マーケティングの現状と未来を語る

2014年ヤフトピに8度の記事掲載。わかりやすい裏読みでメディア取材多数。マーケティングコンサルタント。個別相談も受付中

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2014年の書籍・雑誌の推定販売額(電子書籍を除く)は前年比約4.5%減の約1兆6000億円。10年連続減少で1996年と比較すると約60%程度の数字となっている。週刊誌が対前年比で約9%減、雑誌自体は約5%減、書籍は4.0%減となった。なぜ雑誌や書籍は売れなくなってしまったのだろうか。

  • 内容別売上減からわかるもの

対前年比でもっとも売上が落ち込んでいるのは週刊誌、雑誌全体、書籍となった。これが示すものは、軽いコンテンツほど売上が落ち込んでいるということだ。週刊誌ならば電車の中吊り広告、インターネットニュースで事足りてしまうから販売部数減少率が高くなっているのだ。逆に書籍に関しては電子書籍はあるものの、いまだ書籍で購入したいという人は少なくない。また、まだ電子書籍化されないものもある。その結果、書籍の販売部数減少率は週刊誌を含む雑誌よりは穏やかなのだ。

  • 販売部数減を止めようとする雑誌の取り組み

厳しい状況の続く雑誌業界。雑誌業界も販売部数の減少を手をこまねいていたわけではない。止めるために数年前から続く休刊・廃刊ラッシュを止めるために、さまざまな戦術が取られるようになった。一例を挙げれば、宝島社が仕掛けた「おまけ付き」戦術。ただ雑誌を売ろうとするのではなく、「おまけ」というお買い得感を雑誌購入のモチベーションにさせることで販売部数を増やそうとしてきた。もちろん宝島社の努力はそれだけではないのだが、雑誌はヒットを飛ばし、雑誌業界の勝ち組に踊り出るようになったのだ。

また別の取り組み例としては、雑誌の小サイズ化がある。女性ファッション誌は重くて大きい。女性のバッグにも入らないし、仮に入ったとしても重過ぎて持ち歩きには向かない。しかしわざわざアマゾンなどのネット書店で注文して発送してもらうような類のものでもない。私はもう10年くらい前、ある家電メーカーのマーケティング戦略に携わった際に、女性向け製品のカタログサイズについて小さくすべきだと進言したことがあった。男性と同じサイズのカタログは女性のカバンには入らず、取ってもらえる確率が下がることがわかっていたからだ。雑誌は、ここ1年くらいでサイズダウンしたものも販売するものが飛躍的に増えた。

■ 販売部数減に悩む雑誌のジレンマ

例えば、女性ファッション誌はページ数が多く、重い。それはコンテンツの多さもあるが、広告数とも比例するものだ。広告が入らなければ、コンテンツを多くすることも出来ず、ページ数を増やすことも出来ない。最近の読者は賢いので、雑誌のページ数が薄くなると、その雑誌の人気がなくなったのかなと感づくこともある。雑誌社としてはこの「落ち目感」を避けるため、とにかく広告主を多く集めようとする。ただ雑誌にとって逆風が吹いている状況下では、常に広告が集まるほど甘くはない。ファッション誌によっては「落ち目感」を避けるために、どうしても広告が欲しいブランドの広告主には激安で広告枠を提供したり、時には広告原稿を借りて無料掲載したりすることもある。このあたりに雑誌業界のジレンマを垣間みることができる。

■ なぜ書籍は売れなくなったのか?

店頭を見れば毎週のように新刊が並ぶ。ビジネス本、ノウハウ本、自己啓発本、グルメ本、文芸書など、その勢いはジャンルを問わない。私は毎週必ず、都内の書店をチェックしているのだが、正直なところ辟易とした気持ちになることもある。なぜなら、新刊発売のスピードが早く、書籍数があまりにも多すぎて何を選べば良いかわからないからだ。しかもビジネス本であれば、ノウハウや刺激的なタイトルの本がたくさん並んでいる。

かつてテレビCMの効率が落ち始めた時、商品名をとにかく連呼したり、インパクト最重視のCMが増えたことがあった。この結果、視聴者はますますCMから離れてしまったという皮肉な結果となった。今、書店では似たようなことが起きている。

