マーケティングの現状と未来を語る

2014年ヤフトピに8度の記事掲載。わかりやすい裏読みでメディア取材多数。マーケティングコンサルタント。個別相談も受付中

広告の将来

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最近、アニメCMが増加している。アニメCMと言ってもアニメ番組の宣伝のCMではない。アニメーションCMだ。ここ最近、アニメCMが増加している理由はなんだろうか。広告業界の事情を踏まえて、ご説明したい。

■ なぜ、広告への注目率は低下し続けてきたのか?

ここ数年、広告への注目度は低下し続けてきた。そもそも最初は、新聞、雑誌、テレビへの注目度が低くなったことで広告への注目度が低下した。情報が増え過ぎたこと、内容がつまらなくなったことなど複合的な要素が重なり、メディアへの注目度が低くなり、それとともに広告への注目度が低くなったのだ。それに続きスマホの波が押し寄せる。携帯電話とりわけスマホの登場は、人々とメディアの関わり方を大きく変えた。人々は何をするにもスマホありきの行動となったのだ。テレビを見ていても主役はスマホ、街に出ても主役はスマホだ。当然だが広告への注目率はさらに低くなった。東京の地下鉄では、少なくても50%、多い時には80%の乗客がスマホを操作している。LINE、facebook、twitter以上に最近ではゲームを楽しんでいる人も多くなった。

■ 広告への注目率低下に広告業界はどう対応してきたか?

広告への注目率が低下し始め時に、広告主・広告会社など広告関係者が進めたことは、CM内容の変更だ。注目されない広告への注目度を高めるために、CMでは商品名を連呼したり、声を大にしてメッセージを伝えるものが増えた。一方的に騒がしいメッセージを伝えられて消費者が喜ぶはずはない。結果的に、試聴者はますますCMから距離を置くようになったのだ。

注目率が落ちたと言えども、一瞬で1000万人以上に届けられるテレビCMは広告主にとって魅力的な情報伝達手段だ。CMへの注目率は落ちたが、内容を見直すことで再び効果
を上げようという動きが出てきたのだ。それが、同時期に複数の人気俳優・タレントを起用するというものだ。その最たるものが、資生堂が行ったTSUBAKIのCMキャンペーンだろう。仲間由紀恵、上原多香子、黒木メイサ、香里奈、武井咲、荒川静香、滝川クリステルなど入れ替わりはあれど、最高時には12人を同時起用する前代未聞のキャンペーンだった。それまで広告業界で人気俳優を起用する時には、ピンで起用することが基本だった。広告主が望むと望まないに関わらず、タレント事務所が複数同時起用には難色を示していたのだ。ドラマでも出演者ロールの序列にこだわることも往々にしてあるのだから、CMでの複数同時起用に難色を示すのは当然と言えば当然だ。

人気俳優・タレントの複数同時起用が成功したのには、いくつか理由がある。一つは広告主側の要望が強くなったこと。もう一つは、ドラマ出演費などが低下傾向にあったため、事務所側がCMで稼ぐ必要が出てきたこと。そして資生堂の場合であれば、資生堂のCMに出演することのステータス感であり、ドコモを始めとする他のケースは、CM内容がドラマ仕立てに変わったことで、露出病数や露出序列ではなく、それぞれの出演者に別の役回りがあてられたことが挙げられる。こうした理由が重なった結果、人気俳優・タレントのCM複数同期起用が実現したのだ。

ただし、このようなやり方が出来るのは、NTTドコモ、ソフトバンク、auのような携帯電話会社、トヨタのような自動車会社、資生堂を始めとする化粧品会社など広告主の中でも多額の広告費を使える企業だけだ。多くの企業は、このようなやり方は出来なかったのだ。

■ アニメCMが増えた背景

複数同時起用のCMは今でも一定の注目度を集めている。ソフトバンクの「白戸家」シリーズ、サッポロビールの「未来エレベーター」などに注目している視聴者もいるだろう。ただ前述の通り、多くの広告主はこのようなやり方は出来ない。結果として、多くの広告主は、ここまで広告費をかけずに注目される方法がないかどうかを模索していたのだ。アニメCMが増え始めたのは、俳優・タレントを使わずとも注目される可能性を感じたからだ。

一例を紹介しよう。





おそらく、これからもっと多くの広告主がアニメを活用してくることだろう。世界に誇るアニメ大国であり、特に若者の生活の中にアニメが溶け込んでいることを考えれば、遅すぎた時代の流れとも言えるのだ。

