建物が存在すると、それだけで陰鬱な雰囲気をかもし出してしまう。 では、目の敵にされてきた郊外型大型小売店舗は元気かというと、景気悪化の影響を受け、業績が低迷しつつある。木更津市では、2008年に開業予定であったイオン木更津ショッピングセンターの開業延期が発表され、話題になっている。臨海部の新日本製鉄の所有埋立地を開発する形での大型商業施設の建設が予定されたのだが、先に大型娯楽施設建設計画が中止され、それに続いてショッピングセンターそのものの計画延期が発表された。地元経済団体の関係者は、「そもそも人口規模から見ても、計画には無理があるように思えた。さらに、周辺部にはすでに大型小売店舗が数多く開業しており、そこにもってきて今回の急激な景気悪化があって、地元でも延期ではなく、中止ではないのかという声も上がっている」と言う。 景気の悪化や、高齢化の進展などから今後、郊外型大型小売店舗の利益率は低下するという予測が多く、計画中のものでも見直しや中止されケースが出てくるだろうし、営業中の店舗でも閉店、撤退が行われるケースも増加しそうである。 進出工場によって、多くの雇用が生み出され、それによって経済が維持されてきた地方都市が多い。特に、自動車関連産業の製造業が地方に進出してきたことが、今まで悪化する地方経済の大きな防波堤となってきたのだが、今回、その防波堤が決壊したことで、急速に商業やサービス業にも影響が拡大している。 地方メディアも 「すでに存亡の危機です。」と話すのは、ある地方新聞社の記者である。若者の新聞離れは、インターネットの普及によって、決定的なものになった。昨年行われた調査(DISMDRIVE2008年12月3日発表)によると、60歳以上で新聞を購読していない人は6.5%、50歳代で11.8%しかいない。ところが、30歳代では32.8%、さらに20歳代では37.2%もの人が新聞を購読していないと回答している。そもそもこのような状況にあり、「うちの新聞社の調査でも、購読者層の平均年齢が50歳代後半にもなっていることがわかり、悲壮感が漂った」(ある地方新聞社の幹部社員)。 さらに、今回の景気悪化は、広告出稿を激減させてしまい各地方新聞社の経営を圧迫することとなっている。特に夕刊の発行は赤字を拡大させる理由だと指摘され、休刊を行うところや、今後、休刊を検討するところが増加するのではないかと見られている。 急激に経営が悪化しているのは、新聞社だけではなく、地方のローカルテレビ局も同様である。地方都市に出張し、ホテルでテレビをつけると、CMで流れているのはパチンコ店と葬儀屋だけで、あとは新番組の宣伝や自社の催しものの告知だけという状況を目にする。 「結果的に見れば、小さな経済圏に多くのローカルテレビ局が乱立し、少し景気が悪化すると広告出稿が減少し、経営が成り立たなくなりつつある」(ある地方放送局の関係者)という状況が、一気に噴出している。今後、さらに経営を圧迫させると指摘されているのは、地上デジタル放送化に伴う設備更新の費用負担である。「多くのFM局が、経営悪化により、自社製作枠を大幅に無くし、東京キー局の放送を転送するだけになったのと同じように、自社製作から撤退するローカル局が増加すると同時に、場合によっては閉鎖する局も出てくるかもしれない」(前出)。 単に景気が悪いからか 百貨店の閉店の増加、地方マスメディアの衰退。これらの問題を顕在化させているのは、確かに今回の景気の悪化であることは間違いない。しかし、それ以上にわが国の社会問題そのものが、様々な面で一気に噴出している。 「景気が良くなれば」と言ってしまうのは簡単だが、少子高齢化の問題や、地方の産業のあり方など、すべてを「景気」のせいにしてしまってはいけないことが多い。 この苦しい状況の中だが、冷静に今、発生していることの根本を見据える努力が必要だろう。 |
|
2009-1-31
いやーどきどきしますねえ。なにがって、もうすぐ本メルマガが100号!!