目を引くタイトルの書籍は書店に並ぶものの、中身を読んだら大したことがなかったとか、以前読んだものと似た内容で得るものがなかったという人の声を聞くことが多くなった。こうしたムードが高まれば高まるほど、書籍を買う人は少なくなる。そうなると、出版社としては、ますます売らなければならない状況に追い込まれる。このネガティブな状況を脱するために、最近では書籍の初版部数を減らしてでも多くの数の書籍を出版する出版社が多い。質より量を重視することでヒットを出そうとしている。ただ、その戦術によって、読者はますます書籍を選べなくなり、書籍離れを起こしている部分があるのだ。課題の解決のためには、本当に内容の濃いコンテンツを持った書籍を作ることが最優先なのだ。

  • 文芸書はクロスメディア戦略を頭に入れよう

文芸本も売れないという。ただその一方、テレビドラマ化されたり、映画化されたりしてヒットする作品も少なくない。つまり、本としての文芸書は売れなくても、エンタテイメントコンテンツとしての文芸書は売れるのだ。

こう考えれば発想の転換で、エンタテイメント全体として人気にさせることによって、後から書籍の販売部数が増えていくという戦略も取りうるということだ。業界は異なるが、「妖怪ウォッチ」がアニメではなく、メダルなどのおもちゃ、ゲームなど複合的に取り入れることで、アニメもヒットするという構図だ。言うなれば「妖怪ウォッチ」のレベルファイブが実施したようなクロスメディア戦略を、文芸書も取り入れれば良いのだ。

もちろん、純粋に小説を書きたいという作家は自分の道を貫けば良い。ただ、クロスメディア戦略でも良いならば、今の時代にはヒットは生み出しやすい。書籍を書く時点で、出版社を中心に、テレビ局、映画配給会社、芸能事務所、広告代理店、広告主などとタッグを組むのだ。そして、関係各所にメリットが落ちるように、かつ関係各所が自分の持ち味を発揮して最大限の露出を図って行けるようにしていくのだ。純粋な作品としては賛否両論あると思うが、本もエンタテインメントの一つと見るならば、このようなやり方もあるのだ。

  • 最後に

電子書籍という波は今後ますます大きくなる。したがって書籍を紙にこだわることは、あまり意味の無いことなのかもしれない。重要なのは紙か電子かということではない。出版社がもう少しだけビジネスモデルを整理してあげるだけで、書籍はコンテンツとしてまだまだ魅力のあるものでいられるのだ。そうなれば、当然のことながら、書籍を購入して読む人は増えていく。出版社には優秀な人材も少なくない。10年連続販売部数減少というピンチの状況は、新しいことにチャレンジできるチャンスととらえ、出版ビジネスの新しい形を生み出して頂きたい。
マクドナルド叩きが若干収まった。異物混入騒動があった際には、品質・衛生管理面だけでなく、会見に出席しないカサノバCEOのスタンスへの批判も多く出た。ところが、それ以降は批判が大きくなることはなく、落ち着いた状況を保ってきている。このような状況の変化が生まれた背景には「消費者心理」が大きく働いている。

■ 「最初の公表者が叩かれる」という消費者心理

批判が収まった理由の一つは、マクドナルドで異物混入騒動が発覚した後、他にもさまざまな企業にも、類似のケースがあることが発覚した。ただ、後追い発表の企業は大きな批判を受ける事態には発展しなかった。

かつて阪急阪神ホテルズに端を発した食品偽装問題でもそうだったのだが、最初に問題を公表したところは消費者から大きな批判を浴びてしまう。阪急阪神ホテルズの場合、社長が辞任する事態となった。ところが、それに続いて発表したところは、それほど大きな批判を受けることなく、社長の辞任といった事態もなかった。消費者の立場からすれば「他のところもやっていたのか」とか「またか」という残念感が残ったからだ。

今回の異物混入騒動も同様だ。他のところも公表したことによって、食品偽装問題の時と同じような心理状態が消費者に働いた。その結果、マクドナルドだけを叩く風潮は収まった。興味深いことに、マクドナルドを擁護するような論調が増え始めているのもこのあたりからだ。

