マーケティングの現状と未来を語る

2014年ヤフトピに8度の記事掲載。わかりやすい裏読みでメディア取材多数。マーケティングコンサルタント。個別相談も受付中

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新年あけましておめでとうございます。2015年が始まりました。皆様方にとって素晴らしい一年間になることを陰ながらお祈りいたします。

新年第一号として、2014年12月31日に行われたNHK「紅白歌合戦」を感じたことについて書きたいと思います。2014年の「紅白歌合戦」はとても印象的な仕掛けがたくさんありました。その中でも、特に印象に残った”5つの仕掛け”について説明していきたいと思います。

■ 「事前の盛り上げ」戦略

まず1つ目の仕掛けについて。今年はNHKが紅白歌合戦を事前から大々的にアピールしてきたことが印象に残った。東京メトロ等で大々的に実施した電車内中吊広告では、出場歌手ラインアップを伝えるだけでなく、「歌おう、全員参加で」というコンセプトを全面に打ち出した展開が目を引いた。

趣味嗜好の多様化が叫ばれ、家庭ではテレビが複数台になるだけでなく、スマホの普及によって、テレビそのものへも注目度が低くなった現在。NHKはもう一度、お茶の間に家族を集めたいというコンセプトを「紅白歌合戦」に置いたのだ。この打ち出し方を見れば、出場歌手だけでなく、他の出演者においても老若男女に人気あるものを集めるだろうと予測できた。

余談だが、今年の紅白歌合戦、北島三郎さんが抜けた結果、白組のトリは嵐、 紅組は松田聖子さんになった。出演歌手はAKB48,HKT48などAKBグループやEXILE,E-GirlsなどEXILEグループ、嵐やSMAPなどジャニーズグループで全出場歌手のうち20%(出演者数にすれば半数以上)になるほど、若者を意識したラインナップとなった。家族に団欒を取り戻そうとすれば、従来よりも若年層に支持されている歌手を増やすのは当然の戦略だろう。

■ 1つ目の仕掛け「松でもMay Jでもない”アナ雪”」

「歌おう、全員参加で」と言われて、2014年にもっとも該当するのは「アナと雪の女王」の挿入歌「Let it Go」だろう。NHKにおいても全員参加で歌おうというフレーズの通り「アナと雪の女王」がかなりフィーチャーされた。ニューヨークのスタジオからは神田沙也加さんとイディナ・メンゼルさんが競演した。渋谷のスタジオでは、親である松田聖子さんが涙ぐむというシーンが印象的だった。日本人と外国人、親と子、まさに全員参加をアピールする意味では良い演出だった。May J.さんや松たか子さんが歌う以上に、この仕掛けは成功だったと言えよう。

余談だが、松田聖子さんにとっては、親の七光りではなく子ども自身の力で、神田沙也加さんが遠くニューヨークから歌っている姿を見られたことは、自分自身が紅白歌合戦のトリを初めてつとめる以上に嬉しかったことが伺えた。

■ 2つ目の仕掛け「テレビ東京放映中の”妖怪ウォッチ”」

2014年のヒットコンテンツの東の横綱が「アナと雪の女王」とすれば、西の横綱は「妖怪ウォッチ」だ。通常「妖怪ウォッチ」をテレビ放映しているのはテレビ東京だが、そのコンテンツがNHKに登場した。しかもチョイ出演ではなく大々的に出演した。「妖怪ウォッチ」のキャラクターであるジバニャン、コマさん、フユニャン、ウィスパーなどが出てきて司会である嵐と絡んだり、多くの出演者がダンスを踊るようなシーンもあった。人気コンテンツであれば、他局のコンテンツでも遠慮なく使うという今年の紅白歌合戦にかけるNHKの仕掛けがここにも感じられた。

■ 3つ目の仕掛け「フジテレビで話題になった”タモリ”」

通常であれば、サブの出演者としてはもっと注目されても良いふなっしーや流行語大賞を取った「ダメよ〜、ダメダメ」の東京エレキテル連合なども出ているのだが、2014年の紅白歌合戦ではサブのサブ的キャラクターになった。例年にない大々的な仕掛けの中では、例年のお約束メンバーですらさらに脇においやられる程だった。