1,2年先には、CMから日本を代表するアニメーターが出現し、世界で活躍する時代が来てもおかしくはないだろう。

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1月2日、第91回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)の往路が行われ、昨年総合第5位の青山学院大が往路初優勝を果たした。2位は明治大、3位に東洋大が入り、優勝候補の大本命と言われた駒沢大は4位となった。明日の復路、2位に約5分の差を持って青学はスタートし、総合発優勝を狙う。

私は5年以上、箱根駅伝の復路応援をしており、今年も応援に行く。自分と関係のある大学を応援することは勿論なのだが、一生懸命にゴールを目指す全ての選手を応援したくなるのだ。私が生で箱根駅伝を見たのは、今年で監督を退任する渡辺康幸早稲田大駅伝監督の選手時代なのだが、そのスピードに驚いたものだ。その後、渡辺さんと食事などご一緒する機会があったのだが、学生だった渡辺さんが、ある時間になると「帰ります」と言っていたのが印象的だ。理由を聞けば、毎夜の日課であるランニングをするということで、約20Km走るということだった。どんな場面であろうと、自分で決めたことを必ず遂行する意思の強さと実行力に、さすが一流選手は違うと感じたものだ。

今年の往路優勝、青学。1区の久保田君、2区の一色君、3区の渡邉君が好走し、4区の1年生 田村君は区間新の記録。そして駒沢大に次ぐ2位で5区の神野大地君に繋いだ。神野君はあっという間に駒大を抜き去り、圧倒的な差をつけてゴールした。今年は函嶺洞門の補修のためコース変更があり5区は参考記録ということだが、山の神と言われた柏原さんの記録を時点時点で抜いていたことを考えると、まさに新山の神誕生と言えるだろう。名前も「神野」、明日の新聞一面も「山の神野」という文字がデカデカと出ることだろう。

神野君は、跳ぶような走り方で、最初から凄いスピードで走り始めた。そして、そのままのスピードで山を登り、山を下った。解説者ですら、神野君の最初のスピードを見て、まだ先が長いのでわかりませんよと言っていたが、彼はそのままゴールした。神野君がゴールした後の楽しそうな姿や青学選手達のひょうひょうとした優勝インタビューを見ていると、青学らしいスマートな印象を受けた。ただ、かつてスマートな顔立ちで颯爽と走っていた渡辺康幸さんが、密かに誰よりも強い意志と行動力で努力をしていたように、神野君も青学の選手達も、楽しそうだったり、ひょうひょうとした様子の裏で、密かな努力を続けてきたことは想像に難くない。もちろん、全チーム、全選手がそれぞれの努力を重ねているだろう。ただ、青学の姿を見ると、今までの体育会にはない新しい時代のスタイルが感じられる。さて、明日の復路、この雰囲気のまま青学が初の総合優勝を果たすことが出来るか、本当に楽しみだ。

最後になるが、全選手が自分の納得いく走りが出来ること、怪我がないことを祈りたい。

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2015年1月3日追記:
復路が終わり、青学が初の総合優勝を果たした。印象的だったのは、走り終えた青学のどの選手も笑顔だったり、颯爽と歩いていたり、ガッツポーズをしていた。疲れを見せたり、真面目な顔をするのではなく、終始明るい雰囲気だったのは、他の強豪校にはない青学らしさだったように感じる。これがプレッシャーに負けずに、かつてない記録を打ち出した原動力だったのだ。走力だけでなく、この雰囲気を作った指導者である原晋監督の手腕は、スポーツ関係者のみならず、企業経営者やマネージャーにも参考になる部分は大きい。

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新年あけましておめでとうございます。2015年が始まりました。皆様方にとって素晴らしい一年間になることを陰ながらお祈りいたします。

新年第一号として、2014年12月31日に行われたNHK「紅白歌合戦」を感じたことについて書きたいと思います。2014年の「紅白歌合戦」はとても印象的な仕掛けがたくさんありました。その中でも、特に印象に残った”5つの仕掛け”について説明していきたいと思います。

■ 「事前の盛り上げ」戦略

まず1つ目の仕掛けについて。今年はNHKが紅白歌合戦を事前から大々的にアピールしてきたことが印象に残った。東京メトロ等で大々的に実施した電車内中吊広告では、出場歌手ラインアップを伝えるだけでなく、「歌おう、全員参加で」というコンセプトを全面に打ち出した展開が目を引いた。

