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修学旅行の定番と言えば「奈良・京都」だろう。古くからの寺院仏閣があるという点では、日本が誇る二大観光地と言っても差し支えが無いだろう。しかし、実際にはこの二大観光地には大きな差がついている。京都がパリ等と並んで世界有数の観光都市として高く評価される一方、奈良はイマイチ目立たない存在になっている。今回は、観光都市としてポテンシャルがありながら、それを活かしきれていない「奈良のもったいなさ」について触れたい。
■ 奈良にも観光資源は豊富にある
京都には金閣、銀閣、清水寺、八坂神社、祇園、嵐山、上賀茂神社、下鴨神社、二条城、平安神宮、平等院鳳凰堂など、数えきれないほどの観光名所がある。一方の奈良も東大寺(大仏)、法隆寺、興福寺、唐招提寺など、一つ一つに魅力を感じることが出来る観光名所がある。平城宮跡の朱雀門や広大な敷地も観光客を驚かせるポテンシャルはある。特に仏像や彫物など彫像系の多さとクオリティは圧巻だ。東大寺大仏だけでなく、鎌倉時代に運慶・快慶が作った仁王像を始め、本当に動くのではないか?心を見透かされているのではないか?と思えるような佇まいをもった彫像が数多く存在する。
■ 京都は「雅」、奈良は「朴」
京都と奈良では雰囲気が違う。京都には「雅」な雰囲気がある。街の雰囲気だけでなく、朱の色に代表されるような寺院の雰囲気、シンプルながら洗練された庭園、祇園を歩く舞妓・芸妓の姿。京都で感じるのは、ゆったりした「雅」の空気だ。一方の奈良で感じられるのは「素朴」の「朴」だ。素朴や朴訥(ぼくとつ)という言葉に使われる「朴」という言葉が似合う。京都のように「雅」な雰囲気は無い。建物はどこか暗く重めな雰囲気が漂う。彫像系も優雅な感じではなく、木造や銅像の「朴」とした雰囲気が感じられるのだ。奈良の街に立つと、遠くに見える山の稜線がぼやっときれいに見えることがある。だだっっ広く開けた奈良の市街地から遠くの山並みを見ていると、一日一日を着実に生活しようという気分になる。おそらく奈良時代の人達も「雅」な生活をするのではなく、僧侶や仏像を拝みながら、自然に感謝しながら、作物を育て、できるだけ心安らかに毎日を生活していたのではないだろうかと思えるのだ。
■ 奈良の観光がイマイチ盛り上がらない3つの理由
京都は街を歩いているだけで楽しい。これはパリも同じだ。観るものはたくさんあり、歩いている街の雰囲気は楽しく、料理はおいしい。京都とパリ、世界トップの観光都市に共通するポイントだ。だから何日いても飽きが来にくい。その点、奈良は改善の余地が大いにある。
■ 理由1「観光スポット間のアクセスの悪さ」
まず1つめの理由は「観光スポット間のアクセスの悪さ」だ。
奈良には観るものはたくさんあるのだが、一つ一つの距離が離れている。東大寺と法隆寺と唐招提寺に行こうとしても、遠くてなかなか行きづらい。交通手段はバスと電車なのだが、周遊バスなどは15から20分に一本だ。タクシーもあまりいない。歩いて行ける距離ではないのだが、仮に歩こうと思っていても、今の奈良は京都のように歩いていて楽しい街ではない。寺社仏閣など観るところはとても素晴らしいのだが、移動があまりになっていない。京都が星のや、リッツ・カールトンなど世界の超一流ホテルがある一方、奈良にはない。つまり滞在型の観光地としても課題があるのだ。
■ 理由2「観光地としての雰囲気作り」
2つめの理由は「観光地としての雰囲気作り」だ。
