マーケティングの現状と未来を語る

2014年ヤフトピに8度の記事掲載。わかりやすい裏読みでメディア取材多数。マーケティングコンサルタント。個別相談も受付中

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■ なぜ店舗の定点観測を大事にしているのか?

マーケティングに携わる上で絶対に必要な要素が2つある。一つは”数字を分析する力”、もう一つは”現場を知る力”だ。数字を分析するだけでは単なる評論家である。数字の裏にある現場の実情を知らなければ、企業の可能性や課題は見えて来ない。

現場を知るために、私は”定点観測”というものを大事にしている。毎月・毎週・出来れば同じ時間に視察を行い、現場を肌で感じるというものだ。定点観測しているものは多数ある。都内のデパートやファミレスなどもあれば、JR山手線や東京メトロなどの交通機関、銀座や原宿などの街角も含まれる。マクドナルドについても、数年間に渡って定点観測している。複数の店舗を定期的に訪れ、店の様子や客の様子を見る。客数だけでなく、客層、スタッフの応対、お客さんの顔などもチェックしている。

■ マクドナルドの店舗リニューアルの実情

私が定点観測しているマクドナルドの一つが東京外苑前のマックカフェだ。10月中旬の視察で10月24日に店舗がリニューアルされると知ったので、どのようなリニューアルが行われるのか興味を持って待っていた。

マックカフェの導入はマクドナルドにとっては失敗の象徴だ。テーブルが固定されて移動できないので、大人数で楽しく過ごしたいファミリー層には使いづらくなった。電源が備えられた席が増加したこともあり、パソコンを使って仕事をしたり、休んでいるビジネスマンが増えた。また高齢者も増えた。席自体は広いものの4人席を1人で使ってくつろいでいる人も増えた。弊害はインフラだけにとどまらない。マックカフェによってマクドナルドのスタッフから元気がなくなった。かつて、気持ちの良い挨拶、接客があり、ファミリー層がワイワイ楽しめていたマクドナルドの姿はそこにはない。

原田前CEOがかなり力を入れて始めたマックカフェ。店舗デザイン全体というインフラを変えるという大型先行投資を伴ったマックカフェ推進。多少経営の調子が悪くなったからといって「元に戻しましょう」と言うわけにはいかない。結局、マックカフェは推進され続けるとともに、他の要素とも相まってマクドナルドの業績は下降し続けた。そしてついににっちもさっちもいかなくなりカリスマ経営者と言われた原田CEOは退任に追い込まれ、カサノバCEOが就任した。

■ カサノバCEO就任で変わりつつある2つのこと

マックカフェという、すぐには変えづらい負の遺産を引き継いで就任したカサノバCEO。上海福喜食品問題という大問題が直撃しただけでなく、会見の失敗など、まだまだ及第点には及ばない。しかし、そうした中でもカサノバCEOがマクドナルドの問題を理解しているだろうということが2つの変化から読み取れるのだ。

■ 変化が見えた店舗リニューアル

その一つ目が店舗リニューアルだ。10月24日の外苑前店リニューアルでは、私の予想通りマックカフェは継続された。ただ席数が大幅に増加したのだ。時間によっては1人で占有されることも多かった半円型のシート席はなくなり、その他のテーブルと椅子の組み合わせも、数多くの人が利用できるようになった。改装は店舗全体の半分程度であるが、改装部分におけるシートの数は3割は多くなっている。それとともにレジ前のウェイティングスペースが広くなったことで開放感も出た。以前は仕事や睡眠で長居する人達、5人程度は座れる半円型シートや4人席に1人で座っている人も多かったが、そういうシーンがなくなった。1人客でも2人席のテーブルを使うようになった。全体的に広く、オープンな雰囲気が醸し出されるようになった。

