マーケティングの現状と未来を語る

2014年ヤフトピに8度の記事掲載。わかりやすい裏読みでメディア取材多数。マーケティングコンサルタント。個別相談も受付中

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マクドナルド叩きが若干収まった。異物混入騒動があった際には、品質・衛生管理面だけでなく、会見に出席しないカサノバCEOのスタンスへの批判も多く出た。ところが、それ以降は批判が大きくなることはなく、落ち着いた状況を保ってきている。このような状況の変化が生まれた背景には「消費者心理」が大きく働いている。

■ 「最初の公表者が叩かれる」という消費者心理

批判が収まった理由の一つは、マクドナルドで異物混入騒動が発覚した後、他にもさまざまな企業にも、類似のケースがあることが発覚した。ただ、後追い発表の企業は大きな批判を受ける事態には発展しなかった。

かつて阪急阪神ホテルズに端を発した食品偽装問題でもそうだったのだが、最初に問題を公表したところは消費者から大きな批判を浴びてしまう。阪急阪神ホテルズの場合、社長が辞任する事態となった。ところが、それに続いて発表したところは、それほど大きな批判を受けることなく、社長の辞任といった事態もなかった。消費者の立場からすれば「他のところもやっていたのか」とか「またか」という残念感が残ったからだ。

今回の異物混入騒動も同様だ。他のところも公表したことによって、食品偽装問題の時と同じような心理状態が消費者に働いた。その結果、マクドナルドだけを叩く風潮は収まった。興味深いことに、マクドナルドを擁護するような論調が増え始めているのもこのあたりからだ。

■ 「マクドナルドだから大きく叩かれる」という消費者心理

もともとマクドナルドほど日本人に愛されたファストフードはなかった。マクドナルド離れが起きたのは直近5年程度だ。それまでのマクドナルドにとって、ロッテリア・モスバーガーなどのハンバーガーチェーン、吉野家・すき家などの牛丼チェーン、デニーズ・ガストなどのファミレスチェーンは競合相手ではなかった。消費者にとってマクドナルドは唯一無二の存在だったのだ。だからこそ、問題が発覚してから、消費者は「裏切られた」という気持ちを強く持ったのだ。マクドナルドへの愛情が強かったからこそ、その分裏切れた感も強くなってしまった面がある。その結果、批判の声も大きくなったのだ。

■ 「批判が収まっても業績回復が難しい」という消費者心理

上海福喜食品問題、異物混入問題と不祥事の続いたマクドナルドだが、これから業績は上向くのであろうか。マクドナルドから毎月出されるIRレポートや株価を見ても、これ以上悪化しないレベルの底まで達したように感じる。ただ業績が上向くかどうかは別問題だ。たしかに通常の不祥事であれば2〜3ヶ月もすれば、徐々に回復基調を辿るケースも少なくない。ただマクドナルドの場合、事情はやや異なる。メイン消費者層であるファミリー層にとって「食の安全」ということは「味」や「ホスピタリティ」以前に最重要の問題だ。その部分の信頼を損ねてしまったことは大きなダメージなのだ。

これ以上批判はしようとは思わなくても、消費者の心から安全面への疑問点が払拭されたわけでもなく、企業への信頼度が回復したわけでもない。つまり、消費者は何も言わずに去っていくという心理状態なのだ。

現に私が定点観察しているマクドナルド数店の状況を見ても、サラリーマンや高齢者はマクドナルドの利用率は高いが、ファミリー層は以前にも増して少なくなっている。特に都心部になればなるほど、ファミリー層の利用率の低下が感じられる。批判が収まったこととお客さんが戻ることは別問題なのだ。

■ 「マクドナルドを批判する人、擁護する人」の消費者心理

ネット上には、マクドナルドについて批判する人だけでなく、擁護する人も少なくない。ブログやTwitterをする人間心理は興味深い。マクドナルドに関して言えば、異物混入問題で他社発表の前であれば、批判するツイートやブログに対して大きな反響があった。しかし今はマクドナルドを擁護するものに大きな反応が得られるというケースが増えてきている。「マクドナルドにも悪いことはあったけど、自分もまわりも感情的になって、言い過ぎてしまった部分もあったかな」という人間心理が働いたと言えるだろう。

批判の声が大きくなり、擁護の声が大きくなっている。ただ前章でも書いたように、マクドナルドが抱える問題が解消されたわけではない。問題が本質の部分で改善されない限り、この先の人間心理としては「無関心」か「静かな残念感」が増えていくことだろう。

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