率直に言えば、京都と比べると、街全体を歩いていて楽しくない。なぜなら街の雰囲気に統一感がなく「雑」な雰囲気を感じてしまうからだ。「朴」の雰囲気であれば良いのだが「雑」の雰囲気は観光客にとって魅力ではない。至るところにいる鹿は確かに奈良の象徴とも言えるのだが「鹿が街中にいるから奈良に来たい」という人は少ないだろう。京都の場合「京都は歩いているだけで楽しいから京都に来たい」という人はいる。鹿以上に、街のカラーを出せるように、観光地の雰囲気をデザイン・プロデュースすることが求められている。この雰囲気作りが改善されれば1つ目の理由である「観光スポットのアクセスの悪さ」があっても、観光客の不満は劇的に低下するものだ。
一つだけ例を挙げたい。神戸元町の異人館街にあるスターバックスコーヒーは明治40年に立てられた古い洋館をそのまま使って営業をしている。洋館の古い雰囲気に合わせて、ロゴの色も従来のものではなく、雰囲気に合わせたトーンにしている他、外観内装に関しても雰囲気を最大限尊重している。北野坂を歩いてきた観光客は、異人館に辿り着くまで心躍らせながら歩いて行く。その雰囲気に合わせた店と、その雰囲気に合わせない店ではどちらが観光客の印象は良いだろうか。聞くまでもなく前者だ。そして観光客はスタバに良い印象を持つだけでなく、スタバの写真を撮影して、ソーシャルメディア上で発信していくのだ。こうして観光地神戸の魅力が拡散されるだけでなく、スタバのブランドイメージも上がっていくのだ。
奈良には神戸以上の観光地としてのポテンシャルがあるもの、全体の雰囲気作りが出来ていないのが現状だ。
■ 理由3「観光地としての売り出し方」
第3の理由は「観光地としての売り出し方」のまずさだ。東京にいて感じるのは、京都、大阪、温泉、軽井沢などの観光地情報はよくテレビで観るものの、奈良の観光地情報をテレビで観ることは少ない。奈良県や奈良市が「奈良は学生の修学旅行先で良い」と考えるのであれば、何の問題もない。ただ、これから一般観光客も増やしたいと考えるのであれば、今の状態は良いとは言えない。奈良には奈良しかない魅力がたくさんある。東大寺の大仏や木造・銅造の彫像を見て圧倒されない人の方が少ないだろう。その魅力をきちんと伝えきれていないように感じるのだ。
ゆるキャラブームの先駆けでもあり、さまざまな面で話題になった「せんとくん」。「せんとくん」というキャラクター自体の魅力も微妙だが、そもそもキャラクター以前に「奈良」の本質的な魅力を伝えて行くPRが必要なのだ。厳しい言い方をすれば、パンフレットも、街の案内板も、ホームページも改良の余地は多いにある。「奈良」の魅力を知っているものからすれば、ほとんどの点で奈良はもったいないと感じるのだ。
■ 最後に
最近、2014年1月から11月の訪日観光客数が1200万人を超え、通年では1300万人に乗ることが確実視されている。2013年に1000万人を超え、いよいよ日本も観光業に本腰を入れる様相になってきたと思ったら前年比3割増という予想以上のスピードの速さとなっている。東京、京都、富士山、大阪などと同じように、訪日観光スポットとして主役になるために、今こそ奈良は手を打つべき時なのだ。
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■ ペヤングの衝撃
国民食とも言えるカップ焼きそば「ペヤング」。この「ペヤング」にゴキブリが混入されていた問題で、製造元であるマルカ食品は窮地に立たされている。第一報の段階では混入の可能性を全面否定した。その後、外部機関の指摘により、混入の可能性は否定できないと発表した。結局のところ、収集がつかなくなり、全面謝罪、全商品の販売中止・回収へと追い込まれてしまった状態だ。
すでに多くの記事、ブログで食品製造に関する品質管理の話や、「ペヤング」に対する熱烈なラブコール、問題発覚から現在に至るまでの対応のまずさが書かれている。それらはお任せをして、私のほうでは「立て続けに起こる企業不祥事と経営・PR部門の臨み方」について書きたいと思う。専門的な内容になるが、どんな方にでもわかるように書いたつもりなので、よろしければご覧頂きたい。
