マーケティングの現状と未来を語る

2014年ヤフトピに8度の記事掲載。わかりやすい裏読みでメディア取材多数。マーケティングコンサルタント。個別相談も受付中

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2014年08月

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■ 「アイス・バケツ・チャレンジ」の盛り上がり

ALS患者救済のために始まった「アイス・バケツ・チャレンジ」。一人のALS患者から始まった氷水をかぶるか100ドル寄付するか、その両方をするかというアクションは、インターネットの動画サイト、ソーシャルメディアを使って、世界中に広がっていった。芸能界ではレディーガガや浜崎あゆみなど国内外を問わず氷水をかぶり、経済界でもビル・ゲイツ、豊田トヨタ社長、三木谷楽天CEOなど多くの経営者が氷水をかぶった。そして、その多くが同時に寄付をした。

そもそも「アイス・バケツ・チャレンジ」の目的は、患者救済への寄付とALSという病気自体をより多くの人に知ってもらうことだった。その点において、多額の寄付金を集め、ALSの存在を広く知らしめたという点において大成功だろう。2014年8月29日現在、約2ヶ月間に渡って全世界で加熱した「アイス・バケツ・チャレンジ」のブーム的な勢いは一段落した。ただ、あれだけの盛り上がりが長く続く方がおかしかったのであり、人々がALSに興味を失ったということではない。

■ 賛否両論の裏に見え隠れするもの

「アイス・バケツ・チャレンジ」については決して賛成意見ばかりではない。内容は理解できるもののチェーンメール的なやり方はやるべきではないという意見。他にも難病はたくさんあるから、このようなやり方でALSだけに寄付が集中するのはおかしいという意見。「アイス・バケツ・チャレンジ」をやった人は、次の3人を指名するのだが、指名された人がやらなければならないという無言の圧力がいやだという意見もあった。

「アイス・バケツ・チャレンジ」の目的に照らし合わせれば、今回のプロモーションは成功であり、批判されるべきものではない。その一方、多くの否定的意見が出るのも健全な状態だと考えている。やりたい人はやれば良いし、やりたくない人はやらなくても良い。最初は氷水をかぶっていた人達ばかりに注目が集まったが、徐々にに氷水をかぶらない人達が増えるようになった。芸能人でも武井壮氏が、自らの意見をきちんと言って氷水をかぶらなかった。その後、氷水をかぶらなかった人はさらに増えていった。

私が良かったと思う点は「氷水をかぶった人/それを支持する人」にも「氷水をかぶらなかった人/それを支持する人」にも極端に流れが傾かなかったことだ。

寄付やボランティアという行為は難しい。本人は本気で寄付やボランティアのことを考えてやっていても、別の人から見ればまだまだ考えが足りないという見方になることもある。企業も同じで、企業イメージのPRのためではなく、本当に社会に対して善を行おうとしてやっていることも、ある人から見れば偽善的に取られることもあるのだ。今回の「アイス・バケツ・チャレンジ」は今後、企業や個人が寄付やボランティア活動をしていく上で、重大な教訓まで残してくれたのだ。

■ 「アイス・バケツ・チャレンジ」がブレイクした4つの理由

最後に「アイス・バケツ・チャレンジ」がなぜここまで広がったのかについて触れたい。

1)人々が応援したくなる内容だったこと

2)インターネット特にソーシャルメディアによって拡散されやすい状態であったこと

3)ある段階から著名人が本プロモーションに自主的に参加したことが挙げられる。これによってソーシャルメディア上だけでなく、一般的なニュースのトピックスになって、ネットの中だけでなく、より広い一般の世界へと広がっていたこと

4)コンテンツ自体に面白味を感じた人が多く(ALSのことを面白いと言っているわけではありません)、自分も参加したくなる要素を秘めていたこと(※残念ながら理解不足すぎる人もいましたが)

■ 「ホワイト・バンド」プロジェクトとの共通点

実はソーシャルメディアでの拡散力の違いという部分を除けば、「アイス・バケツ・チャレンジ」の多くの要素は、2005年に世界の貧困を減らそうとする「ホワイト・バンド」プロジェクトと似ているのだ。ホワイトバンドの場合には、バンドを購入するということだったが、その時も著名人がこぞってホワイトバンドを購入し、腕につけて、一時期売り切れになるほどのブームになった。

