マーケティングの現状と未来を語る

2014年ヤフトピに8度の記事掲載。わかりやすい裏読みでメディア取材多数。マーケティングコンサルタント。個別相談も受付中

全体表示

[ リスト ]

2015年になってからメーカーの動きが慌ただしい。日本を代表する電機メーカー、パナソニックとシャープが次々に国内生産体制の強化を打ち出した。

■ メーカーの国内生産体制強化

シャープは2015年6月までに海外で生産している日本向けの液晶テレビと冷蔵庫の製造の一部を日本国内に戻すことを発表した。パナソニックも洗濯機、電子レンジ、エアコンなど4機種ほどを日本国内生産に戻すことを発表した。パナソニックの場合、2014年4月の決算発表会見で津賀社長が「1ドル105円以上、円安に振れれば国内生産の可能性が増える」ということを言っていた。パナソニックも他のメーカー同様、ほとんどの生産は海外が中心となっている。今、完全に国内生産と言えるのは「美容家電」カテゴリーだけと言っても良い。これからアジアを中心に美容家電熱は加速すると思われるが、現段階においては世界の中でも日本市場が圧倒的に強いということ、付加価値の高い商品であることから、男女向けともに美容家電のみ国内生産で行ってきた。

今回のエアコン、洗濯機等、白物家電の国内生産回帰にはどんな理由があったのだろうか。

■ 下請努力だけではカバーできない円安傾向

日経平均株価の上昇に代表されるように、大企業の業績は大方上向き始めた。大企業で働く社員たちもボーナスのアップなど恩恵を被っている。ただ日本の9割以上の割合を占める中小企業ならびにそこで働く人達にとっては恩恵を受けることはまだまだ少ない。アベノミクスによる円安政策は、高度経済成長期の主役となり大きくなった現在の大企業、つまり輸出を中心とする企業にとってはプラスである。その一方、材料を輸入して加工して部品などを作る多くの中小企業にとっては輸入コストの上昇によって利益が圧迫され苦しい状況が続いているのだ。大企業の業績が上がるので、下請企業の売上は上がる。経営上、お金は回っているので、倒産はしない。したがって2014年の倒産件数は減少した。ただ利益が出にくい状況は変わりない。中小企業は、企業努力によって、なんとかしのいできたのだが、それも限界に近いということだろう。下請企業が倒れれば、その部品を使っている大企業も窮地に陥る。今まで円安政策の恩恵を被ってきた大企業も、下請企業への配慮、自社生産部分での採算性の向上を考え、あらたな取り組みが出てきた。それが国内生産回帰という流れだ。これから成長するアジア市場、人口減が確実な日本市場を考えれば、本当は日本での生産回帰は理想的ではない。ただ、そうしないとならない状況が生まれつつあるということだ。

■ 中国・アジアで上昇する人件費

パナソニックの場合、約5000億円という家電の国内販売額のうち約40%を中国を始めとする海外生産に頼ってきた。しかし中国、アジアの国々が成長するにしたがって人件費も上昇してきた。シャープの場合もほぼ同様で中国、マレーシアなどの国々で生産している。余談ではあるがマレーシアの首都クアラルンプールではマンションや商業施設の建設ラッシュが続く。それに携わるのではマレーシア人ではなく、より成長スピードの遅い近隣諸国の出稼ぎ労働者だったりするのだ。つまり、中国や東南アジアで生産するというコストメリットが企業側には少なくなっているのだ。

■ 国内生産回帰がもたらすもの

結果として、日本国内の雇用は増えることになるだろう。これは日本経済にとってプラスになる。また中小企業にとっては、間接的にではあるが、大手メーカーからのコストダウン要請が多少なりとも緩くなってくれるのではないかという期待も出来る。おそらく、パナソニックやシャープだけでなく、これから多くのメーカーが国内生産体制強化の方針を打ち出してくるはずだ。

ただ、これは一過性のもので、中長期的に海外市場が中心となることは変わりない。したがって、労働者側からすれば、日本国内生産回帰に単純に喜ぶだけでいけないだろう。重要なことは、その先の働き方、生き方を考え、自らの経験を高め、知識を身につける重要な時期にしていくことなのだ。





.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事