マーケティングの現状と未来を語る

2014年ヤフトピに8度の記事掲載。わかりやすい裏読みでメディア取材多数。マーケティングコンサルタント。個別相談も受付中

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昨年、1000年に一度のアイドルと言われた橋本環奈さん。1000年に一度は大げさだが、確かに大きくブレイクした。福岡で行われたライブ中の1枚の写真が話題となったことがブレイクのきっかけだ。確かにアイドルらしい容姿をしているが、偶然による効果も大きい。2015年、もっともブレイクするアイドルは誰だろうか。私はマーケティングに関わっているので、芸能関係のことも知ってはいる。ただ最初に言うが、アイドルオタクではない。したがって個人的な好き嫌いという軸ではなく、客観的な分析によって2015年のブレイクに一番近いアイドルを紹介し、その理由を述べたいと思う。2015年、ブレイクに一番近い位置にいるのは広瀬すずさんだ。

 広瀬すずさんとは?

おそらく30代以上の人にとっては、広瀬すずって誰?と言う人も多いのではないだろうか。少し紹介しよう。広瀬すずさん、1998年の16歳。モデルをしている姉の影響で芸能界入り。雑誌「セブンティーン」のモデルとして活躍し始めたのが2012年。芸能界に入ってまだ3年というキャリアだ。
広瀬すずさんが、私が知る限り10年以上の間で、もっとも期待されているモデル・女優である理由を次に述べたい。


 16歳で起用された「ゼクシィ」の広告

リクルートが発行する結婚情報誌「ゼクシィ」。昨年末の新CMから広瀬すずさんが出演している。日本では女性の晩婚化・非婚化が進む。その中において、ようやく結婚できる16歳になった広瀬すずさんがCMキャラクターに起用されること自体珍しいことだ。「ゼクシィ」のターゲットを考えればすぐにわかる。16歳の広瀬さんはターゲットからまったく外れている。その広瀬さんが画面からテレビ画面のこちらにいる男性(想定)に語りかけてくる。つまり、ターゲットを無視しても、広瀬さんの魅力を前面に押し出す方が広告効果は高いと考えた結果、このCMになったと言えるのだ。クライアントはリクルートだ。大企業であればあるほど、突っ込まれどころの少ない(そつない)マーケティング戦略を立てることが多い。その大企業において、ターゲットを無視した起用をさせたことは驚くべきことなのだ。


 JR SKI SKIの広告

JR SKI SKIの広告。テレビCMや駅広告ポスターなどで毎年注目している人も多い広告だ。かつて本田翼さんや川口春奈さんがキャラクターをつとめたが、今シーズンは広瀬すずさんとなった。若者のスキー離れは顕著でスキーに行く若者は20年前と比べて激減している。1983年に約1860万人だったスキー人口は、2010年には約570万人まで減少しているのだ。

広瀬すずさんはスキー人気を復活させるべく白羽の矢が立てられた。ウェディング需要喚起に期待されていると思ったら、スキー人気復活にも一役買ってもらう期待を背負って起用されている。ちなみに、JR SKI SKI のターゲットは大学生から20代だ。ウェディングターゲットの年齢層ともまた違う。


 ドラマ「学校のカイダン」主演
 
テレビ離れが叫ばれて久しい。ドラマの世界では、かつては木村拓哉さん、松嶋菜々子さんが出れば視聴率は20%以上取れると計算できた時代もあった。しかし時代は変わり、かつてのように出演者によって必ず高い視聴率が取れるという時代ではなくなった。苦しむテレビ局のドラマ制作においても、広瀬すずさんは期待度が高い。わずか3年という芸能活動であるにもかかわらず、日本テレビのドラマ「学校のカイダン」の主役に抜擢されたのだ。これは高校を舞台にしたドラマだ。つまり前述の「ゼクシィ」とも、「JR SKI SKI 」ともまたまたターゲットが異なるのだ。