もちろん重要なことは、ALSにしても、貧困問題解決にしても、一時的なブームで終わらせるのではなく、気にし続けることであり、継続的に支援を続けて行くことである。そのきっかけとして、今回の「アイス・バケツ・チャレンジ」は良いものだった。きっかけがあるからこそ、広がりができるものだ。

病気に関しては、企業の製品やサービス以上に、患者さんへの配慮が必要であり、繊細な部分を気にする必要がある。だからこそ軽々しいことはやりにくい。それでも「アイス・バケツ・チャレンジ」や「ホワイト・バンド」のようなやり方によって大きな成果が生まれるのも事実だ。このことはマーケティングに何らかの関わりを持つ人ならば覚えておくべきポイントだ。

■ うどん、たこ焼きチェーンは本場発ではない現実

飲食業者のチェーン店舗展開、グローバル展開を見ていると面白いことがある。それは本場出身の飲食店が展開するのではなく、他地域の飲食業者が展開を進めているということだ。

たとえば、うどんの本場は香川県、言わずと知れた讃岐うどんだ。しかし、業界最大手である「丸亀製麺」の本社は兵庫県神戸市だ。また第二位の「はなまるうどん」も創業こそ香川県だったものの、現在は東京に本社がある吉野家ホールディングス傘下に入っている。「つるまる」は大阪府に本社がある。

これはうどんに限ったことではない。たこやきの本場と言えば、大阪と答える人が多いのではないだろうか。しかし先日、上場予定を発表した人気たこ焼きチェーンの「銀だこ」の本社は東京だ。

世界に目を移してみよう。いまや海外で日本の食はブームになっている。しかし実際には日本食と思われそうだが、そうではないものも少なくない。海外における寿司屋の多くは、日本人ではなく中国人や韓国人が経営し寿司を握っている。

和牛は文字通り「日本の牛」のことなのだが、日本の和牛の種をベースにしたオーストラリアのWagyuの方が「わぎゅう」としては一般的だ。

■ なぜ本場ではない飲食業者ばかりが展開拡大をするのか?

一言で言えば、本場のものは、他の地域に頑張って拡張していなかくても十分に満足なのだ。そこの裏にあるのは、本場であることのプライド、そして頑張らなくても成立する経済的事情がある。また地方にいて、品質にこだわって食事業を営む人たちにとって、東京をはじめとする都市は遠い存在でもある。したがって、こだわりを持つ本場の人たちであればあるほど、チェーン展開を進めていかないのだ。それは、グローバルという意味でも同様だ。日本は世界でもっとも豊かな国の一つだ。和牛や寿司など高価な食を食べられる人たちも多いのだ。和牛も寿司も、品質にこだわればこだわるほど、あえて海外で展開する必要性は薄かったのだ。

このように本場であればあるほど、チェーン展開をしないことが多くなった。

■ 知れば知るほど本物志向が強くなる

本場ではない飲食業者がチェーン展開の中心になっているが、その傾向は徐々に変わってくる。なぜなら、人間というものは「良いもの」「本物」を知ることで「より良いもの」「本物」志向が高まるからだ。海外ではすでにその兆候が見えている。日本の本物の寿司を知る人が増えた結果、日本の一流店の海外進出が相次いでいる。シンガポールのラッフルズホテルには銀座の名店「かねさか」ののれんわけの店がある。また名店「あら輝」はロンドンに移転することを決めた。寿司だけではない。オーストラリアのWAGYUではなく和牛を知ってもらおうというPRがアジアをはじめ、海外で展開され始めた。その評価はとても高く、これから海外で和牛ブームが広まっていくことは間違いない。

海外だけでなく日本においても「本場」「本物」志向は強まっていくことだろう。なぜなら、本場のこれからを担うのは、本場も都市も知っている若手経営者だからだ。

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■ 人気クリエイター佐藤可士和氏の起用

森永製菓の「ウイダーinゼリー(以下ウイダー)」のリニューアル失敗がニュースになった。コンセプトとデザインをリニューアルしたところ、第一四半期のウイダーの売上げが前年同期比で1割減という結果となった。従来の「エネルギー」「マルチビタミン」「プロテイン」という機能性を軸にしたラインナップを「エネルギー」「カロリーハーフ」「カロリーゼロ」というカロリー別のラインナップに変更したのだ。しかし、リニューアル4ヶ月にして早くも見直しとなった。クリエイティブを担当したのは、人気クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏だ。大手広告代理店で活躍後、独立し活躍の場をさらに広げている。ユニクロ、楽天、新国立美術館、明治学院大学、SMAPなどシンプルなデザインが佐藤氏の持ち味だ。

