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■ 学園で出逢った子どもたち


学園(私が子ども達に会った児童養護施設)の中で
一際明るくて、サラサラ髪が自慢の5歳のまや。
きっとお母さんも美人なんだろうな、と想像してしまう程
5歳なのに端麗な顔つきをしている。
その子は、2歳を少し過ぎた頃、学園にやってきたらしい。
私は週1度来るような存在だし、子ども達の過去をもちろん
あれこれ聞いたりしないし、
職員の人達へもよっぽど気になったことしか聞かない。



学園には2歳から18歳までの子ども達が暮らしていた。
そこには大きな食堂があって、
日中はそれぞれバラバラの時間に登下校して、
顔を合わせない子ども達も、6時ごろから、
ここに集まってみんな一緒にご飯を食べる。
自然と大きい子が、年下の子の食事の世話をしたり、時々からかったり
和気あいあいとご飯を食べるみんなの姿を、私はニコニコ見ていた。



しばらくそんな子ども達を見ていて、ふと思った。



この子達はお母さんが作ったご飯が食べたいとか・・思わないのかな。
お父さんが鍋奉行する姿とか、
家族の食卓が懐かしいとか、どんなものだろうとか、
思ったりすることもあるのかな・・。
どうしていつも、いつも、こんなに明るく振舞えるんだろう?
どこまでこの子達は強いの・・?
でも、そんなにいつも強いはずないだろうし、そんな時は
誰かに話したりするのかな・・。
一見無邪気に見える、子ども達を見ているうちに
私はなんだか目頭が熱くなった。



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■ でも、ママは悪くないの。


ご飯の後中庭のベンチで何人かの小学生と話をしていたら、
まやが向こうから満面の笑みで走ってきた。
学園の子は、皆スキンシップが大好き。
私にまとわりついては、私の手や足?の取り合いをする。
それがとてつもなく、可愛いんだけど。
そして5歳のまやは、空席になっていた膝の上にすかさず座り、
私がつけていたネックレスに手を伸ばして、こう言った。


「せんせい、これ彼氏からもらったの?」

「ううん、自分で買ったよ」

「そっかぁ。せんせいは彼氏と一緒にお風呂に入るの?」

「えっ・・(?!)なんでそんなこと聞くの??」

「だって、ママも彼氏とお風呂に入ってたよ。」

「そうなんだぁ。まやも好きな人ができたら、一緒に入れたらいいね(照)」

「うん!でもね・・まやはママとお風呂に入りたいな。
でもね、彼氏も大事だから、まやはいいよってママに言ったの。
だからママは悪くないの。」



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■ 社会全体のニグレクト


私は、ここでボランティアをしている期間中、
正直に言うと、何度この子達の両親が憎いと思ったことか分からない。
いい子でいれば、パパやママが迎えにきてくれると思っている子もいた。
まやみたいに、母親に捨てられたのに、それでもママは悪くないと言う。
この子達が、言ってること、そのまま聞かせてあげたいよ。
こんなに、純粋に、自分を必要としてくれている我が子がいるんだよ。
どうやったらそれでも放っておけるの?!
何度も、何度も思った。
悔しくて、仕方なかった。



でも、今は思う。
ニグレクトされた子どもが目の前にいる。親が悪いに決まっている。
そんな単純な話ではないんだと。
今回のメルボルンの赤ちゃん置き去り事件でもそうだったけれど、
全ての議論の中心は、「母親」だった。
まるで子どもの責任は全て母親にあるかのように。
父親ももっと育児に参加するべきだとか、そういうことを
今は言いたいんじゃない。


ただ、社会の目がそうなってしまっているということ。
外出先で子どもの態度が悪いと
「母親のしつけが悪い」とコソコソ言われる。
また、子どもが学校で問題行動を起こしたら
「母親の教育はどうなってるの?」と責められる。
雑誌では、お受験のために子どもを幼児教室へ入れたり、
インターナショナルスクールへ入学させた母親の特集をやっている。



その家族からの、社会からの
「子育ては母親の責任」というプレッシャーの中で、
もがき苦しむ母親が実際にはたくさんいるんだということに気がついた。
ああ・・これは子どものニグレクトだけじゃないんだ。
母親に対する、社会全体のニグレクトなんだと。



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■ 相談してほしかった?