審査員もインパクトがあった。尾上松也さん、山中慎弥さん、蜷川実花さんなどに加え、約50年前の司会を務めたことのある黒柳徹子さん、そして2014年フジテレビ「笑っていいとも」に終止符を打ったタモリさんの姿もあった。このタイミングでタモリさんを審査員に起用するのは、間違いないなく「いいとも」を止めたことによる話題性だ。NHKはそこをしたたかに活用したのだ。

■ 4つ目の仕掛け「40〜50代を取り込むための”中森明菜”」

中森明菜さんと言えば、松田聖子さんと並び1980年代を代表するトップアイドルだった。いろいろなことがあり、ここ最近表舞台から遠ざかっていたが、久しぶりに海外のレコーディングスタジオからの出演を果たした。本格復帰を目指す中森明菜さんにとっても重要な機会だったが、NHKにとっても重要な機会だった。

なぜなら、演歌の好きな中高年層の方々には細川たかし、五木ひろし、石川さゆりさん、美輪明宏(シャンソン)などがいる。若者にはAKBグループ、EXILEグループ、ジャニーズ、きゃりーぱみゅぱみゅがいる。その中間層として40歳過ぎのお父さん、お母さん層には松田聖子さんだけでは数が少ないので、薬師丸ひろ子さん、中森明菜さんを揃えたのだ。NHKとしては、話題性を作るため、中森明菜さんはどうしても出演させたかったのだろう。視聴者が中森明菜さんをどう評価したのかはわからないが、中森明菜さんが出演することを知ったことにより紅白歌合戦を観ようとした人達がいたのは事実だろう。

■ 5つ目の仕掛け「完全サプライズ登場”サザンオールスターズ”」

6つ目の仕掛けはサザンオールスターズだ。話によれば2日前まで出場が決定しなかったサザン。桑田佳祐さんではなく、サザンとしての出場は31年ぶり。メンバーの病気による活動休止を乗り越え、31年ぶりにサザンとして紅白歌合戦に出演することはサザンにとっても、NHKにとっても大きな意義があったのだろう。

ただ進行側とすれば、サザンが出るか出ないかによって演奏順も変われば、段取りも変わる。映像、音響、証明、演出他、サザンと司会とスタッフ間の調整だけでなく、他の出演者にも影響を及ぼすものだ。おそらくNHKはサザンにどうしても出演してもらうために、ギリギリまで交渉を続けたのだろう。結果としてサプライズ出演は大成功となった。

「ピースとハイライト」など、社会風刺的な歌も含めて、NHKはOKと判断して出演を依頼したことが推測される。ちなみに、同時間帯にWOWOWが裏でサザンライブを中継していた。以前、テニスの錦織選手のグランドスラム時にNHKの中継を急遽認めたことがあるように、今回もNHKに塩を送った形だ。ある意味、WOWOWの懐の深さには拍手を送りたい。

■ 数々の不可能を可能にした仕事の秘訣

実は12月に入って、ある筋から今年の紅白歌合戦はいろいろと準備が長いという話を聞いていた。これだけ多彩な出演者やコンテンツならば準備期間が長くなるのは当然のことだ。ただ、NHKは直前ギリギリまで調整を図り、最高のものを作ろうとした。その”事前準備の周到さ”と”思いの強さ”そして”出演者へのメリット作り”によって、通常であれば動かない人達まで動かすことが出来たのだ。

コンテンツが良いからと言って、いきなり視聴率が上がることはない。ましてや多様化する人々のライフスタイルやテレビ試聴スタイルが変わることはない。ただ、もの作りに関わる人達は、常に最高のものを求めることが重要であり、その継続が人々を動かしていくものだ。今回の仕掛けの数々は面白いことに、Twitter上で「やっぱり紅白凄いなあ」というつぶやき、上記のような仕掛けに対するつぶやきなど多くの反響が見られた。この現象を見ても、NHKの取り組みは間違っていない。2015年の紅白歌合戦、NHKがどのような仕掛けをしてくるのか見物だ。