編集長は、きっと素敵な100号記念を考えてくれているでしょう。きっと、おそらく、たぶん・・・・ さて、もの国がきっかけとなってお知り合いになれた京都機械金属中小企業青年連絡会の顧問をしています。宴会にしか行かないので、あんまり役に立たない顧問なのですが、たまには、お世話になっている京都のお役に立とうと思い立ち、東京に行きます。私の話はともかく、色々なところで中小企業連携の事例になっている京都試作ネットの関係者が東京で一同に会します。ぜひ、お越し下さい。地元関西でも、これだけの関係者が集まって、話を聞く機会は少ないです。 景気の悪い今だからこそ、元気になる話と、連携を広げるためにもお出かけ下さい。詳細、申込みは、下記ホームページより。 京都試作フォーラム2009 in 東京 2月6日(金) 都道府県会館にて →http://www.ki21.jp/sisaku/forum2009/index.html 17日は、大阪で、こんなの(「モノ作り中小企業 関西フォーラム」)のやります。 →http://www.kansai.meti.go.jp/3-5sangyo/sapoin/kansai_forum.html 農商工連携をヒントになにか対策を考えませんか 今年度、中部経済産業局で農商工等連携の審議委員を務めています。リーマンショック以降の世界経済の混乱は、単なる不況というよりは、大きな構造変化が進んでいるというようにも見えます。 日本のものづくりも、ある意味で大きな変革期に差し掛かっているといえるでしょう。自動車産業の凋落振りは、人員の削減など大きな社会問題になっていますが、その実態はかなり前から変化していたことが理解できます。2005年段階で、日系自動車メーカーの生産台数2000万台のうち、国内で生産されているのは総数の半分約1000万台。さらに国内で生産された台数の約半分が海外輸出向け。要するに日系自動車メーカーの生産台数の半分は海外工場のものであり、さらに全体の4分の1が海外市場での販売だということになります。 今回の不況以前から、すでに国内市場は少子高齢化の影響が出始め、縮小傾向にありました。また、海外工場の品質の向上などから、低価格車を中心に、近い将来、繊維産業や家電産業と同様、海外での生産、国内への輸入ということが主流になるであろうことは予想されていたことだったといえます。 もちろん、これほど激しく経済状況が悪化するとは誰も予想しえなかったことです。昨年の夏頃までに書かれた論文や記事などを読んでも、今となっては苦笑するしかない予測があふれています。(いかに経済学者や経済評論家が役に立たないかが露呈してしまったと自虐的に述べている人も多いが・・・・) さて、農商工連携は、そうした日本のものづくりの一つの方向性を考える上でおもしろいのではと考えています。審査をしていると、様々な取り組みがなされていることがわかって、暗いニュースばかりの中で少し明るい材料を見出したような気になります。 以前、東北地方のある農家の方と話していて、「他の産業と比べてご覧、農業ほど、機械化や自動化、IT化、合理化が遅れている産業はないよ。機械化や自動化なんていうと、どうも農薬や消毒薬の大量使用とかと結び付けられて、悪いイメージがあるが、ぜんぜんそうじゃないのにね。ノスタルジーだけで農業を見て、それでいて安い輸入品と比較して、安全だけどその輸入品と同じように安いものなんていうのだから参っちゃうよ。その上、機械化、自動化するなだなんてさ。」と笑いながら言う方がいました。 台風シーズンの時、しばしば農家の方が水田の様子が心配だからと行って雨の中、出て行き、増水した川や水田で亡くなるというニュースを目にすることがあります。「田舎の人は馬鹿だなあと、都会の人は笑うのだろうな。でもね、いまどき、遠隔で水位の監視も、調節もできないんだよ。だから、出かけなきゃしょうがないんだ。」 確かにそういわれるとそうなのです。工業の優れたノウハウが、農業に生かされることなく、生産性も、労働環境も改善されないまま日本の農業は今まで来たのかもしれません。今こそ、工業で培ったノウハウや技術を農業に生かす時期に来たのではないでしょうか。こんな風にいうと、すぐに農業の工業化とか、農業工場とかがイメージされて、どうもマイナスの評価が多いのですが、そんな単純なものではないと思うのです。 