マーケティングの現状と未来を語る

2014年ヤフトピに8度の記事掲載。わかりやすい裏読みでメディア取材多数。マーケティングコンサルタント。個別相談も受付中

全体表示

[ リスト ]

第91回箱根駅伝。青山学院大学が往路・復路・総合優勝を果たした。しかも史上最速のタイムでの優勝だ。戦前の予想では駒沢大学が優勝の最右翼であった。明治、東洋とともに青学も有力校の一角には挙げられていたが、多くの人にとってこの圧勝劇は予想外の結果だったと言って良いだろう。

10年前まで青学は箱根駅伝の出場すら出来ず、決して強豪校ではなかった。その青学をここまで強くした最大の立役者は、もちろん今まで頑張ってきた選手達である。ただ、それとともに指導者である原晋監督の存在も大きいだろう。今回の記事では、青学優勝を支えた「原監督と選手」の関係作りについて書かせて頂きたい。そこにはビジネスマンにも参考になる部分があるからだ。

■ 楽しそうな姿が印象的な青学

箱根駅伝における青学の様子で印象的なことがある。それは選手たちが本当に楽しそうなことだ。走った後にニコニコしている選手も本当に多い。また選手たちだけではなく、部員や監督まで箱根駅伝というものを楽しんでいるように見える。

なぜ青学の選手達はこんなに楽しそうなのか?

もともと青学には自由な校風がある。また人によっては洗練されていると言う人もいるだろう。ただこれは駅伝だ。1年365日、選手達は努力を続けいてる。校風だけでは、楽しそうな姿の説明にはならないだろう。

青学の選手たちの楽しそうな姿の裏には原監督の指導方針が大きい。原監督が「ワクワク大作戦」と名付けていたように、選手や部員はワクワクしながら駅伝を楽しんでいた。

■ ”スポ根”マンガがもたらした”根性”信仰

箱根駅伝に敗れた他の強豪校の中には「一人一人が一分一秒を削り出せ」というような反省をしたり、檄を飛ばされている大学もあった。ほとんどの出場校の選手たちは、大学生活の全てを駅伝に賭け、死にもの狂いで取り組んでいる。

日本のスポーツ界では、長年に渡り「根性」が重視されてきた。「巨人の星」に代表されるスポ根マンガの影響も大きいのだろう。私は根性を完全に否定するつもりはない。根性で培った精神力が、試合の重要な場面でモノを言うこともあるからだ。ただ、今までの日本スポーツ界は、この根性を重視し過ぎてきたのではないだろうか。

青学の選手を見ていると、今時の若者という感じがする。もちろん青学の選手も、他の強豪校と同じように、とてつもない努力をしているのは間違いない。ただ、それを苦しみばかりの中でやるのか、楽しみがありつつやるのかの違いは大きい。

行き過ぎた根性論は間違いを起こす。学校時代の部活では、強くても先輩を差し置いて練習が出来なかったり、理不尽な待遇を受けるということも昔はよくあった。それでも「根性で頑張ればいつか結果はついてくる」とようなことを言われた人も少なくないだろう。練習においても「明確な目標・目的」に基づく効果的な練習よりも、「やみくもに根性を鍛える」練習が重視される風潮もあった。 昔はそれが当たり前だった。今は、さすがにここまで酷い話は少なくなったのだが、昔の考え方・手法に縛られている指導者は少なくない。

■ なぜ青学は伸び伸びしながら強かったのか? 

青学では、原監督と選手が同じ寮で過ごしている。練習は厳しくても、寮に帰れば和気藹々としていることも多いそうだ。そもそも恋愛などする時間があれば練習をしろと言われそうなストイックな考え方も多い体育会において、青学では選手の恋愛・失恋についても、監督と選手で比較的オープンに話が出来る環境あるようだ。

このような環境を作ることが出来た裏には監督のバックボーンもあるのだろう。原監督自身、かつて陸上選手として活躍し、社会人の強豪である中国電力にまで入社したキャリアを持つ。陸上選手を終えた後、20代中盤から同社でビジネスマンとしての生活を送ることになったようだ。ビジネスマンとしてもかなり優秀な成績を収めていたところに青学から指導者の声がけがあったため、会社を退社し監督に就任した。

スポーツ選手としての努力と栄光と挫折、優秀な営業マンとしての目標設定と達成方法などさまざまな経験・知識を体得してきたのだろう。そして優秀な営業マンに共通する「どうやったら顧客のメリットになるか」というものも学んだのだろう。だからこそ、青学において、技術面だけでなく、個々の選手との信頼の築き方だったり、能力の引き出し方に長けているのではないだろうか。

指導者というものは重要だ。私もある競技において、それまで市区町村レベルだった力が、指導者が変わったことによって全国トップと互角に戦えるまでに力が上がった経験を持つ。練習メニューの変化もあるが、 もっとも大きな変化はメンタル面だ。 試合に勝つための納得いく練習方法、試合にベストな状態で臨むためのメンタルトレーニングについて学ばせて頂いた。それも私にもっとも合った指導法だった。余談ではあるが、錦織圭選手も、マイケル・チャンという指導者と出会ったことで、意識が変わり、練習の質が変わり、大活躍を始めたのだ。

■ 「今の若者は〜、、」から「おっ、今の若者は!」へ

青学の伸び伸びした姿は、今後のスポーツ指導のあり方を変えてしまうかもしれない。それだけではない。スポーツ指導者だけでなく、ビジネスの世界でも参考に出来るのではないかと私は感じる。

「今の若者はすぐに会社を辞めてしまう」とか「仕事に気力がない」という言葉をよく耳にする。確かにそういう一面はあるだろう。しかし、基本的に若者というのは、いつの時代も年長者からああだこうだ言われるものだ。今の30代も、40代も、50代も、かつてはそう言われていたはずだ。今の大人を見ていると、自分のことは棚に上げて愚痴ったり、評論したりする人が多いように思う。それでは日本経済は良くならない。特に管理職であれば、どんな状況においても、チームの力を最大限に引き出し、結果を出さなければならない。結果が出ないことを若者のせいにする管理職は、すぐにやめた方が良い。

今の若者は基本的に真面目だ。将来に備えて貯金をしようとしたり、言われたことは出来るだけ守ろうとする。かつてに比べ破天荒な人は少なくなった。基本的に真面目なのだから、適切なやり方で指導をすれば、私たちが予想しなかった力を発揮してくれる可能性もあるのだ。自分が生きてきた中で培われた価値観、世の中の風潮、既成概念にとらわれて、若者ではなく年長者の方が思考停止に陥っている部分もあるのではないかと思う。

根性ではなく楽しさが全面に出た青学選手、そして彼らの力をうまく引き出した原監督の指導力に、多くのビジネスマン、特に管理職は見習うべき点があるのではないだろうか。そうすれば「今の若者はやる気が感じられないなあ〜」から「おっ、今の若者は実はやるじゃないか!」に変わる部分を作れるのではないだろうか。

.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事