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2015年1月3日 追記:
紅白歌合戦の視聴率が発表された。午後9時からの第2部は42.2%と前年比2.3%減。7年連続で40%超えを達成したものの、サッカーW杯「日本vsコートジボワール戦」に敗れて年間第2位となった(ビデオリサーチ調べ)。ただ、これは悲観的になる必要は無い。紅白歌合戦の対W杯視聴率では1998年のフランス大会以降5回連続で敗れている。若者を取り込み、老若男女を取り込むための最初の仕掛けとして42.2%は上々の数字だ。サザンが予告無しの出演をしたり、中森明菜が中継とはいえ久しぶりに出演した。このようなサプライズがあるということが若者に伝えられたことで、2015年の紅白にこそ、今年の仕掛けの成果が出てくるだろう。
映画「妖怪ウォッチ」。二日間で興行収入100万人と、爆発的大ヒットを予感させるスタートを切った。すでに夏の段階の前売券販売時、数時間並んでも買えないという状況が起きていた。子ども達の目当ては限定メダル「フユニャン」だ。社会現象化し、前売券が買えないという世の中の批判を解消するため、前売券を買えなかった人でも先着500万人に特別メダル「ダークニャン」を配布することになった。500万というのは凄まじい数だ。「妖怪ウォッチ」のDSソフト販売でも約300万本が良いところだ。DSをやらない子ども達にも行き渡る計算だ。

私が映画「妖怪ウォッチ」を観たかったもっとも重要な理由がある。「妖怪ウォッチ」が「ドラえもん」や「ポケットモンスター」のような10年以上続く定番アニメとして定着するかだ。今の「妖怪ウォッチ」人気は「ドラえもん」や「ポケモン」以上のものがある。ただ、これが続くかどうかには大きなハードルがあると私は考えていた。

■ 10年以上のロングヒットに結びつくために必要な要素

以前のブログ(「3分でわかる「妖怪ウォッチ」)でもご紹介したが、瞬間最大風速ではなく「ドラえもん」や「ポケットモンスター」のようなロングヒットになるための大きなポイントは、そのマンガを親が支持するかどうかだ。そして、そのために重要な要素があるかどうかだ。それは「友情、勇気、努力」などだ。

2014年に大ヒットになった「妖怪ウォッチ」。その大きな理由はレベルファイブの緻密な戦略と用意周到な準備にある。その戦略の中、小学生(やその親)にウケるように新旧のギャグを織り交ぜている。もちろん「メダル」という存在、かわいいキャラクターという要素も大きい。テレビ版の「妖怪ウォッチ」の基本は友情や勇気や努力ではなく、ギャグがベースにあって子どもにウケているのだ。

映画「妖怪ウォッチ」には、この友情・勇気・努力などの要素が入っていなければ、ロングヒットへの道は狭まるだろうと考えていたのだ。

■ 映画版で確認した「妖怪ウォッチ」のしたたかな戦略

テレビ同様、映画でもヒットしている他のコンテンツの要素を随所に織り交ぜている。例えば、AKB48、ドラえもん、スターウォーズ、くまもん。他のコンテンツ関係者にも、視聴者にも笑って許される絶妙な加減で出してくる。

ただ映画はギャグだけではなかった。映画「妖怪ウォッチ」では友情や勇気などが強く感じられた。もちろんギャグがベースのマンガであるから、まだまだ「ドラえもん」や「ポケットモンスター」ほど感動ストーリーで埋め尽くされているわけではない。ただ、確実にうまい方向に舵を切ったと言えるだろう。

そして映画の最後には、2015年冬に映画が公開されることが告知された。「ドラえもん」など季節の風物詩的になっているものはともかく、初上映の映画が1年後の予告をすることは珍しい。逆に言えば、「妖怪ウォッチ」の運営会社であるレベルファイブを中心にしてプロジェクトは着々と準備されているということだ。

映画「妖怪ウォッチ」であらためて感じたのは、レベルファイブのしたたかな戦略だ。未来への布石は万全と見て良いだろう。

■ 単発ヒットとロングヒットを分けるもの

単発ヒットとロングヒットを分けるものは、友情・勇気・努力・愛情など人間が普遍的に美しいと思える心がコンテンツに入っていることだ。なぜなら、これらの要素は人を感動させるものだからだ。子どもと大人で程度の違いこそあれ、大きな部分に違いは無い。単発でウケるものは、必ずしもこれらの要素は不要だが、ロングヒットを目指すならば、これらの要素は軽視出来ない。

■ 最後に

2014年は「アナと雪の女王」とともにヒットの中心的存在であった「妖怪ウォッチ」。2014年の夏を超え、Xmas商戦には、圧倒的なナンバーワンの存在となった。そして、映画でいよいよ10年続くロングヒットの道に入ったと言えるのだ。

昨年くらいから、Xmas時期になると、サンタの衣装を着たバイクの集団、自転車の集団が都内の道路を走っている姿によく出会う。ゆっくり走りながら歩道の人に手を振ったりしている。率直に言えば、迷惑だ。