■ 変化が見えた「スマイル 0円」の復活

もう一つは「スマイル0円」の復活だ。従来の赤いマクドナルドにおいてメニューに「スマイル0円」の表示が復活したのだ。これが意味するものは社内外に対するブランディングだ。メニューに書いてあることによって、お客さん側とすれば、マクドナルドが昔のような明るく、楽しい店に戻ろうとしているのかもしれないという気にもなる。ただもっと重要なのは社内への効果だ。マクドナルドにとってスマイルがどれだけ大事なのかということを社員・スタッフに伝えることで、彼らの意識を向上させようということだ。もちろんスマイル0円の意識を持たせるだけでなく、社員・スタッフに対してマクドナルドの存在意義を伝えたり、オペレーショントレーニングを強化するなど、これから社内的な改善は数多く行われることだろう。その象徴として「スマイル0円」を復活させたのだ。

■ マクドナルドの課題

安全面への不信感払拭のために、安全に対するウェブサイトを公開したり、安全面に取り組む姿勢をテレビCMでアピールするなど、今までにないマーケティング活動を展開している。今は低価格でも良質なものを提供することはレストランにとって当たり前だ。このような状況の中、消費者の心の中の不信感を払拭し、さらに順調にビジネスを展開している競合から誘客することは容易なことではない。

店舗リニューアル、スマイル0円など、ようやくマクドナルドは自分たちがやるべき方向性をつかんできた。売上減・客数減が続く中、厳しい状況はまだまだ続くだろうが、上昇するための方向性だけは間違えていないようだ。

ただ、この戦略が成功するかしないかは、マクドナルドの本気度にかかっている。安全面やスタッフ面などは、本気で取り組まないと絵に描いた餅にしかならない。とくに人の意識が変わり、行動に移されなければ、何の意味もない。売上減・客数減の底を年内に打てるかどうかが一つのターニングポイントだろう。
2014年10月20日、小渕優子議員が経済産業大臣を辞任し、松島みどり議員が法務大臣を辞任した。第二次安部内閣には痛手となった。

■ 両議員の問題の概要

小渕議員の問題は、後援会の人達に明治座の観劇券を格安で提供したというものだ。これが選挙区への利益供与にあたる懸念が出たというものだ。恥ずかしながら自分自身も知らなかったと発言し、一から出直すと反省の弁を述べた。

一方、松島議員の問題は、自身のPRが書いてあるうちわを配布したという問題だ。当初、うちわであること自体を批判した松島議員だが辞任会見では「うちわと言われればうちわであるが、寄付行為だとは思っていない」と述べた。また小渕大臣と同日辞任になったことについては、特に合わせたわけではないとも述べた。

■ 対照的な両議員の会見

私も国会議員、地方議員の方々と多少なりともお付き合いをさせて頂いている。また小渕議員とは深い関わりがあるわけではないが、議員になる前にお会いしたこともあり、誠実な人柄については好印象を持っていた。

小渕議員の会見では収支報告について、子どもの頃から知る信頼できる人に任せていて、自分は知らなかったが、それではダメだったと反省の弁を述べた。また内閣にまったく貢献出来なかったとも述べた。プロの視点から見れば、頭を深々と下げ、率直に反省の弁を述べる会見は、この場としては100%の出来だった。企業の経営者や政治家は、プレゼンやインタビューについてトレーニングを行う人も少なくないが、小渕議員は練習したものではなく素がストレートに出たものだろう。

小渕議員の大臣辞任に関連し、小渕議員の資金管理をつとめる群馬県中之条町長が同日辞任した。インタビューで「代議士は何も知らず責任は無い」と述べた。

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一方の松島議員だが、納得のいかない様子がありありと見えてしまった。小渕大臣との同日辞任は合わせたものではないと発言しつつも、政治の停滞を招かないために自分自身が辞任したと発言をした。国会討論や会見でも、明らかにうちわであるものをうちわではないとか、うちわと言われればうちわと発言したことも、有権者からは反省していると見えなかった。確かに多くの議員がうちわを作っている事実もあるし、うちわが寄付行為にあたるという公職選挙法にも問題はあるだろう。ただ「悪法と言えども法は法」だ。ルールを遵守すべき国政のトップが自らルールを破るという姿勢は、有権者から見ればNOなのだ。この点において松島大臣の辞任会見の点数はよくつけて40点だ。