■ マクドナルドとの共通点
総合的な視点での一番の問題は、食の安全性の問題であったことだ。低迷するマクドナルドに大打撃を与えた上海福喜食品問題をはじめ、食品系企業に大打撃を与えるのは、安全面に関するケースであることが多い。食中毒や衛生管理問題など安全性は絶対に軽視できない。
ではPR視点ではどうだろうか。まず、マルカ食品のまずかったところは、きちんとした調査もせずに最初の会見で全否定をしたことだ。事実に向き合わず、言葉の強さだけで押し切れるほど消費者は甘くない。上海福喜食品問題の際に登場したマクドナルドのカサノバCEOは、記者からの質問に対して「マクドナルドの品質管理には自信があり、自分の子どもにも食べさせられる」ときっぱり宣言した。これは謝罪会見における大きなマイナスで、子どもを持つ親の反感を高めることとなった。
事実がうやむやのまま、単なる強い言葉を使うことは、大きなマイナスになる危険性が高い。まず必要なことは以下の通りだ。
1)不祥事が起きたらすぐに会見を行うこと
2)事実を曖昧にせず、すべて公表すること
3)責任逃れになるような言動はしないこと
これは基本中の基本だ。
■ 一瞬でブランドイメージが失墜するリスクの高まり
ここ数年、ソーシャルメディアの普及により、長年かけて築き上げてきた企業のブランドイメージも一瞬で失墜してしまうようなケースが増えている。それは必ずしも製品に不具合があったり、サービスが悪かったということだけから発するものではない。店員の悪ふざけによって企業イメージが失墜するケースも増えている。食品冷凍ケースの中に自ら入ったり、フライヤーの中に食べ物ではないものを入れて揚げたりという写真がソーシャルメディアを通じて広まり、企業のイメージだけでなく売上げにも影響を及ぼすケースが2014年は相次いだ。店員教育というレベルではなく、人間としてのモラルの問題であり、企業にとっては気の毒な部分が多々あっても、消費者からすれば「利用しない」という結論は変わらないのだ。長年に渡り、数十億円、数百億円という多額の金額をかけて築いたブランドイメージでも一瞬にして失墜する危険性は高まっているのだ。
■ なぜ謝罪会見はうまくいかないのか?
ベネッセの原田CEO、マクドナルドのカサノバCEO、そしてマルカ食品。原田CEOは一時期、カリスマ経営者として大いに称賛された人物だ。原田氏はアップルからマクドナルドと異業種へ転身し「マックからマックへ」と持て囃された。そして2014年には別業界であるベネッセへと転身した。カサノバCEOは原田氏の後を引き継ぎマクドナルドのCEOとなった。かつて日本でチキンタッタを成功させただけでなく、海外でも着実に実績を収めたマクドナルドグループのエリートだ。奇しくも2014年にこの二人は謝罪会見に望まなければならなかった。原田氏はベネッセにおける個人情報流出問題、カサノバ氏は上海福喜食品の食品安全性問題だ。問題点はいろいろある。原田氏であれば情報流出の補償額を500円が妥当としてしまったこと。そしてカサノバ氏であれば問題発覚から会見まで1週間のブランクがあったことだ。ただ、両社に共通する一番の問題は、発言こそ堂々としているものの、本当に消費者に申し訳ないという姿勢が無かったことだ。輝かしい実績をおさめ、エリート路線を歩み続けてきた二人にとって、自分の意見を自信満々に伝えることは当たり前のことだったのかもしれない。ただ消費者視点からすれば、高みから消費者を見ており、内容とともに態度も謝罪しているとは受け止められなかったのだ。
