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■ アバクロ人気の終焉
アバクロが不振に陥っている。2010年以降、アメリカで220店舗が閉鎖され、2014年内にはさらに60店舗を閉鎖する予定だ。日本では2005年くらいからブームが始まった。まだ国内に店舗は無かったが、アメリカのスターやセレブが着用している姿を目にし、アメリカに行った旅行客の多くがアバクロを買って帰ってくるようになった。日本で初店舗を構えたのは2009年の銀座だ。その後、福岡店も出来た。
アバクロと言えば、店舗の様子が独特だ。薄暗い店内、大音量の音楽、ムスクの香り、セクシーさを前面に出した男女のポスター。時々、上半身裸のモデル体型の男性が店舗の入口に立って客を出迎える。ショッピングバッグもモデルが前面に描かれたものだ。ブランドの世界観としては徹底されていた。そこまでは良かったのだろう。アバクロは2つのことを誤り、業績は悪化し始めた。その2つの要因について触れたい。
■ 要因1:ブランドへの過信と勘違い
店舗、店員、商品をブランドの世界で固めるのは良い。しかしCEOのマイク・ジェフリーズのブランドコンセプトを逸脱した問題言動によって、人々はアバクロと距離を起き始めるようになった。「クールな男女しかターゲットにしない」は良いのだが、「太った客はアバクロを着て欲しくない」という発言は問題だ。ターゲティングでの発言ではなく、”自由”というアメリカ人がもっとも尊重すべき領域の問題に触れてしまった。そして数々の人種差別的な言動も問題になった。
ブランドの世界観作りと、ビジネスそのものを履き違えてしまったのだろう。これがアバクロ失速の一つ目の要因だ。
■ 要因2:拡大戦略への失敗
アバクロが持つ強烈なブランドの世界観を広めて行くことは難しい。なぜならブランドコアが強烈、独特であるということは、拡大することと反比例の関係にあるからだ。店舗を拡大させていくということは、多くの人にとっての存在になることを意味する。多くの人に受け入れられるためには、できるだけ多くの人に受け入れられるようにしなければならない。つまり急激に拡大をするということは、ブランドの強烈な個性を捨てる覚悟をしなければならないのだ。アバクロに限らず急激な拡大戦略を取るということは、世間から反発を受ける確率も高まる。逆に拡大戦略を取り、ブランドの個性を捨てれば、それまでのファンはそのブランドへの憧れを失ったいく。
アバクロのブランドの個性は強烈だった。だからこそ拡大戦略を取ってしまったことで、多くのアバクロファンが離れた。アバクロにとって誤算だったのは新しい顧客も獲得出来なかったことだ。
■ 最後に
アバクロが取るべき戦略は、急激な拡大路線ではなかった。マイク・ジェフリーズCEOが福岡出店の失敗を認めているように、アバクロの急激な出店路線は失敗だった。これだけ強烈な個性を持つブランドが取るべき方法は、販売数や購入場所を絞って
ブランドイメージを維持向上させていくことだ。
今はインターネットがある。強烈なブランドの信者は自ら情報を発信する時代だ。そしてその情報はグローバルに流れて行く。販売という面に関しても、ある特定地域の店舗を増やすのではなく、インターネットを使って販売することが出来る。これによって販売エリアはグローバルになり、コントロールしながら販売数を決定することも出来る。
アバクロの失敗は”ブランドへの過信と勘違い”と”拡大戦略の失敗”によるものだ。残念なことだが、まだまだこれから発展の余地があったブランドのはずが、経営陣が調子に乗りすぎて失敗した例をアバクロは作ってしまったのだ。
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