■ 安部内閣のしたたかなPR戦略

女性の社会進出促進を掲げた第二次安部内閣にとって、2名の女性閣僚の辞任は痛手だ。特に小渕大臣には国民からの期待も大きかっただけに痛手だ。有権者にしても小渕大臣の辞任を残念に思っている人は少なくない。

こうした状況の中、2名の女性閣僚を同日辞任させる理由は、安部政権へのダメージを最小限に抑えるためだ。この問題が長引けば国会が停滞する。そして有権者の安部首相、安部内閣への不信感、不満感はどんどん高まっていく。小渕議員にしても、松島議員にしても、問題解明はこれからという事態ではあるが、問題解明と説明を待っていればいるほど、安部内閣にはダメージが増していくのだ。まして問題解明した結果、クロという事態になった時には目も当てられない。

だからこそ、同日辞任させることで、短期的には大きな話題になっても、中期的にダメージが少ない方法を選んだのだ。

2閣僚同日辞任は、今までの政権には見られなかった”したたかなPR戦略”の一端なのだ。
ブログやソーシャルメディア業界においては、自己プロデュースが盛んに行われている。自分を等身大以上に見せようと、生活の良い部分だけをFacebookやTwitterにアップしたり、時には実際よりも盛った内容で発信を行っているという人も少なくない。

これだけならば問題は無い。ただ、中にはキャラクターを立てようとするあまり、ネット上で攻撃的な人格になる人もいる。受ける側が聞き流せば良いと言えばそれまでだが、ネット上ではそれができる人ばかりではない。発信側としたら”遊び半分”で攻撃的な態度を示しているものでも、受信側は気分が悪くなったりすることもあるだろう。まして受信側が標的になってしまった場合、発信側は遊びでやっていても、受信側には本当に苦痛になっていることもあるだろう。

発言は自由であるし、さまざまな意見がある方が世の中の風通しは良い。ただ、自分と異なる人格をつくって発言をすることで、他人が不快な気持ちになってしまうのは、いかがなものだろうか。本当の人格同士でのやりとりであれば、コミュニケーションによってより良い関係を構築することもできるだろう。しかし、あえて自分と異なる人格を作っている人と本当の人格の人でコミュニケーションしても、良い関係を構築することは難しい。

率直に言えば、キャラクターを作って、ソーシャルメディア業界、ネット業界では有名になった人には”自分大好き”の人が多いのだ。インターネットやソーシャルメディア業界では確かに有名だし、多くの人達とフォローやファンといった緩い結びつきを多く盛っている。しかし、フォロワーやファンの人達の中には、口に出さずとも冷ややかな気持ちで関係を持っている人もいる。まして、ネットで有名になった人がテレビをはじめとするマスメディアに出ても、それまでを知らない人からすれば「自己PRの強い変な人」に見えてしまうケースも多いのだ。

このような状況の中、あえてキャラクターを作って有名人になってもブームは去って行く。嫌な気持ちを隠しながらつき合ってきたフォロワーやファンはそっと離れ、後に残るのものはない。

最近のインターネットとりわけソーシャルメディア界の著名人の動きを見ていると、少しかわいそうな気持ちにもなってくる。「裸の王様」であることに自ら気づき、キャラクターを作らない自分自身の力で人と人との繋がりを作ったり、情報発信をしてく時期に変わってきているのではないだろうか。
先日、中国企業がアメリカでもっとも有名なホテルの一つであるウォルドルフアストリアをヒルトングループから買収した。ウォルドルフアストリアと言えば、セレブだけでなく各国の政府首脳がニューヨーク滞在時に利用するホテルでもある。

■ ウォルドルフアストリアが買われた理由

日本がバブルに湧いていた1989年、三菱地所がロックフェラーセンタービルを買収したことは、世界に衝撃を与えた。「24時間働けますか?」というCMが日本国内で流行った。海外では、日本のビジネスマンがエコノミックアニマルと呼ばれた。フランスのパリを始めとする観光地のラグジュアリーショップでは、首からカメラをぶら下げた日本人観光客がレジ前に列をなし、店の品物を買い漁った。1989年には、ソニーがハリウッドを代表するコロンビア・ピクチャーズを買収するということもあった。