私は独立前の佐藤氏と誰もが知る大企業の広告コンペで戦い、勝利したことがある。勝利したポイントはクリエイティブだけでなく、マーケティング戦略をはじめマーケティングプロモーション全体での評価であり、チームを統轄し、マーケティングをはじめ戦略の根幹に関わるプロデューサーとしては安堵したことを覚えている。ただ当時、 佐藤氏はすでに飛ぶ鳥を落とす勢いだったので、強敵が出て来たなと感じていた。なぜなら戦略をはじめこちらで用意したすべてをひっくり返すほどのクリエイティブ力を佐藤氏が持っているのは明らかだったからだ。

■ 最大の失敗要因は何か?

今回、ウイダーのリニューアルを佐藤氏が担当していたことで、佐藤氏のクリエイティブを批判するコメントをインターネットで見かける。確かに、佐藤氏にも責任はあるが、佐藤氏を必要以上に批判することは筋違いだ。なぜなら、今回の森永ヴィダーインゼリーリニューアルの失敗は、戦略自体が間違っていたことが大きいからだ。

「エネルギー」「マルチビタミン」「プロテイン」というわかりやすい機能性が「エネルギー」「カロリーハーフ」「カロリーゼロ」というカロリー別のラインナップになったことは、消費者からしてみたらヴィダーインゼリーを買う理由そのものが薄れたのだ。かつて木村拓哉さんや浜崎あゆみさんがCMキャラクターとして「10秒チャージ、2時間キープ」という コピーを伝えた。10秒でエネルギー、ビタミン、プロテインという自分の現状に合わせて必要な要素を取れるものだったものが、カロリー軸にしたことで「なんのために、どんな時に」必要なものかあやふやになってしまったのだ。今回、佐藤氏はブランドコンセプトの設計からコミュニケーション戦略まで携わった。ただ、佐藤氏のクリエイティブ力は日本でも超一級の力があると思うが、コンセプトやコミュニケーション戦略は佐藤氏の領域とは少し違う。戦略面はクライアント内部に強い覚悟と権限を持った人間、もしくは戦略面を担当できる別のプロフェッショナルが責任を持つべきだったのだ。

佐藤氏はセブンイレブンで販売されるオリジナル傘のデザインリニューアルにも携わっている。その傘は晴れの日でも売れる人気商品となり話題になった。一方、コーヒーマシンのデザインにも携わったが、デザインは良いものの操作方法がわかりにくいということで不評だった。店の中には店員が操作方法のPOPを独自に作るところも出てしまったのだ。つまり、傘のようにデザインだけで売れるものと、コーヒーマシンのようにデザインだけではない点を意識しなければならないものの違いが出たのだ。デザインは優れていても、ポイントがずれてしまってはダメなのだ。

佐藤氏はユニクロのロゴを作るなどして、世界展開に大きな貢献を果たしている。 ユニクロが成功したのは、圧倒的な権限を持つ柳内正氏と、強い関係があったからだろう。これによって柳井氏の強いリーダーシップによる企業ビジョン、コンセプト、戦略を理解し、進めることが出来たから、クリエイティブという得意領域で絶大な力を発揮することが出来たという面があるだろう。「戦略」と「クリエイティブ」は表裏一体だ。正しい戦略なくして、効果的なクリエイティブは生まれない。

■ 必要以上にクリエイティビティを重視する風潮への警鐘

最近、デザインに限らず、経営においてもクリエイティビティが重要だという話を主張する学者や評論家もいる。その背景にあるのは、日本市場においては多くの業界で、従来の経営に行き詰まり感を覚えているという面があるからだ。ただクリエイティビティとは、個人の資質によるところが大きい。個人の能力をを制限すればするほど、クリエイティビティはかすんでいくが、クリエイティビティを厚遇し過ぎると、個人の感性を中心とした能力に依存してしまうことになる。

最後に、私は佐藤氏をはじめクリエイターに敬意を持っている。なぜなら、途方もない数のボツ案と時間を費やして、苦悩しながら世の中に送り出す一つのクリエイティブを作っている彼らの姿を見ているからだ。出来上がったものに対して評論することは簡単だ。しかし、モノを作り、世の中にさらし、結果を出して行くということは心身ともに大変なことだからだ。

クリエイティビティが発揮出来るかどうかの大きなポイントは「適切な戦略」と「優秀なクリエイティブ」が表裏一体になっていることである。今回のウイダーの件は、この重要な教訓を残してくれた。