農商工連携の事例で多いのは、地元の名産の野菜などを使って、新しい商品の製造販売を行うというもののようです。それぞれ個性があり、おもしろいのですが、いろいろ考えさせられてしまう事例もあります。 まず、大同小異、どこかで見たこと、聞いたこと、食べたことがあるなあという商品が多いこと。これはある程度仕方ないことなのでしょうけれど、市場調査が非常に重要になってきます。その場合、二通り分かれて、どうもマーケティング会社やコンサルタント会社にうまく踊らされてしまっているケースや、思い入れが強すぎて「ここまでやっているのだから、売れるはず」というようなケースが見られるようです。 次に、もともとの経営状況が良くない上に、経理などをきっちりやっていない中小企業や個人商店がけっこうあること。確かにやろうという意志があり、複数の企業や関係団体が協力する機運になっていることは分かるのだけど、今までの経理や経営がきちんとされていないと、帳簿などから「実行するだけの体力があるのだろうか」と不安視せざるを得なくなります。 最後に、これは一緒に委員をやらせていただいている農業関係の方が、いつも真剣に怒るのですが、どうも農業生産者の方たちの取り分が少ない。「どうせ捨てていたのものの活用だから、ただでもいい」なんて言う人がいると、「そういう考えでは、連携にならない」と批判するのですが、確かにその通り。今までのやり方がそうであったせいか、肝心の加工ノウハウなどは第三者に握られているというようなケースもあり、やはり「コアコンピタンスは自分で握らないと利用されるだけになる」というのは、農商工連携に限らず、重要なことな訳です。 ともあれ、今回の不況と経済構造の変化の中でも、私たちはその先を見て、考え、行動しつづけなくていけないわけで、その新しいきっかけに農商工連携がなっていけばと私は期待して、このお仕事をしています。 ネタはまだまだ全国に転がっているに違いありません。こういう時だからこそ、若手の経営者には複数の企業で、なにか新しい動きにチャレンジして欲しいですし、商工会や商工会議所などの団体の現場の職員の方には、アンテナを充分に働かせていただいて、ぜひ地方から新しいものづくりを生み出すきっかけを探していただきたいと本当に思う今日この頃です。 |
|
2008-12-30
「北の新地でも、数百軒くらいは店が閉まるらしいですよ。」タクシーの運転手が、そう話していました。今年は宴会も少なく、タクシーも売り上げが激減だとか。逆に、おでん種や鍋用の食材などがよく売れているとか。
新年明けから本格的に悪化するという前評判が先行しているせいか、町に出ても、あまり歳末らしい華やかさが感じられないのが残念です。 暗い話ばかりしても、疲れてしまいますので、今回は、少し軽めに・・・(^^) ラジオ「あ、安部礼司」にみるメディアミックス FM東京系で放送されているラジオ番組に『NISSAN あ、安部礼司〜BEYOND THE AVERAGE』というのがある。日曜の午後5時という時間帯に放送されている番組で、東京・神田神保町にある中堅企業「大日本ジェネラル」に勤務する三十代の男性会社員・安部礼司を中心とした物語という形式である。放送開始は、2006年4月からで、すでに3年目を経過している。 基本は、ラジオドラマである。しかし、その中に最近の経済動向や流行情報、そしてそれらの解説を織り込み、番組で流される曲は、1970年代から90年代に流行したポップスやアニメソング、テレビドラマ挿入歌を中心としている。 リスナーの対象は、登場人物と同年代である30歳代となっている。実際、私の周囲でも、リスナーであるという30歳代の知人が多く、驚かされたことがある。 この番組の注目すべき点は、FM放送というメディアを活用しつつ、インターネットのウェブサイトや、テレビドラマ、書籍、さらには演劇などという他のメディアをうまく取り込んでいる点だ。 今年は、新聞社が軒並み赤字を計上し、さらテレビ局の不振も大きく取り上げられている。学生たちと接ししていると、新聞も読まない、テレビも見ないという生活スタイルが定着しつつあることを実感させられる。そんな中でラジオという旧来のメディアが意外と大きな影響力を維持していることを、この番組は示している。 ある地方新聞社の記者によれば、現在の新聞読者の平均年齢は55歳辺りだという。その新聞社では、読者調査を行い、その結果に驚いたという。