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修学旅行の定番と言えば「奈良・京都」だろう。古くからの寺院仏閣があるという点では、日本が誇る二大観光地と言っても差し支えが無いだろう。しかし、実際にはこの二大観光地には大きな差がついている。京都がパリ等と並んで世界有数の観光都市として高く評価される一方、奈良はイマイチ目立たない存在になっている。今回は、観光都市としてポテンシャルがありながら、それを活かしきれていない「奈良のもったいなさ」について触れたい。
■ 奈良にも観光資源は豊富にある
京都には金閣、銀閣、清水寺、八坂神社、祇園、嵐山、上賀茂神社、下鴨神社、二条城、平安神宮、平等院鳳凰堂など、数えきれないほどの観光名所がある。一方の奈良も東大寺(大仏)、法隆寺、興福寺、唐招提寺など、一つ一つに魅力を感じることが出来る観光名所がある。平城宮跡の朱雀門や広大な敷地も観光客を驚かせるポテンシャルはある。特に仏像や彫物など彫像系の多さとクオリティは圧巻だ。東大寺大仏だけでなく、鎌倉時代に運慶・快慶が作った仁王像を始め、本当に動くのではないか?心を見透かされているのではないか?と思えるような佇まいをもった彫像が数多く存在する。
■ 京都は「雅」、奈良は「朴」
京都と奈良では雰囲気が違う。京都には「雅」な雰囲気がある。街の雰囲気だけでなく、朱の色に代表されるような寺院の雰囲気、シンプルながら洗練された庭園、祇園を歩く舞妓・芸妓の姿。京都で感じるのは、ゆったりした「雅」の空気だ。一方の奈良で感じられるのは「素朴」の「朴」だ。素朴や朴訥(ぼくとつ)という言葉に使われる「朴」という言葉が似合う。京都のように「雅」な雰囲気は無い。建物はどこか暗く重めな雰囲気が漂う。彫像系も優雅な感じではなく、木造や銅像の「朴」とした雰囲気が感じられるのだ。奈良の街に立つと、遠くに見える山の稜線がぼやっときれいに見えることがある。だだっっ広く開けた奈良の市街地から遠くの山並みを見ていると、一日一日を着実に生活しようという気分になる。おそらく奈良時代の人達も「雅」な生活をするのではなく、僧侶や仏像を拝みながら、自然に感謝しながら、作物を育て、できるだけ心安らかに毎日を生活していたのではないだろうかと思えるのだ。
■ 奈良の観光がイマイチ盛り上がらない3つの理由
京都は街を歩いているだけで楽しい。これはパリも同じだ。観るものはたくさんあり、歩いている街の雰囲気は楽しく、料理はおいしい。京都とパリ、世界トップの観光都市に共通するポイントだ。だから何日いても飽きが来にくい。その点、奈良は改善の余地が大いにある。
■ 理由1「観光スポット間のアクセスの悪さ」
まず1つめの理由は「観光スポット間のアクセスの悪さ」だ。
奈良には観るものはたくさんあるのだが、一つ一つの距離が離れている。東大寺と法隆寺と唐招提寺に行こうとしても、遠くてなかなか行きづらい。交通手段はバスと電車なのだが、周遊バスなどは15から20分に一本だ。タクシーもあまりいない。歩いて行ける距離ではないのだが、仮に歩こうと思っていても、今の奈良は京都のように歩いていて楽しい街ではない。寺社仏閣など観るところはとても素晴らしいのだが、移動があまりになっていない。京都が星のや、リッツ・カールトンなど世界の超一流ホテルがある一方、奈良にはない。つまり滞在型の観光地としても課題があるのだ。
■ 理由2「観光地としての雰囲気作り」
2つめの理由は「観光地としての雰囲気作り」だ。
率直に言えば、京都と比べると、街全体を歩いていて楽しくない。なぜなら街の雰囲気に統一感がなく「雑」な雰囲気を感じてしまうからだ。「朴」の雰囲気であれば良いのだが「雑」の雰囲気は観光客にとって魅力ではない。至るところにいる鹿は確かに奈良の象徴とも言えるのだが「鹿が街中にいるから奈良に来たい」という人は少ないだろう。京都の場合「京都は歩いているだけで楽しいから京都に来たい」という人はいる。鹿以上に、街のカラーを出せるように、観光地の雰囲気をデザイン・プロデュースすることが求められている。この雰囲気作りが改善されれば1つ目の理由である「観光スポットのアクセスの悪さ」があっても、観光客の不満は劇的に低下するものだ。
一つだけ例を挙げたい。神戸元町の異人館街にあるスターバックスコーヒーは明治40年に立てられた古い洋館をそのまま使って営業をしている。洋館の古い雰囲気に合わせて、ロゴの色も従来のものではなく、雰囲気に合わせたトーンにしている他、外観内装に関しても雰囲気を最大限尊重している。北野坂を歩いてきた観光客は、異人館に辿り着くまで心躍らせながら歩いて行く。その雰囲気に合わせた店と、その雰囲気に合わせない店ではどちらが観光客の印象は良いだろうか。聞くまでもなく前者だ。そして観光客はスタバに良い印象を持つだけでなく、スタバの写真を撮影して、ソーシャルメディア上で発信していくのだ。こうして観光地神戸の魅力が拡散されるだけでなく、スタバのブランドイメージも上がっていくのだ。
奈良には神戸以上の観光地としてのポテンシャルがあるもの、全体の雰囲気作りが出来ていないのが現状だ。
■ 理由3「観光地としての売り出し方」
第3の理由は「観光地としての売り出し方」のまずさだ。東京にいて感じるのは、京都、大阪、温泉、軽井沢などの観光地情報はよくテレビで観るものの、奈良の観光地情報をテレビで観ることは少ない。奈良県や奈良市が「奈良は学生の修学旅行先で良い」と考えるのであれば、何の問題もない。ただ、これから一般観光客も増やしたいと考えるのであれば、今の状態は良いとは言えない。奈良には奈良しかない魅力がたくさんある。東大寺の大仏や木造・銅造の彫像を見て圧倒されない人の方が少ないだろう。その魅力をきちんと伝えきれていないように感じるのだ。
ゆるキャラブームの先駆けでもあり、さまざまな面で話題になった「せんとくん」。「せんとくん」というキャラクター自体の魅力も微妙だが、そもそもキャラクター以前に「奈良」の本質的な魅力を伝えて行くPRが必要なのだ。厳しい言い方をすれば、パンフレットも、街の案内板も、ホームページも改良の余地は多いにある。「奈良」の魅力を知っているものからすれば、ほとんどの点で奈良はもったいないと感じるのだ。
■ 最後に
最近、2014年1月から11月の訪日観光客数が1200万人を超え、通年では1300万人に乗ることが確実視されている。2013年に1000万人を超え、いよいよ日本も観光業に本腰を入れる様相になってきたと思ったら前年比3割増という予想以上のスピードの速さとなっている。東京、京都、富士山、大阪などと同じように、訪日観光スポットとして主役になるために、今こそ奈良は手を打つべき時なのだ。
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