都内の道路はせまく、年末はただでさえ交通量が多い。物流のトラックが増え、車に乗る人が増え、タクシーに乗る人が増える。その上、昨今の自転車ブームのため、車道の脇だけでなく、車と車の間をすり抜けて行く自転車も多い。ここ1、2年の都内の道路事情は悪化の一途をたどっている。特に、車を運転する人にとっては、いつ事故を起こすかもしれない恐怖を持っている人も少なくない。いかに自分が正しい運転をしていても、対自転車、対人の場合、車の責任は大きい。こんな状況で、自動車メーカーが自動車を買いましょうと言っても、若者だけでなく中高年層も「いや、やめときます」と言うのは決して不思議なことではない。

このような状況で、さらなる渋滞と他のドライバーの運転に不安を与えるサンタファッションでのXmas走行。沿道の人も決して歓迎している人ばかりではない。このXmas走行はやめてもらいたいという人は少なくないのではないだろうか。やっている本人達ばかりが楽しいだけではダメだ。周りに配慮をすることは、人が生きていく上で重要だ。

最近、こういう自己満足的な志向が日本人の中に増えている。時に人は騒ぎたくもなるし、羽目を外したくなることもあるだろう。「やってしまった」という経験は誰にでもあることだし、ある意味、人が成長する上で必要な部分もあるだろう。

だからこそ、良い大人はXmas走行が迷惑をかけていることにそろそろ気づいてやめるようになって欲しいのだ。警察や行政の規制が入る前に、自分たちで考えて「やめる」という結論を出して欲しいのだ。それが大人というものだし、結果として社会の許容性を高めて、ギスギスしない社会に繋がる。

サンタの衣装を着たXmasパーティーは、人に迷惑をかけない場所で思いっきり楽しんでもらいたいものだ。
12月17日15時より、吉野屋の牛丼が380円となった。1年前から比較すれば100円もの値上がりだ。お小遣い事情の厳しい世の中のお父さんにとっては、とても痛い値上げだ。ただ吉野家という企業側に立てば、これは仕方の無い選択だったと言えよう。

■ 値上げせざるをえなかった吉野家

以前、競合店である松屋がプレミアム牛丼を発売するとともに値上げをした。この時、松屋の社長は、品質にとことんこだわった値上げという発表をした。ただ内容は、使用している肉を冷凍から冷蔵に変えたというものであった。実際には、原価上昇に絶えられなかったための値上げと言って良いだろう。

原価上昇のポイントは二つだ。一つは円安による輸入価格の高騰。もう一つは米国におけるかんばつによって牛肉そのものの価格が値上がりしたことだ。米国の牛肉価格の値上がりは1年前の1.5倍から2倍になる。吉野家が牛丼を280円から380円にしても決して潤沢な利益を得られるわけではないのだ。むしろ、今まで300円の価格でよくやっていたというのが企業側の立場に立った時の視点だ。牛丼は低価格に抑えつつ、牛すき鍋膳という高価格商品を販売することで、経営の成り立たせようとしてきたのだ。

消費者には残念な値上げだが、吉野家は消費者のために牛丼値上げをギリギリまで控えてきたのも事実なのだ。

■ 吉野家値上げで儲かる企業はどこか?

松屋はすでに牛丼を値上げしている。吉野家も値上げした。その一方、すき家はまだ低価格のままだ。では、すき家は勝者になれるだろうか。それはNOだ。なぜなら原価の高騰はすき家だけが避けられるものではないからだ。ましてすき家は吉野家よりも利益率が高いわけではない。ワンオペ解消を含む店舗オペレーションも改善中だ。値上げをするのは時間の問題だ。

では、どこがメリットを受けられるのだろうか。実は、その一つがマクドナルドだ。

凋落を止める要素が見えないマクドナルドだが、現在進めている施策全体を見れば、やっている方向性は間違っていない。安全性の回復につとめ(十分とは言い切れないが)、スマイルを含む店頭のオペレーションを改善し、妖怪ウォッチやハッピーセットでこどもの興味を引こうとしている。マックカフェのシートやレイアウトなどの問題点をリニューアルで改善している。もちろん、これだけの状況になると、すぐに業績は改善しない。ただ私が見る限り、2012年11月の月次レポートで、これ以上悪化しないレベル、つまりマクドナルドはこれ以上は悪くなりようがないところまで到達した。これからは少しづつではあるが、これまでよりはましな方向に向くはずだ。

