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12月17日15時より、吉野屋の牛丼が380円となった。1年前から比較すれば100円もの値上がりだ。お小遣い事情の厳しい世の中のお父さんにとっては、とても痛い値上げだ。ただ吉野家という企業側に立てば、これは仕方の無い選択だったと言えよう。
■ 値上げせざるをえなかった吉野家
以前、競合店である松屋がプレミアム牛丼を発売するとともに値上げをした。この時、松屋の社長は、品質にとことんこだわった値上げという発表をした。ただ内容は、使用している肉を冷凍から冷蔵に変えたというものであった。実際には、原価上昇に絶えられなかったための値上げと言って良いだろう。
原価上昇のポイントは二つだ。一つは円安による輸入価格の高騰。もう一つは米国におけるかんばつによって牛肉そのものの価格が値上がりしたことだ。米国の牛肉価格の値上がりは1年前の1.5倍から2倍になる。吉野家が牛丼を280円から380円にしても決して潤沢な利益を得られるわけではないのだ。むしろ、今まで300円の価格でよくやっていたというのが企業側の立場に立った時の視点だ。牛丼は低価格に抑えつつ、牛すき鍋膳という高価格商品を販売することで、経営の成り立たせようとしてきたのだ。
消費者には残念な値上げだが、吉野家は消費者のために牛丼値上げをギリギリまで控えてきたのも事実なのだ。
■ 吉野家値上げで儲かる企業はどこか?
松屋はすでに牛丼を値上げしている。吉野家も値上げした。その一方、すき家はまだ低価格のままだ。では、すき家は勝者になれるだろうか。それはNOだ。なぜなら原価の高騰はすき家だけが避けられるものではないからだ。ましてすき家は吉野家よりも利益率が高いわけではない。ワンオペ解消を含む店舗オペレーションも改善中だ。値上げをするのは時間の問題だ。
では、どこがメリットを受けられるのだろうか。実は、その一つがマクドナルドだ。
凋落を止める要素が見えないマクドナルドだが、現在進めている施策全体を見れば、やっている方向性は間違っていない。安全性の回復につとめ(十分とは言い切れないが)、スマイルを含む店頭のオペレーションを改善し、妖怪ウォッチやハッピーセットでこどもの興味を引こうとしている。マックカフェのシートやレイアウトなどの問題点をリニューアルで改善している。もちろん、これだけの状況になると、すぐに業績は改善しない。ただ私が見る限り、2012年11月の月次レポートで、これ以上悪化しないレベル、つまりマクドナルドはこれ以上は悪くなりようがないところまで到達した。これからは少しづつではあるが、これまでよりはましな方向に向くはずだ。
吉野家の値上げは、マクドナルドには想定外の追い風になる可能性がある。なぜなら、マクドナルドは、マックカフェに代表される高価格路線を見直そうとしている面があるからだ。失ったファミリー層、サラリーマン層を取り戻そうと、昼マック350円を中心に低価格路線への回帰を図りつつあるからだ。このマクドナルドの戦略の中、牛丼業界の値上げは追い風になる。お小遣い事情が厳しいお父さん達を中心にマクドナルドへの回帰が徐々に増える可能性があるのだ。
すでに牛丼業界、ファストフード業界、ファミレス業界という業界の枠はない。異種格闘技戦のゆくえには注目だ。
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2014年12月20日
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