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1994年の酒税法改正で解禁された「地ビール」。エチゴビールを皮切りに、いろいろな地域で地ビールが誕生した。2003年にはピークを迎え、地ビールを製造する企業は251社を数えるまでになった。しかし、2000年を皮切りに地ビールは停滞の道を辿り、2012年には174社にまで減少した。
■ 地ビール停滞の理由
地ビールが停滞した最大の理由はコストの高さにある。キリン、アサヒ、サッポロなど大手企業もビール事業では苦戦する時代が続いている。消費者はビールよりも安価な発泡酒や第三のビールを消費するようになった。その結果、消費者としてみれば、ますます大きな価格差を感じるようになってしまった。
その地ビールの人気が盛り返している。次にその理由を見て見よう。
■ 地ビール人気復興の理由
2013年頃から地ビール人気が復興してきた。その最大の理由は、地方に絡んだイベントが増加したことにある。地方をPRするゆるキャラがブームになり、ゆるキャラグランプリなどがテレビでは頻繁にオンエアされ、イベントが数多く催された。ゆるキャラの最大の仕事は地方のPRだ。地方のPRとは、観光名所だけでなく、地元の食をPRすることでもある。ゆるキャラの活躍する場が増えれば増えるほど、地ビールがPRされる場が増えるということだ。
地ビールを支えるイベントはゆるキャラ絡みのものだけではない。地方のB級グルメのグランプリを争うイベントであるB1グランプリの開催も、地ビール人気復興に一役買った。B1グランプリは数万人規模の集客力を誇る。それぞれの地方のB級グルメを味合うことは、ただ単に食事をするということではない。来場者にとってはディズニーランドや遊園地など行楽地に行くことと同じ、つまりエンタテイメントなのだ。エンタテイメントに参加するのだから、普段とはコスト感覚も違う。多少価格が高くても、B級グルメと合う地方のビールがあれば飲んでみようという気持ちになるのだ。
ゆるキャラ、B級グルメが強力に後押しした地ビール人気。その人気をバックアップする存在になったのが、都心に地方自治体が出店しているアンテナショップだ。有楽町の交通会館、銀座周辺などを中心に、地方自治体のアンテナショップは多数点在する。そこでは地方の食の名産品だけでなく、地ビールなどアルコールも購入出来る。またレストランやイートインコーナーが併設されているアンテナショップもあり、来場者にしてみれば、都心にいながら小旅行気分で地方を楽しめるようになっている。また、地域地域の食を楽しめる本格派レストランも増えて来た。このことも、地ビール人気復興に貢献している。
■ 地ビールの課題と未来
コストで苦戦していた地ビール復活は、「地方」人気を生み出すトレンドによるものだ。今後の課題としては、どこでも飲めるようになった地方の地ビール自体の魅力度をどう高めていくかということにある。どこでも飲めるようになったということは、地方まで足を運ばなくても良いということに繋がる。地方トレンドが去る時はいずれやってくる。それまでに、出来ることならば地ビールを蔵出しの状態で飲めるような地方の施設や環境を整えておくべきだろう。地ビールではないが、北海道限定のサッポロクラシックというビールがある。今でこそ、地ビールと同じように都心でも飲めるようになったが、かつては北海道に行かないと飲むことが出来なかった。そしてサッポロクラシックをもっともフレッシュに、もっとも美味しく飲める場として、札幌近郊に札幌ビール園という施設があるのだ。札幌ビール園は市街地から若干離れているのだが、お客さんがバスやタクシーでかけつける大人気スポットになっている。地ビールもサッポロクラシックの成功例を見習い、今から地元に施設を建設することを始めるべきだろう。そうすれば、トレンドに一喜一憂することなく、地方に欠かせない存在になっていくことだろう。
