マーケティングの現状と未来を語る

2014年ヤフトピに8度の記事掲載。わかりやすい裏読みでメディア取材多数。マーケティングコンサルタント。個別相談も受付中

広告の将来

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宣伝部や広報部のマーケティングコンサルティング、プロモーションプランニング、経営者が企業経営にマーケティングを最大限活用するための土壌作りのコンサルティングを手伝う中で、最近とくに思うことがある。そして、講演などで話したり、コンサルティングをすることがある。

お客さまとの関係構築についてだ。

電通をはじめ、大手広告代理店が日本の広告業界を引っ張ってくる中で、広告というものは長らくテレビCMを流したり、新聞や雑誌広告などに出稿したり、バナー広告を掲出したりするものだった。簡単に言えば、その時々で広告を打って来た。一回あたり、その広告費は数百万円から数億円に及ぶ。そして、その多くは瞬間瞬間の広告として消えていった。確かに、ブランドイメージや認知度の向上、そして販売促進への貢献という効果はあるのだが、常に広告を打ち続ける必要があった。

時代は変わった。もっとも大きなポイントは、消費者の購買行動の中で、口コミとネットを重視する人が多くなったことだ。今までの広告とネットの大きな違いは次の2点だ。

一つ目は、企業が発信する情報の信頼性よりも、口コミを重視する人が増えた。

二つ目は、ネットが重視されるようになり、情報は消えるものではなく、蓄積出来るものになった。

つまり極論を言えば、口コミを集めた情報サイトのようなものが重要になったのだ。

すでに、カカクコムやアマゾンのレビューは、消費者の購入過程の中ではかなり重要視されているが、その流れを企業側も意識する時代になったのだ。

どんな企業にも、企業やブランドに熱心なユーザーやファンがいる。そういう人を大事にしたり、育てたりすることが重要になって来たのだ。企業は一つ一つのプロモーションの質を高めて、ユーザーやファンへのホスピタリティを高めるのだ。すべての消費者にホスピタリティを高める必要は無い。詳しくは、別の機会にブログを書こうと思うのだが、全ての人に万遍なく対応するのではなく、大切なユーザーやファンを見て対応した方が良い。多少の波風は立っても、企業のことを本当にわかってくれるユーザーやファンの方を、より向く形で進めた方が良い。そうして、企業のことを純粋に理解し、わかってくれ、時には厳しい助言をしてくれ、そして他の方々に企業やブランドのことを推奨してくれるアンバサダーが育っていく。

ホスピタリティを高め、アンバサダーを育てていく。アンバサダーが増えることで、アンバサダーが発信する情報が、ネットにおいて蓄積されていくのだ。これは数百万円から数億円かけるようなプロモーションではない。お金をもらって動くのはアンバサダーではない。したがってプロモーション費用は運営費程度で、広告費用はほぼゼロになる。

大企業はもちろん、中小企業も理解し、活用出来るやり方だ。「ホスピタリティ」「アンバサダー」を中心にしたマーケティング戦略の導入を検討してはいかがだろうか?

阪急阪神ホテルグループでのレストランメニュー偽装に始まり、多くのレストラン、食品で、偽装表示や誤表示が発覚した。これらの企業のコンプライアンスはどうしてしまったのか?日本人のモラルはどうしてしまったのか?と残念でならない。誤表示だったとしても、関係者全員が気づかないという方がおかしい。そうなってしまっている時点でシステムだけでなく、関わる人の仕事への意識が足りないのではないかと思うのだ。

最初に問題の発覚した阪急阪神ホテルは社長が辞任する事態となった。企業不祥事が起きたときのPRの鉄則は、事実を包み隠さず、出来るだけ速やかに公表することだ。阪急阪神ホテルの前社長は、最初の会見で、いかにも自分たちは悪いことをしていないという態度で会見してしまった。これで、世間の批判に火をつけてしまった。その後、多くの企業で次々に不祥事が発覚したが、社長辞任という事態に追い込まれたという話は聞かない。その意味で、初動の会見を失敗してしまったことが決定打となってしまった。

さて、企業不祥事がおきたときのPRの鉄則は、事実を包み隠さず、出来るだけ速やかに公表することだと書いた。次々に出て来た企業の中には、相次ぐ不祥事に社内調査を行い、速やかに結果を公表した企業もあるだろう。しかし、本当にそれだけだろうか?