■ 追い込まれた代ゼミ

代々木ゼミナール(代ゼミ)は2015年度から全27校のうち20校を閉鎖し、全国模試も行わないと正式に発表した。かつて駿台、河合塾とともにSKYと呼ばれ、受験予備校御三家だった代ゼミは、どうしてこのような状況に追い込まれてしまったのか。SKYと呼ばれた時期は「生徒の駿台、机の河合、講師の代ゼミ」と呼ばれた。歴史をたどれば、1980年代には人気講師の多くが代ゼミにいたのだが、そのポジションは徐々に東進に奪われていった。2013年、流行語大賞にもなった「いつやるの、今でしょ」の林修先生がまさにその象徴であろう。

話を校舎にうつせば、代ゼミの校舎は本当に立派だ。代々木駅前にはタワーだけでなく多くの校舎が点在する。これだけ見れば、代ゼミの調子が悪いとはそうそう思えない。しかし、近隣に住んでいる私の目から見て、最近では予備校生の姿が少なくなったと感じていた。

それはそうだろう。これから大学全入時代は加速していく。2018年問題と言われる2009年を底にして下げ止まっていた18歳以下人口が、2019年以降にますます減少に向かう。2031年までに受験者にあたる18歳の人口は約33万人、大学入学予定者も17万人減少する。そもそも大学全入時代に入り、大学の経営すら危うくなっていく中で、大学受験のための予備校の存在価値は薄くなっていくのは必然だ。

だからこそ、ここ数年で代ゼミがSAPIXを、東進が四谷大塚を買収するなど、予備校が小中学校の受験塾を買収する動きが早まった。これは小中高という囲い込み戦略というよりも、大学受験予備校だけではビジネスとして厳しくなるのが明らかだったために取られた戦略だろう。富裕層は特に教育にお金をかけることが多い。富裕層だけでなく、良い小学校、良い中学校に入るためには、教育費用を惜しまない家庭は増え続けている。価格よりも質で勝負しやすい小中受験塾を買収することは、経営のポートフォリオとしても必然だったのだ。

■ 代ゼミの最大の間違い

予備校の人気講師の年収は数千万円にもなる。代ゼミがやるべきことは校舎を立派にしたり、校舎数を増やすことではなく、人気講師をそろえ、授業の質を充実させることだった。そしてインターネット時代を踏まえて、ネットを活用した授業や生徒とのやり取りを充実させるべきだったのだ。都市部よりも地方の方が、経済は厳しい。地方の家庭が都市部に浪人生を独り住まいさせたり、寮生活に入らせることは経済的にますます負担になっている。この中では生徒に都市部に来てもらうのではなく、ネットを使って自宅でも勉強出来るシステムを充実させることが必然だったのだ。代ゼミはそれが出来ず、東進はそれをやった。1990年前後には、ある意味色物的な存在だった東進は未来を見据えてサテライト授業を充実させ、講師を充実させてきたのだ。

■ 代ゼミの未来はあるのか

やや仕掛けるのは遅くなってしまった感はあるが、代ゼミの取るべき戦略はある。それは学校経営だ。現在の学校教育に満足していない家庭は少なくない。だからこそ日本の大学ではなく、海外の大学に進学する生徒も増えている。小学校から大学まで、社会経験のない先生がほとんどなので、社会に出てより役に立つ授業をして欲しいという生徒や親も増えた。その結果、大学では経営者や著名人が教授や講師になるケースが増えた。小中学校でも社会人経験者の教員採用少しづつは増えて来た。また海陽学園のようにトヨタなど企業がサポートする学校も出て来たのだ。

”親が高いお金を払ってでも子どもに行かせたくなる。生徒が授業を受けたくなる。”質の高さがまだ能古されているならば、代ゼミは学校を買収するか、講師を派遣する業務提携を交わすなど、学校経営に携わっていくべきだ。世界で活躍できるような子どもが育つ教育プログラムを用意し、世界の各種大学と提携プログラムを持つなど、学校教育をする中で高い質を提供していくことは出来るはずだろう。

もう一つ切り口があるのは生涯教育だ。少子高齢化が進むのは必然だ。大学受験者が減る一方、日々成長したい若い社会人は増えている。そして元気な高齢者も増えている。教育産業という点においては、受験にこだわるよりも、生涯学習を意識したビジネスモデルに切り替えるべきなのだ。

