マーケティングの現状と未来を語る

2014年ヤフトピに8度の記事掲載。わかりやすい裏読みでメディア取材多数。マーケティングコンサルタント。個別相談も受付中

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■ 「ヘッドホン女子」ブーム報道

先日、日本テレビの朝の情報番組「ZIP」でヘッドホン女子について特集された。ヘッドホン女子とはヘッドホン愛用の女性のことだ。最近では街中でもヘッドホンを付けたり、首にぶら下げたりしている女子は確かに増えている。番組の中で、ある評論家がヘッドホン市場の高価格化の火付けについて、あるブランドの登場を取り上げていたが、内情をよく知るものとしては調査データの読み込みが甘いと感じた。また、ヘッドホン女子が「私はオシャレでしょ」というアピールのためにヘッドホンをしているとか、音楽通ぶっているという発言もあったようだが、これも的外れだ。確かにファッション性を重視したヘッドホンを着用する女子は増えているしルックスの良い女子も増えている。しかし実際にはヘッドホン女子の多くは、オシャレよりも音質そのものにこだわっている人が多い。当然、音楽通ぶっているのではなく、他の女子よりも音楽や音に高い関心があるのだ。ヘッドホン市場とヘッドホン女子をよく知るマーケッターとして、彼女達の名誉と市場の正しい認識のためにあえて異論を唱えたい。

閑話休題。最近、ヘッドホン女子だけでなく「○○女子」ブームが到来している。

■ 「カープ女子」「山ガール」

例えば、今年に入ってバズワードになっているのはプロ野球広島カープファン「カープ女子」だ。カープ女子は、広島カープの若手選手が成長し活躍していく姿を見守り応援している。彼女達は、山本浩二、衣笠祥雄、北別府学、大野豊、津田恒美、高橋慶彦など、広島黄金期を知らない。それでも首都圏のファンが広島まで応援ツアーに来るなど、熱狂的なのだ。

少し前には「山ガール」という言葉もあった。それまで登山とは男がメインでするものだった。登山は男にとってのロマンであり、ワイルドな世界だった。しかし「山ガール」はそのイメージを変えた。オシャレなウエアに身を包んだ女子が登山をするようになった。今まで硬派一辺倒だった登山雑誌にも、山ガールのコーナーが出来た。登山もアルプスのような本格登山ではなく、高尾山のような東京近郊の山がクローズアップされ、大人気の場所となった。結果として女子だけでなく男子の登山人口も増えた。

■ なぜ「○○女子」「○○ガール」という言葉がブームになるのか。

ヘッドホン女子、カープ女子、山ガール、釣りガール。なぜ女子にまつわるネーミングがブームになっているのだろうか。その理由は2つある。一つは企業側の理由、一つは女子側の理由だ。

まず一つ目の企業側の理由について述べたい。

企業側がこぞって「○○女子」「○○ガール」という言葉を歓迎するのは、その言葉が新たなターゲットを呼び込むきっかけになるからだ。そして、新たなターゲットが生まれることによって市場は活性化し、拡大していくことに繋がるからなのだ。ヘッドホンにしても、広島カープにしても、登山にしても、女子よりも男子のイメージが強く、男女比では圧倒的に男子の方が多かったはずだ。だからこそ女子を取り込むことが大きなプラスを生み出すのだ。

二つ目の女子側の理由について述べたい。

男女雇用機会均等法をきかっけに女性の社会進出が本格した。そして仕事面においても、生活面においても、男女がすることには大きな差はなくなりつつある。このような状況を受けて、今まで女子とは縁遠かったものに女子が入ってくることが増加した。例えば、女子の一人焼肉がそうだ。20年前であれば、女子が一人で焼肉というシーンは見られなかった。しかし今や女性の一人焼肉用の店舗まである。女性からしてみれば、男性と同じように焼肉も食べてみたいし、ラーメンも食べてみたい。男性と同じように遊んでみたいという気持ちを持つ女性も増えて来た。結果として、今まで関わりのなかったフィールドに挑戦したいという女性が増えることに繋がっている。○○女子、○○ガールとは、今までチャンスの無かった女性が、あらたな挑戦を始めやすくなるというメリットにも繋がっているのだ。

■ バズワードの欲しいメディア事情

○○女子、○○ガールという言葉が、企業側、女子側にメリットになることを今まで述べて来た。最後に、メディア側のメリットも述べたい。

メディアとしてはキャッチーなキーワードがあればあるほど望ましい。例えば情報番組の特集を考えて欲しい。ダラダラと情報を流すより、「今こんなキーワードが人気」という方が番組を作りやすいのだ。その意味においても「○○女子」「○○ガール」という言葉は、とても便利な言葉になるのだ。ちなみに、この傾向が加速するもう一つの理由にソーシャルメディアの存在が挙げられる。キャッチーで短い言葉であればあるほど、Twitterなどソーシャルメディア上での「引き」は強くなる。メディアで人気になった言葉が、ソーシャルメディアによってさらに拡散されていく。

■ 最後に

企業側の理由、女子側の理由、メディア側の理由。これらの理由がすべて重なっているため「○○女子」「○○ガール」が次々に出現していくのだ。多くの関係者にとってプラスは大きいがマイナスはほとんどない。これからますます「○○女子」「○○ガール」というキーワードは増えていくことだろう。