趣味嗜好の多様化が叫ばれ、家庭ではテレビが複数台になるだけでなく、スマホの普及によって、テレビそのものへも注目度が低くなった現在。NHKはもう一度、お茶の間に家族を集めたいというコンセプトを「紅白歌合戦」に置いたのだ。この打ち出し方を見れば、出場歌手だけでなく、他の出演者においても老若男女に人気あるものを集めるだろうと予測できた。

余談だが、今年の紅白歌合戦、北島三郎さんが抜けた結果、白組のトリは嵐、 紅組は松田聖子さんになった。出演歌手はAKB48,HKT48などAKBグループやEXILE,E-GirlsなどEXILEグループ、嵐やSMAPなどジャニーズグループで全出場歌手のうち20%(出演者数にすれば半数以上)になるほど、若者を意識したラインナップとなった。家族に団欒を取り戻そうとすれば、従来よりも若年層に支持されている歌手を増やすのは当然の戦略だろう。

■ 1つ目の仕掛け「松でもMay Jでもない”アナ雪”」

「歌おう、全員参加で」と言われて、2014年にもっとも該当するのは「アナと雪の女王」の挿入歌「Let it Go」だろう。NHKにおいても全員参加で歌おうというフレーズの通り「アナと雪の女王」がかなりフィーチャーされた。ニューヨークのスタジオからは神田沙也加さんとイディナ・メンゼルさんが競演した。渋谷のスタジオでは、親である松田聖子さんが涙ぐむというシーンが印象的だった。日本人と外国人、親と子、まさに全員参加をアピールする意味では良い演出だった。May J.さんや松たか子さんが歌う以上に、この仕掛けは成功だったと言えよう。

余談だが、松田聖子さんにとっては、親の七光りではなく子ども自身の力で、神田沙也加さんが遠くニューヨークから歌っている姿を見られたことは、自分自身が紅白歌合戦のトリを初めてつとめる以上に嬉しかったことが伺えた。

■ 2つ目の仕掛け「テレビ東京放映中の”妖怪ウォッチ”」

2014年のヒットコンテンツの東の横綱が「アナと雪の女王」とすれば、西の横綱は「妖怪ウォッチ」だ。通常「妖怪ウォッチ」をテレビ放映しているのはテレビ東京だが、そのコンテンツがNHKに登場した。しかもチョイ出演ではなく大々的に出演した。「妖怪ウォッチ」のキャラクターであるジバニャン、コマさん、フユニャン、ウィスパーなどが出てきて司会である嵐と絡んだり、多くの出演者がダンスを踊るようなシーンもあった。人気コンテンツであれば、他局のコンテンツでも遠慮なく使うという今年の紅白歌合戦にかけるNHKの仕掛けがここにも感じられた。

■ 3つ目の仕掛け「フジテレビで話題になった”タモリ”」

通常であれば、サブの出演者としてはもっと注目されても良いふなっしーや流行語大賞を取った「ダメよ〜、ダメダメ」の東京エレキテル連合なども出ているのだが、2014年の紅白歌合戦ではサブのサブ的キャラクターになった。例年にない大々的な仕掛けの中では、例年のお約束メンバーですらさらに脇においやられる程だった。

審査員もインパクトがあった。尾上松也さん、山中慎弥さん、蜷川実花さんなどに加え、約50年前の司会を務めたことのある黒柳徹子さん、そして2014年フジテレビ「笑っていいとも」に終止符を打ったタモリさんの姿もあった。このタイミングでタモリさんを審査員に起用するのは、間違いないなく「いいとも」を止めたことによる話題性だ。NHKはそこをしたたかに活用したのだ。

■ 4つ目の仕掛け「40〜50代を取り込むための”中森明菜”」

中森明菜さんと言えば、松田聖子さんと並び1980年代を代表するトップアイドルだった。いろいろなことがあり、ここ最近表舞台から遠ざかっていたが、久しぶりに海外のレコーディングスタジオからの出演を果たした。本格復帰を目指す中森明菜さんにとっても重要な機会だったが、NHKにとっても重要な機会だった。