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昨年から今年にかけて東南アジア諸国へ行く機会が多かった。そこで感じたことは、日本の人気だ。残念ながら、日本に比べて韓国や台湾の方が観光客招致に力が入っているのだが、現地でのレストランの数々を見ると、日本人気の高さが伺われる。もちろん、人気は飲食店だけでなくキャラクターなど多岐に及ぶ。そして何より日本そのものへ親近感を抱いてくれている人々が多いのだ。2013年にタイの観光ビザを緩和したことによって、日本へのタイ人観光客数が飛躍的に伸びた。また富山と台湾の直行便があることで、富山や金沢への台湾人旅行客数も飛躍的に増えている。先日、全線開通した立山黒部アルペンルートへの初日観光客の70%は台湾人という驚くべき割合を示している。
話を飲食業に戻したい。東南アジア諸国で大人気のココイチ、オシャレなデートスポットとして人気であり、いつも行列が出来ている。ラーメンの麺屋武蔵、大戸屋なども人気だ。ココイチも、武蔵も、大戸屋も、日本でも人気ではあるものの、人気のピークは過ぎている。それでも東南アジア諸国に行けば大人気なのだ。飲食店は、日本の厳しい争いにこだわるよりも、今こそ東南アジア諸国を始めとする海外へ進出するチャンスだ。
話は少し変わるが、食べログで4点以上つくような人気寿司屋などはハワイやロンドンに進出する話が進んでいる。これはすでに富裕層の多いエリアに進出し、本当の寿司を味わってもらおうという試みだ。
チェーン店で成功しやすいのは東南アジア諸国だ。うどん店、そば店、居酒屋、ラーメン店などは、日本のレッドオーシャンを捨て、海外のブルーオーシャンを目指すべきだ。幸い、出店のためのインフラ費、人件費も日本と比較にならないほど安い。トレンドが上向きであるから失敗は無い。悪くて普通、良ければ大成功だ。日本で失うものがない企業は迷うことなく進出すべきだ。日本での事業にこだわりのある事業も、成熟化した日本で新規事業に投資するよりも、ジョイントベンチャー等の形でも良いのでアジアに進出すべきだ。
私の会社でも、シンガポール在住のビジネスパートナーと組み、東南アジアや台湾への進出・出店のお手伝いや現地でのPRサポートを始めた。現地では日本企業の進出スピードが早まっていると言う。業種にもよるが、すでにミャンマーを超してラオスあたりまで進出している企業も少なくない。新規事業を思いついた時には、同じことをしようとしている人が100人いると思った方が良いと昔から言われている。一方で何かをやるのに遅すぎることはないのも事実だ。
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安倍総理とオバマ大統領が会食場所として選んだ「すきやばし次郎」。80歳を超えた小野次郎さんがご主人の超有名寿司屋だ。この「次郎」に批判的なブログが話題になっており、気になっていたので記事を書きたい。
飲食店の良し悪しは、人の感覚によるものだ。主に「味」「店員態度を含む店の雰囲気」「価格」によって人はその店を良いか悪いかを判断する。当然ながら、人によって美味しいと思う料理も、いい店だなと思う雰囲気も、高いか安いかについても感覚が違う。そして、その判断基準には、その人の人生やライフスタイルが色濃く反映される。高級なフレンチの雰囲気を素晴らしいと思う人もいれば、堅苦しくて嫌だという人もいる。薄味でも出汁がしっかり出ている味を素晴らしいと評価する人もいれば、出汁をよくわからずただ薄いと評価する人もいる。素材や調理法などまでわかって1品5000円の料理を安いという人も入れば、金額だけで高いという人もいる。
私はマーケティングの専門家として、消費者側も店側のこともよく見る。今の時代、店側からすれば、いかに店側にとって良いお客さんに来てもらうかが重要だ。そして、そういう人に固定客になってもらいたいと考えている。ファミレスやファーストフードの場合、固定客を満足させるという考え方はほとんどない。いかに集客し、単価を上げ、回転させるかがポイントだ。素晴らしい店になればなるほど、客を選びたいのが本音だ。なぜなら、その店にとって望ましい方々に満足してもらうことが重要であり、そのために味と雰囲気を守ることが重要だからだ。言い換えれば、店にとって望ましくない客は来てもらわない方が良いというケースもあるのだ。これが良い店になればなるほど、店の本音だ。
良い例が京都だ。京都には「一見さんお断り」の店が少なくない。これは本当に一見さんをお断りするというよりも、店にとって望ましくない客を入れないための戦術なのだ。店の入口で掃除をする人、番頭さんのような人は、何気ないふりをして客を見ているのだ。ヨーロッパも同様だ。VIPが宿泊するような高級ホテルではドアマンが客の品定めをしているのだ。