今回、3歳男児が匿名で病院に預けられたことに対する各主要人のコメント


「赤ちゃんではなかったとは、信じられない。事実とすればとんでもない話だ。」(家庭福祉課長)

「3歳ぐらいの子供なら、児童相談所に相談すべき事例」(児童家庭局)

「あってはならないことで大変遺憾だ」(塩崎官房長官)


「子どもを産み育てることは親の責任で、これを軽視されては困る。
難しい問題とは思うが、親にはぜひ名乗り出てもらって、
児童相談所などに相談してもらいたい」 (高市少子化相)


「かねてから申し上げている通り、あってはならないことでございます」
(柳沢厚労相)


「子どもを置く前に児童相談所などの態勢があるので、
悩みがあれば相談してもらいたい」 (安倍首相)



実際に深刻な悩みを抱える人達の耳に、これらのコメントはどう聞こえたのだろうか・・・。



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■ 相談できないのは、相談しない人が悪いんじゃない


私が思うに、本当に、本当に悩んでいる人は相談なんて
なかなかできないんです。
本当に助けが必要な人は、市役所の子育て相談窓口には来ない。
そういう人達の身になって、もっと真剣に考えて欲しいなと思う。
ましては、市民のどれくらい人が、地域の児童相談所の場所を
知っているというのでしょうか。



匿名で子どもを置いた人のことについては、何も分からないけど
ひとつだけ、言えることがある。
それは、誰にも相談できなかった、ということ。
相談できる場所を設けてあるから、それで機能すると考えている
政治家は共感力と想像力が欠落している。
共に感じようと、理解しようとするそういう視点があれば、
ああいう他人事のようなコメントは出てこないのではないかと思うんです。



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■ 最後に・・


私の周りでも、日本で子育てするのは恐ろしくてできない。と
嘆く友人がいます。
ああ、悲しいなぁって思ってしまいます。
確かに子どもを産んで育てるって、責任も、時間も、体力も、お金も、いる。


これだけ私立に行かせるのに教育費がかかるとか、
学校でこんな問題が起きているとか、
お受験ってこんなに大変だとか、
最新幼児教育とか、
頭の良くなる子が育つ家の建て方とか・・


きっと見ているだけで疲れちゃう人もいるんだろうな、と思う。
子どもを産まない選択肢をする人の気持ちも、
少しだけだけど分かる。
だって周りを見渡すと、「子育てはこんなに大変ですよ」
という重いメッセージが溢れているんだから。


子どもがよく育つ環境は、何よりまず
両親が人生を楽しんでいることだと思っています。
だから無理に、何でもかんでも子どものために・・と思い詰めるのではなく、
子どもと一緒に私の人生、僕の人生、楽しむんだ、位が
ちょうどいいのかな、と。
そうしたら、自分の一番良い部分を子どもに見せることができるでしょう?


誰にも相談できなくて、追い詰められる母親、父親をつくりだす前に、
そんな肩の力がふっと抜けるような、
子育てを楽しめるような
温かいメッセージが溢れる地域、社会になって欲しいと思う気持ちが
ますます強くなりました。

閉じる コメント(3)

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そうそう、何でもかんでも子供の為に・・。は、良くないと思います。
私の背中を見て育てばわかるでしょ?と、自信を持って自分の人生を誇れる親でありたいと思います。たとえ途中にどんな紆余曲折があろうとも、それが私、それがあなたの親なのです。文句ある?
と、いつでもいえるように毎日がんばって生きたいです。

2007/5/24(木) 午後 9:24 あすかママ

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まやちゃんの話は可哀相ですね。施設の職員がどんなに愛情を注いでも母の愛情には勝てませんよね。思いっきりお母さんに甘えたいって思っていたんでしょうね。無責任な親が多すぎます。そういう人間を作り出した社会にも責任があるんでしょうね。

2007/5/25(金) 午後 5:15 rai*bow**242*00

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asukaさんこんにちは。そうですね、私も以前からのブログでお話しているように、完璧な育児なんて存在しないんだし、誰でも最初は新米ママパパなわけです。子どもはもちろんだけど、自分のことも可愛がってほしい(苦笑)そして周りの人も暖かい目で見てほしいですね。
Rainbowさん。いつも見ていただいてありがとうございます。
無責任な親が実際にいるということも含めて、
今は色々な家族の形態があるという今の現実を社会全体が素直に
受け止めるべきなのかな、と思います。
見て見ぬふりでは、もう済まされない気がしています。

2007/5/26(土) 午後 3:28 [ miffy_au ]


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