マーケティングの現状と未来を語る

2014年ヤフトピに8度の記事掲載。わかりやすい裏読みでメディア取材多数。マーケティングコンサルタント。個別相談も受付中

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2014年5月28日。アップル社がヘッドフォンメーカー ビーツ・エレクトロニクスならびに子会社である音楽配信会社ビーツ・ミュージックを併せて30億ドルで買収した。なぜ、アップルは過去最大規模の買収金額でビーツを買収したのだろうか。

「アップルがビーツを買収した理由」の前に、市場について触れておきたい。

1)ヘッドフォン、イヤフォン市場の広がり<ハイレゾ>

ヘッドフォン、イヤフォンが外で使うものとして一般的になったのは、1979年のソニーウォークマンの誕生がきっかけだろう。それまで音楽鑑賞の中心は自宅であった。音楽を外に持ち出すところからヘッドフォン、イヤフォン市場の成長が始まった。カセットテープからCDになり、CDからにMDなって行く中でヘッドフォン、イヤフォン市場は拡大の一途を見せた。

そして2001年、iPod、iTunesのの衝撃的な登場によって、ヘッドフォン、イヤフォンだけでなく、音楽配信やミュージシャンなど、音楽業界すべての構造が一変した。その結果、ヘッドフォン・イヤフォン市場にはさらに追い風が吹くこととなった。

iPodが登場した頃は、iPodそのものは画期的だったが、音源の音質は必ずしも良いとは言えなかった。したがって本当に音楽、音質にこだわる人はiPodを使わない時期もあった。しかし、時代は変わり、状況は変わった。そして、登場したのがハイレゾだ。
昨年の音楽機器業界のもっとも大きなトピックス、ハイレゾリューション音源(ハイレゾ)だ。ハイレゾとは高解像度での音楽データのことであり、CD以上の高音質の音源だ。まだまだハイレゾになっている音源に限りはあるものの、確実に人気は出て来ている。ハイレゾの普及にともなって、音源だけでなく、その音源を聴くためのプレイヤー、アンプ、高品質ヘッドフォンやイヤフォンなどの人気が加速した。ヘッドフォン、イヤフォン市場は空前の盛り上がりを見せている理由の一つがこれだ。

2)ヘッドフォン、イヤフォン市場の広がり<ファッション>

音楽をより高音質で聴くためのヘッドフォン、イヤフォンが人気になる一方で、ファッション的なヘッドフォン、イヤフォン市場も拡大してきた。ヘッドフォンやイヤフォンを外出時に着用すれば、服や靴や鞄と同じように見た目も気になってくる。特に、ヘッドフォン、イヤフォンを購入する女性層が増えたことで、ヘッドフォン、イヤフォン市場があらたな広がりを見せたのだ。音質よりもファッション性重視というユーザーも増加した。その筆頭格がビーツだったのだ。

3)アップルがビーツを買収した理由

ハイレゾの普及による高音質市場の拡大、ファッション重視層の増加によるファッション市場の拡大という2つの要素はAppleが過去最大規模の企業買収をする必然性を生み出した。iPhoneを購入者は、まず付属のApple製イヤフォンで音楽を聴く。その後、販売店などでイヤフォンやヘッドフォンを試聴すると、自分が使っているものよりも高音質のものがあることに気づくのだ。その結果、ユーザーは今より良いものへと、ステップアップしていくことが多いのだ。

ではビーツが最高音質なのか。そうとは言えない。ビーツのヘッドフォン、イヤフォンは、評論家や専門家、音にこだわるユーザーからは、最高の音質として評価はされていない。それでもアップルがビーツの買収を決断したのは、今のアップルがもっとも欲しい要素が詰まっているのがビーツだからだ。一つは、ビーツの「b」というアイコンが持つファッション性であり、もう一つは、Apple純正イヤフォンよりは高音質であるという音質だ。

さらに、ビーツ製品がヘッドフォン・イヤフォンの市場平均価格よりは高価格であることもAppleにとっては好都合だろう。

もう一つアップルが期待していることは、ビーツ子会社であるビーツミュージックの音楽配信事業とのシナジーなのだろう。アナリスト的な視点に立てば、ハイレゾ市場が進展する中で、ビーツの音楽配信事業は成長の基盤になる言いたくなる。しかし、音楽のことを知るマーケティングコンサルタントの視点から見れば、これがどれほどの効果を生むのかは疑問だ。このような配信事業を手がけている企業はいくつもあり、ビーツ・ミュージックは決して、市場のリーディングカンパニーではない。また会員制音楽配信という点についても疑問符はつく。かつて、スティーブ・ジョブスがビーツ・ミュージックのような会員制音楽配信には否定的だったことがあらためて思い出された。ユーザーを知り、現場を知って入ればいるほど、楽観視は出来ない部分だ。

4)アップルとビーツの未来

スティーブ・ジョブスなき後、アップルブランドは大きな陰りを見せないものの、製品開発やイメージにおいても徐々に低下してきている。カリスマなき後の現状については、大きな業績悪化、イメージ低下していない事の方が凄いことだなのだが、アップルとしては次の一手を打ってブランドイメージを向上させる方法が欲しかったのだろう。したがって、 アップルはビーツブランドの象徴である「b」マークをそのまま残すはずだ。もしアップルが「b」マークを消すとすれば、それは買収の失敗を意味する。なぜなら、ビーツにとって「b」こそが最大の資産であり、消費者から爆発的に支持されている理由だからだ。

マーケティングコンサルタントの視点から見れば、アップルはビーツの「b」マークに3000億円という実質価値から離れた金額を支払ったようと見える。今のアップルは、それほどまでに現状打破をしなければならない強い意志を持っているとも言える。果たしてこの買収は成功するのだろうか。Dr.ドレーを始め、ビーツ側は、未来が成功しようと失敗しようと万々歳だ。しかしアップルにすれば、この曖昧なものに3000億円もの金額を投資した結果が良いものになるかどうかはまだわからない。結果が見てくるのは1年くらいしてからだろう。どのような状況になるのか、引き続き注視したいところだ。

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