ちなみに、このドラマには杉咲花さんも出演している。人気ドラマ「夜行観覧車」で、すさまじい演技力を見せ、その後auのCMにも出ている17歳の女優さんだ。演技力という意味では若手女優の中で群を抜いたものがあり、とても期待している。先に芸能界入りし、順調すぎる活躍を見せる杉咲花さんをも上回る起用を見せたことも、私には大きな驚きだった。

 
「ゼクシィ」でウェディング需要向上を、「JR SKI SKI」でスキー人気復活を、「学校のカイダン」の主役でドラマ人気復活を。多種多様な業界から「ゼクシィ」でウェディング需要向上を、「JR SKI SKI」でスキー人気復活を、「学校のカイダン」の主役でドラマ人気復活を。多種多様な業界から「テコ入れ役」の期待をされている広瀬すずさん。11人のタレントや俳優のパワーが弱まる中で、広告においてはドラマ主役級のタレントを複数人同時起用したり、多人数起用したドラマ仕立てにするケースが多くなっている。そのような時代において、まだこれからという16歳がピンで大きな期待を掛けられているのは異例だ。
 
こんな16歳、いただろうか。少なくとも、ここ20年弱は記憶にない。ブレイクする前からこれだけ幅広い期待をされている広瀬すずさんが2015年にどのような飛躍を遂げるか注目してみてみたい。
■ 重なる問題

・2014年12月31日、東京都江東区の店舗で白いビニールが混入。ビニール片はスタッフが紛失。製造工程ではなく店舗での混入の可能性について調査中と発表。

・2015年1月5日 青森県の店舗でチキンナゲットにブルーのビニールが混入。タイ工場での製造過程において混入したものと発表

2014年夏、大阪府にて、でフライドポテトの中に人間の歯。製造工程での混入の可能性は低いと発表。

・2014年12月19日、福島県店舗にて、サンデーチョコレートを食べた子どもがケガ。製造機械の損傷によるプラスチック片混入。保健所に提出済で、購入した消費者にも説明済と発表。


■ とにかく早くと開かれた謝罪会見

今回の会見は日本マクドナルドの菱沼取締役、日本マクドナルドHDの青木取締役によって行われた。2014年夏から現在にかけて発生した問題についても発表された。今回の会見において、カサノバCEOは海外から帰国出来なかったため出席出来なかった。さまざまな重要案件を抱える大企業のCEOともなれば、海外のVIPとの会合などでスケジュールも埋まっているだろうから、すべてをキャンセルして急遽帰国することは難しいことも現実的にはあるだろう。上海福喜食品問題の時には、問題発覚から1週間経って初めてカサノバCEOが会見を行ったことで、より多くの批判を受けたマクドナルド。問題発覚からいち早く会見を行うべきという判断は妥当だろう。したがってCEO不在の会見でも、感情的にカサノバCEOとマクドナルドを批判すべきではないだろう。そのあたりを踏まえた上で客観的にマクドナルドの構造的な2つの問題点について指摘したい。

■ 理由1:根底で変わらない経営陣の危機意識の甘さ

まず最初に言えるのは、マクドナルドの経営陣は本当の意味で「安全面に対する危機意識」を持っていなかったということだ。今回の問題が発覚する前に、いくつかの問題が発覚している。それらは問題を訴えた人、保健所への届け出などを行い、解決済みだったり、内容調査中というものだった。その時点で世の中に公表していなかったことを、今回の問題が起きたことで公表した。上海福喜食品問題以降、少しのミスも致命的になりかねない中、出来るだけ波風を立てたくない経営者心理もわからなくもない。ただ、厳しい状況だからこそ、些々な問題も消費者にオープンにすべきだったのだ。

今回の問題が起きなければ公表する必要がないと考えていたものを、今回の問題が起きたことで公表した。この対応も消費者からすれば印象が悪い。上海福喜食品問題以降、工場を変更したり、テレビCMや店頭等で安全面を強調したり、ホームページで製造工程や原材料産地の公表などをすることで、消費者に理解を求めていた。しかし今回の問題で、マクドナルドは不祥事を隠していたという印象を消費者に与えてしまったのだ。つまり、かえって悪い結果となった。広報視点からみれば、経営陣の危機意識は甘かったと言える。また、実際に問題が散発していたことを考えると、根底の部分で、安全面への経営陣の危機意識は甘かったとも言えるだろう。