■ 「マクドナルドだから大きく叩かれる」という消費者心理

もともとマクドナルドほど日本人に愛されたファストフードはなかった。マクドナルド離れが起きたのは直近5年程度だ。それまでのマクドナルドにとって、ロッテリア・モスバーガーなどのハンバーガーチェーン、吉野家・すき家などの牛丼チェーン、デニーズ・ガストなどのファミレスチェーンは競合相手ではなかった。消費者にとってマクドナルドは唯一無二の存在だったのだ。だからこそ、問題が発覚してから、消費者は「裏切られた」という気持ちを強く持ったのだ。マクドナルドへの愛情が強かったからこそ、その分裏切れた感も強くなってしまった面がある。その結果、批判の声も大きくなったのだ。

■ 「批判が収まっても業績回復が難しい」という消費者心理

上海福喜食品問題、異物混入問題と不祥事の続いたマクドナルドだが、これから業績は上向くのであろうか。マクドナルドから毎月出されるIRレポートや株価を見ても、これ以上悪化しないレベルの底まで達したように感じる。ただ業績が上向くかどうかは別問題だ。たしかに通常の不祥事であれば2〜3ヶ月もすれば、徐々に回復基調を辿るケースも少なくない。ただマクドナルドの場合、事情はやや異なる。メイン消費者層であるファミリー層にとって「食の安全」ということは「味」や「ホスピタリティ」以前に最重要の問題だ。その部分の信頼を損ねてしまったことは大きなダメージなのだ。

これ以上批判はしようとは思わなくても、消費者の心から安全面への疑問点が払拭されたわけでもなく、企業への信頼度が回復したわけでもない。つまり、消費者は何も言わずに去っていくという心理状態なのだ。

現に私が定点観察しているマクドナルド数店の状況を見ても、サラリーマンや高齢者はマクドナルドの利用率は高いが、ファミリー層は以前にも増して少なくなっている。特に都心部になればなるほど、ファミリー層の利用率の低下が感じられる。批判が収まったこととお客さんが戻ることは別問題なのだ。

■ 「マクドナルドを批判する人、擁護する人」の消費者心理

ネット上には、マクドナルドについて批判する人だけでなく、擁護する人も少なくない。ブログやTwitterをする人間心理は興味深い。マクドナルドに関して言えば、異物混入問題で他社発表の前であれば、批判するツイートやブログに対して大きな反響があった。しかし今はマクドナルドを擁護するものに大きな反応が得られるというケースが増えてきている。「マクドナルドにも悪いことはあったけど、自分もまわりも感情的になって、言い過ぎてしまった部分もあったかな」という人間心理が働いたと言えるだろう。

批判の声が大きくなり、擁護の声が大きくなっている。ただ前章でも書いたように、マクドナルドが抱える問題が解消されたわけではない。問題が本質の部分で改善されない限り、この先の人間心理としては「無関心」か「静かな残念感」が増えていくことだろう。
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外国人観光客の勢いを感じる。高島屋新宿店、伊勢丹新宿店、東急百貨店本店、表参道、原宿、中野、秋葉原。あらゆるところで外国人の姿が増えてきた。2014年前半は、観光ビザ要件緩和もありタイ人観光客が大幅に増えた。そして2014年後半は、10月に化粧品・食料品にも免税範囲が拡大されたことも影響し中国人観光客が大幅に増加した印象だ。

■ 百貨店を支える外国人観光客

日本百貨店協会が発表した2014年の全国百貨店売上高は、6兆2124億円(前年比0.3%)となった。私は、アベノミクスによる富裕層の高額消費拡大と外国人観光客の消費によって、もう少し数字は伸びるかと思ったが、あまり伸びなかったという印象だ。

前年比1.9倍に伸びた外国人観光客の免税売上。免税売上は、2014年12月まで23ヶ月連続でプラスであり、2014年12月には初めて100億円の大台を突破している。それでも前年比0.3%増というのはやや寂しい。

内容別に見ても婦人服を含む衣料品の売上は下がっている。富裕層の女性がデパートで婦人服を購入しなくなった一方、雑貨や宝飾・貴金属の売上は増加している。これらの状況を見ると、もはや日本人客だけでなく、外国人観光客なしには、デパートのビジネスは苦しくなっている。