企業の中には、偽装表示や誤表示の相次ぐ発表を見て、今ならば大問題にならないと判断して、公表に踏み切った企業もあるのではないかと思う。自分たちのやっていることに気づきながら、気づかれないうちは良いだろうと考えていた企業が、これを良いタイミングとして公表したということは本当に無いのだろうか。

メディアはニュースバリューを求める。最初に公表した阪急阪神ホテルやリッツカールトン大阪の時には大きく報道をしたが、その後に続く同じような発表に対しては、メディアとしたらバリューが低いと判断して扱いを小さくしていた面は否めない。企業が批判され、糾弾される部分は、公表の時期ではなく、やっていた内容に対してあるべきだ。今回の件をふまえてメディアも反省し、今後は公正な報道を
心がけて欲しいものだ。

そして、マーケティングコンサルタントとして言いたいことがある。今回のように、不祥事が相次いで発覚するにつれ、どんどん不祥事を公表する企業が増えていくのは望ましいことではない。不祥事発表の流れの中に埋もれれば、一つ一つの企業は目立たなくなる。確かに、それで企業のブランドイメージへの影響は最小限に抑えられる面はある。しかし、企業にはそうした姑息なやり方はして欲しくない。その場は乗り切れたとしても、そのような考え方が根底にある企業は、いつかもっと大きな不祥事を起こすのではないだろうか。

私は、PRを含めマーケティングの大きな役割には、企業の持続的発展をサポートしていくこだと考えている。そのためのブランド作りであり、利益向上のためのプロモーションなのだ。企業の持続的発展に繋がらない、その場しのぎのPRは、本当の意味で企業のためにならないのだ。

今回の件では、企業だけでなく、メディアも、広報サポートに携わる企業も、自分たちのこととして考えるべき重要なことなのだ。
最近、ビッグデータという言葉がビジネスの世界で流行っている。様々なデータを集めることで、もっとマーケティングに活用出来るデータにしようというものだ。それは、個人のデータを統合して、より個々に合わせたマーケティングを展開出来るかもしれないという意味でも期待されている。

率直に言えば、ビッグデータはバズワードの域を超えない。

確かにデータを集めれば、それなりにまとまったデータになる。データの量は少ないよりは多い方が良いのも確かだ。ただ、データはデータでしかない。現在でも、データをもとに評論する人たち、コンサルする人たち、広告のマーケティングをする人たちは、データを読むときには、それぞれの意図があってデータを読んでいる。メディアなどがニュースでデータを取り上げる時には、データの調査手法を含む背景は無視され結果だけを見て話が展開される。そこから導きだされる結果は、結局のところ恣意的なものなのだ。ビッグデータになっても同じことだ。ビッグデータになったから、今までと飛躍的に異なる結果が得られるかということはない。

もう一つ懸念点がある。それはビッグデータは過去のデータである。確かにアマゾンなどは過去のデータや他のユーザーのデータを統合することで、ユーザーにふさわしいレコメンドを提供する。それは効果的なこともあるが、必ずしも当てはまるものでもない。少なくとも、私や私の友人、知人はレコメンドによって購入した商品はない。他のケースも同じだ。ビッグデータになっても、その流れは変わらない。

情報過多の時代、基本的に人々は情報を遮断する。そして、日本人は情報にも、製品にも、サービスにも飽きてきている。飽きている人の思考の延長線上に、情報をいくら提供しても、人々の心も、言動も動かすことは本当に難しいのだ。

人々の心や言動を動かすのは、あくまで驚きや気づきや感動のようなものだ。広告やPRを含むマーケティングに携わる人は、ビッグデータを参考にすることはあっても、必要以上に踊らされないよう、少し注意して取り組むべきだろう。



◆ 増え続ける、キャッチコピー

世界で一番美味しい朝食のレストラン
世界一優れたサービスのホテル
ブログで大反響、業界で大絶賛の○○
ビジネスマンが知っておくべき最低限の○○
○○○を実現するための10の法則
20代で学ぶべき△△△

このようなキャッチコピーは、世の中いたるところに溢れている。増えた理由は、情報が増え続けているからだ。情報が増え続ければ、注目を浴びるために、より強い言葉が必要になる。その結果、比較表現や数値表現など、誰から見ても基準としてわかりやすいキャッチコピーが流行るようになった。

◆ なぜ、比較表現や数値表現がますます流行るわけ

比較表現や数値表現がますます流行る背景にはメディアの存在がある。かつて小泉純一郎元首相は歯切れの良い言葉を連発した。それはテレビのニュースで取り上げられる秒数から逆算して、常にそのメッセージだけが伝われば良いという観点のもとに作られた。

そもそもテレビが政治家から人気が出た理由には、 新聞と違って、自分の言葉がそのまま伝わるからというものだった。いつの間にか、テレビも編集という作業によって、発言者の意図ではなく制作者の意図で言葉を切り取るようになった。その結果、発言の意図を伝える上で誤解を生じることも増えてきた。小泉元首相は、誤解が出ないように工夫したのだ。

テレビだけの話で言えば、この編集を嫌う政治家や人たちが、自分の言葉を伝えようとニコニコ生放送や自分のブログやSNSなどを活用するようになってきた。それは、また別の回で書きたいと思う。