「次郎」に批判的な記事の中に「高圧的」とか「一言も話さず40分、20貫で3万円」という批判的な表現がある。寿司職人が真剣に握る場合には、客と会話をしないこともある。客が寿司と真剣に向き合うように、余計な話をしないこともある。そういう時間と空間と素材の持ち味と職人の技術を感じることが出来る人だけが行くべき店もある。その一つが「次郎」だということだ。
お客さんが店よりも偉いということはない。名店になればなるほど、お店に来させて頂いていると感じるのが高級店の客層だ。その姿勢があるからこそ、店側もお客さんに来て頂いていると感じているのだ。どんな店に言っても、お金を払っているのだから、お客さんが偉いという人は、良い店になればなるほど無言の敬遠をされてしまうものだ。
誤解されないように言えば、店側は店が偉いとは思っていない。味をはじめ店に満足してもらえなければ、二度と来てもらわなくて良いと考えている。店側とすれば、味、雰囲気、価格に満足してもらえる人と長い関係を築いていくことこそが大事だからだ。そして良いお客さんは良いお客さんを連れて来る。このことも名店は知っているのだ。
高圧的だからとか、一般的には考えられない価格だからということで、飲食店を批判することはまったくの的外れだ。本当はモノを知らないのに上から目線の人は、店側からすれば招かざる客でしかないのだ。
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■ ヒットを連発する観光列車
2013年秋にJR九州が登場させた「ななつ星 in 九州」。発売から現在に至るまで売り出せばすぐ完売の状態。予約を取ることが困難なプラチナチケットだ。博多から出発して九州の観光地を巡る列車だ。3泊4日で九州一周するものと、1泊2日で九州半周するものがある。料金は1泊2日で15〜40万円、3泊4日(うち1日は旅館泊)で38〜95万円。決して安い旅ではない。それでも予約が取れない人気ぶりなのだ。
観光列車のブームは「ななつ星 in 九州」にとどまらない。東北地方の釜石線では宮沢賢治をモチーフにした蒸気機関車「SL銀河」が人気だ。レトロな内装、宮沢賢治の水彩画、プラネタリウムの上映などを乗客は楽しむ。九州の特急「A列車で行こう」ではジャズを聴きながらバーでお酒を楽しむ乗客で一杯だ。
■ 観光列車が人気になる背景
長い間、日本人の観光スタイルは、観光ブックを見たり、添乗員の案内にしたがって、とにかく目的地を廻ることだった。つまり事前に知っていたものを、実際に確認をすることが多かった。したがって、観光地についても、そこでゆっくりと楽しむというよりは、写真を撮って、お土産を買う時間程度の滞在で次の目的地へ移動することになる。
「ななつ星 in 九州」「SL銀河」「A列車で行こう」を始めとする観光列車は、ただ人を目的地まで運ぶのではなく、乗車つまり移動そのものを楽しむこで人気が出ているのだ。
交通による移動は手段ではなく目的になってきた。日本人の旅行スタイルが変わってきたことは他の交通機関でも見られる。
■ クルーズ大流行の兆し
クルーズと言えば、地中海、エーゲ海、豪華客船の旅など、一部のお金持ちが優雅な時間を過ごすためのものだった。しかし、最近になりHISなどが格安クルーズを展開してきたこともあり、日本人の間でもクルーズ人気が高まっている。現在は日本から韓国あたりを中心とした航路が中心だが、ポテンシャルはこれにとどまらない。鉄道が国内旅行で人気を博したことを踏まえれば、日本国内のクルーズはこれから流行すると考えるべきだ。幸い日本の沿岸部には景勝地も多く、地域地域で美味しい食もある。
目的地まで早く移動するための飛行機はLCCが増加するなど業界が賑わっている。一方、移動そのものを楽しむための列車、クルーズも別の意味で業界が賑わているのだ。
■ 「一点豪華主義」「地元回帰」も根本は同じ
