マーケティングの現状と未来を語る

2014年ヤフトピに8度の記事掲載。わかりやすい裏読みでメディア取材多数。マーケティングコンサルタント。個別相談も受付中

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先日、人気声優の水樹奈々さんのライブ応募券がついたポテトチップスを1000袋(約200キロ)を不法投棄した男性が逮捕された。水樹奈々さんの大ファンであり、ライブ応募券目当てで大量購入をしたものの、ポテトチップスそのものは不要になり、不法投棄をしてしまったという形だ。また、店頭でカード付菓子のカードだけが抜き取られるという被害も相次いでる。犯罪は許されるものではないが、カードやおまけ欲しさに菓子の大量購入をした人、菓子を食べきれなかったという経験は、多くの人にあるのではないか。私たち、特に大人は節度を持ち、マナーを守って、子ども達の見本となりたいものだ。

さて、おまけ付菓子はいつから始まり、いつからブームに火がついたのだろうか。

■ おまけ付菓子ブームを作ったカルビー

時代を振り返れば、1927年にグリコがキャラメルにおまけを付けて販売開始したように、おまけ付菓子の歴史は古い。おまけ付菓子ブームに火がついたのは1970年代からだ。1971年から1973年にかけてカルビーは仮面ライダースナックを発売した。こどもたちに人気が出始めた仮面ライダーに登場するライダーや怪人のカードをおまけとして大人気を博した。その後1973年、カルビーはプロ野球スナック(後のプロ野球チップス)の販売を開始した。おまけはプロ野球選手のカードであり、あたりが出ればサイン入りミニチュアバットなど新たな賞品をもらえるようになっていた。何が出るかわからないカードを集め、友達と見せ合い交換したりすることが遊びの一つになり、その購買熱を加速させるために、さらにくじという要素を入れたのだ。

■ おまけ付菓子の時代を加速させた「ビックリマンチョコ」

1977年に販売開始したロッテのビックリマンチョコ。悪魔と天使をモチーフにしたシールはたちまち子ども達の話題の中心となった。シールの中にはホログラムのスペシャルシールもあり、そのシール目当てに子ども達は日々ビックリマンチョコを食べた。ビックリマンチョコが残した2つの大きな意義がある。

一つ目は「コンプリート」という考え方だ。

ビックリマンチョコ登場以前には、おまけ付菓子のカードが欲しいという欲求はあったものの、コンプリートさせるという考え方は薄かった。出て来たものに対して一喜一憂し、自分の持っていないカードを友達が持っていることに驚き、欲しくなったりしたものだ。ビックリマンチョコは全部で何種類のカードがあるかをわかるようにした。そして第一弾、第二弾とシリーズ化した。これによって自分の持っているカードと不足しているカードを確認出来、コンプリートしたいという欲求が子どもの中に高まったのだ。しかもシリーズものなので、早く購入しないとコンプリート出来ないかもしれないという気持ちにもさせた。

現在ではリアルでもソーシャルゲームでも当たり前のコンプリートという手法、シリーズものという手法の基礎を作ったのはビックリマンチョコだったのだ。

二つ目は「メディアとの連携」だ。

ビックリマンチョコ人気が爆発した背景には、子ども向けコミックの存在がある。「コミックボンボン」「コロコロコミック」などがこぞってビックリマンシールを特集した。友達との情報交換だけでなく、これらの特集によって全カード情報を入手出来るようになった。それがコンプリート熱を加速させた部分もある。さらにコミックにビックリマンの漫画が掲載されるようになり、その後テレビ化、映画化へと繋がって行く。

現在、子ども向け玩具、特に男子向けのマーケティング戦術を考える上で、上記のような考え方は外せない。子ども向けコミックを活用しつつ、漫画連載、イベント連動、アニメ化、グッズ化などを進めて行くという「メディア連携」の考え方もビックリマンチョコから始まったと言えるのだ。

■ 「おまけ付菓子」から「菓子付おまけ」の時代へ

かつて菓子を食べてもらいたいから、子ども達に選んでもらうためにおまけを付けていた菓子メーカーだが、今や時代は変わった。400円、500円のおまけ付菓子を購入しても入っているのはガム一粒ということも珍しくはない。コンビニの棚争いは熾烈だ。棚を確保し良位置を確保するために、菓子メーカーは人気コンテンツが欲しい。一方、人気コンテンツはキャンペーンを拡大させる上で、菓子メーカーの力を借りてコンビニで露出を図ることが出来るのは大きなプラスなのだ。

すでにコンビニ店頭で菓子とは関係なく、プロ野球オーナーズリーグやデュエルマスターズなどカード単体での販売スペースも拡大しつつある。またそこでミニチュアフィギュアなどが売られているケースも出て来た。カードやミニチュアフィギュアなどが菓子とは関係なく力を持ち始めている。

すでに、菓子が主でおまけが従という時代は終わったのだ。強いコンテンツの関連商品の一つとして菓子があるというトレンドはますます加速していくだろう。最後に、どんなおまけが出てくるかの未来予想をしてみよう。人気声優のライブ応募券やラブライブの限定カードなど子ども向けではないものが増えていることを踏まえれば、ますます成人男性、オタク系コンテンツは増加していくだろう。通常の人気アニメや人気ミュージシャンとは比べものにならないほど、オタク向けコンテンツへのファンのコミットは強い。販売向上ということだけを考えれば、かなり堅い。では、子ども向けはどうだろう。妖怪ウォッチのメダルが大人気であったり、任天堂DSが子ども達の話題の中心でる。品切れ続きで購入出来ないメダルのようなものがあれば菓子は爆発的に売れる。また任天堂DSの人気ゲームで、菓子購入を通してしか得る事の出来ないスペシャルキャラクターなどをデジタル提供するという手法もある。

時代は変わりつつある。ビックリマンが築いた「おまけ付き菓子」の手法は、さらに発展する時期に来ているのだ。

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