この減少はデパートだけではない。都内の家電量販店においても外国人観光客の割合は日増しに増えているのだ。カメラ売場、おもちゃ売場、時計売場、化粧品売場。どこに行っても外国人観光客の姿を多数見かける。

■ 凄まじい外国人観光客数のアウトレットモール

この勢いは都心部だけでなく地方でも感じる。例えば、富士山が美しく見える「御殿場プレミアムアウトレット」では、都心のデパート以上に中国人観光客の姿が目立つ。バスツアーのルートにもなっているのだろう。彼らのお目当てはブランド品だ。特にプラダ、グッチなどの高級ブランドショップは中国人でごったがえし、ボッテガ・ヴェネタに至っては入場整理されるという事態もあった。1年前までは考えられない状況だ。外国人観光客からすれば、円安によって観光費用が安くなった一方、アウトレット価格でブランド品を買うことが出来るというメリットはとても大きいのだろう。感覚値とすれば、2015年1月の休日の「御殿場プレミアムアウトレット」の中国人観光客割合は15〜20%にも及んだのではないかと感じる。

■ 原宿に集う外国人観光客たち

表参道、原宿を毎日見ていると、その外国人観光客数が増えていることは肌で実感できる。原宿駅を出て、竹下通りに入ってすぐ左手にあるダイソー(100円ショップ)にはお土産を含め雑貨や菓子を買いまくる外国人観光客で大賑わいだ。その外国人客割合は、おおよそ50%程度。実は、東京の中でもっとも外国人観光客がお土産を買う場所は、このダイソーなのではないかと私は感じているほどだ。

竹下通りを歩くと、やはり外国人観光客の姿に多く出会う。ただデパートやアウトレットに中国人が多いのとは対照的に、原宿は欧米人が多い。欧米人の女性の中には、カワイイファッションに憧れているのだろうか、コスプレをしている2-3人組も少なくない。日本人よりも外国人の方がコスプレをしている人が多いのも面白い。原宿のカワイイカルチャーが、一人歩きして外国へ伝わっていることを実感できる。

外国人観光客が食事をするのはラーメン屋だ。例えば、原宿駅寄りの表参道にある「九州じゃんがらラーメン」。ここには多くの外国人観光客が訪れる。地方から来た日本人の小中有高校生女子がクレープを食べたり、大学生や社会人女子がパンケーキの行列に並ぶのとは異なり、外国人はラーメン屋を訪れる。2年前くらいまでは竹下通りを抜けたところにあるスパゲティ屋「五右衛門」が人気だったが、今ではあまり人はいない。その一方で、日本人観光客でもわかりづらい場所にある「表参道コーヒー」。日本家屋の店舗が人気で、わかりづらい場所にも関わらず、多くの外国人観光客に人気のスポットになっている。

2014年12月には、竹下通りを出てすぐの場所に「原宿観光案内所」をオープンした。ここは外国人観光客向けの案内所だ。マップ、外貨両替、配送サービスの他、日本のお土産も展示されている。この近くに、原宿カワイイカルチャーの代名詞的存在である、きゃりーぱみゅぱみゅの所属するアソビシステムの事務所もあるのだが、そのアソビシステムが展開する原宿情報発信プロジェクトの一環としてオープンし、渋谷区観光協会が運営に携わっているものだ。まだまだ知名度は低く、利用客もそれほど多くないが、今まで自然発生的に世界へ情報が伝わっていた原宿が初めて能動的に情報発信するための場所を作った点で注目だ。

■ まとめ

今までの日本は、自動車を中心とした高性能のモノ作りが経済の主軸であった。しかし、それが日本国内でいつまで続けられるかは難しい面もある。日本が今のような生活水準を維持していくためには、あらたな産業の活性化に力を入れていかなければならないだろう。その主役の一つが観光業だ。今、政府は観光立国化に向けて、取り組みを強化している。これは日本の独りよがりではない。多くの外国人観光客が日本に来て、日本の良さを実感し、帰国している。日本の良さとは自然や建造物の美しさ、モノが揃っているショッピングの楽しさだけではない。世界の中でも美味しさに定評のある料理、そして何より日本人の優しさや礼儀ただしさが評価されているのだ。政府が掲げる地方創世にも、外国人観光客は大きな役割を果たしてくれるポテンシャルがある。

