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2013年、訪日外国人観光客は1000万人の壁を越えた。観光立国化を目指す日本政府は、東京オリンピックが開催される2020年に訪日外国人客2000万人達成を目標にしている。観光立国化の一環として、2014年10月から免税範囲が拡大された。家電製品衣料品、装飾品などに限られていた消費税免除の対象が、食品類、飲料類といった消耗品にも拡大された。これに合わせる形で免税に対応する店舗の数も急増している。
渋谷区松涛の近くにある東急百貨店本店。土地柄に加え、併設しているオーチャードホールの存在もあり、数年前までは東京の百貨店の中でも富裕層の割合がもっとも高い百貨店だった。しかし、ここ数年状況は変化している。
すでに数年前から銀座三越、新宿高島屋など百貨店の雄たちは外国人観光客の取り込みに躍起になってきた。日本人のデパート離れが進む中、日本人富裕層だけでなく、外国人観光客の取り込みが経営において不可避な課題となったからだ。
外国人観光客向けのコーナーを設けたり、コンシェルジュサービスを設けることは当たり前になった。館内アナウンスも、日本語だけだったものに英語が加わり、今では中国語のアナウンスも当たり前になった。
こうした中、10月4日に東急百貨店本店を訪れると、今まで無かった免税カウンターが地下1Fの食料品・菓子売場に出来ていた。百貨店業界の中でも、外国人観光客の取り込みにそれほど積極的ではない部類の老舗である東急本店での対応の早さはまさに官民一体となった観光立国化の意気込みを感じさせるのに十分だった。
日本人の英語力・中国語力のアップ、案内表記の多言語化、ムスリム向けのハラル対応を含む宗教的な理由への配慮など、まだまだクリアすべき課題はある。ただ、明らかに観光立国化へと取り組む政府、省庁、自治体、企業の動きは変わってきている。
余談だが、海外から日本への注目度の高さもすさまじい。先日、Emotional Moment in Japanというfacebookページを立ち上げた。これは外国人観光客が、日本で印象に残ったシーンを残してもらったり、これから来日する観光客のために日本の印象的なシーンを紹介するというものだ。
私も数十のfacebookページの立ち上げに関わったことがあるが、このページのファン獲得のスピードは今まででもっとも凄まじいものだった。1時間置きにページを見ると数百単位でファンが増加していく様子は圧巻だった。外国人にとって日本観光は本当に大きな魅力があるのだ。
今後、ますます日本の観光業から目が離せない。
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気になるニュース
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昨年までの「旅博」が名称を変更し「ツーリズムEXPOジャパン」となった。今年は9月26日(土)27日(日)の二日間に渡り、東京ビッグサイトで開催された。国内47都道府県、海外150ヶ国以上が出展し、世界最大規模の旅行博覧会となった。
訪れいてるが、今年もっとも驚いたのはインバウンドの力の入れようだ。インバウンドとは、海外から日本を訪れる人向けの観光業だ。一方、日本から海外へ訪れる人向けの観光業のことはアウトバウンドと言う。
昨年まで出展ブース数、盛り上がりともアウトバウンドの方が優勢だったが、今年は一気にインバウンドに勢いがついた。これには4つの理由がある。
1つ目は、政府による観光立国戦略の推進だ。昨年、訪日観光客数が1000万人を超え、政府は2000万人をさらなる目標に掲げている。
2つ目は、2020年の東京オリンピック招致決定。
3つ目は、円安加速による来日観光客メリットの増加。
4つ目は、タイ、マレーシアを中心とするアジア諸国の訪日ビザ緩和
47都道府県が観光PRをする他にも、インバウンドにおいては面白い取り組みも見受けられた。ムスリム観光客向けの”和室風お祈りルーム”だ。ムスリム観光客向けには食べるものだけでなく、食事を作る食器、器も通常のものと分けなければならない。また一日五回、決まった時間にお祈りをするため、その配慮もしなければならない。増加するムスリム観光客を取り込むために、ホテルなどは食べ物や食器については配慮を進めているところが増えてきた。ツーリズムEXPOジャパンで紹介された”お祈りルーム”は最短2日間で設置することが出来る。天井にはメッカをさす矢印もあり、ムスリム観光客にとっては嬉しい限りだろう。このように、単に観光地の魅力をアピールするだけでなく、さまざまな人種の観光客を呼び込むための”心遣い”も、今回のEXPOでは印象的だった。
