谷津矢車観察日記

〜存在そのものに意味はない、意味を決めるのはこれを読んだあなただ〜

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おお、最後なのですね……!

「はい。今日でラストです」

ってことは、今日は残る二人の説明ということに。

「はい。まず一人目は、荒尾三左衛門さんですね」

この人、のちの池田輝政さんですよね?

「その通りです」

こう、後々に知られる輝政さんとずいぶんイメージが違いませんか?

「ええ、輝政さんといえば果敢に戦う猛将のイメージがありますし、弁の達人というイメージもあります。けれど、そんな彼にも下積み時代……というか、若い頃があったのだよ、というお話です」

なるほど。
そういえば、三左衛門とけんかしている秀吉配下の「福島」っていますけど……。

「はい。あの福島さんです。二人の因縁は昔からあるんですよ、という小ネタです」

これは実話?

「いえ! 全然。完璧に想像で遊ばせております!」

言い切ったよ……。

「彼は本作における一番の賢人であると同時に、主人公の恒興さんに深い示唆を与える役なので、かなり重要な人物です。恒興さんの彼への評価の変遷は、まさにこのお話の肝であります」

なるほど……。
それで、最後に主人公の池田恒興さんですが……。
けっこう「無能」扱いされている、と読者様からお叱りを食らう場面があるのですけど。

「まず言っておきたい。あたしの書いた池田恒興さんは決して無能ではありません。一部隊長としては有能です。ただ、大局を見渡す人ではなかった、という風に作っています」

むう?

「たとえば、ですけど。会社の部長としては有能だったけど、取締役としてはあんまり活躍できない、って人もいると思うんですよ。そういう人をイメージしているんですね」

わかったようなわからないような……。

「人間、立場が変わると求められるものも変わっていきます。きっと、本作における信長さまは、恒興さんに上の立場に進んでもらいたかったのでしょう。それゆえに、秘伝書を渡したのだとあたしは考えています」

気づいてほしかった、ってことですかね。

「たぶん。ほら、プロローグで恒興さんのことを叱りながらも犬山城を与えているでしょう? あれは、『一部隊長としての手腕は認めるけど、それ以上の采配を握るだけの手腕はない』とみなしていたということの表れなのではないでしょうか」

なるほどねえ……。
それで、『信長様はツンデレ』という話になるのですね!?

「その通り」

はーなるほど。

「ちなみに、本作の恒興さんをイメージするにあたりあたしが念頭に置いたのは、ショーペンハウアーの『読書すること』だったりします」

へ? ショーペンハウアー? ええと、哲学者の?

「はい」

どういうこと!?

「はい、ショーペンハウアーさんは『読書すること』で、読書家に対してある警告を放っています。でもこれは読書家だけではなくて、すべての人に対する警句であるなあと思い、本作では『読書すること』を頭において書いたんです」

ええええええええ。
マジで?

「マジで」

というわけで、長きにわたり続きましたライナーノーツ企画もこれにて終了。ありがとうございました!

「「信長様はもういない」、よろしくお願いします」

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