少し話はそれるが、マルカ問題についてCGCの代表の発言を取り上げたい。食品の安全性を確保することは、企業にとって絶対の条件である。残念なことにCGCの代表が、健康にかかわる問題は「絶対にダメ」と述べたうえで、マルカ食品のニュースを「面白おかしくとりあげすぎではないか」「命に関わるもの、健康に影響あるもの、健康被害のないもの、に分けて考えてほしい」「全部廃棄ですから、もったいない」と発言したことは食品の安全性に対する意識の低さと効率優先を露呈してしまった形だ。この問題の本質は、食品製造体制が甘かったことであり、ゴキブリが命に関わるかどうかの問題ではない。その本質を掴めないような人が食品関連グループのトップにいることも、問題の根の深さと経営トップのPR意識の低さを物語っている。
■ 広報部はもっと強い権限を
経営トップのカリスマ性が強ければ強いほど、現場からの助言や指示は受け入れ難いだろう。その結果、何かが起きた時に、自分の力を過信して対応を見誤るケースが増えてきているのは前述の通りだ。ここで重要になるのは、ますます高まるリスクマネジメントの必要性の中、広報部門はスキルを磨いてプロフェッショナルになることだ。その力は経営トップに指示できるほどでなければならない。いくら広報部門がリスク発生時のPR知識を学んでも、その知識を経営トップが尊重できなければ何の意味もない。ただ、結果として起きてしまうのは企業のブランドイメージの失墜だ。今後、ソーシャルメディア上の対応だけでなく、コールセンターやお客様相談室など、消費者とのコンタクトポイントすべてが重要になる。これらの接点によって、消費者は企業を判断し、悪ければソーシャルメディアを通じて発信してしまうからだ。こうした中、広報部門はプロフェッショナルなスキルとより強い権限を持つべきなのだ。余談だが、最近私のところに、宣伝部門や広報部門の組織作りに関しての相談がもたらされることもある。すでに、この事実に気づき動こうとしている企業は少なくない。
企業は問題がないようにしっかりと事業を展開する。ただ、問題が起きてしまった場合には、消費者に対して適切な対応をするべきだ。そのためには、広報部門のあり方について経営者自身が見直すべき時期に来ているのだ。
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2015年1月に出版する書籍のために、昨日は自分自身の撮影が行われた。プロフィール写真は、以前からプロカメラマンに撮影されたものを持っている。今回の撮影は「表紙の帯に登場して欲しい」ということで了承した撮影。
■ 広告代理店で経験した女優・モデル・タレント撮影の進め方
かれこれ20年近く、広告のクリエイティブを作るため、女優、モデル、タレントなど多くのスチール撮影に立ち会ってきた。事前に本人や事務所に狙いを伝え、現場でカメラマンのそばでクリエイティブディレクターやアートディレクターとチェックしながら進める。現場は一筋縄ではいかない。当初伝えていた狙いとは別のものが欲しいと広告主が強く希望することがよくある。思いつきの場合もゼロではないのだが、多くの場合、数ヶ月前から固めてきた戦略が、事前に変更になったというものだ。なぜなら競合他社の出方が直前でわかったりするからだ。この判断の良し悪しはともかくとして、こうした中で、事務所の社長、マネージャー、女優やモデルに伝えて行くのだが、すんなり「わかりました」とは言われないことがほとんどだ。
広告主の判断だけではなく、関係者間の意思疎通がうまくいっていないこともゼロではない。いずれにしても、現場はギクシャクする。私が経験したあるケースでは、海外で撮影不能に陥りそうな事態もあった。ヒヤヒヤしたが、事務所社長と本人に誠心誠意説明してなんとかおさめてもらったケースも経験した。
■ 私自身がモデルになり身をもって感じたこと