昨年あたりから、アジア諸国においても、韓国、台湾、中国に遅れを取っている観光PRを政府主導で強化し始めた。
日本を訪れた外国人観光客は、日本の観光地、食文化だけでなく日本人のやさしさやおもてなしについてもとても高く評価しているという結果もある。官民一体となった日本の観光産業。これからの日本においては観光業の重要性が急速に伸びることはほぼ確実である。
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■ アバクロ人気の終焉
アバクロが不振に陥っている。2010年以降、アメリカで220店舗が閉鎖され、2014年内にはさらに60店舗を閉鎖する予定だ。日本では2005年くらいからブームが始まった。まだ国内に店舗は無かったが、アメリカのスターやセレブが着用している姿を目にし、アメリカに行った旅行客の多くがアバクロを買って帰ってくるようになった。日本で初店舗を構えたのは2009年の銀座だ。その後、福岡店も出来た。
アバクロと言えば、店舗の様子が独特だ。薄暗い店内、大音量の音楽、ムスクの香り、セクシーさを前面に出した男女のポスター。時々、上半身裸のモデル体型の男性が店舗の入口に立って客を出迎える。ショッピングバッグもモデルが前面に描かれたものだ。ブランドの世界観としては徹底されていた。そこまでは良かったのだろう。アバクロは2つのことを誤り、業績は悪化し始めた。その2つの要因について触れたい。
■ 要因1:ブランドへの過信と勘違い
店舗、店員、商品をブランドの世界で固めるのは良い。しかしCEOのマイク・ジェフリーズのブランドコンセプトを逸脱した問題言動によって、人々はアバクロと距離を起き始めるようになった。「クールな男女しかターゲットにしない」は良いのだが、「太った客はアバクロを着て欲しくない」という発言は問題だ。ターゲティングでの発言ではなく、”自由”というアメリカ人がもっとも尊重すべき領域の問題に触れてしまった。そして数々の人種差別的な言動も問題になった。
ブランドの世界観作りと、ビジネスそのものを履き違えてしまったのだろう。これがアバクロ失速の一つ目の要因だ。
■ 要因2:拡大戦略への失敗
アバクロが持つ強烈なブランドの世界観を広めて行くことは難しい。なぜならブランドコアが強烈、独特であるということは、拡大することと反比例の関係にあるからだ。店舗を拡大させていくということは、多くの人にとっての存在になることを意味する。多くの人に受け入れられるためには、できるだけ多くの人に受け入れられるようにしなければならない。つまり急激に拡大をするということは、ブランドの強烈な個性を捨てる覚悟をしなければならないのだ。アバクロに限らず急激な拡大戦略を取るということは、世間から反発を受ける確率も高まる。逆に拡大戦略を取り、ブランドの個性を捨てれば、それまでのファンはそのブランドへの憧れを失ったいく。
アバクロのブランドの個性は強烈だった。だからこそ拡大戦略を取ってしまったことで、多くのアバクロファンが離れた。アバクロにとって誤算だったのは新しい顧客も獲得出来なかったことだ。
■ 最後に
アバクロが取るべき戦略は、急激な拡大路線ではなかった。マイク・ジェフリーズCEOが福岡出店の失敗を認めているように、アバクロの急激な出店路線は失敗だった。これだけ強烈な個性を持つブランドが取るべき方法は、販売数や購入場所を絞って
ブランドイメージを維持向上させていくことだ。
今はインターネットがある。強烈なブランドの信者は自ら情報を発信する時代だ。そしてその情報はグローバルに流れて行く。販売という面に関しても、ある特定地域の店舗を増やすのではなく、インターネットを使って販売することが出来る。これによって販売エリアはグローバルになり、コントロールしながら販売数を決定することも出来る。
アバクロの失敗は”ブランドへの過信と勘違い”と”拡大戦略の失敗”によるものだ。残念なことだが、まだまだこれから発展の余地があったブランドのはずが、経営陣が調子に乗りすぎて失敗した例をアバクロは作ってしまったのだ。
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”ちょい飲み”
仕事帰りのサラリーマンたちが、ちょっと飲んで変えるというブームを表す言葉だ。仕事帰りに居酒屋で深酒するサラリーマンは少なくなった。また若い人達がアルコールを飲む回数、量も減った。長時間飲むのは避けたい、量もそれほど多くない方が良い。こうしたニーズをとらえる形で”ちょい飲み”はブームになっている。
