マーケティングの現状と未来を語る

2014年ヤフトピに8度の記事掲載。わかりやすい裏読みでメディア取材多数。マーケティングコンサルタント。個別相談も受付中

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私は20年以上に渡って広告を見続けている。そして今まで多くの広告も作ってきた。広告は時代を反映させるものだ。それは内容だけではない。広告のあり方自体も時代を反映させる。例えば、テレビCM全盛期やコピーライターブームの時には、テレビ番組では「日本のCM特番」が組まれたこともあった。当時は日本経済がイケイケドンドンの時代、日本の広告もイケイケドンドンの時代だった。時代は変わり、日本経済は弱くなってしまった。時を同じくして、テレビ番組で「日本のCM特番」がオンエアされることはほとんど無くなった。変わってオンエアされるようになってきたのが「海外のCM特集」だ。日本の経済、グローバル化を反映しているようにも感じる。

「広告は時代を映す鏡」という意味では、電車内広告の変化には時代がよく反映されている。スマホが普及した結果、電車内広告に注目する人はほとんどいなくなった。都心部の地下鉄では少ない時で50%、多い時には80%もの乗客がスマホを操作している。

乗降客数が数年前と変わらなくても、広告への注目率が下がれば、広告価値が下がるのは当然だ。結果として、広告主は価値の下がった広告に出稿することが少なくなった。かつてメインだった飲料、電気機器、化粧品、自動車など大手広告主は少なくなり、かわりにマンション販売、金融ローン、教育学校、書籍系の広告が増えた。広告価値が下がったことで、交通事業者が媒体費を下げた結果、今まで出稿出来なかった業種の広告主が出稿出来るようになったのだ。

このような状況を日々把握している私でも驚くべき広告が最近あった。それは今年になって掲出された、ある住宅販売メーカーの広告だ。その住宅販売メーカーはそれなりに知名度のあるメーカーであり、都心を通過する乗り入れ電車にドア上の横長スペース広告を出していた。それだけならば驚くにあたらない。私が驚いたのは、その広告が、ある住宅地の1棟だけの広告だったことだ。しかも販売価格は3000万円弱とそれほど高くない。東京都心部ならばファミリー向けのマンションを買えるか買えないかの金額だ。ちなみに、その住宅は東京都心部から電車で1時間以上かかり、さらに駅から住宅まで徒歩15分程度かかると記載されていた。物件の価値を決めるのは消費者自身である。もしかしたら、この物件に価値を感じる人もいるかもしれない。問題は、物件としての価値や価格が高いとは言えない1棟の住宅のために都心のど真ん中を通る電車内広告を実施していたことなのだ。 

これは電車内広告の価値が本当に低くなってしまったことの証明でもある。そして3000万円の住宅1棟のために広告が打てるほど、電車内広告スペースの価値は下がってしまった証明とも言えるのだ。

テレビCMも、電車内広告も年を追うごとに注目率が落ちている。それは雑誌や新聞広告も同じだ。またネット広告費は年々伸びているが、ネット広告への注目度も落ちている。そもそもネットというのは、自分の知りたい情報を得るための目的で利用することも多い。そうした中でネット広告を出されてもノイズにしか感じないのは普通の感覚だ。だから広告を出す側のウェブサイトは、よりインパクトのある広告が出来るように工夫するようになっている。広告を見れば、時代や人がどう動いているのかが見えてくるのだ。

それにしても、今回見た広告には驚かされた。

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■ 人気クリエイター佐藤可士和氏の起用

森永製菓の「ウイダーinゼリー(以下ウイダー)」のリニューアル失敗がニュースになった。コンセプトとデザインをリニューアルしたところ、第一四半期のウイダーの売上げが前年同期比で1割減という結果となった。従来の「エネルギー」「マルチビタミン」「プロテイン」という機能性を軸にしたラインナップを「エネルギー」「カロリーハーフ」「カロリーゼロ」というカロリー別のラインナップに変更したのだ。しかし、リニューアル4ヶ月にして早くも見直しとなった。クリエイティブを担当したのは、人気クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏だ。大手広告代理店で活躍後、独立し活躍の場をさらに広げている。ユニクロ、楽天、新国立美術館、明治学院大学、SMAPなどシンプルなデザインが佐藤氏の持ち味だ。

