はい、種明かし企画第三回です!
「やけにペースが遅くないかい?」
いやいや、しょうがないんだよ! っていうか谷津さん、あなたのせいですからね! ブログ更新の気が乗らないとかいうから!
「しーっ! だって、なんだか、だってだってなんだもん!」
そういう軽口は止めろ!
けれども、おかげさまで「おもちゃ絵芳藤」にも書評を沢山いただけてありがたいことです。雨宮由希夫先生には歴史時代作家クラブの公式ブログに、大矢博子先生にはPR誌ランティエ(角川春樹事務所)に、末國善己先生には朝日新聞読書面に……!
「いやもう過分なお言葉に恐縮しきりです」
谷津さん、書評が出るまで胃痛にさいなまれていたんですよね!
「ここだけの話にしてやってくれ!」
そんな裏側はさておいて。
さて谷津さん、今日はライナーノーツなわけですが、誰を話しましょう?
「まずは、月岡芳年さんを」
おお、ビックネームきましたね!
「けれど、実はメイン絵師たちの中では一番扱いが小さい気がしないこともないですね」
た、確かに……。しかも、本作の中ではずっと売れっ子でしたしね。
「本作で書いたように彼は今でいう鬱病に悩まされた絵師で、時期によってはそれで書けなくなったりはするんですが、基本的には売れっ子ですねえ。だからこそ、本作では影が薄めです」
ああ、本作、売れない絵師の悩みですもんね……。
「そう。彼は色んな意味で売れない絵師である芳藤の対極に設定した絵師でした。月岡芳年さんは一生自分の作風を守り続け、保ち続けた人でした。こう言っては何ですがすごく幸せな絵師ですし、それだけ実力も認められていたということなのです」
そうだったのか……。
「ちなみに月岡芳年さんを描くにあたりモデルが何人かいまして、某若手作家さんと某若手作家さん、あとはあたしの実体験なんかをごちゃまぜにして誕生しました」
いいのか、そんなことを言ってしまって!
「平気でしょう。お二人には一生話すつもりはないですし! それに、本作で書いた芳年の痛い話は、わりとあたしの話です。部屋が汚いとかね!」
おいこらやめろ!
これ以上話させると本当にやばい話が出てきそうなので、次だ次!
「ああはい。では次はお鳥さんで」
国芳師匠の長女ですね。ちなみに本作では(ネタバレの為文字色反転)月岡芳年さんが懸想していました(反転ここまで)がこれは……?
「フィクションです」
まじかー!
「いや、人間の内実なんて分かりませんよ。でも、事実としてお鳥さんは独身時代には絵師として作品を描いていたものの結婚を機に筆を折り、かなり早い時期にお亡くなりになってしまったようです」
ようです、というのは……?
「当時の女の人のことなので、いつごろお亡くなりになったのか、今一つ分からないという面があります。そもそもこの時代の江戸庶民については調べがつかないことが多いです。関東大震災とか空襲の影響で史料が焼けてしまったりご子孫が引っ越してしまったりといったことがあったので」
そうなのか……。
「本作のテーマの一つに”忘却”があるんですが、彼女は忘れ去られるようでいて、実は月岡芳年さんの筆によって忘却を免れていたとも取れるような書き方をしたつもりです。腕のいい絵師というものは、途轍もない力をもって迫ってくる忘却の波にも筆一本で勝ってしまうものなのです。二人の関係を書くにあたってあたしが考えていたのは、おおよそそのようなことでした」
なるほどねえ……。
というわけで。
次回に続く!
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