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それは岩手県盛岡の企業「東山堂」という音楽教室のCMだ。
まずはご覧頂きたい。
地方の一企業のCMがなぜこれほどまでに話題になっているのだろう。
話題になった理由をお伝えしたい
■ 直接的に売らない、アピールしない
CMの目的は音楽教室への勧誘なのだが、CMの中で直接的に音楽教室への勧誘をしていない。また東山堂の音楽教室が素晴らしい教え方をしているなどというアピールもしていない。直接的な勧誘やアピールをするよりもはるかに良い印象を残すことが出来ているのは、視聴者に対して直接的な宣伝をしていないことが大きな理由だ
■ 視聴者の心に訴えかけている
テレビを見れば、ドラマでは毒々しい内容のものが増えている。また、バラエティ番組ではいつも同じような出演者が同じような内容のものが増えている。このCMのベースにあるのは「愛」であり「家族」だ。どんな人でも、恋愛をし、結婚をし、子どもを育て、死んでいく。人は恋愛によって幸せにもなるし、他の何もが手に付かないほど人生が狂ってしまうこともある。多くの人にとって「愛」というものは、人生の中でもっとも人の心揺さぶられるものなのだ。CMにおいても同じことだ。家族への愛、恋人への愛、動物への愛、愛の形はいろいろだが、愛をベースにおいた内容は人の心を揺さぶる確率が高い。それは人が「観たい」と思うことにも繋がるのだ。
「愛」ではないが「性」というものも、良かれ悪しかれ人々の注目を集めるものだ。ここに目をつけて注目を浴びたWeb CMも参考までにご紹介しておこう。
オートウェイという会社がウェブCMで作成した「『放送事故』生放送中に・・・いきなりBAN」というCMだ。これは作りとしても、ソーシャルメディアの活用方法としても、よく出来た内容だが、ベースにあるのは「女性」への興味だ。だからこそ、知名度の無い企業の作成したWeb CMながらも話題になっている。
■ 従来のCM秒数にとらわれない
CMは通常15秒か30秒だ。ソフトバンクやNTTドコモやトヨタ自動車など日本を代表する大企業の場合には60秒CMなどを流す時もあるが、通常はほとんどない。15秒、30秒のCMでは、深いメッセージは伝えられない。伝えられるのは商品名、企業名、またせいぜいそれに準じたコピーが1つだ。情報が溢れた時代に視聴者はこんなCMは見たくない。だから視聴者にとってCMは、番組と番組の間の小休憩タイムになっている。そして、その小休憩を防ごうと15秒、30秒の制限の中で企業は必死にアピールをしていようとし、ますます積極的に目立とうとする。これが悪循環となりますます視聴者を遠ざけている。
東山堂のCMのFull Verは210秒だ。これは地方のCMだからこそ15秒、30秒の制限を超えてCMを流すことが出来るという面がある。しかし在京テレビ局は、これを言い訳にするのではなく、もっとフレキシブルにCM秒数を設定する努力をした方が良い。クリエイターからしても、地方の方がクリエティビティが発揮出きる環境が整いつつある。それ以上に、現状の在京テレビ局のCM放映スタイルは広告主利益がどんどん薄くなってきている。当然、視聴者にも喜ばれていない。従来のCM秒数を超えれば、今までに無い新しい広告の形が見えてくる。それを体をもって示してくれたのが東山堂だ。
■ インターネットの成長が意味するもの
ソーシャルメディア、インターネットの本格普及以前には、地方で素晴らしいCMがあったとしても全国に広まることはあまりなかった。なぜなら、その手段がほとんどなかったからだ。年に1度、2度あった「おもしろ・感動CMグランプリ」的なテレビ番組で取り上げられる程度だった。しかし、インターネット、ソーシャルメディアが普及した今、発信そのものが地方であったり、発信量が少なかったりしても、コンテンツが素晴らしければ、一気に広がる。「どこで」流すかは確かに重要ではあるが、その重要性は薄まっている。その反面、「何を」流すかがますます重要になってきている。
実はテレビドラマでもWOWOWの評価がうなぎ上りだ。視聴者だけでなく、俳優からもWOWOWのドラマに出たいという声が増えている。その理由は、純粋に伝えたい内容を表現で伝えられ、コンテンツの強さを作ることが出来るからだ。これもCM同様、コンテンツの強さこそが視聴者に受け入れられるという証明の一つなのだ。
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