■ 最後に

ここ20年以上、競合と比べて後手後手の経営判断が続き、マーケティング的にも失敗が続いた。しかし、これだけスパッとやめた以上、次の一手が競合に先駆けた一手になる可能性は残されているだろう。次の代ゼミの発表が、代ゼミの存続を決める大きな発表になるだろう。

福井県鯖江市が元気である。一般的には鯖江市は眼鏡の一大生産拠点として有名な街だ。zoffやJINSなど格安眼鏡チェーン店が台頭しようと、海外ブランドが人気があろうと鯖江市の眼鏡のブランドイメージは揺るがない。世界中で絶賛される眼鏡の街、それが鯖江だ。

その鯖江が最近、別の話題で注目を集めている。今年4月に鯖江市で発足した「JK課」。そして今年6月の「OC課」だ。

「JK課」とは女子校生によるプロジェクトである。名称には「課」とつくが市役所で働くわけではない。ただメンバーが未成年なので市役所は見守る立場となっている。その後に出て来た「OC課」はおばちゃんによるプロジェクトである。「○○課」と名称こそ同じだが、市役所の活動とはまったく関係がない。興味深いのは行政主導ではなく、「JK課」では女子校生が、「OC課」ではおばちゃんが主導して進めて行こうというものだ。すでに女子校生発案による”スイーツフェアの開催”、おばちゃん考案による”多目的トイレの改善”などすでにいくつかの例が出ている。

高校生を起用したプロジェクトや町おこし的なものは鯖江市に限らない。例えば、三重県多気郡の相可高校では高校生達がレストランを運営している。テレビ番組で話題になったり、ニュースで取り上げられたりして、今や地元のみならず全国的に有名になり、名物になっている。

■ 鯖江市の取り組みが有効である「2つの理由」

今回の鯖江市の取り組みは2つの意味でとても良い。

一つ目は”PR”効果だ。女子校生による「JK課」、おばちゃんによる「OC課」というプロジェクトが次々に出来ていることは、メディアから見て”新しく””珍しく”興味深いコンテンツだ。佐賀県武雄市が民間企業であるカルチャーコンビニエンスクラブの力を借りて図書館を再生させ地方活性化を図って成功したり、フェイスブック課という新しい部署を作ったりして、大きな話題になったことは記憶に新しい。

鯖江市の場合には、武雄市とは異なり、あくまで地元の女子校生やおばちゃんたちが自主的に取り組むという新しい形であり、これがメディア的には面白いと受け取られた。ほとんど費用をかけず話題を獲得したこ鯖江市の試みは、広告費用に換算すれば現時点でも数億円規模になっている。

二つ目は”住民の参加意識の向上”だ。「JK課」「OC課」という役割を意識することによって、そこに参加する住民達は本気になって考える。今まで政治は政治家がやるもの、つまり他人事であったのだが、自分たちにも役割が与えられることによって政治が自分事に変わったのだ。政治に対して無関心でもなく、愚痴を言うだけでもなく、自分の街を自分達が良くするという気持ちに変わった。

マーケティング的には「他人事」だったことを「自分事」にさせる過程で「ネーミング」というものが大きな役割を担うことになったと言える。

鯖江市役所が女子校生に「意見募集中」と言っていたら、今回のような盛り上がりは無かっただろう。女子校生に「JK課」というプロジェクトを預けたからこそ、女子校生に自主性を持たせることが出来た面はある。

これに似た例として、1969年に松本清(当時:千葉県松戸市長。マツモトキヨシ創業者)が「すぐやる課」という部署を市役所の中に作った。市役所が市民のために問題解決を速やかにすることは当たり前のことである。しかし今でも”お役所仕事”と言われるように、役所の仕事は遅かったり、杓子定規だったりすることが多い。そんな状況を感じていたからこそ、松本清はあえて「すぐやる課」という名称の部署を作ったのだろう。この部署を作ったことで、松戸市役所全体の職員の意識が変わったことは想像に難くない。プロジェクトにネーミングを付けることで、そこに携わる人達の意識は高まり、行動力も高まる効果が出るのだ。

■ 地方に眠るポテンシャル

残念ながら地方自治体の中には、ゆるキャラや特産物だけに安易に頼ってしまい、自己満足の域を超えられないところも少なくない。ほとんどの地方自治体には大きなポテンシャルが隠れている。それをうまく引き出す戦略作りと関係者が自主的に取り組んで行くスキーム作りこそがより大事なことなのだ。

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