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どうもここのところ谷津さんは悩んでいるようです。
ぶっちゃけた話、今が作り手としての最初の正念場なので、進退が窮まっている面が大いにあるようです。とはいえども前に進むしかない現状なので、谷津さんは既に前に進む所存なのです。
が、鉄人(メンタル的な意味で)として知られる谷津さんも、やはり母親の腹から生まれた人間なわけで、やっぱり不安があるようなのです。
そして谷津さんは、あれに挑戦してしまうのです。
「はい、手相を見てもらいました」
えー! 谷津さん、かねがね『あのような非科学的な迷信に時間やお金を割く人たちの気持ちが分からない』と述べて憚らなかったくらいに科学の子だったじゃないですか! なのにどうしたんですか。
「言ってくれるなおっかさん。非科学的だろうがなんだろうが、今はすがりたい気分だったのです」
で、手相ですか。どうせ谷津さんのことですから、大した手相じゃないんでしょ?
「いえ、手相見の人が絶句してました」
絶句?
「ええ、滅茶苦茶珍しい手相だったそうです」
ますかけとか?
「いえ、どうも筆者、『妄想空想が大好き』という相が滅茶苦茶発達していて、そうそう見ない珍しい手相になっているようです。その手相見さんからは、『音楽とか絵とか、とにかくそういう芸術分野でがんばると上手くいくよ』と言われました」
って、当たってるやん谷津さん。
「で、どうも今年と五年後、あと十五年後に大きな仕事を成し遂げるという相が出ているようです」
今年の件は当たってますね。
「で、その人、筆者のことを四柱推命で見てくれたんですが……そこでも凄いことを言われてしまいました」
すごいこと? 驚かんぞもう。
「筆者、どうも天中殺のときに生まれたらしく、運気にリミッターがないらしいんです。普通の人は、良きにせよ悪きにせよ運気にリミッターがあるらしいんですが、筆者にはそのリミッターがないらしいので、大きいことをやる人間らしいです」
浮き沈みの激しい人生ってことですね。
「でも」
でもなんです。
「いえね、最近気になっているあるお人について聞いてみたんですよ。そしたら、『頭のねじが三つ四つすっ飛んでる人じゃないとダメになりますよ』って断言されました」
いや、そりゃそうです。
谷津さん自身が二十本くらいねじがすっ飛んでるじゃないですか。
「う、うるさい!」
どうやら谷津さんは、婚活を諦めたようである。
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