私は独立前の佐藤氏と誰もが知る大企業の広告コンペで戦い、勝利したことがある。勝利したポイントはクリエイティブだけでなく、マーケティング戦略をはじめマーケティングプロモーション全体での評価であり、チームを統轄し、マーケティングをはじめ戦略の根幹に関わるプロデューサーとしては安堵したことを覚えている。ただ当時、 佐藤氏はすでに飛ぶ鳥を落とす勢いだったので、強敵が出て来たなと感じていた。なぜなら戦略をはじめこちらで用意したすべてをひっくり返すほどのクリエイティブ力を佐藤氏が持っているのは明らかだったからだ。

■ 最大の失敗要因は何か?

今回、ウイダーのリニューアルを佐藤氏が担当していたことで、佐藤氏のクリエイティブを批判するコメントをインターネットで見かける。確かに、佐藤氏にも責任はあるが、佐藤氏を必要以上に批判することは筋違いだ。なぜなら、今回の森永ヴィダーインゼリーリニューアルの失敗は、戦略自体が間違っていたことが大きいからだ。

「エネルギー」「マルチビタミン」「プロテイン」というわかりやすい機能性が「エネルギー」「カロリーハーフ」「カロリーゼロ」というカロリー別のラインナップになったことは、消費者からしてみたらヴィダーインゼリーを買う理由そのものが薄れたのだ。かつて木村拓哉さんや浜崎あゆみさんがCMキャラクターとして「10秒チャージ、2時間キープ」という コピーを伝えた。10秒でエネルギー、ビタミン、プロテインという自分の現状に合わせて必要な要素を取れるものだったものが、カロリー軸にしたことで「なんのために、どんな時に」必要なものかあやふやになってしまったのだ。今回、佐藤氏はブランドコンセプトの設計からコミュニケーション戦略まで携わった。ただ、佐藤氏のクリエイティブ力は日本でも超一級の力があると思うが、コンセプトやコミュニケーション戦略は佐藤氏の領域とは少し違う。戦略面はクライアント内部に強い覚悟と権限を持った人間、もしくは戦略面を担当できる別のプロフェッショナルが責任を持つべきだったのだ。

佐藤氏はセブンイレブンで販売されるオリジナル傘のデザインリニューアルにも携わっている。その傘は晴れの日でも売れる人気商品となり話題になった。一方、コーヒーマシンのデザインにも携わったが、デザインは良いものの操作方法がわかりにくいということで不評だった。店の中には店員が操作方法のPOPを独自に作るところも出てしまったのだ。つまり、傘のようにデザインだけで売れるものと、コーヒーマシンのようにデザインだけではない点を意識しなければならないものの違いが出たのだ。デザインは優れていても、ポイントがずれてしまってはダメなのだ。

佐藤氏はユニクロのロゴを作るなどして、世界展開に大きな貢献を果たしている。 ユニクロが成功したのは、圧倒的な権限を持つ柳内正氏と、強い関係があったからだろう。これによって柳井氏の強いリーダーシップによる企業ビジョン、コンセプト、戦略を理解し、進めることが出来たから、クリエイティブという得意領域で絶大な力を発揮することが出来たという面があるだろう。「戦略」と「クリエイティブ」は表裏一体だ。正しい戦略なくして、効果的なクリエイティブは生まれない。

■ 必要以上にクリエイティビティを重視する風潮への警鐘

最近、デザインに限らず、経営においてもクリエイティビティが重要だという話を主張する学者や評論家もいる。その背景にあるのは、日本市場においては多くの業界で、従来の経営に行き詰まり感を覚えているという面があるからだ。ただクリエイティビティとは、個人の資質によるところが大きい。個人の能力をを制限すればするほど、クリエイティビティはかすんでいくが、クリエイティビティを厚遇し過ぎると、個人の感性を中心とした能力に依存してしまうことになる。

最後に、私は佐藤氏をはじめクリエイターに敬意を持っている。なぜなら、途方もない数のボツ案と時間を費やして、苦悩しながら世の中に送り出す一つのクリエイティブを作っている彼らの姿を見ているからだ。出来上がったものに対して評論することは簡単だ。しかし、モノを作り、世の中にさらし、結果を出して行くということは心身ともに大変なことだからだ。