■ 理由2:文化の違いへの認識の甘さ

日本の消費者は世界の中でもっとも品質に厳しいとよく言われる。それは製品だけでなく食に関しても同様だ。性能面、品質面だけでなく安全面についてもとても厳しい。だからこそ、日本製品は世界の中で愛され、日本のホスピタリティは世界の中でもっとも高く評価されているのだ。

食の安全面において、日本企業のスタンスは、些細なミスもゼロにしようというものだ。一方、アメリカ企業のスタンスは、ミスはどうしても起きてしまうものであり、人体に影響が及ばなければある程度は仕方がないというものだ。したがってアメリカにおいて問題にならないようなレベルの問題でも、日本では大きな問題になってしまう傾向がある。そして、不具合というニュースはソーシャルメディアを通して、一気に広まってしまう。数十年かかって築き上げたブランドイメージも一瞬にして落としてしまい、時には企業の存続すら左右する問題になる。私は、このスタンスの違いの良し悪しを論じるつもりはない。ただ、一つ気になる点がある。上海福喜食品問題発生時、カサノバCEOが7日後にようやく開いたこと、その中で記者からの質問に対して「自分の子どもにも自信を持って食べさせられる」と返答したこと、生産体制における安全面に自信があると発言したことはカサノバCEOの本心だったのではないかということだ。上海福喜食品問題では賞味期限切れの肉を使っていたこと、床に落ちた肉をラインに戻したことなどが取り上げられたが、必ずしも人体に影響を及ぼすかどうかわからないものだ。もしかしたら、生きてきた文化の違いから、カサノバCEOは本当に大丈夫と思っていたのかもしれない。会見以降、想定以上の逆風が吹いて、安全面の見直しは進めてきたが、本当の意味では理解できていなかったのかもしれない。

■ 理由3:「店舗・スタッフへの配慮」の甘さ

これには2つの理由がある。共通するのは、マクドナルドのビジョン、仕事へのマインド、仕事の手順や接客方法などのスキルを現場まで徹底し切れていないことだ。

その裏にはある2つの理由の一つ目。それはFC(フランチャイズ)加盟店との関係悪化だ。原田会長(前CEO)時代から、マクドナルドは徹底した経営効率化を図ってきた。その結果、本部は潤って、FCが潤わない仕組みになってきた。また直営店を減らしてFC店を増やすことでも経営効率化を図った。つまりロイヤリティ収入などを増やすことにより、本部は一定の売上額を常に得られるようになった。その一方、本当は一番イキイキしていなければならないFCは苦しむようになった。FCのオーナーがイキイキせず、本部に不満があれば、現場のスタッフがイキイキと動くようになるはずがない。

二つ目の理由はアルバイトスタッフそのものの問題だ。10年前、20年前と比べて、アルバイトをする若者の仕事への意識は低くなった。きつい、苦しい、忙しい仕事はやりたくない。その仕事に就いたとしても、10年前、20年前のような仕事ぶり、気遣いは難しくなった。これはマクドナルドだけでなく、ファストフード、牛丼チェーン、コンビニなど多くの業界が抱える共通の問題点だ。若者の働き手が少なくなり高齢者と外国人スタッフの割合が増えている。私は若者を悪く言うつもりはない。10年前、20年前のアルバイトとは育ってきた環境が違う。その環境の違いを若者だけのせいにすることは間違っている。私が言いたいことは、これが現実であるということだ。

今回の問題は工場だけの問題ではない。ビニール片を無くしてしまったり、本部に報告がなかったという問題もある。実はこの2つの理由によって、店舗や現場意識はなかなか向上しないのだ。 このような問題が起きると”再発防止策の徹底”という言葉がよく使われる。重要なのは、マクドナルドの経営陣が現場のことを本気で理解しているかどうかということなのだ。それが無ければ、防止策は絵に描いた餅でしかない。

