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■ うどん、たこ焼きチェーンは本場発ではない現実
飲食業者のチェーン店舗展開、グローバル展開を見ていると面白いことがある。それは本場出身の飲食店が展開するのではなく、他地域の飲食業者が展開を進めているということだ。
たとえば、うどんの本場は香川県、言わずと知れた讃岐うどんだ。しかし、業界最大手である「丸亀製麺」の本社は兵庫県神戸市だ。また第二位の「はなまるうどん」も創業こそ香川県だったものの、現在は東京に本社がある吉野家ホールディングス傘下に入っている。「つるまる」は大阪府に本社がある。
これはうどんに限ったことではない。たこやきの本場と言えば、大阪と答える人が多いのではないだろうか。しかし先日、上場予定を発表した人気たこ焼きチェーンの「銀だこ」の本社は東京だ。
世界に目を移してみよう。いまや海外で日本の食はブームになっている。しかし実際には日本食と思われそうだが、そうではないものも少なくない。海外における寿司屋の多くは、日本人ではなく中国人や韓国人が経営し寿司を握っている。
和牛は文字通り「日本の牛」のことなのだが、日本の和牛の種をベースにしたオーストラリアのWagyuの方が「わぎゅう」としては一般的だ。
■ なぜ本場ではない飲食業者ばかりが展開拡大をするのか?
一言で言えば、本場のものは、他の地域に頑張って拡張していなかくても十分に満足なのだ。そこの裏にあるのは、本場であることのプライド、そして頑張らなくても成立する経済的事情がある。また地方にいて、品質にこだわって食事業を営む人たちにとって、東京をはじめとする都市は遠い存在でもある。したがって、こだわりを持つ本場の人たちであればあるほど、チェーン展開を進めていかないのだ。それは、グローバルという意味でも同様だ。日本は世界でもっとも豊かな国の一つだ。和牛や寿司など高価な食を食べられる人たちも多いのだ。和牛も寿司も、品質にこだわればこだわるほど、あえて海外で展開する必要性は薄かったのだ。
このように本場であればあるほど、チェーン展開をしないことが多くなった。
■ 知れば知るほど本物志向が強くなる
本場ではない飲食業者がチェーン展開の中心になっているが、その傾向は徐々に変わってくる。なぜなら、人間というものは「良いもの」「本物」を知ることで「より良いもの」「本物」志向が高まるからだ。海外ではすでにその兆候が見えている。日本の本物の寿司を知る人が増えた結果、日本の一流店の海外進出が相次いでいる。シンガポールのラッフルズホテルには銀座の名店「かねさか」ののれんわけの店がある。また名店「あら輝」はロンドンに移転することを決めた。寿司だけではない。オーストラリアのWAGYUではなく和牛を知ってもらおうというPRがアジアをはじめ、海外で展開され始めた。その評価はとても高く、これから海外で和牛ブームが広まっていくことは間違いない。
海外だけでなく日本においても「本場」「本物」志向は強まっていくことだろう。なぜなら、本場のこれからを担うのは、本場も都市も知っている若手経営者だからだ。
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