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前回の続き。
さて、それで伴天連剣の話になるわけか。
つかさ、それにしてもあんた、めちゃくちゃなネタをブッ込んできますね。よりにもよって西洋剣術をネタにするとは…!
「なにか問題でも」
ないけど、なにもないけど! それにしてもなんで時代物に西洋剣術を混ぜようとしたんだよう。混ぜるな危険だよう!
「うはははは。でも、意外にイケましたよね」
確かに…!
「いや、日本剣術対西洋剣術って、ありそうでないようでありそうな組み合わせですよね。わたしもやってみたくなったというのが正直なところです。それに、風魔だけでは隠し玉がないので、彼らの登場となった次第です」
なるほどね…。では、伴天連剣の使い手たちの説明を…。
「実は、あんまりイメージがないのですよね」
な、なんだってー!
「いえ、小丸にせよ善三郎にせよ、それぞれの得物(バックラーとレイピア、バスタードソードとフランベルジュ)の使い手という設定と、なんとなく性格面での配置を行なっただけですから」
それってつまり……。
「最終的には斬られ役ということで…」
せ、切ないぞい!
「でもまあ、個人的にはフランベルジュをぶんぶん振り回す善三郎や、バックラーで相手の攻撃をさばいてケタケタ楽しげに口角を上げる小丸は即興の割にお気に入りです」
もっとも、再登場の目はないわけですがな!
「その通りだ! 死んでるからね!」
では、次は……。備中守と宗矩ですか。
まず備中守さんですが…おや、この人は実在ですね。
「ええ、来歴は文中の通り。小田原城主だったのも史実通りです。史実によればその後も出世して要衝の地の城主を歴任し続けます。そういう意味ではきっと優秀な方だったのでしょうなあ」
その割に、扱いがひどくはありませんか。
「ええ、メインテーマのために彼は犠牲となったのだ…」
テーマ?
「まあ、そのへんは読者様のほうで見つけてみてください。ある意味、彼のおかれた立場こそが本作のメインテーマに深くかかわっていますので」
ふむ、では次は宗矩ですが……。
「まあ、世間一般の宗矩のイメージそのまんまです。謀略家で腕の立つ天才。まさにそんな感じ」
とまあ…。こんな感じで「ふたり十兵衛」のライナーノーツは完了したわけですね。
「ええ。まあ、このお話は完全にエンタメなので、頭空っぽに楽しんでいただけると嬉しいテクストです。ぜひとも!」
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前回の続き。
さてさて、お次は……。敵方の説明に行きますか!
「そうですな。敵方の人数が多すぎて割愛しちゃうかもですが…」
いやいや、それはまずかろう。ではこうしましょう。今回は風魔を中心に行けばいいんじゃないでしょうか。
「ということならば」
ってか谷津さん、いくらなんでも柳生十兵衛に風魔をぶつけるというのは安直ではないか? しかも、五代目風魔をぶつけるなんて。
「おい戯独堂、ちょっと話を走らせすぎだぞい」
そうですな。わたしのこの問いかけ、歴史に詳しくない人からするとかなり不案内な言い方ですね。では谷津さん、説明をお願いいたします!
「風魔というのは戦国時代に小田原の北条氏に従っていた忍者の一族です。その頭は代々風魔小太郎を名乗っていまして、風魔が功名をあげたとされる小田原討伐の際には頭目は五代目だったといいます。しかし、北条が没落してのちは夜盗の類になってしまい、徳川家康によって討伐されたというのが通説となっています」
しかし、その風魔が三代将軍家光の頃にも小田原に身を隠していた…と。
「このくらいの設定はアリだろうと思ったクチ」
なるほど。
「で、五代目が老いさらばえても健在で、意気軒昂に牙を剥いていることにしたのです」
ほうほう。でもさ、風魔、なんか全体にアレじゃないですか。あのう、そのう、弱いというか。
「戦国の時代には精強を誇っていた風魔も、平和な時代となったこと、家康の討伐を受けたことにより弱くなってしまった、という設定です。それはこのお話のメインテーマにも関ってくるのであえてしゃべりません」
でも、五代目の扱いががが。
「そうか? わたしの大好きな爺キャラだ! 実はああいう食えない爺さんが大好物です!」
いや、聞いてない。
「しかしながら、風魔がテクスト上どうしても弱くなってしまうこと、また、小田原という場面設定で『ははーん』と思ってしまう方向けに、用意させていただいたのが伴天連剣の連中です」
なるほど、そういう経緯であったか。
というわけで、次回につづく!
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前回の続き。
さて、次の人物紹介は……。当然霧と左門ということになりますね!
「そういう流れですね」
まずは霧から行きたいんですけど……。おい谷津てめえ、何やってくれちゃってるんだこの野郎。
「は、何がですか」
わたしの目をごまかせると思うなよ。あの霧のキャラクター造形、谷津さんが大好きな漫画『鋼の錬金術師』に出てくる忍者の女の子だろう!
「ええい、名前があるぞ名前が。ランファンだ! その辺間違えるんじゃない!」
認めるのか、あんた。
「どきっ。いやまあ、あくまでモデルとしてランファンがいるということは認めますけれども……。あと、個人的にはお話の位置づけとして水戸黄門の柘植の飛猿がイメージにあったりします」
おいおい、ってことは、かなりあんたの萌えが入っておるということか…。
「まあ、もっと言うと、やっぱりエンタメには女性がいたほうがお話が締まりますよね。そういう意味では彼女はすごく重要なキャラでした。ほどよく十兵衛主従のいびつさを中和していましたしね」
なるほど。
では次は左門なわけだけど…。この流れだと、大佐、大佐なのか!?