今回、私自身がモデルになって感じたことは、撮影の狙い、所要時間、バリエーションの必要性などについて教えてもらうことがいかに重要であることだ。今まで述べてきたように、この点については、よくわかっており、最大限留意をしながら仕事を進めてきた。ただ、自分自身が逆の立場になることで、それを実感として感じられたのだ。「どうしてこのカットが必要なのか?」「なぜこの表情のバリエーションがいるのか?」「全体の撮影スケジュールはどうなのか?」「撮影された写真は、他のコピーやデザインとどう組み合わさっていくのか?」などがわからないと、被写体側とすれば撮影に100%集中しづらい。なぜならば、数時間という時間の中で、疲れないようにしつつ、最大限のパフォーマンスを発揮するために集中力とモチベーションを高める必要があるからだ。
特に人気俳優・人気モデル・人気タレントであればあるほど、暇ではない。いかに時間を有効に使うかが重要である。また優秀なプロデューサー、ディレクターと仕事もしており、彼らの仕事のやり方も知っている。比較するわけではないが、同じ撮影でも優秀な人とそうではない人で、やりやすさが全く違って来るのだ。
今回の撮影が悪かったということは全くない。ただ被写体として、普段やらないポージングや表情を作りながら、こんなことを考えた。頭ではわかっていたが、体で感じるというのは本当に面白いことだ。
■ 最後に
何かをやるにあたって「目的」をしっかり伝達し、聞いた人が完全に理解してもらうことは撮影に限らず重要だ。仕事においても「目的」を伝え切らずに、やることだけを指示するのではダメだ。やる人の「これで良いのかな」と半ば不安で仕事をすることもあるだろうし、「よくわからないけれど指示だからやる」という受け身になってしまうこともあるだろう。当然モチベーションを上げることは難しい。
そして残念ながら、頼んだ側にもマイナスが出る。出てきた内容を見て「これは違う」とか「ちょっと足りない」という状況になる確率が上がってしまうからだ。
最初に、しっかりと「目的」を伝えることは時間も労力も要する。しかし、この段取りを怠らないことで仕事のクオリティは格段に上がるのだ。
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いまや牛丼チェーン、立ち食いそばとともに低価格飲食店として定着したうどんチェーン店。業界をリードするのは「丸亀製麺」「はなまるうどん」だ。「丸亀製麺」は店舗数が国内で約800店、売上高が約700億円と業界トップ。海外進出も積極的に行い、ハワイホノルルのDFS裏にある「丸亀製麺」には行列が絶えないほどの人気ぶりだ。一方の「はなまるうどん」。現在は約330店、売上高は200億円強だ。もともと「はなまるうどん」が業界を引っ張っていたが「丸亀製麺」に抜かれ、現在は吉野家傘下となっている。
ここ数年、勢いづいて業界トップになった「丸亀製麺」だが、その勢いはやや落ち着いている。飲食業界には1000店の壁というものがあり、多くの飲食チェーンがこの壁を前に敗れたり、苦戦しながら突破したりしてきた。
なぜ1000店が大きな壁になっているのだろうか?
1000店がどの程度の分布になるのかをイメージで把握してみる。1000店のうち、東京を4割、大阪を2割と割り振る。そうなると東京は400店舗だ。都心部と郊外部で分ければ、都心部で200店舗。東京は23区なので単純計算すれば、1区あたり約10店舗がある計算となる。渋谷区や港区だとしても1区に10店舗は多い計算だ。全国で1000店舗ともなると、これ以上どうやって増やそうかという出店飽和状態に近いのだ。問題はお客さんが来られるエリアの問題だけではない。従業員の確保、教育の問題も大きくなる。まとめれば、単純に1000店舗という切りの良い数字だけでなく、実際にもかなり難しい運営を迫られる。それが国内1000店舗という壁なのだ。
