マーケティングの現状と未来を語る

2014年ヤフトピに8度の記事掲載。わかりやすい裏読みでメディア取材多数。マーケティングコンサルタント。個別相談も受付中

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■ 人気クリエイター佐藤可士和氏の起用

森永製菓の「ウイダーinゼリー(以下ウイダー)」のリニューアル失敗がニュースになった。コンセプトとデザインをリニューアルしたところ、第一四半期のウイダーの売上げが前年同期比で1割減という結果となった。従来の「エネルギー」「マルチビタミン」「プロテイン」という機能性を軸にしたラインナップを「エネルギー」「カロリーハーフ」「カロリーゼロ」というカロリー別のラインナップに変更したのだ。しかし、リニューアル4ヶ月にして早くも見直しとなった。クリエイティブを担当したのは、人気クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏だ。大手広告代理店で活躍後、独立し活躍の場をさらに広げている。ユニクロ、楽天、新国立美術館、明治学院大学、SMAPなどシンプルなデザインが佐藤氏の持ち味だ。

私は独立前の佐藤氏と誰もが知る大企業の広告コンペで戦い、勝利したことがある。勝利したポイントはクリエイティブだけでなく、マーケティング戦略をはじめマーケティングプロモーション全体での評価であり、チームを統轄し、マーケティングをはじめ戦略の根幹に関わるプロデューサーとしては安堵したことを覚えている。ただ当時、 佐藤氏はすでに飛ぶ鳥を落とす勢いだったので、強敵が出て来たなと感じていた。なぜなら戦略をはじめこちらで用意したすべてをひっくり返すほどのクリエイティブ力を佐藤氏が持っているのは明らかだったからだ。

■ 最大の失敗要因は何か?

今回、ウイダーのリニューアルを佐藤氏が担当していたことで、佐藤氏のクリエイティブを批判するコメントをインターネットで見かける。確かに、佐藤氏にも責任はあるが、佐藤氏を必要以上に批判することは筋違いだ。なぜなら、今回の森永ヴィダーインゼリーリニューアルの失敗は、戦略自体が間違っていたことが大きいからだ。

「エネルギー」「マルチビタミン」「プロテイン」というわかりやすい機能性が「エネルギー」「カロリーハーフ」「カロリーゼロ」というカロリー別のラインナップになったことは、消費者からしてみたらヴィダーインゼリーを買う理由そのものが薄れたのだ。かつて木村拓哉さんや浜崎あゆみさんがCMキャラクターとして「10秒チャージ、2時間キープ」という コピーを伝えた。10秒でエネルギー、ビタミン、プロテインという自分の現状に合わせて必要な要素を取れるものだったものが、カロリー軸にしたことで「なんのために、どんな時に」必要なものかあやふやになってしまったのだ。今回、佐藤氏はブランドコンセプトの設計からコミュニケーション戦略まで携わった。ただ、佐藤氏のクリエイティブ力は日本でも超一級の力があると思うが、コンセプトやコミュニケーション戦略は佐藤氏の領域とは少し違う。戦略面はクライアント内部に強い覚悟と権限を持った人間、もしくは戦略面を担当できる別のプロフェッショナルが責任を持つべきだったのだ。

佐藤氏はセブンイレブンで販売されるオリジナル傘のデザインリニューアルにも携わっている。その傘は晴れの日でも売れる人気商品となり話題になった。一方、コーヒーマシンのデザインにも携わったが、デザインは良いものの操作方法がわかりにくいということで不評だった。店の中には店員が操作方法のPOPを独自に作るところも出てしまったのだ。つまり、傘のようにデザインだけで売れるものと、コーヒーマシンのようにデザインだけではない点を意識しなければならないものの違いが出たのだ。デザインは優れていても、ポイントがずれてしまってはダメなのだ。

佐藤氏はユニクロのロゴを作るなどして、世界展開に大きな貢献を果たしている。 ユニクロが成功したのは、圧倒的な権限を持つ柳内正氏と、強い関係があったからだろう。これによって柳井氏の強いリーダーシップによる企業ビジョン、コンセプト、戦略を理解し、進めることが出来たから、クリエイティブという得意領域で絶大な力を発揮することが出来たという面があるだろう。「戦略」と「クリエイティブ」は表裏一体だ。正しい戦略なくして、効果的なクリエイティブは生まれない。

■ 必要以上にクリエイティビティを重視する風潮への警鐘

最近、デザインに限らず、経営においてもクリエイティビティが重要だという話を主張する学者や評論家もいる。その背景にあるのは、日本市場においては多くの業界で、従来の経営に行き詰まり感を覚えているという面があるからだ。ただクリエイティビティとは、個人の資質によるところが大きい。個人の能力をを制限すればするほど、クリエイティビティはかすんでいくが、クリエイティビティを厚遇し過ぎると、個人の感性を中心とした能力に依存してしまうことになる。

最後に、私は佐藤氏をはじめクリエイターに敬意を持っている。なぜなら、途方もない数のボツ案と時間を費やして、苦悩しながら世の中に送り出す一つのクリエイティブを作っている彼らの姿を見ているからだ。出来上がったものに対して評論することは簡単だ。しかし、モノを作り、世の中にさらし、結果を出して行くということは心身ともに大変なことだからだ。

クリエイティビティが発揮出来るかどうかの大きなポイントは「適切な戦略」と「優秀なクリエイティブ」が表裏一体になっていることである。今回のウイダーの件は、この重要な教訓を残してくれた。

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