かつては超優等生企業だったマクドナルド、多くの子どもたちに愛されたマクドナルド。立ち直って欲しいからこそ、あえてマクドナルドに厳しい意見を書かせていただいた。
2015年になってからメーカーの動きが慌ただしい。日本を代表する電機メーカー、パナソニックとシャープが次々に国内生産体制の強化を打ち出した。

■ メーカーの国内生産体制強化

シャープは2015年6月までに海外で生産している日本向けの液晶テレビと冷蔵庫の製造の一部を日本国内に戻すことを発表した。パナソニックも洗濯機、電子レンジ、エアコンなど4機種ほどを日本国内生産に戻すことを発表した。パナソニックの場合、2014年4月の決算発表会見で津賀社長が「1ドル105円以上、円安に振れれば国内生産の可能性が増える」ということを言っていた。パナソニックも他のメーカー同様、ほとんどの生産は海外が中心となっている。今、完全に国内生産と言えるのは「美容家電」カテゴリーだけと言っても良い。これからアジアを中心に美容家電熱は加速すると思われるが、現段階においては世界の中でも日本市場が圧倒的に強いということ、付加価値の高い商品であることから、男女向けともに美容家電のみ国内生産で行ってきた。

今回のエアコン、洗濯機等、白物家電の国内生産回帰にはどんな理由があったのだろうか。

■ 下請努力だけではカバーできない円安傾向

日経平均株価の上昇に代表されるように、大企業の業績は大方上向き始めた。大企業で働く社員たちもボーナスのアップなど恩恵を被っている。ただ日本の9割以上の割合を占める中小企業ならびにそこで働く人達にとっては恩恵を受けることはまだまだ少ない。アベノミクスによる円安政策は、高度経済成長期の主役となり大きくなった現在の大企業、つまり輸出を中心とする企業にとってはプラスである。その一方、材料を輸入して加工して部品などを作る多くの中小企業にとっては輸入コストの上昇によって利益が圧迫され苦しい状況が続いているのだ。大企業の業績が上がるので、下請企業の売上は上がる。経営上、お金は回っているので、倒産はしない。したがって2014年の倒産件数は減少した。ただ利益が出にくい状況は変わりない。中小企業は、企業努力によって、なんとかしのいできたのだが、それも限界に近いということだろう。下請企業が倒れれば、その部品を使っている大企業も窮地に陥る。今まで円安政策の恩恵を被ってきた大企業も、下請企業への配慮、自社生産部分での採算性の向上を考え、あらたな取り組みが出てきた。それが国内生産回帰という流れだ。これから成長するアジア市場、人口減が確実な日本市場を考えれば、本当は日本での生産回帰は理想的ではない。ただ、そうしないとならない状況が生まれつつあるということだ。

■ 中国・アジアで上昇する人件費

パナソニックの場合、約5000億円という家電の国内販売額のうち約40%を中国を始めとする海外生産に頼ってきた。しかし中国、アジアの国々が成長するにしたがって人件費も上昇してきた。シャープの場合もほぼ同様で中国、マレーシアなどの国々で生産している。余談ではあるがマレーシアの首都クアラルンプールではマンションや商業施設の建設ラッシュが続く。それに携わるのではマレーシア人ではなく、より成長スピードの遅い近隣諸国の出稼ぎ労働者だったりするのだ。つまり、中国や東南アジアで生産するというコストメリットが企業側には少なくなっているのだ。

■ 国内生産回帰がもたらすもの

結果として、日本国内の雇用は増えることになるだろう。これは日本経済にとってプラスになる。また中小企業にとっては、間接的にではあるが、大手メーカーからのコストダウン要請が多少なりとも緩くなってくれるのではないかという期待も出来る。おそらく、パナソニックやシャープだけでなく、これから多くのメーカーが国内生産体制強化の方針を打ち出してくるはずだ。

