マーケティングの現状と未来を語る

2014年ヤフトピに8度の記事掲載。わかりやすい裏読みでメディア取材多数。マーケティングコンサルタント。個別相談も受付中

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マイナビウーマンが22〜39歳の社会人男性を対象に「父親が大きく見えたことはありますか?」というアンケートを行った。「はい」と答えた人が38.6%、「いいえ」と答えた人が61.4%となった。なぜ、日本の父親の存在感は小さくなってしまったのだろうか。

■ 「はい」と答えた人の内容とは?

「はい」と答えた38.6%の人の理由には「退職を迎えた時」「顔が広い時」という理由が上がった。そもそも、父親が大きく見えると答えた人達の割が半数以下と残念な結果なのだが、この結果をみて私はさらに残念な印象を受けた。

私が残念に感じた理由は「退職を迎えた時」や「顔が広い時」は日常時ではないからだ。退職することになって初めて父親の偉大さを知ったり、有名人と知り合いだったり、就職活動において手助けをしてもらったりということは日常生活の中で感じる偉大さではない。つまり、普段の生活では、父親の大きさを感じる場面は少ないということだ。創考えると、普段から父親の大きさを感じている人は、ほんの一握りということが見えてくる。

■ なぜ日本の父親は小さくなってしまったのか?<給料の銀行振込化>

第二次世界対戦前から戦後すぐまで、日本人家庭において父親は絶対の存在だった。その存在感が小さくなってきたのはいつからなのだろうか。

正確な記録ではないが、1970年〜1980年くらいまでは給料の手渡しはあった。国民的アニメ「さざえさん」でも、お父さんやマスオさんが給料をお母さんやサザエさんに手渡しするシーンも描かれている。また野球の世界でも、巨人軍の王・長嶋選手が折り曲がらないほどの札束の給料をポケットに入れていたというエピソードが残されている。

1980年代になると、企業が支払履歴をデータで残すという意味からも、給料の振込が一般的となった。これによって、お父さんがお母さんに給料を手渡しして、お母さんが「ご苦労様でした」と労うシーンが消えた。逆に、銀行口座を把握し、家計を管理するお母さんがお父さんにお小遣いを渡したり、「給料が増えないわねね」といった言葉を発するようになった。つまりこの頃から、父親と母親の関係性が逆転し始めたのだ。

■ なぜ日本の父親は小さくなってしまったのか?<CMに反映された父親像>

1984年に流行した有名なCMが登場する。禁煙パイポという製品のCMだ。2人の中年サラリーマンが「私はこれでタバコをやめました」と禁煙パイポを見せる。その3人目のサラリーマンが小指を立てて「私はこれで会社を辞めました」と言うものだ。このCMは社会的な話題となり、1985年の「新語・流行語大賞」の流行語部門・大衆賞にも選ばれた。この頃からCMにおいても、お父さんの存在感が低くなったことを反映するものが増えていく。

そして1986年、有名なCMが登場した。大日本除虫菊(金鳥)の「タンスにゴン」のCMだ。主婦達が「タンスにゴン、タンスにゴン、亭主元気で留守がいい」と言うものだ。父親は夜遅くまで働いて家にいない方が良い。ただ元気に働いて給料だけは持ってきて欲しいという趣旨のCMだ。 ちなみに現在は「亭主」という言葉は性差別という観点で放送禁止用語だ。

■ 「バブル」から「バブル崩壊」へ

第二次世界大戦後の日本の復興は1991年のバブル崩壊まで続く。父親の威厳がなくなるという意味では、特に1980年代のバブル時代には注目だ。アッシー君、メッシー君、ミツグ君という言葉をご存知だろうか。アッシー君とは自家用車で女性を送り迎えしてくれる男性のこと、メッシー君とは食事を御馳走してくれる男性のこと、ミツグ君とは贈りものなどをくれる男性のことだ。バブル期には女性の力が強くなった。アッシー君、メッシー君という言葉は、状況によって複数の男性との付き合い方を選べる女性の立場を物語るものだろう。結婚相手としても3高(高い収入、高い学歴、高い身長)が求められ、良い女性と結婚するために男性は努力をする時代だった。

バブルが崩壊すると、日本のサラリーマンにリストラの風が吹いてきた。父親たちは会社にリストラされないようにと考えるようになった。リストラされてしまったら、それこそ家庭での立場はない。家庭において父親が威厳を示す場所などなくなってしまったのだ。

今まで述べてきたように、約50年に渡り父親の威厳は低下し続けてきた。それは単なる一つの出来事によって起きたことではなく、いつものムーブメントが連なって辿り着いたものなのだ。

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