マーケティングの現状と未来を語る

2014年ヤフトピに8度の記事掲載。わかりやすい裏読みでメディア取材多数。マーケティングコンサルタント。個別相談も受付中

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ここ数日、YouTuberたちの収入が減少しているという話題が、ネット界隈を中心に盛り上がっている。YouTubeという動画サイトを見たり、YouTuberという言葉は聞いたことのある人は多いと思うのだが、YouTubeビジネスについて説明し、マーケティング視点から説明したい。今回の内容は基本的にYouTubeについて書くが、一部LINEなど他のビジネスについても触れようと思う。

■ YouTuber誕生の歴史

2011年よりYouTubeが行ってきた「YouTubeパートナープログラム」。一般の人達でもYouTubeに動画をアップすることによって閲覧数に応じた広告収入を得ることが出来るというシステムだ。もともと一般人もYouTube上に動画をアップすることは出来たが、このプログラムによって収入まで得られる可能性が出たのだ。

このプログラム以降、YouTubeの広告収入だけで生きていける人が徐々に増えた。ただ、その存在が大きくクローズアップされたのは2014年末に行われたTVCMだろう。ヒューマンビートボックスで有名なHIKAKINさんを始め、YouTubeで生計を立てている数人のYouTuberたちがテレビCMに出演した。自分の好きなことを続けているうちに、いつの間にか仕事になったというものだ。実際、トップクラスのYouTuberの中には数千万円を稼ぐ人も現れたのだ。

しかし2015年に入り、広告収入の料率が半減したと言う。2014年末にテレビCMを実施したばかりであるのに、なぜこのようなことになったのだろうか。

■ YouTubeがCMを実施した背景

理由はシンプルだ。YouTubeを運営するGoogleのビジネスモデルは、広告収入で成り立っている。この広告収入とはYouTuberがGoogleから得る広告収入ではなく、Googleが企業広告主から頂く広告収入だ。Googleにとって前提となるのは、Googleへのアクセスをいかに増やして、その中からいかに多くの広告をクリックしてもらうかということだ。将来的には別の形で収益を得るビジネスモデルも考えうるだろうが、現時点では、Google検索も、Google mapも、Gmailも、Google Earthも、すべてGoogleへのアクセスを高め、広告を増やすためのコンテンツに過ぎない。YouTubeもその一つである。

ここ数年、日本では、テレビを中心とするマスメディア離れが叫ばれている。そのかわり友人の話や、その分野に長けた人達の情報が重宝されるようになっている。また趣味嗜好が多様化してきた結果、自分の興味あるコンテンツを見るためにインターネットがメディアの中心になっていった。こうしてGoogle、YouTubeへの注目度が高まってきたのだ。

さらに若者を中心に「自分の人生は自分らしく生きたい」という人が増えた。裏を返せば、サラリーマン生活としてコツコツやるのは出来れば避けたいと思う人が増えたとも言えよう。”自分探し”を模索する人が増える中で、YouTuberというものはとても魅力的に見えた人も少なくないだろう。

このような背景があるからこそ、2014年末にGoogleはYouTubeのCMを大々的にオンエアしたのだ。そしてYouTubeへのアクセスを大きく増加させるとともに、アクセス増加のためのコンテンツ提供に強く協力してくれるYouTuberの数を増やそうとしたのだ。

■ 広告支払料率半減の理由

このような背景を元に、YouTubeへのアクセスは増え、YouTuberになりたい人も増えたのだろう。最初に説明した通り、Googleとしては総アクセス数が増えれば、何の問題もない。別にYouTuberのスタープレイヤーを排出したいワケではないのだ。仮に総勢10人のYouTuberが一人1億PV、合計で10億PVを稼いだとしよう。総勢が20人になり、一人当たりのPVが5000万になっても変わらないのだ。もっと言えば、総勢100人になり、一人当たりのPVが1000万であっても良いのだ。インターネットとはそもそもロングテールの強みを持つ。2014年末のテレビCMでスタープレイヤーになろうとした人達が予想以上に増えれば、Googleにとって広告支払料率を抑えに抱えるのは当然のことだろう。

■ スタンプ料率を下げるLINEとYouTubeの異なる事情

同じ2014年だが、YouTubeがテレビCMを行う前にLINEが一般に開放したスタンプ販売。個人がLINEスタンプを製作し、販売をすることで収益を得ることが出来る仕組みだ。LINEスタンプ販売においても、一般の人が数千万円の収益を得るケースが出た。そのLINEもスタンプの販売手数料率を下げている。LINEの場合、YouTubeとは異なり、アクセス数を増やすことで、広告収入を増やすビジネスモデルではない。スタンプ販売そのものを収益源としている面がある。では製作者離れを招きかねない料率変更をどうして行ったのだろうか。

一つ目は「製作者はスタンプ販売をやめない」とLINE側が判断していることだろう。確かに、この料率を下げたということは、製作者にとっては嬉しくないことだ。ただ、YouTubeとは少し異なり、LINEのスタンプを製作する人達は「一山当てて儲かったら嬉しい」とか「有名になることがあったら楽しい」という人達だ。YouTubeと比べてライトな気持ちで取り組んでいる人達が多い。

二つ目はLINE側の事情だ。現在、LINEはさまざまなサービスをどんどん投入している。例えば、LINEモールのような個人間販売サイト、ツムツムのようなゲームだ。それに加えて先日はLINEタクシーという一見風変わりなサービスも発表した。LINEの場合、日本人のコミュニケーションインフラとなったLINEを活かして、登録者へさまざまなサービスを提供することによってビジネスを拡大しようとしているのだ。スタンプは重要ではあるが、そこだけに注力できない。そのため、バランスを見ながら3割の料率減という決定を下して、支出を抑えようとしているのだ。

■ 最後に

YouTubeの料率変更からは、YouTuberの嘆きが聞こえてきそうだ。ただ重要なのは、彼らがYouTubeから出ても生計を立て、人気者でいられる仕組みを作ることだろう。日本のTOP YouTuberであるHIKAKINは、スカルプDのCMに出たり、書籍を出版するなど、YouTubeとは別のフィールドも開拓し始めている。厳しい言い方だが、本当の意味で自分のやりたいことを仕事にするためには、YouTuberはYouTubeの先を考えていかなければならないのだろう。

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