ただ、これは一過性のもので、中長期的に海外市場が中心となることは変わりない。したがって、労働者側からすれば、日本国内生産回帰に単純に喜ぶだけでいけないだろう。重要なことは、その先の働き方、生き方を考え、自らの経験を高め、知識を身につける重要な時期にしていくことなのだ。




マクドナルドのチキンマックナゲットからビニールのような異物混入があったことが報じられた。問題のナゲットはタイの工場で作られたものだ。2014年に発生した上海福喜食品問題により、中国での生産をやめ、タイでの生産に切り替えた後の問題発覚であり、マクドナルドにとっては本当に厳しい状況になる。

ここでマクドナルドが無駄にしてしまった”3つの追い風”を紹介したい。

■ その1:ようやく底が見え始めた状況に水を差す

マクドナルドは毎月の売上・利益・客数などを開示している。上海福喜食品問題発生以前から約2年にも渡って続く、前年比大幅減の状況。その状況は決して良くはなくなっていないのだが、以前よりも落ち込み幅が少なくなりつつあり、ようやく最悪の中の最悪の状況、つまりマクドナルドにとって底が見え始めた状況だった。安全面の不安を払拭するために、テレビCMだけでなくホームページなどで安全面を大きくアピールするようになっていた。その中にはタイ工場でのチキンマックナゲットのシーンもあった。ファミリー層にとって安全面の不安は、食の選択にとって最重要ポイントの一つだ。安全面の改善策を取ったり、それをアピールされたからといって、そう簡単に不安は払拭されない。それでも、2014年12月あたりの月次レポートを見たり、私が定点観察を続ける店舗スタッフの様子から、ほぼ底を打ったのではないかと感じていたのだ。

■ その2:ファミリー層への必死なアピールが無駄になる

マクドナルド離れの原因は、ファミリー層の離脱が大きい。食に対する安全に加え、マックカフェ推進によってファミリーがいやすい雰囲気ではなくなったことも大きかった。上海福喜食品問題以降、マクドナルドは、マックカフェの一部を改装し始めた。それによって、少しでもファミリー層が来られるようなテーブルやチェアーの配置に変えている。それだけでなく半年間という短期間に人気アニメである「妖怪ウォッチ」を2度も使ったキャンペーンを打った。例年「ポケモン」が登場する時期に投入されたのも「妖怪ウォッチ」だった。しかし、それでもファミリー層が戻った気配は薄い。ただ、マクドナルドは不調の主要因の一つである”ファミリー層離れ”を防ぐために、正しい方向の努力はしていたのだ。

■ その3:牛丼値上げによって来たチャンスを逃す

2014年12月に吉野家は牛丼(並)を90円値上げして380円とした。他の牛丼チェーン店は、すでに値上げをしているところもあれば、まだ300円を切る価格で販売しているチェーン店もある。アメリカの干ばつによる牛肉価格の向上、円安による輸入価格の向上という経済環境を踏まえると、現在の日本で牛丼を300円以下で販売することはほぼ不可能だ。値上げしていないチェーン店が値上げをすることも時間の問題だ。

これに対してマクドナルドは昼のランチセットを300円台に抑えてきた。かつて一斉を風靡し、マクドナルド黄金期を作ったハッピーセット。この成功イメージを彷彿とさせるマクドナルドの戦略は、牛丼チェーンの値上げとも相まり、2015年春にはマクドナルド復活の大きな要素になりうるものだった。

このように、マクドナルドはようやく掴みかけた復活への小さな光を、今回の問題で失ってしまうかもしれない状況になった。問題の長期化は避けられないだろう。ここまで来れば、一時的に利益を失っても、日本国内のみでの完全生産体制を整えるくらいの抜本的改革をしなければ、消費者に見放されてしまう。