なぜなら、演歌の好きな中高年層の方々には細川たかし、五木ひろし、石川さゆりさん、美輪明宏(シャンソン)などがいる。若者にはAKBグループ、EXILEグループ、ジャニーズ、きゃりーぱみゅぱみゅがいる。その中間層として40歳過ぎのお父さん、お母さん層には松田聖子さんだけでは数が少ないので、薬師丸ひろ子さん、中森明菜さんを揃えたのだ。NHKとしては、話題性を作るため、中森明菜さんはどうしても出演させたかったのだろう。視聴者が中森明菜さんをどう評価したのかはわからないが、中森明菜さんが出演することを知ったことにより紅白歌合戦を観ようとした人達がいたのは事実だろう。

■ 5つ目の仕掛け「完全サプライズ登場”サザンオールスターズ”」

6つ目の仕掛けはサザンオールスターズだ。話によれば2日前まで出場が決定しなかったサザン。桑田佳祐さんではなく、サザンとしての出場は31年ぶり。メンバーの病気による活動休止を乗り越え、31年ぶりにサザンとして紅白歌合戦に出演することはサザンにとっても、NHKにとっても大きな意義があったのだろう。

ただ進行側とすれば、サザンが出るか出ないかによって演奏順も変われば、段取りも変わる。映像、音響、証明、演出他、サザンと司会とスタッフ間の調整だけでなく、他の出演者にも影響を及ぼすものだ。おそらくNHKはサザンにどうしても出演してもらうために、ギリギリまで交渉を続けたのだろう。結果としてサプライズ出演は大成功となった。

「ピースとハイライト」など、社会風刺的な歌も含めて、NHKはOKと判断して出演を依頼したことが推測される。ちなみに、同時間帯にWOWOWが裏でサザンライブを中継していた。以前、テニスの錦織選手のグランドスラム時にNHKの中継を急遽認めたことがあるように、今回もNHKに塩を送った形だ。ある意味、WOWOWの懐の深さには拍手を送りたい。

■ 数々の不可能を可能にした仕事の秘訣

実は12月に入って、ある筋から今年の紅白歌合戦はいろいろと準備が長いという話を聞いていた。これだけ多彩な出演者やコンテンツならば準備期間が長くなるのは当然のことだ。ただ、NHKは直前ギリギリまで調整を図り、最高のものを作ろうとした。その”事前準備の周到さ”と”思いの強さ”そして”出演者へのメリット作り”によって、通常であれば動かない人達まで動かすことが出来たのだ。

コンテンツが良いからと言って、いきなり視聴率が上がることはない。ましてや多様化する人々のライフスタイルやテレビ試聴スタイルが変わることはない。ただ、もの作りに関わる人達は、常に最高のものを求めることが重要であり、その継続が人々を動かしていくものだ。今回の仕掛けの数々は面白いことに、Twitter上で「やっぱり紅白凄いなあ」というつぶやき、上記のような仕掛けに対するつぶやきなど多くの反響が見られた。この現象を見ても、NHKの取り組みは間違っていない。2015年の紅白歌合戦、NHKがどのような仕掛けをしてくるのか見物だ。

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2015年1月3日 追記:
紅白歌合戦の視聴率が発表された。午後9時からの第2部は42.2%と前年比2.3%減。7年連続で40%超えを達成したものの、サッカーW杯「日本vsコートジボワール戦」に敗れて年間第2位となった(ビデオリサーチ調べ)。ただ、これは悲観的になる必要は無い。紅白歌合戦の対W杯視聴率では1998年のフランス大会以降5回連続で敗れている。若者を取り込み、老若男女を取り込むための最初の仕掛けとして42.2%は上々の数字だ。サザンが予告無しの出演をしたり、中森明菜が中継とはいえ久しぶりに出演した。このようなサプライズがあるということが若者に伝えられたことで、2015年の紅白にこそ、今年の仕掛けの成果が出てくるだろう。

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昨年くらいから、Xmas時期になると、サンタの衣装を着たバイクの集団、自転車の集団が都内の道路を走っている姿によく出会う。ゆっくり走りながら歩道の人に手を振ったりしている。率直に言えば、迷惑だ。

都内の道路はせまく、年末はただでさえ交通量が多い。物流のトラックが増え、車に乗る人が増え、タクシーに乗る人が増える。その上、昨今の自転車ブームのため、車道の脇だけでなく、車と車の間をすり抜けて行く自転車も多い。ここ1、2年の都内の道路事情は悪化の一途をたどっている。特に、車を運転する人にとっては、いつ事故を起こすかもしれない恐怖を持っている人も少なくない。いかに自分が正しい運転をしていても、対自転車、対人の場合、車の責任は大きい。こんな状況で、自動車メーカーが自動車を買いましょうと言っても、若者だけでなく中高年層も「いや、やめときます」と言うのは決して不思議なことではない。