全国百貨店売上の発表を見て、実際の目でデパート、アウトレット、観光地を視察して感じることは、これからより一層重要になる外国人観光客の存在だった。

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ここ数日、YouTuberたちの収入が減少しているという話題が、ネット界隈を中心に盛り上がっている。YouTubeという動画サイトを見たり、YouTuberという言葉は聞いたことのある人は多いと思うのだが、YouTubeビジネスについて説明し、マーケティング視点から説明したい。今回の内容は基本的にYouTubeについて書くが、一部LINEなど他のビジネスについても触れようと思う。

■ YouTuber誕生の歴史

2011年よりYouTubeが行ってきた「YouTubeパートナープログラム」。一般の人達でもYouTubeに動画をアップすることによって閲覧数に応じた広告収入を得ることが出来るというシステムだ。もともと一般人もYouTube上に動画をアップすることは出来たが、このプログラムによって収入まで得られる可能性が出たのだ。

このプログラム以降、YouTubeの広告収入だけで生きていける人が徐々に増えた。ただ、その存在が大きくクローズアップされたのは2014年末に行われたTVCMだろう。ヒューマンビートボックスで有名なHIKAKINさんを始め、YouTubeで生計を立てている数人のYouTuberたちがテレビCMに出演した。自分の好きなことを続けているうちに、いつの間にか仕事になったというものだ。実際、トップクラスのYouTuberの中には数千万円を稼ぐ人も現れたのだ。

しかし2015年に入り、広告収入の料率が半減したと言う。2014年末にテレビCMを実施したばかりであるのに、なぜこのようなことになったのだろうか。

■ YouTubeがCMを実施した背景

理由はシンプルだ。YouTubeを運営するGoogleのビジネスモデルは、広告収入で成り立っている。この広告収入とはYouTuberがGoogleから得る広告収入ではなく、Googleが企業広告主から頂く広告収入だ。Googleにとって前提となるのは、Googleへのアクセスをいかに増やして、その中からいかに多くの広告をクリックしてもらうかということだ。将来的には別の形で収益を得るビジネスモデルも考えうるだろうが、現時点では、Google検索も、Google mapも、Gmailも、Google Earthも、すべてGoogleへのアクセスを高め、広告を増やすためのコンテンツに過ぎない。YouTubeもその一つである。

ここ数年、日本では、テレビを中心とするマスメディア離れが叫ばれている。そのかわり友人の話や、その分野に長けた人達の情報が重宝されるようになっている。また趣味嗜好が多様化してきた結果、自分の興味あるコンテンツを見るためにインターネットがメディアの中心になっていった。こうしてGoogle、YouTubeへの注目度が高まってきたのだ。

さらに若者を中心に「自分の人生は自分らしく生きたい」という人が増えた。裏を返せば、サラリーマン生活としてコツコツやるのは出来れば避けたいと思う人が増えたとも言えよう。”自分探し”を模索する人が増える中で、YouTuberというものはとても魅力的に見えた人も少なくないだろう。

このような背景があるからこそ、2014年末にGoogleはYouTubeのCMを大々的にオンエアしたのだ。そしてYouTubeへのアクセスを大きく増加させるとともに、アクセス増加のためのコンテンツ提供に強く協力してくれるYouTuberの数を増やそうとしたのだ。

■ 広告支払料率半減の理由

このような背景を元に、YouTubeへのアクセスは増え、YouTuberになりたい人も増えたのだろう。最初に説明した通り、Googleとしては総アクセス数が増えれば、何の問題もない。別にYouTuberのスタープレイヤーを排出したいワケではないのだ。仮に総勢10人のYouTuberが一人1億PV、合計で10億PVを稼いだとしよう。総勢が20人になり、一人当たりのPVが5000万になっても変わらないのだ。もっと言えば、総勢100人になり、一人当たりのPVが1000万であっても良いのだ。インターネットとはそもそもロングテールの強みを持つ。2014年末のテレビCMでスタープレイヤーになろうとした人達が予想以上に増えれば、Googleにとって広告支払料率を抑えに抱えるのは当然のことだろう。