つまり、これから十年後には、新聞読者の多くは定年を向かえそして、購読数は急減することが予想されるのだ。 一方、テレビも視聴者の中心が高齢者にシフトしている。ネットの通信料が低下し、動画が配信されるようになってくると同時に、同じ時間帯に同じ番組を多くの人が見るという習慣が失われてきている。私自身も、テレビのニュース番組を見なくなり、空き時間にネットの動画ニュースサイトをチェックするという習慣になってしまった。久々にテレビの報道番組を見ようとしたら、秋の再編期で終了していたことに気づき驚いたことがあった。 そうした中で、旧来のラジオを媒体として「あ、安部礼司」の成功をどう見ればいいのだろうか。まず、放送時間帯であるが、日曜日の午後5時頃である。意外にも自宅で特に何をするでもなく、ラジオを聴いている層が相当する存在するということだ。もちろんカーラジオで聞いてるケースも多いだろう。ラジオというと、深夜の方が若者に支持されているという考えが強いが、サラリーマンを中心とする三十代にとっては、日曜5時というのは落ち着いて、ラジオを聴くことのできる時間帯だということだ。 また、この番組は、登場人物である安部礼司が毎回ブログを更新するという設定になっており、番組終了時にブログに誘導するような形式になっている。さらに、N社(番組内での架空の会社であるが、実際のスポンサーである日産を示す)から依頼を受けて製作するといった想定した全国の観光スポットや名物情報の募集と提供をウェブ上で行ったり、各種のスペシャルコンテンツをウェブ上で公開するなど、ラジオだけで完結することなく、ウェブ上に展開することに成功している。こうしたクロスメディア戦略あるいはメディアミックス戦略を学ぶ上でも、この番組は非常に良い事例だろう。 脚本集や、番組中で使用した曲を集めたCDの発売なども行ったり、ドラマ内で登場人物たちが製作したステッカーを日産のディラーで販売するなども行われた。 架空の設定であるストーリーと登場人物に加え、声優や歌手、俳優などを実際の人物像と絡ませながらスペシャルゲストとして登場させる手法は、非常にうまい。スポンサーである自動車メーカーも、架空のクライアントとして登場させると同時に、その架空の設定をうまく現実のマーケティングに繋げている。 私たちの生活や習慣は、この十年間で大きく変化してきた。その中で、旧来のメディアと、新しいメディアを、私たちは実はうまく使い分けているのではないだろうか。逆を言えば、使い分けられているメディア側が、そうした私たちの使い分けを利用し切れていないことが、最近の流れの中で現れているのではないだろうか。 若い世代は、新聞も読まないし、本も読まない、勉強もしないと言われるが、一方で、この番組が人気があるひとつの要因は、ドラマ内にさまざまな情報を織り込んでいるからであるし、その点で言えば、フリーペーパーで人気の「R25」や、「TOKYOHEADLINE」紙と共通した部分があると言える。いずれも一見した切り口は軽いが、思いのほか、まじめな硬い話題を取り上げていることがある。 新年を迎えて、これからどんなメディアが現れ、そして私たちの習慣を変えていってくれるのだろうか。「若いやつが考えていることはわからん」と切って捨てないで、「あ、安部礼司」でも聴いて、未来を考えてみませんか。 |
|
2008-11-30
うまい具合に出張が入ったので、0系新幹線に乗ってきました。平日の深夜の便だったのですが、車内はほぼ満席。出張帰りのサラリーマン姿が多かったのですが、なぜかカメラを携帯。さらに驚いたのは、鉄子(女性の鉄道ファン)の多さ。途中駅ではホームに三脚の列。最終駅では、ホームは人だかり、駅員に警備員に警察官と、まさにお祭り状態。ま、そのお祭り状態を引き起こしている原因の一端を、なかむらも担ってきたわけですが。。。