マクドナルドや牛丼チェーンと比べ「丸亀製麺」や「はなまるうどん」は今のところ郊外よりも都市型のビジネスモデルだ。したがって、実際には1区あたりもう少し多い数の店舗が存在する。現在の出店ペースに限界が見えてきているのは当然のことなのだ。
「丸亀製麺」「はなまるうどん」に加え、最近では「つるまる饂飩」や「楽釜製麺所」なども見かける。実際に「味」や「店舗の雰囲気」を見ると「つるまる饂飩」や「楽釜製麺所」に「丸亀」や「はなまる」が負けることはないと思われる。ただ消費者の立場からすれば、これらの店のうち好きな店が遠くにあっても、値段が同じ程度だったら、近くの別の店に行ってしまうレベルの差だ。どこに行っても大して変わらないという感覚だ。この結果、うどんチェーン業界は2013年頃に牛丼業界が抱えたような低価格競争のような状態に入りつつある。どの会社も利益を削ることに力を入れ、業績を悪化させたあの戦いだ。
うどんチェーン店にとって残された道は2つだ。一つは海外展開の強化、もう一つはトッピングの強化だ。牛丼チェーンと比べ、うどんチェーンの原価率は低いだろう。もちろん円安や原価高騰による原材料の高騰はある。ただ牛丼を含む他の飲食チェーンと比べれば、そもそも利益率を高くして成り立つのがうどんだ。
一つ目の海外展開の強化だ。例えばシンガポールに行くと、大戸屋、ラーメン、カレーのcoco壱番屋が日本の倍近い値段ながらも大人気だ。前述した通り、ホノルルの「丸亀製麺」には行列が出来ている。日本で低価格競争に踏み切るのではなく、海外で高価格販売をするために、FC展開を含む海外展開強化をすべきなのだ。諸外国で日本の料理は大人気だ。うどんには大きなチャンスがある。
二つ目はトッピングの強化だ。coco壱番屋のカレーを見て欲しい。外食産業の優等生であるcoco壱番屋。海外でも人気だが、日本でも安定した業績を誇っている。coco壱番屋のカレーは決して安いわけでもなく、一般的に判断すれば美味しさもずば抜けているわけではない。それでも人気があるのはトッピングの豊富さとバリエーションにある。自分の好きな量、辛さに調節でき、トッピングも自由に選ぶことが出来る。トッピングは有料なので、自分好みにカスタマイズしているうちに、いつのまにか予算以上の金額になっていることもある。「丸亀製麺」や「はなまるうどん」はうどんの種類や量を選べるだけでなく、天ぷらをトッピングで選べて、おにぎりもある。
「丸亀製麺」に関しては、知床産いくらを利用した「いくらうどん」など新たなメニューも投入している。国内市場においては競合激化、1000店舗を前にした商圏のカニバリゼーション(簡単に言えば「重なり」)などで、今は事業成長スピードは落ちている。ただ、やっていることに間違いはない。多角的なメニュー展開、しかも高価格帯のメニューも入れるという「丸亀製麺」の国内市場戦略は間違っていない。今は止まったように見える「丸亀製麺」だが、まったく悪い状況にはない。次の飛躍に向けての調整時期と見るのが正しい。
三つ目は出展場所の拡大だ。現在は都市部でも繁華街に多いうどんチェーン。次に目指すべきは駅構内だろう。蕎麦が人気なのは駅構内の”立ち食い”蕎麦があるからだ。うどんチェーンもここを目指すべきだ。他の選択肢には「郊外店」強化というものもあるが、利用者数、滞在時間などを踏まえ、経営効率を考えれば、駅構内へ出店する方がメリットは大きい。
私が普段から行っている定点観察においても、店頭の評価はプラスだ。 うどんチェーン業界にはまだまだ大きな可能性があるのだ。
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毎日のように渋谷を訪れれる中で、ここ1年くらいでリムジンが急増していると感じている。夜になると渋谷駅宮益坂下あたりには白いリムジンが停車している。
■ 誰が何のためにリムジンに乗っているの?