「いやいや、うちの左門は残念イケメンかと思いきやガチイケメンみたいな位置づけではありませんよ」
なるほど、谷津さんの中でマスタング大佐はそんな位置づけなわけか。
っていうか、違うんだ!?
「ええ。左門は十兵衛をモデルにしています」
は?
「十兵衛一家を描くに当たってとにかくいびつな感じに仕上げたかったので、十兵衛よりもなお性格的にいびつということになり、ああいう嫌味極まりないキャラクターになりました。あの感じが大佐に見えたのかもしれませんねえ」
なるほどね、それでか…。
「しかし、本作での左門の実力の程は、ハガレン作中での大佐の位置づけとほとんど変わりません。つまり、ほぼ最強キャラということです」
なんてこったい。じゃあ大佐じゃねえか!
「いやいや、違うんだなこれが」
どう違うのかわからんけど、次回につづく!
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さて、今回からは人物紹介なわけだが。
ってことは、主役二人ということになるね!
「ええ。柳生十兵衛と速水一兵衛。この二人からお話を始めなくてはなりますまい」
そいや谷津さん、なんか谷津さんの親が「あんたの書いた柳生十兵衛、どう見てもあんたそのものだよ」と感想をよこしてくれたそうですな。
「な、なぜその逸話を知っている!」
ふふん。
でも、珍しいですねェ、谷津さんが自分自身を書くなんて。
「馬鹿おっしゃい。わたし、あんなこまっしゃくれてないよ! わたし自身は特にモデルなどを想定せずに、頭の中に思い浮かんだ(というか前回お話しした事情によって立ち現れた史実寄りの)十兵衛に脚色をした感じです」
まあ、谷津さん、ともすると学究肌だからなあ。その辺が似てるとされるゆえんかもですねえ。
「いや、学究肌でもないだろ。――ともかく、あの十兵衛とわたしは何の関係もございません!」
そして、続いては一兵衛か。
「ああ、こちらはパブリックイメージの十兵衛のうち、剣士としての面をクローズアップしたキャラクターとなっています。普通柳生十兵衛というと智勇兼備の剣士というイメージで描かれますが、本作では十兵衛に智を取られてしまっているので一兵衛は勢い……」
バカな子に!
「そう。でもそのバカッぷりがお話を転がすにはちょうどよく、何とも動きの悪い本作十兵衛を引っぱり回す重要キャラとなってくれました。そも、十兵衛の察しがよすぎる設定なので、どうしても一兵衛はびっくりしてばっかりみたいなところもありますね」
ってかさ、谷津さん、この二人ってなんかいびつだよね。
「ほう?」
なんかこう、共依存しているというか、ある種の共犯関係というか、二人とも一人の人間として何かに欠けている気がして、それをお互いで埋め合っているような……。
「ああうん、その辺は狙いです」
やっぱりか!
次回へ続く!
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はい、深夜です。どうもこんばんは戯独堂です。
ってか、なんでわたし、こんな時間にブログいじってるの!? 普段のわたしといえば、「夜更かしはお肌の敵」とのたもうて憚らないのに!
「わけがわからんよ」
ああ、谷津さんまで目覚めてる!
「まあいろいろあってな」
詳しくは聞かないでおこう…。
で、谷津さん、今回から企画ですよね。
「はい。九月に刊行された『ふたり十兵衛』のライナーノーツを書こうかと思います。数回に分けて行いますのでよろしく!」
で、今回のこの「ふたり十兵衛」ですけど、なんか結構いろんな人にビビられたものらしいですね。
「ええ、何せ柳生十兵衛を(以下文字色反転)剣を握れない人物として描いてますから!」
でも、なぜこんな設定に……。
「ふっふっふ。これはですね、このテクストの執筆動機にもかかわってくる話なので、ちょっとねちっこく説明しますよ」
出来るだけ端折っていただけると助かるのですが。
「じゃあ手短に。――戯独堂さん、柳生十兵衛っていうとどういうイメージです?」
え? 柳生十兵衛っていうと、片目が潰れてて、伊賀袴を履いた怜悧な剣客ってイメージです。んで、とんでもない剣の達人。場合によると隠密とか忍者みたいな扱いで書かれますよね。
「ええ、でもそのイメージって、後世の講談なんかで描かれたものなんです」
ななな、なんだってー!
「そんなに驚くところか。……歴史上確認できる柳生十兵衛はそもそも隻眼ではない公算が高いですし、隠密活動をしていたという証拠らしい証拠はありません。史料から浮かび上がる彼は、割と学者さんみたいな雰囲気です」
が、学者? 柳生十兵衛が?
「ええ、彼は柳生新陰流の極意書を残すんですけど、その極意書がどう読んでも『徒然草』の影響をモロに受けているんですよ。しかも、本来柳生新陰流は口伝が主で文章で極意を残さなかったんですって。それを改めたのが十兵衛とされているようです。そういうところから想像するに、実際の十兵衛は古典好きの学者肌だったのでは、とされています」
なるほど。つまりあれですね。歴史上の人物としての彼と、イメージの彼が相当乖離していると。
「そして、その乖離した二つのイメージが、実は一人に由来しているわけではないのではないか、というところからこのお話を膨らませました」
なるほど、それで「ふたり十兵衛」ってわけですね。
「その通り!」
次回へ続く!
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