さて、11月に、「図解・世界が驚嘆する日本のモノづくり」という文庫本を監修者として出しました。定価630円です。調査研究やテレビの取材などでご協力いただいた企業さんも含め、さまざまな企業のものづくりを紹介させていただいております。お近くの書店もしくは、ネットでお買い求めください。 詳しくは⇒こちらまで ものづくりは、なぜ遠い存在になったのか 中村ゼミの4年生のほとんど、6名が製造業に就職する。在籍する大学のゼミでは異例の多さで、回りからも「なぜ」とよく尋ねられる。その前もそうだったし、今年の3年生も製造業希望が多い。 大学の就職指導部や就職活動支援会社に聞くと、合同説明会などを開催しても、「〜工作所」とか、「〜工業」という名前、つまり製造業は人気がなく、「正直言って、大人の立場からすると、こんな会社はなあ〜(笑)と思うような企業でもカタカナだったり、サービス業だったりすると、沢山来るんですよねえ」という状況らしい。つい、先週も京都の企業合同説明会に行ってきたゼミ生が、「XXXが会場入ってすぐのところにあって、結構、本命なので、ラッキーと思ったんですが、他は一杯なのにガラガラなんですよ」とにんまり笑って帰ってきた。そのXXXという会社は、その業界では結構有名だし、大企業の部類に入る方なのだが、後で、周りの学生にそれ となく話を振っても、知らない者がほとんどだったらしい。 今年、ある上場している製造業企業に内定を採ったA君は、苦笑いをしながら、次のような話をしてくれた。久々にあった同級生たちに会うと、決まって「お前はどこに就職するんだ」という話題になる。A君が、内定した企業の名前を言うと、決まって同情するような表情をして同級生が「大変だよなあ、製造業は、よく行くよなあ」と言うのだそうだ。「でもねえ、いちいち、説明するのもめんどくさいし、じゃあ、お前はと聞くと、名ばかり管理職問題で名前が出ていたサービス業企業だったり、大量に採用して、大量に退職するので有名な流通企業だったりなんですよ。」なぜか、 製造業=労働環境劣悪=よくない企業という「負のイメージ」が定着しているのだ。 少し視点を変えると、産業観光といって製造業の工場を見て廻るということが「観光」になる時点で、一般の人たちの生活から、製造業が遠い存在になってしまっているのだ。いつの間にか、ものづくりは多くの人にとって遠いところで、誰か知らない人がしているものになってしまっているのではないだろうか。 考えてみれば、私の子供の頃ですら、例えば近所に木工工場があり、夏休み、カブトムシを飼うために、カンナ屑をもらいに行ったものだった。今、大半の子供たちにとっては、カブトムシのための木屑は、ホームセンターか量販店で買ってくるものだろう。 学生たちが、製造業企業に関心を持たないのは、「嫌い」だからではなくて、「知らない」からなのだということを、ここ数年、学生たちに接して、理解できてきた。もちろん、うちは経済学部でばりばり文系なのだが、工場見学をしたり、経営者の皆さんの話を聞いたりする中で、「どうせ営業するなら、こういう工場で作られたものが売りたいですよね」とか、「総務とか経理でもいいから、製造業の一角で働きたい」などと言い出すのだ。(「洗脳が聞いた」と笑う経営者もいますが・・・笑) 工場見学や、その情報が人気になったり、観光産業の一端として「産業観光」が取り上げられたりするのは、私の仕事的にはうれしいことなのだけれど、一方で、どんどん「ものづくり」が遠くなってしまっているのは、どうなのだろうと少し複雑に思う気持ちもある。 一般の人たちから、ものづくりが遠くなった理由はいろいろあるだろう。住宅地と工場の混在が、工業団地の整備などで解消されていったこと。生産設備の機械化によって、見学なども安全管理上できなくなっていること。以前よりも、安全性や責任問題などが厳しく指摘されるようになり、かつてのように製造現場に簡単に出入りでいなくなったということもあるだろう。身近なものの海外生産が増加し、国内で製造されなくなったことも大きい理由の一つだろう。そして、技術の高度化により、仮に工場を見ても、どういう工程で何をしているのかも理解できなくなっていることも指摘できるだろう。 なにより、今回の不景気で、連日、「製造業企業また解雇」なんて記事が載ると、またぞろ若者の製造業に対する見方が悪くなるのでは、などとも思ったりする。 今回の不景気は、全治2年とも3年とも言われるが、有史始まって以来、雨がやまなかったことはない。いずれは景気も回復するだろう。その時に、必ず必要なのは、優秀な若い人材である。ものづくりがどんどん遠い存在になってしまった上に、景気悪化が引き金になって、またぞろ悪いイメージが定着してしまったのでは、いざという時に人材が集まらなくなってしまう。 厳しい状況下だからこそ、ものづくりに日々いそしんでいらっしゃるみなさんこそが、情報発信をして、その素晴らしさ、MADE IN JAPANの魅力を多くの人に知らしめていただければなあと思う、今日この頃なのです。 |