リムジンに乗っているのは大企業の社長でも、セレブでもない。若い女性のグループか、若い男女のグループがほとんどだ。会社帰りで来ている人もいれば、コスプレで来ている人達もいる。彼らはリムジンに乗ってどこかに行くのではなく、リムジンの中でお酒を飲んで、話しをして盛り上がることが目的だ。女子会や合コンをリムジンで行うリムジンパーティー、言わばリムパを楽しんでいるのだ。
■ リムパが流行る背景
リムパが流行る理由は3つある。
1)パーティーが好きな人たちが増加していること
2)手軽に”プチ贅沢”気分を味わえるトレンド
3)ソーシャルメディアの存在
まず一つ目の「パーティー好きな人たちが増加していること」について説明したい。2014年は日本人のパーティー熱が一気に高まった年と言える。台場で日本初開催となったEDMの世界的イベント「ULTRA」は4万人の人を集め、チケットはSOLD OUTとなった。聞くだけではなく踊るというアクションの盛り上がりを見せた。カラーランというファンランも盛り上がった。5Kmほどのコースをランナーが走るのだが、観客はランナーにカラーパウダーをかけていく。ゴールする頃にはランナーはさまざまな色でぐちゃぐちゃになっているのだが、それをランナーも観客も楽しんでいる。カラーランの参加者の約7割は女性だ。リムパも、ULTRAも、カラーランも、日本人の中にパーティー好きの人が増加していることを示すものだ。特に女性にはその傾向が顕著と言えるだろう。パーティー好きの人を指すパリピという言葉も2015年はますます耳にしそうだ。
二つ目の「手軽に”プチ贅沢”気分を味わうトレンド」だが、これも2014年のトレンドの一つだ。一部の人たちを除き、多くの日本人の給料はそれほど上がらない中、現状から無理をせずに、ちょっとした贅沢を楽しみたいという人が増えている。豪華なレストランや海外旅行に行くのではない。「俺のイタリアン」「俺のフレンチ」のように、普段食べているものよりは豪華だが手軽なものが人気になった。ファミレスで「フォアグラハンバーグ」を食べるのも、普段よりはちょっと豪華なものを手軽に味わえる。多くの人が”プチ贅沢”気分に浸りたい時代なのだ。リムジンについてだが、日本ではリムジンに乗っている社長やセレブは少ない。これらの人はセンチュリーだったり、ロールスロイスのファントムなどを利用することが多く、ロングリムジンは使わない。また女性のセレブであれば、最近ならポルシェ、ベントレー、アウディあたりに乗る人が多い。しかし、リムパ用のロングリムジンは、海外のセレブが利用しているため、セレブイメージがわきやすい。またグループでパーティーをするにも最適だ。”プチセレブ”気分を味わうには十分なのだ。
三つ目の「ソーシャルメディアの存在」だ。リムパを楽しむ人の多くは、リムパ内での様子をソーシャルメディアでアップする。自分の生活が楽しそうに見えること、充実しているように見えることを、ソーシャルメディアでアピールしているのだ。ソーシャルメディア上で多くのコメント、いいね!を得るためには、人から注目を浴びるインパクトのある投稿の方が効果的だ。ソーシャルメディアでアピールしたいから、リムパを楽しみたいという心理も少なからず働いているのだ。
■ 今後の展望
リムジンの利用料金は1時間で約5万円程度だ。8人で利用すれば一人当たり約6000円。どこかに飲みに行ったり、食事に行くことと比べれば、やや高いように思う。しかし、”日常から離れる”という意味で、旅行と比較すれば安いものだ。ただ、このサービスは定着するようなものでも、大きな盛り上がりを見せるようなものでもない。これから先、もう少し人気は出るだろう。ただ”プチセレブ”気分をソーシャルメディアでアップする人が増えることによって、それは新鮮さを失い”プチセレブ”に見えなくなってくる。2年後にはブームは終息し、細々としたサービスとして残っているのではないだろうか。
最後に、サービス運営業者はまわりへの配慮に気を遣った方が良い。駐停車禁止場所での人待ち、通常速度以下のゆっくりした速度での走行によって、周囲の人や車から迷惑をかけるべきではない。こうした行為は、サービス運営会社だけでなく、利用者までも白い目で見られるようになってしまうからだ。
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