■ スタンプ料率を下げるLINEとYouTubeの異なる事情

同じ2014年だが、YouTubeがテレビCMを行う前にLINEが一般に開放したスタンプ販売。個人がLINEスタンプを製作し、販売をすることで収益を得ることが出来る仕組みだ。LINEスタンプ販売においても、一般の人が数千万円の収益を得るケースが出た。そのLINEもスタンプの販売手数料率を下げている。LINEの場合、YouTubeとは異なり、アクセス数を増やすことで、広告収入を増やすビジネスモデルではない。スタンプ販売そのものを収益源としている面がある。では製作者離れを招きかねない料率変更をどうして行ったのだろうか。

一つ目は「製作者はスタンプ販売をやめない」とLINE側が判断していることだろう。確かに、この料率を下げたということは、製作者にとっては嬉しくないことだ。ただ、YouTubeとは少し異なり、LINEのスタンプを製作する人達は「一山当てて儲かったら嬉しい」とか「有名になることがあったら楽しい」という人達だ。YouTubeと比べてライトな気持ちで取り組んでいる人達が多い。

二つ目はLINE側の事情だ。現在、LINEはさまざまなサービスをどんどん投入している。例えば、LINEモールのような個人間販売サイト、ツムツムのようなゲームだ。それに加えて先日はLINEタクシーという一見風変わりなサービスも発表した。LINEの場合、日本人のコミュニケーションインフラとなったLINEを活かして、登録者へさまざまなサービスを提供することによってビジネスを拡大しようとしているのだ。スタンプは重要ではあるが、そこだけに注力できない。そのため、バランスを見ながら3割の料率減という決定を下して、支出を抑えようとしているのだ。

■ 最後に

YouTubeの料率変更からは、YouTuberの嘆きが聞こえてきそうだ。ただ重要なのは、彼らがYouTubeから出ても生計を立て、人気者でいられる仕組みを作ることだろう。日本のTOP YouTuberであるHIKAKINは、スカルプDのCMに出たり、書籍を出版するなど、YouTubeとは別のフィールドも開拓し始めている。厳しい言い方だが、本当の意味で自分のやりたいことを仕事にするためには、YouTuberはYouTubeの先を考えていかなければならないのだろう。
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2014年12月15日の発売から1ヶ月が経過したトヨタ自動車(以下、トヨタ)のMIRAI。今日はトヨタの豊田章夫社長自ら首相官邸に納品し、安部首相とMIRAIに乗る姿が注目された。安部首相は運転席から「規制改革と技術革新で時代を前進させたい」とコメントした。経済産業省にも納品されたことは、トヨタのPRとしては最高のものになったと言えよう。

販売台数は発売1ヶ月で1500台。年間計画で400台と見込んでいたトヨタの想定をはるかに超え、1ヶ月で年間数字の約4倍の販売台数を達成したことになった。現段階では官公庁、エネルギー関係の企業による購入が約6割、個人による購入が約4割ということだ。この比率を見ても個人消費だけで1ヶ月という短期間で年間販売台数をクリアしたことになることがわかるだろう。政府は、全国に40ヶ所程度の水素ステーションを今年度中に120ヶ所にまで増やす方針を打ち出している。燃料補給のためのインフラの充実は、法人ではなく個人の消費をますます促していくはずだ。

日本人の車離れが進む中、年間販売目標の4倍の数字を1ヶ月で達成したというのは圧倒的な数字だ。実は日本人は車離れをしているのではなく、魅力的な車がなかったから買わなかったという一面を、MIRAIは浮き彫りにした。MIRAIの価格は723万6千円であり、国の補助金を受けても500万円以上という高額車だ。しかも大きな車ではない。それでもMIRAIが人気になった理由は何だろうか。

