マーケティングの現状と未来を語る

2014年ヤフトピに8度の記事掲載。わかりやすい裏読みでメディア取材多数。マーケティングコンサルタント。個別相談も受付中

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■ ペヤングの衝撃

国民食とも言えるカップ焼きそば「ペヤング」。この「ペヤング」にゴキブリが混入されていた問題で、製造元であるマルカ食品は窮地に立たされている。第一報の段階では混入の可能性を全面否定した。その後、外部機関の指摘により、混入の可能性は否定できないと発表した。結局のところ、収集がつかなくなり、全面謝罪、全商品の販売中止・回収へと追い込まれてしまった状態だ。

すでに多くの記事、ブログで食品製造に関する品質管理の話や、「ペヤング」に対する熱烈なラブコール、問題発覚から現在に至るまでの対応のまずさが書かれている。それらはお任せをして、私のほうでは「立て続けに起こる企業不祥事と経営・PR部門の臨み方」について書きたいと思う。専門的な内容になるが、どんな方にでもわかるように書いたつもりなので、よろしければご覧頂きたい。

■ マクドナルドとの共通点

総合的な視点での一番の問題は、食の安全性の問題であったことだ。低迷するマクドナルドに大打撃を与えた上海福喜食品問題をはじめ、食品系企業に大打撃を与えるのは、安全面に関するケースであることが多い。食中毒や衛生管理問題など安全性は絶対に軽視できない。

ではPR視点ではどうだろうか。まず、マルカ食品のまずかったところは、きちんとした調査もせずに最初の会見で全否定をしたことだ。事実に向き合わず、言葉の強さだけで押し切れるほど消費者は甘くない。上海福喜食品問題の際に登場したマクドナルドのカサノバCEOは、記者からの質問に対して「マクドナルドの品質管理には自信があり、自分の子どもにも食べさせられる」ときっぱり宣言した。これは謝罪会見における大きなマイナスで、子どもを持つ親の反感を高めることとなった。

事実がうやむやのまま、単なる強い言葉を使うことは、大きなマイナスになる危険性が高い。まず必要なことは以下の通りだ。

1)不祥事が起きたらすぐに会見を行うこと
2)事実を曖昧にせず、すべて公表すること
3)責任逃れになるような言動はしないこと

これは基本中の基本だ。

■ 一瞬でブランドイメージが失墜するリスクの高まり

ここ数年、ソーシャルメディアの普及により、長年かけて築き上げてきた企業のブランドイメージも一瞬で失墜してしまうようなケースが増えている。それは必ずしも製品に不具合があったり、サービスが悪かったということだけから発するものではない。店員の悪ふざけによって企業イメージが失墜するケースも増えている。食品冷凍ケースの中に自ら入ったり、フライヤーの中に食べ物ではないものを入れて揚げたりという写真がソーシャルメディアを通じて広まり、企業のイメージだけでなく売上げにも影響を及ぼすケースが2014年は相次いだ。店員教育というレベルではなく、人間としてのモラルの問題であり、企業にとっては気の毒な部分が多々あっても、消費者からすれば「利用しない」という結論は変わらないのだ。長年に渡り、数十億円、数百億円という多額の金額をかけて築いたブランドイメージでも一瞬にして失墜する危険性は高まっているのだ。

■ なぜ謝罪会見はうまくいかないのか?

ベネッセの原田CEO、マクドナルドのカサノバCEO、そしてマルカ食品。原田CEOは一時期、カリスマ経営者として大いに称賛された人物だ。原田氏はアップルからマクドナルドと異業種へ転身し「マックからマックへ」と持て囃された。そして2014年には別業界であるベネッセへと転身した。カサノバCEOは原田氏の後を引き継ぎマクドナルドのCEOとなった。かつて日本でチキンタッタを成功させただけでなく、海外でも着実に実績を収めたマクドナルドグループのエリートだ。奇しくも2014年にこの二人は謝罪会見に望まなければならなかった。原田氏はベネッセにおける個人情報流出問題、カサノバ氏は上海福喜食品の食品安全性問題だ。問題点はいろいろある。原田氏であれば情報流出の補償額を500円が妥当としてしまったこと。そしてカサノバ氏であれば問題発覚から会見まで1週間のブランクがあったことだ。ただ、両社に共通する一番の問題は、発言こそ堂々としているものの、本当に消費者に申し訳ないという姿勢が無かったことだ。輝かしい実績をおさめ、エリート路線を歩み続けてきた二人にとって、自分の意見を自信満々に伝えることは当たり前のことだったのかもしれない。ただ消費者視点からすれば、高みから消費者を見ており、内容とともに態度も謝罪しているとは受け止められなかったのだ。

少し話はそれるが、マルカ問題についてCGCの代表の発言を取り上げたい。食品の安全性を確保することは、企業にとって絶対の条件である。残念なことにCGCの代表が、健康にかかわる問題は「絶対にダメ」と述べたうえで、マルカ食品のニュースを「面白おかしくとりあげすぎではないか」「命に関わるもの、健康に影響あるもの、健康被害のないもの、に分けて考えてほしい」「全部廃棄ですから、もったいない」と発言したことは食品の安全性に対する意識の低さと効率優先を露呈してしまった形だ。この問題の本質は、食品製造体制が甘かったことであり、ゴキブリが命に関わるかどうかの問題ではない。その本質を掴めないような人が食品関連グループのトップにいることも、問題の根の深さと経営トップのPR意識の低さを物語っている。

■ 広報部はもっと強い権限を

経営トップのカリスマ性が強ければ強いほど、現場からの助言や指示は受け入れ難いだろう。その結果、何かが起きた時に、自分の力を過信して対応を見誤るケースが増えてきているのは前述の通りだ。ここで重要になるのは、ますます高まるリスクマネジメントの必要性の中、広報部門はスキルを磨いてプロフェッショナルになることだ。その力は経営トップに指示できるほどでなければならない。いくら広報部門がリスク発生時のPR知識を学んでも、その知識を経営トップが尊重できなければ何の意味もない。ただ、結果として起きてしまうのは企業のブランドイメージの失墜だ。今後、ソーシャルメディア上の対応だけでなく、コールセンターやお客様相談室など、消費者とのコンタクトポイントすべてが重要になる。これらの接点によって、消費者は企業を判断し、悪ければソーシャルメディアを通じて発信してしまうからだ。こうした中、広報部門はプロフェッショナルなスキルとより強い権限を持つべきなのだ。余談だが、最近私のところに、宣伝部門や広報部門の組織作りに関しての相談がもたらされることもある。すでに、この事実に気づき動こうとしている企業は少なくない。

企業は問題がないようにしっかりと事業を展開する。ただ、問題が起きてしまった場合には、消費者に対して適切な対応をするべきだ。そのためには、広報部門のあり方について経営者自身が見直すべき時期に来ているのだ。

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