最後になるが、私は新聞、雑誌、ウェブ等でマクドナルドの経営やマーケティングについてコメントを求められることも少なくない。私は個人の好き・嫌いの感情で企業を判断しない。マクドナルドの記事を書くと反響がすごい。ダイレクトにメールを頂くこともあったり、Facebookで数千のいいね!をつけて頂いたり、Twitterで数千のツイートをもらうことも珍しくない。筆者として感じるのは、記事がマクドナルドにネガティブな内容より、ポジティブな内容の時の方が「いいね!」の反応が薄かったり、ネガティブな反応が大きくなるということだ。つまり、多くの人がマクドナルドに対して、潜在的に不快感を抱いているように感じるのだ。マクドナルドは、この状況を甘く見るのではなく、企業存続の危機として本当に真剣に対応しなければならないだろう。

冷静に事実を解明することはとても重要なことはもちろんだが、マクドナルドはあらゆる可能性を排除せず、しっかりと問題に向き合ってもらいたい。


12月17日15時より、吉野屋の牛丼が380円となった。1年前から比較すれば100円もの値上がりだ。お小遣い事情の厳しい世の中のお父さんにとっては、とても痛い値上げだ。ただ吉野家という企業側に立てば、これは仕方の無い選択だったと言えよう。

■ 値上げせざるをえなかった吉野家

以前、競合店である松屋がプレミアム牛丼を発売するとともに値上げをした。この時、松屋の社長は、品質にとことんこだわった値上げという発表をした。ただ内容は、使用している肉を冷凍から冷蔵に変えたというものであった。実際には、原価上昇に絶えられなかったための値上げと言って良いだろう。

原価上昇のポイントは二つだ。一つは円安による輸入価格の高騰。もう一つは米国におけるかんばつによって牛肉そのものの価格が値上がりしたことだ。米国の牛肉価格の値上がりは1年前の1.5倍から2倍になる。吉野家が牛丼を280円から380円にしても決して潤沢な利益を得られるわけではないのだ。むしろ、今まで300円の価格でよくやっていたというのが企業側の立場に立った時の視点だ。牛丼は低価格に抑えつつ、牛すき鍋膳という高価格商品を販売することで、経営の成り立たせようとしてきたのだ。

消費者には残念な値上げだが、吉野家は消費者のために牛丼値上げをギリギリまで控えてきたのも事実なのだ。

■ 吉野家値上げで儲かる企業はどこか?

松屋はすでに牛丼を値上げしている。吉野家も値上げした。その一方、すき家はまだ低価格のままだ。では、すき家は勝者になれるだろうか。それはNOだ。なぜなら原価の高騰はすき家だけが避けられるものではないからだ。ましてすき家は吉野家よりも利益率が高いわけではない。ワンオペ解消を含む店舗オペレーションも改善中だ。値上げをするのは時間の問題だ。

では、どこがメリットを受けられるのだろうか。実は、その一つがマクドナルドだ。

凋落を止める要素が見えないマクドナルドだが、現在進めている施策全体を見れば、やっている方向性は間違っていない。安全性の回復につとめ(十分とは言い切れないが)、スマイルを含む店頭のオペレーションを改善し、妖怪ウォッチやハッピーセットでこどもの興味を引こうとしている。マックカフェのシートやレイアウトなどの問題点をリニューアルで改善している。もちろん、これだけの状況になると、すぐに業績は改善しない。ただ私が見る限り、2012年11月の月次レポートで、これ以上悪化しないレベル、つまりマクドナルドはこれ以上は悪くなりようがないところまで到達した。これからは少しづつではあるが、これまでよりはましな方向に向くはずだ。

吉野家の値上げは、マクドナルドには想定外の追い風になる可能性がある。なぜなら、マクドナルドは、マックカフェに代表される高価格路線を見直そうとしている面があるからだ。失ったファミリー層、サラリーマン層を取り戻そうと、昼マック350円を中心に低価格路線への回帰を図りつつあるからだ。このマクドナルドの戦略の中、牛丼業界の値上げは追い風になる。お小遣い事情が厳しいお父さん達を中心にマクドナルドへの回帰が徐々に増える可能性があるのだ。

すでに牛丼業界、ファストフード業界、ファミレス業界という業界の枠はない。異種格闘技戦のゆくえには注目だ。

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