このような状況で、さらなる渋滞と他のドライバーの運転に不安を与えるサンタファッションでのXmas走行。沿道の人も決して歓迎している人ばかりではない。このXmas走行はやめてもらいたいという人は少なくないのではないだろうか。やっている本人達ばかりが楽しいだけではダメだ。周りに配慮をすることは、人が生きていく上で重要だ。

最近、こういう自己満足的な志向が日本人の中に増えている。時に人は騒ぎたくもなるし、羽目を外したくなることもあるだろう。「やってしまった」という経験は誰にでもあることだし、ある意味、人が成長する上で必要な部分もあるだろう。

だからこそ、良い大人はXmas走行が迷惑をかけていることにそろそろ気づいてやめるようになって欲しいのだ。警察や行政の規制が入る前に、自分たちで考えて「やめる」という結論を出して欲しいのだ。それが大人というものだし、結果として社会の許容性を高めて、ギスギスしない社会に繋がる。

サンタの衣装を着たXmasパーティーは、人に迷惑をかけない場所で思いっきり楽しんでもらいたいものだ。

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世界的にCDが売れない時代が続いている。そしてアメリカではダウンロード販売も頭打ちになった。ミュージシャン、スガシカオさんは「ダウンロードだと製作費が全部赤字、CDを買って欲しい」とも発言した。日本においては、ライブは活況だが、ライブの入場料だけでミュージシャン・音楽ビジネスが成り立つようなビジネスモデルにはなっていない。今の音楽ビジネスで大きな利益を得るための手段は、コアなファンに対してのグッズ販売なのだ。その意味では、CDにいろいろなおまけをつけたり、ジャケットデザインを数パターン作ることもグッズ販売の延長線上にあるとも言える。

なぜ音楽ビジネスは、このようなビジネスモデルになってしまったのか。

CDが売れなくなったり理由にダウンロード販売を挙げる人は多い。確かにその面もある。しかし、CDに変わって主役となったはずのダウンロード販売も頭打ちになっている事実を見て原因を語る人は少ない。

その理由について私なりに説明したい。

音楽ビジネスが頭打ちになり、現在のビジネスモデルでもがいている理由は、ダウンロード販売にあることは確実だ。ただ、それはCDからダウンロードへと販売形態が変わったことではない。ダウンロード販売において、曲が切り売りされたことだ。iTunesでは1曲が300円程度で購入できる。シングルCDの時には1000円弱程度かかっていたものが、かなり安い金額で購入可能だ。これはパッケージで届けるか、データで届けるかの違いがあるため、シングルだけでなくアルバムにおいても同じことだ。当然だが、ダウンロード販売の方が安く購入できる。しかし、アルバム1枚が3000円→2000円になるのと、シングル1枚が800円→300円になるのでは大きな違いがある。この価格差とお財布のことを考えれば、よりコストパフォーマンスに優れたシングルを購入してしまうのは普通のことと言える。

ダウンロード販売によって、楽曲がアルバムよりシングルで購入しやすくなったため、人々はランキング上位曲、ヒット曲、耳にしたことがある曲、つまりわかりやすいシングルを多く聞くようになったのです。

ミュージシャンがアルバムを作る意味は大きい。一つのアルバムの中に入れる楽曲それぞれに意味を持たせ、全体の流れに意味を持たせる。アルバムだからこそ伝えられるメッセージ、作り手の思いは必ずある。聴く方も最初はわからなくても、何度も聴いているうちに、作り手の思いがわかってくるのだ。なぜ1曲目はこの曲で、なぜ2曲目がこれでというストーリーが見えてくる。それだけでなく、一般的には知られなていない曲が、その人のベストソングであることを発見することもある。

実は、このシングルダウンロードのトレンドが、作り手が本来持っている”強い思い”や”音楽感”や”多様性”を失わさせているのだ。この結果、音楽の奥深さや楽しさを知る機会が激減しているのだ。CDも売れない、ダウンロード販売も伸びない、つまり音楽業界が頭打ちになっている本当の理由はここにあるのだ。

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