観光列車やクルーズが流行する背景として、日本人の旅行スタイルの変化を挙げた。それを中心で支えるのは高齢者だ。ただ、もうひとつ重要なポイントがある。それは日本人全体の生活意識の変化だ。かつて、ブランド品に憧れ、東京に憧れ、海外旅行をしてみたいと多くの日本人が考えていたが、時代は変わった。若者を中心に、ブランド品への憧れは少なくなり、東京よりも地元を好み、海外には行かなくても良いという日本人が増えた。急いだり、頑張ったり、効率を考えて行動するよりも、”ゆっくり””まったり”したいという志向が日本人全体に広がって来ているのだ。好きなものだけは時間や金額の制約に関係なくこだわったり、気兼ねなく付き合える地元の友人との繋がりが何よりも大事にする日本人が増えているのもその現れなのだ。
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日本経済新聞によると、スーパー主要22社の2014年度の出店数は合計195店。そのうち4割は標準よりも小さい店舗にする計画だ。イトーヨーカドーは昨年比で10店舗以上、ダイエーは昨年比で2倍以上、小規模店舗を出店する計画だ。
なぜ、2014年度に入り、スーパー各社は小規模店舗の展開を加速させているのだろうか。その理由を簡単にひもといてみたい。
■ 進む高齢者の都心流入
総務省の人口推計によると、2012年12月から2013年9月までの人口増加率のトップは東京都だ。2010年に20.4%以上だった東京都の65歳以上の人口比率は2025年には25.2%まで上昇する見通しだ。つまり、若者だけでなく高齢者の都心流入も増加し、また従来から住んでいるいる人も高齢化していくという構図が見られる。
この状況を踏まえて、すでにコンビニエンスストア各社は高齢者取り込みのための施策を始めている。お惣菜や生鮮品の品揃えを強化するコンビニが増えた。またローソンなどはドラッグストアを併設する店舗も増えた。高齢者の「食」と「健康」を支える体勢を着々と整え、高齢者にとって生活の中心的存在になろうとしている。
こうなると生鮮品でスーパーとの争いが激化する。例えば、コンビニの便利さに対抗して、西友はKY(カカクヤスク)と価格訴求で対抗してきた。ただ、都心に高齢者が増えれば増えるほど、なるべく身近なところで生活を整えられる環境こそが魅力になってくる。そのため、スーパーは店舗を小規模化することで、コンビニと争える地盤を整え始めたということなのだ。
スーパー、コンビニの争いに割って入るのはデリバリーだ。通常の中華やピザに加えて、マクドナルドのマックデリバリーなど新規参入が増えている。これらはコンビニに取られた「中食」客を取り戻そうという大きな狙いがあるが、その中には高齢者へのデリバリーにポテンシャルを感じている部分も大きいのだ。
つまり、以前ならば棲み分けの出来ていたスーパー、コンビニ、デリバリーなどの異業種。今や、異種格闘技戦のような状況だ。スーパーは競合スーパーだけを見ていてはダメだし、コンビニは競合コンビにだけを見ていてはダメな時代だ。自分たちの敵は思わぬところに潜んでいるのだ。変わらないのは消費者のニーズをいかにつかみ取るかという部分だけだ。
■ 二極化するスーパー
都心部で小規模化を加速させるスーパーだが、一方で大規模化を加速させて成功している。その勝者はイオンだ。詳しくは以前書いたブログ「勝ち組イオンの勝因とは」をご覧頂きたいが、イオンは大きいスーパーという存在ではなくなった。大規模化したイオンの競合は、コンビニでも、デリバリーでもない。エンタテイメント施設にまで及ぶ。ディズニーランドや遊園地や公園でもあるのだ。イオンに行けば、買い物も、食事も、映画などのアミューズメント施設も、老若男女が一日楽しめるのだ。特に地方のファミリー層、若者にとっては、イオンに行くことは「日常生活」ではなく「ハレの場」でもあるのだ。
小規模化する都心部のスーパー、大規模化する地方のスーパー。同じスーパーでも二極化の流れは進んでいるのだ。
インターネットが世の中に本格的に浸透し始めたのは2000年。今年60歳で定年を迎える人は、当時46歳だ。あと6年もすれば、当時40歳でパソコンをバリバリと使いこなした世代が定年を迎えるようになる。ネットを使える高齢者が増えてくれば、消費の形は飛躍的に変化する。すでに楽天などは、その時代を見据えて、ネットスーパー事業の種まきを着々と進めている。スーパーの未来を握る鍵はこのあたりにありそうだ。
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