まさに世界経済の中心は日本であったのだ。

そこから四半世紀が経ち、経済の中心は名実ともに中国に移ろうとしている。その象徴が、ウォルドルフアストリアの買収だ。

■ ウォルドルフアストリアが買われたもう一つの理由

ウォルドルフアストリアの買収は、中国が世界経済のトップになったことを意味する。ただ、この買収劇の裏にはもう一つの理由があるだろう。それは、中国企業の資本分散だ。この先、中国経済が世界のトップであることはほぼ間違いないだろう。ただ雲行きがとても良いというわけでもない。特に土地については、かつての日本と同じようにバブルである危険性が言われている。したがって、リスク分散のために海外資産に手をつけることは自然なことだろう。

■ ウォルドルフアストリアの今後

今後、中国企業による外国資本の買収は増えて行くだろう。その中で、ウォルドルフアストリアのように、施設として優れているだけでなくブランド価値の高いものも数多く買収されていくことだろう。今後、中国企業による買収が増えて行くだろう。ただ、中国企業が自分たちのやり方を押し付けるのでは、せっかく手に入れたブランドも価値が下落していくことになる。

中国企業のためにも、そのブランドを心から愛し続けているお客様のためにも、ブランド価値を深く尊重し、育てていくことが望ましい形だ。

その一つの試金石がウォルドルフアストリアだろう。ウォルドルフアストリアの買収成否には注目だ。
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2013年、訪日外国人観光客は1000万人の壁を越えた。観光立国化を目指す日本政府は、東京オリンピックが開催される2020年に訪日外国人客2000万人達成を目標にしている。観光立国化の一環として、2014年10月から免税範囲が拡大された。家電製品衣料品、装飾品などに限られていた消費税免除の対象が、食品類、飲料類といった消耗品にも拡大された。これに合わせる形で免税に対応する店舗の数も急増している。

渋谷区松涛の近くにある東急百貨店本店。土地柄に加え、併設しているオーチャードホールの存在もあり、数年前までは東京の百貨店の中でも富裕層の割合がもっとも高い百貨店だった。しかし、ここ数年状況は変化している。

すでに数年前から銀座三越、新宿高島屋など百貨店の雄たちは外国人観光客の取り込みに躍起になってきた。日本人のデパート離れが進む中、日本人富裕層だけでなく、外国人観光客の取り込みが経営において不可避な課題となったからだ。

外国人観光客向けのコーナーを設けたり、コンシェルジュサービスを設けることは当たり前になった。館内アナウンスも、日本語だけだったものに英語が加わり、今では中国語のアナウンスも当たり前になった。

こうした中、10月4日に東急百貨店本店を訪れると、今まで無かった免税カウンターが地下1Fの食料品・菓子売場に出来ていた。百貨店業界の中でも、外国人観光客の取り込みにそれほど積極的ではない部類の老舗である東急本店での対応の早さはまさに官民一体となった観光立国化の意気込みを感じさせるのに十分だった。

日本人の英語力・中国語力のアップ、案内表記の多言語化、ムスリム向けのハラル対応を含む宗教的な理由への配慮など、まだまだクリアすべき課題はある。ただ、明らかに観光立国化へと取り組む政府、省庁、自治体、企業の動きは変わってきている。

余談だが、海外から日本への注目度の高さもすさまじい。先日、Emotional Moment in Japanというfacebookページを立ち上げた。これは外国人観光客が、日本で印象に残ったシーンを残してもらったり、これから来日する観光客のために日本の印象的なシーンを紹介するというものだ。

私も数十のfacebookページの立ち上げに関わったことがあるが、このページのファン獲得のスピードは今まででもっとも凄まじいものだった。1時間置きにページを見ると数百単位でファンが増加していく様子は圧巻だった。外国人にとって日本観光は本当に大きな魅力があるのだ。

今後、ますます日本の観光業から目が離せない。

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