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11日(水)に東京丸の内にオープンしたタニタ食堂が大きなニュースになっています。
この背景には、健康ブームがあります。男女問わず、自分の健康に気を遣う人が増えています。中でも「ダイエット」というのは、いつの時代にも増して意識が高くなっています。食堂オープンの前に、タニタは社員食堂のレシピを書籍化することで大きな話題を得ていました。外食を控えて、うち食を重視するトレンドも重なり、書籍のシリーズ合計発行部数は430万部を超え、いまだに伸びている状況です。
食堂オープンに関するニュースを広告費換算すれば、十億円単位の換算になります。タレント出演のCM発表会ですら数億円もしくは1億円以下の換算値がほとんどの時代に、十億円単位の換算値を獲得しているのは素晴らしいと言えます。
このタニタ食堂の例を見てわかってもらいたいことは、「ショールームやアンテナショップの意義」です。
一般的に、メーカーがショールームやアンテナショップを作るのは、自社製品をPRしたり、自社製品を販売する目的です。タニタは体脂肪計を中心とする機器のメーカーです。したがって、タニタ食堂は、タニタにとってはショールームやアンテナショップなのです。
そして、ショールームやアンテナショップの大きな目的の一つは「体験機会」の提供です。高額だったり、感性的な判断を伴うものであればあるほど、われわれは「体験」という機会を大切にします。もちろん、口コミやレビューサイトの評価も、購買プロセスの中では重視されます。ただ、自分自身での確認も重要なポイントです。ショールームやアンテナショップの存在意義の一つがここにあります。
一方で、ショールームやアンテナショップというのは、東京などの都心部や、その企業の本社がある場所にあるのが通例です。ただ、そこに来ることが出来る人は、場所や時間に制限があるため、どうしても限られてしまうのが現実です。
タニタ食堂は、多くの広告主や、広告会社を始めとするマーケティングコミュニケーションに携わる人達に大きな示唆を与えてくれました。それは、ショールームやアンテナショップが「体験機会の創出」以上に、「話題性創出の場」つまり「PRの場」であるという事実です。
メーカーのPRは、製品であれば製品の優位性やベネフィットを伝えることが一般的です。ショールームは、それら製品やブランドの認知を促進し、理解を深める場であることが一般的です。タニタは体脂肪計を中心とする機器を販売することが主業務です。タニタ食堂がいくら繁盛しても、いくら店舗を拡大しても、タニタ食堂事業が主業務になることは考えにくいでしょう。
タニタは体脂肪計を長く販売していますが、すぐにタニタ食堂をスタートしたわけではありません。タニタ食堂のレシピ本が結果的に売れて、結果的にタニタ食堂をスタートさせたというのが実情でしょう。そして、レシピ本とタニタ食堂によって、タニタはブランドイメージと認知度を一気に上昇させました。「肥満防止対策=タニタ」というイメージが定着したことによって、体脂肪計を始めとする販売も確実に増加します。通常、ショールームやアンテナショップによって提供出来る「体験」機会、それを大きく上回る成果が谷食堂のPR的な活用によって達成出来たのです。広告主や、広告会社を始めとするマーケティングコミュニケーションに携わる人達は、この事実をきちんと受け止め、今後の戦略やプラン作りに役立てるべきなのです。
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