”ちょい飲み”ブームを取り込んでいる代表格がファミレスと吉野家だ。平日の夜を中心にファミレスで”ちょい飲み”するサラリーマンの姿を多く見かけるようになった。話を聞けば「明るい雰囲気」「自分のペースで食事も、アルコールも楽しめる」そんな要素が受けているようだ。吉野家は夕方以降、「吉呑み」と称して簡単な一品料理とアルコールを提供している。サラリーマンだけでなく、女性二人組など、ここでも”ちょい飲み”ブームを感じることができる。吉野家の場合、低価格牛丼戦争、高級鍋戦争と激化する競合店との差別化争いを何とかしたいという狙いが見てとれる。そして利益率を高くしたいという狙いも見てとれる。厨房や席を変える事なく、利益率の高いアルコールを出せるシステムは、吉野家にとって願ったり叶ったりだ。また、夜に来たお客さんが、牛丼を食べるためにランチに来てくれる確率も上がる。この点においても吉野家にとって”ちょい飲み”は願ったり叶ったりのブームなのだ。
”ちょい飲み”ブームはラーメン業界にも波及してきた。ラーメンチェーン「日高屋」を展開するハイデイ日高の2014年3〜8月期の営業利益は前年比5%増の約21億円、売上高は前年比8%増の約171億円となり、従来予想も上回る形となった。吉野家が夕方以降「吉呑み」の提灯を店頭にぶら下げて”ちょい飲み”客の取り込んでいるように、日高屋も店頭に赤ちょうちんをぶら下げ、客を取り込んでいる。”提灯”というのは、ガード下や横丁など、まさに”ちょっと一杯”の居酒屋の象徴だ。若い人にすれば、さくっと飲んで変えることができる象徴であり、年配者にすれば昭和の懐かしさすら感じるアフター5の象徴だ。
”ちょい飲み”ブームが加速する理由を整理すると、運営企業にとっては新たな顧客獲得ができ、アルコールという利益率の高い商品を入れられるという点が大きい。これによって売上・利益が上昇する。また大きな設備投資の必要がないため、利益率も向上する。
一方、消費側にとっては、短い時間・好きな量で楽しめ、飲み会を終わらせることができる。そして居酒屋と比べてお財布にもやさしい。会社帰りに飲むことに積極的ではない若いサラリーマンも”ちょい飲み”だったら付き合おうかというように会社内コミュニケーションの活性化に繋がる可能性もある。
これだけプラスの要素が大きいことを踏まえれば、”ちょい飲み”ブームはまだまだ続くことは確実だ。
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■ スタバを脅かすコンビニの存在
スタバの競合はタリーズを始めとするコーヒーショップチェーンだけではない。ここ最近の最大の競合はコンビニだ。セブンイレブンのプレミアムコーヒー、ファミマのマチカフェなど、ここ1、2年でコンビニはコーヒーに力を入れ、クオリティは格段に上がった。スタバが約2000円コーヒーの発売を開始した日、偶然にもローソンが100円コーヒーを月末から発売開始することを発表した。スタバの通常のコーヒーと比べて、約1/3の価格で飲めるコンビニコーヒーは、消費者にとってコストパフォーマンスの高い商品だ。昨年より続くナカショク(自宅での食事)ブームに代表される自宅でくつろぎながら飲む機会だけでなく、通勤時にオフィスに行く途中のコーヒー購入など、コーヒーを購入する機会においても、コンビニコーヒーはスタバの大きなライバルになって来ていたのだ。
■ コーヒーにこだわるブランドの姿勢を見せる
コンビニコーヒーとは違うことをスタバはPRする必要があった。「やっぱりスタバはコンビニコーヒーより美味しい。さすがコーヒー専門店のこだわりだ。」だと消費者に感じてもらうためには、今までのコーヒーよりもさらにこだわったコーヒーを用意することがスタバには必要だったのだ。約2000円と通常価格の数倍もする金額にしたのにも理由がある。品質面において圧倒的な差をつけるためには価格にこだわる必要はなかったのだ。また実際に飲んだ人だけでなく、飲む機会が無かった人へのアピール目的で言えば、一杯800円よりも一杯2000円の方がインパクトがある。つまり、ニュースバリューとして高く、拡散しやすいのだ。
■ 期間、店舗、数量限定の理由
期間も、店舗も、数量も限定したのは、約2000円のコーヒーはあくまでスタバのブランディングのための商材だからだ。限定感があればあるほど話題性は高い。また高価格帯の商品でも在庫を抑えることで経営におけるリスクも抑えられる。実際には豆を入手できる限界もあるのだろうが、上記の理由もあり、期間、店舗、数量限定にしたのだ。
スタバの約2000円コーヒーは、緻密に練られたブランド戦略の賜物なのだ。
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