先日、人気声優の水樹奈々さんのライブ応募券がついたポテトチップスを1000袋(約200キロ)を不法投棄した男性が逮捕された。水樹奈々さんの大ファンであり、ライブ応募券目当てで大量購入をしたものの、ポテトチップスそのものは不要になり、不法投棄をしてしまったという形だ。また、店頭でカード付菓子のカードだけが抜き取られるという被害も相次いでる。犯罪は許されるものではないが、カードやおまけ欲しさに菓子の大量購入をした人、菓子を食べきれなかったという経験は、多くの人にあるのではないか。私たち、特に大人は節度を持ち、マナーを守って、子ども達の見本となりたいものだ。

さて、おまけ付菓子はいつから始まり、いつからブームに火がついたのだろうか。

■ おまけ付菓子ブームを作ったカルビー

時代を振り返れば、1927年にグリコがキャラメルにおまけを付けて販売開始したように、おまけ付菓子の歴史は古い。おまけ付菓子ブームに火がついたのは1970年代からだ。1971年から1973年にかけてカルビーは仮面ライダースナックを発売した。こどもたちに人気が出始めた仮面ライダーに登場するライダーや怪人のカードをおまけとして大人気を博した。その後1973年、カルビーはプロ野球スナック(後のプロ野球チップス)の販売を開始した。おまけはプロ野球選手のカードであり、あたりが出ればサイン入りミニチュアバットなど新たな賞品をもらえるようになっていた。何が出るかわからないカードを集め、友達と見せ合い交換したりすることが遊びの一つになり、その購買熱を加速させるために、さらにくじという要素を入れたのだ。

■ おまけ付菓子の時代を加速させた「ビックリマンチョコ」

1977年に販売開始したロッテのビックリマンチョコ。悪魔と天使をモチーフにしたシールはたちまち子ども達の話題の中心となった。シールの中にはホログラムのスペシャルシールもあり、そのシール目当てに子ども達は日々ビックリマンチョコを食べた。ビックリマンチョコが残した2つの大きな意義がある。

一つ目は「コンプリート」という考え方だ。

ビックリマンチョコ登場以前には、おまけ付菓子のカードが欲しいという欲求はあったものの、コンプリートさせるという考え方は薄かった。出て来たものに対して一喜一憂し、自分の持っていないカードを友達が持っていることに驚き、欲しくなったりしたものだ。ビックリマンチョコは全部で何種類のカードがあるかをわかるようにした。そして第一弾、第二弾とシリーズ化した。これによって自分の持っているカードと不足しているカードを確認出来、コンプリートしたいという欲求が子どもの中に高まったのだ。しかもシリーズものなので、早く購入しないとコンプリート出来ないかもしれないという気持ちにもさせた。

現在ではリアルでもソーシャルゲームでも当たり前のコンプリートという手法、シリーズものという手法の基礎を作ったのはビックリマンチョコだったのだ。

二つ目は「メディアとの連携」だ。

ビックリマンチョコ人気が爆発した背景には、子ども向けコミックの存在がある。「コミックボンボン」「コロコロコミック」などがこぞってビックリマンシールを特集した。友達との情報交換だけでなく、これらの特集によって全カード情報を入手出来るようになった。それがコンプリート熱を加速させた部分もある。さらにコミックにビックリマンの漫画が掲載されるようになり、その後テレビ化、映画化へと繋がって行く。

現在、子ども向け玩具、特に男子向けのマーケティング戦術を考える上で、上記のような考え方は外せない。子ども向けコミックを活用しつつ、漫画連載、イベント連動、アニメ化、グッズ化などを進めて行くという「メディア連携」の考え方もビックリマンチョコから始まったと言えるのだ。

■ 「おまけ付菓子」から「菓子付おまけ」の時代へ

かつて菓子を食べてもらいたいから、子ども達に選んでもらうためにおまけを付けていた菓子メーカーだが、今や時代は変わった。400円、500円のおまけ付菓子を購入しても入っているのはガム一粒ということも珍しくはない。コンビニの棚争いは熾烈だ。棚を確保し良位置を確保するために、菓子メーカーは人気コンテンツが欲しい。一方、人気コンテンツはキャンペーンを拡大させる上で、菓子メーカーの力を借りてコンビニで露出を図ることが出来るのは大きなプラスなのだ。

すでにコンビニ店頭で菓子とは関係なく、プロ野球オーナーズリーグやデュエルマスターズなどカード単体での販売スペースも拡大しつつある。またそこでミニチュアフィギュアなどが売られているケースも出て来た。カードやミニチュアフィギュアなどが菓子とは関係なく力を持ち始めている。

すでに、菓子が主でおまけが従という時代は終わったのだ。強いコンテンツの関連商品の一つとして菓子があるというトレンドはますます加速していくだろう。最後に、どんなおまけが出てくるかの未来予想をしてみよう。人気声優のライブ応募券やラブライブの限定カードなど子ども向けではないものが増えていることを踏まえれば、ますます成人男性、オタク系コンテンツは増加していくだろう。通常の人気アニメや人気ミュージシャンとは比べものにならないほど、オタク向けコンテンツへのファンのコミットは強い。販売向上ということだけを考えれば、かなり堅い。では、子ども向けはどうだろう。妖怪ウォッチのメダルが大人気であったり、任天堂DSが子ども達の話題の中心でる。品切れ続きで購入出来ないメダルのようなものがあれば菓子は爆発的に売れる。また任天堂DSの人気ゲームで、菓子購入を通してしか得る事の出来ないスペシャルキャラクターなどをデジタル提供するという手法もある。

時代は変わりつつある。ビックリマンが築いた「おまけ付き菓子」の手法は、さらに発展する時期に来ているのだ。

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