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■ ヒットを連発する観光列車
2013年秋にJR九州が登場させた「ななつ星 in 九州」。発売から現在に至るまで売り出せばすぐ完売の状態。予約を取ることが困難なプラチナチケットだ。博多から出発して九州の観光地を巡る列車だ。3泊4日で九州一周するものと、1泊2日で九州半周するものがある。料金は1泊2日で15〜40万円、3泊4日(うち1日は旅館泊)で38〜95万円。決して安い旅ではない。それでも予約が取れない人気ぶりなのだ。
観光列車のブームは「ななつ星 in 九州」にとどまらない。東北地方の釜石線では宮沢賢治をモチーフにした蒸気機関車「SL銀河」が人気だ。レトロな内装、宮沢賢治の水彩画、プラネタリウムの上映などを乗客は楽しむ。九州の特急「A列車で行こう」ではジャズを聴きながらバーでお酒を楽しむ乗客で一杯だ。
■ 観光列車が人気になる背景
長い間、日本人の観光スタイルは、観光ブックを見たり、添乗員の案内にしたがって、とにかく目的地を廻ることだった。つまり事前に知っていたものを、実際に確認をすることが多かった。したがって、観光地についても、そこでゆっくりと楽しむというよりは、写真を撮って、お土産を買う時間程度の滞在で次の目的地へ移動することになる。
「ななつ星 in 九州」「SL銀河」「A列車で行こう」を始めとする観光列車は、ただ人を目的地まで運ぶのではなく、乗車つまり移動そのものを楽しむこで人気が出ているのだ。
交通による移動は手段ではなく目的になってきた。日本人の旅行スタイルが変わってきたことは他の交通機関でも見られる。
■ クルーズ大流行の兆し
クルーズと言えば、地中海、エーゲ海、豪華客船の旅など、一部のお金持ちが優雅な時間を過ごすためのものだった。しかし、最近になりHISなどが格安クルーズを展開してきたこともあり、日本人の間でもクルーズ人気が高まっている。現在は日本から韓国あたりを中心とした航路が中心だが、ポテンシャルはこれにとどまらない。鉄道が国内旅行で人気を博したことを踏まえれば、日本国内のクルーズはこれから流行すると考えるべきだ。幸い日本の沿岸部には景勝地も多く、地域地域で美味しい食もある。
目的地まで早く移動するための飛行機はLCCが増加するなど業界が賑わっている。一方、移動そのものを楽しむための列車、クルーズも別の意味で業界が賑わているのだ。
■ 「一点豪華主義」「地元回帰」も根本は同じ
観光列車やクルーズが流行する背景として、日本人の旅行スタイルの変化を挙げた。それを中心で支えるのは高齢者だ。ただ、もうひとつ重要なポイントがある。それは日本人全体の生活意識の変化だ。かつて、ブランド品に憧れ、東京に憧れ、海外旅行をしてみたいと多くの日本人が考えていたが、時代は変わった。若者を中心に、ブランド品への憧れは少なくなり、東京よりも地元を好み、海外には行かなくても良いという日本人が増えた。急いだり、頑張ったり、効率を考えて行動するよりも、”ゆっくり””まったり”したいという志向が日本人全体に広がって来ているのだ。好きなものだけは時間や金額の制約に関係なくこだわったり、気兼ねなく付き合える地元の友人との繋がりが何よりも大事にする日本人が増えているのもその現れなのだ。
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2014年04月27日
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