クリエイティビティが発揮出来るかどうかの大きなポイントは「適切な戦略」と「優秀なクリエイティブ」が表裏一体になっていることである。今回のウイダーの件は、この重要な教訓を残してくれた。

東京ガスのCM「家族の絆(母からのエール篇)http://youtu.be/_h3as7hFQxo」に注目が集まっている。なぜ注目が集まっているかというと内容が悪いということではなく、内容が悪いという批判が殺到したため、放送中止になった事に対してだ。多くの人から見れば、批判されるような内容ではないから、なぜ放送中止せざるを得なかったのかという注目のされ方だ。

10年前くらいまでは、CMの内容が悪く放送中止に追い込まれることによって、企業姿勢が問われるようなことは年に何回か見受けられた。ところが、ここ最近は大して悪いものでなくても企業を批判することが多くなった。モンスターペアレンツなどという言葉と時を同じくして、モンスターカスタマーという言葉も出て来た。

私のような知名度がないものでも、雑誌やヤフーなどに記事が掲載されたりすると、多くの好意見に混じって批判もかならず頂く。批判ならまだ良いのだが、中には事実無根の誹謗中傷もある。私のような個人であれば、あまりにも酷いケースの場合には訴訟という手段を取ることは難しくないが、企業はそうはいかない。安易に訴訟問題を起こすことは、企業イメージ自体に微妙な影響を残すことになるからだ。したがって理不尽な意見でも、企業は無下に出来ず、安易に否定も出来ない苦しい状況に耐えなければいけないのだ。

私個人としても、このCMに批判される部分があるとは思わない。彼女が泣いてからラストシーンまでが急ぎ過ぎたという演出上の指摘はしたいものの、コンセプトから内容については、そつなく出来ていると感じている。人生にはうまくいかないこともあるし、それでも一番支えてくれるのが家族だ。就職活動が厳しいのも現実だ。もしかすると批判した人は、就職活動を頑張っている人たちに対して配慮がないのは企業姿勢としていかがなものかということを言ったのかもしれない。仮にエンディングをハッピーエンドにしても、現実から目を背けるだけのフィクションでしかない。重要なことは、現実とは異なるフィクションのハッピーエンドを見せるよりも、現実は厳しくても暖かく迎えてくれる家族がいるというノンフィクションを見せることだ。

このような適正と言えないケースで企業が広告を取り下げることが最近多い。企業にとっては経営戦略、事業戦略にもとづき広告戦略を立て実行している。準備は約半年前から進められている。広告を取り下げることは、企業活動にとっては大きな痛手なのだ。

可能であれば、JARO(公益社団法人 日本広告審査機構)もしくは政府管轄機関などのような第三者機関が、視聴者から企業に入ったクレームについて本当に中止すべきなのか、修正すべきなのかなどを判断する役割を果たしてくれることが望ましい。企業が自ら判断しにくい問題だからこそ、第三者機関が判断してくれる方が望ましいのだ。

海外の広告は人種への配慮などは相当厳しいが、表現については本CMよりはるかに自由で、シュールなものも多い。正直、日本のCMはつまらないものばかりが増えてしまった。今やテレビで特集されるのは海外のCMばかりだ。「日本のCMって良いよね」と再び言ってもらえるようになるには、広告主や広告会社の努力だけでなく、消費者が物事の多様性を認め、成熟した心になることも必要なのだ。

バブル期に絶頂を迎えた「自己顕示」消費。ブランドものを持ち、高級レストランに通い、女性ならば「3高(学歴、身長、収入)」の男と付き合い結婚するのがステータスだった時代の消費だ。バブルを知らない今の若い人から見れば、浮ついた姿にしか見えないだけでなく、滑稽にすら見えてしまうのがバブル期の「自己顕示」消費だ。

ブランドものに興味はない。高級レストランにも興味はない。ただ、自分がこだわるものには徹底的にこだわる。食事や時間を削ることを惜しまない。そういう若い人達が増えた。1Kのアパートに住んでいながらミシュランの三ツ星レストランのような高級店巡りを趣味にしている人。好きなアニメのフィギュアはいくら高くても購入する人。一台数十万円する高級オーディオ機器を大量に所有する人など。一人一人の趣味は多様化し細分化し、一人一人は自分のこだわりを追求するようになった。果たして、今の若者たちに自己顕示欲はないのだろうか?

