マーケティングの現状と未来を語る

2014年ヤフトピに8度の記事掲載。わかりやすい裏読みでメディア取材多数。マーケティングコンサルタント。個別相談も受付中

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昨年10月に“完全復活”を宣言したロックバンド「JUN SKY WALKER(S)」(ジュンスカ)が、16年ぶりのオリジナルアルバム「LOST&FOUND」をしましたが、全国ツアーを6月から開くことが決定しました。

興味深いのは、ジュンスカ自身が考えたという2つのファンサービスです。

一つ目は、各会場でしか演奏しない曲を1曲募集し、披露するというものです。そのこと自体が興味深いのではありません。興味深いのは、その1曲に関してはカメラやレコーダーなどで撮影しても、録音しても良いという仕組みです。撮影した映像や画像、音源はyoutubeなどソーシャルメディアにアップすることも許可されています。一般的には著作権を守る為に、ライブ会場での撮影、録音に関しては、固く禁じられています。日本のトップミュージシャンの中で、このような試みをしたのは、とても珍しいケースだと思います。

もう一つは、全国15会場でスタンプラリーを実施し、集めたスタンプの数により、抽選で豪華賞品をプレゼントするというものです。グランプリの一人には、ジュンスカのライブに招待され、楽屋でその人の為の1曲をアコースティックで演奏してもらえるというファンにはたまらない特典です。

この2点のファンサービスを見ると、ジュンスカも「グレイトフル・テッド」に学んだのかなと思う面があります。グレイトフル・テッドは、アメリカで長年に渡り人気を誇っているバンドです。とにかくライブ中心で、リハから本番まで見せますし、ライブ会場では終了後、すぐに高音質の音源や映像を販売するものの、ファンも撮影や録音することは基本OKです。いつもライブ内容がオンリーワンなので、ファンの中には、ライブに何度でも足を運ぼうという人が多いのも特徴です。

よろしければ、こちらの書籍を読んでみて下さい。
「グレイトフル・テッドにマーケティングを学ぶ」デイヴィッド・ミーアマン・スコット、ブライアン・ハリガン著

今まで、CDを売るために、著作権を固く守ろうとするのが、今までの音楽業界のやり方でした。ライブはCDを売るためのプロモーションという位置づけであったと言えるでしょう。しかし現在はCDがなかなか売れません。CDは単にネットの登場によるデータ音楽配信という影響だけで売れなくなったのではなく、ネットがもたらした「趣味嗜好の多様化」によって売れなくなったのです。つまり、誰もがテレビで音楽番組を見て、人気のある曲のCDを買い、その結果、大ヒットが生まれました。しかし、今は大ヒットが生まれません。したがって、数ではなく質を求めるのが音楽業界の成功の法則になっているのです。誰も彼もにCDを売ろうとするよりも、少なくても濃いファンに満足してもらい、ライブに来てもらったり、楽しんでもらったりすることが大事なのです。濃いファンが満足した感想は、ソーシャルメディアを通じて、他の人にも徐々に伝播していきます。情報過多の時代、口コミこそが「人々の行動」を促します。結果として、大量の人に伝えるよりも、CDそのものも売れる仕組みになるのです。

ソーシャルメディアの有用性に気づいて、ヒットしたもう一人のミュージシャンを挙げましょう。きゃりーぱみゅぱみゅです。きゃりーぱみゅぱみゅの場合、youtubeでPVをアップすることから始めました。youtubeで火がつき、ソーシャルメディアで伝播していきました。その兆しをマスコミがフォローして、現在の大ヒットに繋がったのです。きゃりーの場合、CDを売ろうとして従来のプロモーションをしかけていたら、きっと今のヒットは無かったでしょう。

ミュージシャンをヒットさせるためには、そのミュージシャンの能力はもちろん、売り出し方が以前よりも、より一掃重要になっています。その意味でも、ジュンスカのこれからの活動には注目しています。そして、今よりももっと新しい売り出し方(ここ数年はソーシャルメディアが絡むでしょうが)がどのような形で出てくるのか楽しみですし、音楽業界に関わる仕事の中で、私自身も手がけてみたいとも思います。


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