■ 変わる消費者の自動車選択基準

MIRAIの人気を見てあらためて感じることは、消費者が自動車に求めるものは「走りの楽しさ」や「デザインのかっこ良さ」や「所有するステータス」ばかりではないということだ。残念ながら、日本の自動車業界の車作りも、広告やPRも、この要素から大きくは慣れることが出来なかった面がある。これらの要素ばかりが重視された結果、自動車に興味を持たない日本人が増えてしまったとも言える。

日本人の自動車離れの原因には「少子高齢化」「都市部への人口集中」など、国としての状況の変化が大きいのはもちろんだ。だが、自分たちが欲しいと思える自動車が少なくなっていたのだ。つまり、マーケティング的に言えば、消費者のニーズやウォンツ(潜在的な欲求)を自動車メーカーは捉えられていなかったのだ。

■ なぜ都心部ではベンツが選ばれるのか?

東京都港区では、ベンツの登録台数がカローラの登録台数の約6倍の多さだ。その理由は何だろうか。「走りの良さ」でも「ステータス」以上に重視されるのは安全面だ。東京都心でベンツを運転する家庭の中には、男性だけではなく女性も多い。なぜなら学校や習い事などに忙しい子どものために、日常の「足」が必要だからだ。女性の中には運転が得意ではないと自覚している人も少なくない。必要なので運転をしなければならない状況においては、万が一の事故に備えて出来るだけ安全な自動車が欲しいという心理が働く。それは自分のためではなく、子どものためなのだ。だからこそ、東京都心部、特に港区や世田谷区においてはベンツが多いのだ。

都市部は高額所得者が多く、周りが乗っているからベンツが多く購入されていると考えるだけではベンツが売れる説明にならないのだ。

■ 新車販売台数シェアで4割を超えた軽自動車

2014年の新車販売台数における軽自動車の割合が初めて4割を超えた。車両価格、税金、燃料費が安いということもある。ただ、それだけではなく実用性が高まったという面も大きいのだ。軽自動車と言えば”小さくてカッコ良くはない”というイメージを持つ人が多かった。しかし2014年にハスラー、ウェイク、Nなどが発売されたことにより、消費者が動くようになったのだ。それまでミニバンに乗って地元の仲間と遊びに行っていた若者達まで、普通車レベルに広い室内を持った軽自動車に興味を持ち、購入するようになったのだ。

今まで自動車選択基準から離れて自動車が出た結果、車離れの若者達を動かせるようになったのだ。

■ ワクワクしたい消費者

無理に売るな。
客の好むものを売るな。
客のためになるものを売れ。

これは松下幸之助の有名な言葉だ。

これだけ情報も製品も溢れている時代、かつ性能や機能がそれなりに充実している時代には、消費者は商品に大きな不満はない。逆に言えば、不満も無ければ、要望も感じないのだ。そんなことを考える必要性が無いのだ。したがって、消費者ニーズを知ろうと消費者自身に聞いても答えを簡単に出て来ない。まず、企業側が消費者の想像を超えたものを用意しなければ、消費者の本当の気持ちはわからないのだ。

アップルの創業者スティーブ・ジョブスを思い出して欲しい。未来に役立つ商品を自分で考え、製品化してきた。その結果、アップルは次に何を出すのだろうとワクワクした消費者から熱狂的な支持を受けるようになっていったのだ。

トヨタ自動車のMIRAIは消費者の想像を超えた価値を提供したことで、想定をはるかに超えた人気を獲得した。数年前、トヨタがピンクのクラウンを発売したことを覚えている人も多いと思う。数年前、トヨタはトヨタの代名詞とも言える高級車クラウンを、あえてピンクにした。これによって「トヨタは変わるぞ!」ということを社内外にアピールしたのだ。詳しくは以前のブログ「ピンクのクラウンを発売する本当の目的、ご存知ですか?(2013年2月3日)」をご参照頂きたい。そしてトヨタはMIRAIで消費者の想定を上回ってきた。

トヨタといい、軽自動車メーカーといい日本の自動車メーカーが、ようやく”モノを言わない消費者”をワクワクさせるようになってきた。昔から続いているような表層的な調査に重きを置いてマーケティング戦略を構築しる企業の中には、なかなか結果を出せない企業も少なくない。この自動車業界の事例は、多くの日本企業が抱える閉塞感を打破するポイントを示す好例と言えるだろう。

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