実は、今の若者にも自己顕示欲はある。ただ、その自己顕示欲はバブル期のような全方位的なものではない。また周りの人達と有無やレベルを競うような比較的なものでもない。自分というキャラクターを彩るための自己顕示が今の時代の自己顕示、つまり「自己プロデュース」と言えよう。

■ ソーシャルメディアの存在

「自己プロデュース」消費を進めるのは、ソーシャルメディアの存在だ。特にFacebookの存在は大きい。自分の交友関係はもちろん、食事のシーン、趣味など、自分が「良い」と思える内容を公開していく。自分が「良い」と思うものを公開するということは、自分のキャラクターを公開していくというものだ。自分にとって望ましいというものだけを見せていく。自分で自分をプロデュースしているのだ。

少し話しは逸れるが、レストランにしても、製品やサービスを提供する店舗にしても、エンタテイメントにしても、Facebookでの見栄えが映える方が、彼らにとっては望ましい。自分をよく見せる自己プロデュース欲を満たすための要素をあらかじめ用意しておく方が、マーケティングメリットが出やすい。特に中小企業・店舗であればあるほど、工夫で解決出来る「見栄え」については留意すべきだ。

話をもとに戻そう。Facebookを始めとするソーシャルメディアの存在によって、意識・無意識問わず、自己プロデュースする人達、行動が多い。実は、この傾向はソーシャルメディアが始まる以前から出現していたのだ。その一つが就職活動だ。

■ 就活と自己プロデュース

バブル崩壊後、2000年に差しかかる頃から、就職活動において履歴書や自己PRをいかに魅力的なものにするかという”自己プロデュース”的な就職活動が増えてきた。自分がいかに人と異なる経験をしてきたのかとか、一生懸命打ち込んで来たものと理由など、不況期で就活に苦しむ就活生は就職セミナーや就職本をたよりに一生懸命作った。その中で、自分の経験や学んだことを”盛る”人も増えて来た。「嘘は無いけれど、誇張は良いでしょう」そんな空気が感じられるようになった。自分の全部を飾るのではなく、ある部分を切り取って飾る。そんな風潮が就職活動には流れている。今や多くの就活生が自己プロデュースをするので、自己プロデュースをする人ほど埋もれてしまったりすることも少なくない。また面接官に見破られていることも多い。

■ プリクラ

自己プロデュースと言えば、最近のプリクラもそうだ。ティーンを中心に人気を保ち続けるプリクラ。プリクラが出て来た当初は、携帯電話のカメラがまだ無かった頃だった。純粋に、気軽に、友達と写真が撮れてすぐにプリントされることが楽しかった。コミュニケーションの手段だった。
現在は友達と写真を撮るだけであれば、携帯電話のカメラで事足りる。それでもプリクラは人気だ。その理由の一つは、撮影した写真が”盛られた”状態になるからだ。目はぱっちり、肌は白く、輝いている写真が簡単に撮れる。実際とプリクラ写真の人物は同じなのだが、別人に見えるほどだ。これも自己プロデュース型消費の一つと言えよう。


自分をすべてさらけ出そうとする人は少ない。悪い部分は見せたくないし、人間誰しも秘密にしておきたいものもある。「自己プロデュース」は決して悪いことではない。徐々に、人は自己プロデュースをすることに疲れてくるだろうし、自己プロデュースを見せられる人も疲れてくるだろう。数年後には「自己プロデュース」型消費は低迷するはずだ。ただ、現在のところ、「自己プロデュース」という観点でお客さんに支持されるかされないかを踏まえビジネスを考えることは有効だ。これはお金ではなく工夫で出来ることだ。中小企業・地方企業などは大いに活用していくべきだろう。
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本当に久しぶりに、数年ぶりに、CMは本当に素晴らしいと感動させられるCMに出会った。
それは岩手県盛岡の企業「東山堂」という音楽教室のCMだ。