◆ SNSの登場

短い強い言葉が好まれる傾向が加速したのは、SNSの影響も大きい。140文字で伝えるTwitterがその例が。短く強い言葉で興味をかき立てリンク先に飛ばす。キャッチコピー作りが大事になった。

◆ 軽くなる言葉の価値

率直に言って、言葉の価値が軽くなった。いくら、すばらしいキャッチコピーを並べられても、実際にはそうでもないというケースがかなり多くなった。短く強いキャッチコピーを作り、それをもとにネットで拡散する。拡散するのは、質ではなく量だ。ネットでの繋がり、Twitterであればフォロワーの多い人がどんどん拡散していった。結果として、なんとなく流行っていたり、凄そうなイメージがつくという構造だ。ネットで流行っているからと、目利き能力を失いつつあるテレビや雑誌の制作者が飛びつく。こうして、なんとなく世の中で流行ってしまうのだ。ただ、もとをたどれば、実は中身はなんと言うことの無いものが本当に多い。

◆ キャッチコピーを疑う

このような構造を理解し、キャッチコピーを疑うことが、今そしてこれからの能力として問われる。「世界一美味しい朝食」と聞いて飛びついて流されるのではなく「本当か?」と疑う。「20代で学ぶべき○○」と聞いて納得するのではなく「本当か?」と疑う。昔と違い、今は多くの場合で、そうではないことに気づくはずだ。

キャッチコピーを真に受けない力。その力は、キャッチコピーに従って得る知識よりも、はるかに自分の力を高めてくれるはずだ。
雑誌「広告批評」の主宰、初代編集長の天野祐吉氏が亡くなられた。ご冥福をお祈りしたい。

「広告批評」は1979年に発刊された月刊誌だ。広告業界に身を置くものならば、必ず毎号読むものであり、私も毎号欠かさず購入して読んでいたものだ。

「広告批評」の内容は、グラフィック広告、テレビCM広告などの紹介ともに、キーパーソンへのインタビューもある。「広告は文化」という理念のもと、広告に関して幅広い内容を掲載していた。広告とは単にモノを売るだけでなく、楽しいものであったり、社会のためになるものだという意識がそこにはあった。それは、主宰である天野祐吉氏の静かながら、強い思いがあったからだ。

つまり、「広告批評」の意義とは、業界や世の中に対して常に広告の必要性や意義を問い続けていていたことだった。マスメディアが勢いを無くすのと足並みを揃えるように「広告批評」は2008年に休刊した。それと前後して「宣伝会議」が広告関係者の必須本になっていくのだが、「宣伝会議」は広告主や広告代理店の人間に、より効果的な宣伝手法、販促手法、PR手法を伝えたり、講座を通じて教えることが中心だ。

「広告批評」はさまざまな問題提起をしているが、その中で印象的な問題提起がある。それは原発についてだ。1987年6月号の「広告批評」では、こう伝えている。

「原発の事故がもし起こったら、絶対安全を売り込んでいる原発の広告はどうするつもりなんでしょう。やせ薬の広告がインチキだったとしても「ウソツキ!」「ゴメン」でまあすみますが、チェルノブイリ級の事故が起きたら日本は壊滅状態ですから「ゴメン」で済む問題じゃありません.,,,,,,,」

今から約30年前、すでにこの1987年の原発関連広告費は、チェルノブイリ事故が起きた1986年の約120億円を超えて約150億円となるわけですが、天野祐吉氏はそれに警鐘を鳴らしていたのです。ちなみに2010年は約270億円、2012年は約20億円です。

単に楽しいことだけでなく、タブーにまで切り込んでいく姿勢が、まさに「広告批評」だったのです。

高度経済成長期が終わり、広告が人々から煙たがられる時代になっています。テレビ局は、広告が無ければ成り立ちませんから、広告を流しますが、バラエティをはじめ番組の途中途中においては、制作サイドも明らかにCMを煙たがっていて、どうすれば番組に影響が無いようにCMを入れられるかという意識を持っているようにも見えます。

今のような時代こそ、広告を単なる「宣伝手法」ではなく、もっと広い意味で「メディアにおける広告の意義」を語る必要があります。ただ、最適任者である天野祐吉氏が亡くなられたことは、ある意味、広告が一つの時代を完全に終えたと言っても良いでしょう。

私自身、昔あれほど熱狂的だった広告に、今はそれほど興味が沸きません。それだけ今の広告業界がつまらない、時代にそぐわないものになっているからです。ビジネスの中で広告も含めたマーケティングデザインの方がはるかに興味深くなっています。狭いところでチマチマやっている広告には未来はないでしょう。新しい時代は、私たちが考え、築かなければならないのです。

天野祐吉氏の日本の広告業界への貢献に感謝するとともに、ご冥福を心よりお祈りいたします。

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