吉野家の値上げは、マクドナルドには想定外の追い風になる可能性がある。なぜなら、マクドナルドは、マックカフェに代表される高価格路線を見直そうとしている面があるからだ。失ったファミリー層、サラリーマン層を取り戻そうと、昼マック350円を中心に低価格路線への回帰を図りつつあるからだ。このマクドナルドの戦略の中、牛丼業界の値上げは追い風になる。お小遣い事情が厳しいお父さん達を中心にマクドナルドへの回帰が徐々に増える可能性があるのだ。

すでに牛丼業界、ファストフード業界、ファミレス業界という業界の枠はない。異種格闘技戦のゆくえには注目だ。
先日、ミシュラン2015が発表された。

ミシュランが発表になると、メディアが「今年のミシュラン三ツ星は◯◯」とか「諸外国と比べて星の数がどうこうだ」という報道を行う。良い店には星をつけるという”わかりやすい仕組み・アイコン”を作ったという点において、ミシュランのビジネスセンスには評価をしたい。星を与える店はともかく、ビジネススキームとしては上手に展開している。

メディアがミシュランを取り上げて盛り上げようとするのは、常に新しい情報、話題性のある情報を打ち出していこうとする特性上、驚くべきことではない。ただ、そろそろ冷静にミシュランビジネスについて判断しても良いのではないだろうか。


■ ミシュランを崇拝する

メディアはともかく、飲食店がミシュランの星のありなしに一喜一憂するのはいかがなものかと思う。ミシュランはフランスから始まっているので、フレンチの飲食店が評価を気にするのはまだ良しとしよう。ただ、他のジャンル、特に「和」のジャンルがミシュランに一喜一憂することはない。厳しい言い方をすれば、そんなことで一喜一憂する店だったら二流以下と言って良いだろう。

ミシュランは単なる一ガイドブックに過ぎない。

これだけ情報が溢れて、広告やニュースの信頼性が揺らいでいる時代。人々は日常における情報に関して、出来るだけ信頼できるところから得ようとする。友人・知人、信頼できる人からの口コミが最たるものだ。グルメランキングサイト「食べログ」のようなサイトの情報も重視されているが、ここ最近の動きにおいては徐々に評価が下がっている。なぜなら、そのレイティングをつけている人、評価をしている人は「自分と同じ趣味・嗜好なのか?」「匿名の投稿者であった場合、そもそもどんな人なのか?」がわからないからだ。よくわからない人のつけた評価よりも、よく知っている人の評価を気にするのは自然なことだ。なぜなら、食べログで高いレイティングをつけていても、必ずしも自分に合うとは限らないからだ。

ミシュランは「誰が評価しているかわからない」という点で「食べログ」以上のものだ。覆面調査員が調査をしてレイティングをつけている。私は仕事から料亭や高級フレンチといった一人当たり数万円するような店から、飲み放題・食べ放題で3000円弱という居酒屋まで行く。当然だが、その店の評価は、行った人によって変わる。高級フレンチは美味しいとは思うけれど、居酒屋の串カツの方が美味しいという人もいる。高級フレンチは雰囲気が堅苦しすぎるから、もっとカジュアルな「俺のフレンチ」の方が素晴らしいという人もいる。要は、評価する人によって大きく評価が異なる時代なのだ。したがって、ミシュランを必要以上に持ち上げる必要も、ありがたがる必要もない。

■ 日本発の「食」レイティングを

今、海外で日本食が大ブームだ。アジアだけでなく、ヨーロッパやアメリカでも大人気になっている。また、訪日外国人観光客も、「食」を楽しみにしている人はかなり多く、満足度もかなり高い。かつてフランスは、フランスが誇る「食」であるフレンチを世界に正しく広めるために、ミシュランというものを利用したと言えよう。

今後、人々のレストラン選びは多様化していくことだろう。「食べログ」「ぐるなび」「retty」「trip adviser」のような評価サイトのほか、facebookやLINEで友人・知人から情報を得ることもあるだろう。その中で、ミシュランではない日本の「食」をレイティングする新たなものを作っても良いのではないだろか。

日本の「食」を正しく世界にアピールしていくためには、日本が自ら「お墨付き」を与えていくシステムを作っても良い時期に来ているのだ。



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