まずはご覧頂きたい。


地方の一企業のCMがなぜこれほどまでに話題になっているのだろう。
話題になった理由をお伝えしたい

■ 直接的に売らない、アピールしない

CMの目的は音楽教室への勧誘なのだが、CMの中で直接的に音楽教室への勧誘をしていない。また東山堂の音楽教室が素晴らしい教え方をしているなどというアピールもしていない。直接的な勧誘やアピールをするよりもはるかに良い印象を残すことが出来ているのは、視聴者に対して直接的な宣伝をしていないことが大きな理由だ

■ 視聴者の心に訴えかけている

テレビを見れば、ドラマでは毒々しい内容のものが増えている。また、バラエティ番組ではいつも同じような出演者が同じような内容のものが増えている。このCMのベースにあるのは「愛」であり「家族」だ。どんな人でも、恋愛をし、結婚をし、子どもを育て、死んでいく。人は恋愛によって幸せにもなるし、他の何もが手に付かないほど人生が狂ってしまうこともある。多くの人にとって「愛」というものは、人生の中でもっとも人の心揺さぶられるものなのだ。CMにおいても同じことだ。家族への愛、恋人への愛、動物への愛、愛の形はいろいろだが、愛をベースにおいた内容は人の心を揺さぶる確率が高い。それは人が「観たい」と思うことにも繋がるのだ。

「愛」ではないが「性」というものも、良かれ悪しかれ人々の注目を集めるものだ。ここに目をつけて注目を浴びたWeb CMも参考までにご紹介しておこう。

オートウェイという会社がウェブCMで作成した「『放送事故』生放送中に・・・いきなりBAN」というCMだ。これは作りとしても、ソーシャルメディアの活用方法としても、よく出来た内容だが、ベースにあるのは「女性」への興味だ。だからこそ、知名度の無い企業の作成したWeb CMながらも話題になっている。

■ 従来のCM秒数にとらわれない

CMは通常15秒か30秒だ。ソフトバンクやNTTドコモやトヨタ自動車など日本を代表する大企業の場合には60秒CMなどを流す時もあるが、通常はほとんどない。15秒、30秒のCMでは、深いメッセージは伝えられない。伝えられるのは商品名、企業名、またせいぜいそれに準じたコピーが1つだ。情報が溢れた時代に視聴者はこんなCMは見たくない。だから視聴者にとってCMは、番組と番組の間の小休憩タイムになっている。そして、その小休憩を防ごうと15秒、30秒の制限の中で企業は必死にアピールをしていようとし、ますます積極的に目立とうとする。これが悪循環となりますます視聴者を遠ざけている。

東山堂のCMのFull Verは210秒だ。これは地方のCMだからこそ15秒、30秒の制限を超えてCMを流すことが出来るという面がある。しかし在京テレビ局は、これを言い訳にするのではなく、もっとフレキシブルにCM秒数を設定する努力をした方が良い。クリエイターからしても、地方の方がクリエティビティが発揮出きる環境が整いつつある。それ以上に、現状の在京テレビ局のCM放映スタイルは広告主利益がどんどん薄くなってきている。当然、視聴者にも喜ばれていない。従来のCM秒数を超えれば、今までに無い新しい広告の形が見えてくる。それを体をもって示してくれたのが東山堂だ。

■ インターネットの成長が意味するもの

ソーシャルメディア、インターネットの本格普及以前には、地方で素晴らしいCMがあったとしても全国に広まることはあまりなかった。なぜなら、その手段がほとんどなかったからだ。年に1度、2度あった「おもしろ・感動CMグランプリ」的なテレビ番組で取り上げられる程度だった。しかし、インターネット、ソーシャルメディアが普及した今、発信そのものが地方であったり、発信量が少なかったりしても、コンテンツが素晴らしければ、一気に広がる。「どこで」流すかは確かに重要ではあるが、その重要性は薄まっている。その反面、「何を」流すかがますます重要になってきている。

実はテレビドラマでもWOWOWの評価がうなぎ上りだ。視聴者だけでなく、俳優からもWOWOWのドラマに出たいという声が増えている。その理由は、純粋に伝えたい内容を表現で伝えられ、コンテンツの強さを作ることが出来るからだ。これもCM同様、コンテンツの強さこそが視聴者に受け入れられるという証明の一つなのだ。


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