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牛丼の松屋フーズが「プレミアム牛めし」を7月22日から発売を開始する。並盛は今までよりも90円高い380円。都内で会見した緑川社長は「別次元のうまさであり、社運をかけている」と語った。2014年7月末までに首都圏を中心に621店舗で発売し、徐々に販売店舗を拡大する予定だ。そしてプレミアム牛めしを提供する店舗では、従来の牛めしは販売を終了する。
■ ここ数年の牛丼チェーン業界の歩み
ここ数年の牛丼業界の歩みを見てみよう。日本景気が低迷するとともに、給料が上がらずお小遣いの厳しくなったサラリーマンを中心にランチでの牛丼ブームが始まった。牛丼人気は高まる一方、競争激化によって値下げ合戦が始まった。各社とも200円台後半になった段階で、全社とも利益が出にくくなってしまった段階で、サラリーマンたちもさすがに牛丼には飽きたのだろう。焼き牛丼というカテゴリーで「東京チカラめし」が登場してきた。これによって吉野家、すき家、松屋などは牛丼の低価格争いをやめる。より高価格で利益の取れる商品を投入し始めた。吉野家が牛丼の倍以上の価格で「牛すき鍋御膳」を投入し、人気になったのを見て各社とも「牛鍋」を投入してきた。またデザートやコーヒーなど追加メニューをラインナップさせることで、客単価の増加を狙った。ただ「鍋」の投入はマイナス面ももたらした。手の込んだメニュー、メニュー数の増加によってオペレーションが煩雑になったことにより、店員の負担は大きくなった。その結果、すき家では店員の確保が難しくなり閉店や休業に追い込まれる店舗が続出した。
■ 松屋の「プレミアム牛めし」は成功するのか
松屋のプレミアム牛めし。社長が「社運をかける」と言ってはいるが、冷凍肉を冷蔵に変えたことが大きなポイントのようである。そこまで大きな変化が出ているのかは、実際に食べてみないとわからない。ただ社長が社運をかけたのは、メニューとしての開発自体というよりも、プレミアム牛めしの投入によって通常の牛めしをやめるという事業全体の話なのだろう。それだけ力を入れて宣言しなければならないほど、牛丼チェーン店は厳しい経営状態にあるということの裏返しだ。
松屋が成功するかどうかのポイントは他社も追随してくるかどうかだ。ネーミングは「プレミアム牛めし」中身は「牛めし」と同じだ。食べる側からすれば、松屋より競合が90円安ければ、そちらを選ぶ。ただ、もし業界全体で値上げするならば話は違う。ランチで牛丼380円は、ファミレス、ファストフード、コンビニと比較しても決して高くはない。したがって全社的に値上げすれば、松屋には影響は少ない。
仮に競合各社が追随して値上げしてこない場合、松屋が勝てる方法は一つだ。それは味が決定的に美味しくなったケースだ。今まで以上のお金を払うからには、付加価値がないとならない。牛めしとプレミアム牛めしの見た目に大きな違いがなければ、味そのもので差が出なければ、消費者の理解は得られない。したがって、競合が追随しない場合、松屋が勝てる方法は、牛丼がすさまじく美味しくなった時だけなのだ。
だからこそ、社長は「社運をかけた」と記者会見で息巻いたのだ。
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