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はいどうもー。
告知でございます。
谷津さん、不定期連載が始まります。
文藝春秋さんの「オール讀物」12月号より、「江戸暗香(仮)」が始まりますよー。その第一作がこちら。
「雲州下屋敷の幽霊」
で、谷津さん、これはいったいどういう話なのですか?
「胸糞悪い話だよ!」
え!? いきなりどうしたの!
「いや、胸糞悪いお話ですよ、と申し上げたのです。江戸時代のお話なのですが、実際に残っている『文身侍女』という逸話をモデルにしているので、ちょっとあれなんですよ」
ど、どんなお話なんです?
「江戸時代の雲州(出雲、今の島根県)のお殿様に松平宗衍という人がいたんですが、彼の後半生は半ば世捨て人のようであったらしく。下屋敷に居を定めて、あれやこれやしていたみたいです。その中の一つに、侍女の背中に入れ墨を彫らせ、紗の着物を着せてその透け感を楽しんでいたというあかん逸話がございまして。これが『文身侍女』です」
ああ……なんかあかんね。
「はい。でも、あたしはこの逸話に宗衍の悲しみを見た気がしたのです」
はあ? この逸話のどこに!?
「いえ、この方、徳川吉宗の偏諱を受けているんですよ。で、吉宗公という人は、若手大名を薫陶して改革派大名を量産していた人なのですが、そういう意味では宗衍もそうやって改革スピリッツを吹き込まれた一人なのです。その人が、なかば乱心に陥って生きているというのは何とも悲しいことであるなあと思ったわけです」
それで、書いたのがこのお話、と。
「はい、いつもの谷津だと思って油断することなかれ。『びっくり箱小説家』谷津矢車の引き出しをば見よ!」
あ、そうだ! 先に御礼申し上げなくちゃならないことがあるではないですか! びっくり箱小説家で思い出した!
「そうでした。
小説幻冬2号に、拙作「信長さまはもういない」(光文社)の書評が掲載されました。評者は細谷正充先生。誠にありがとうございます。その中で、細谷先生が『びっくり箱小説家』と評してくださいまして、すごく気に入っております」
けど、いいのか? 『びっくり箱小説家』ってことは、毎回毎回趣向を用意しないとあかんということに……。
「あっ」
……。
「というわけで、細谷先生、ありがとうございました!」
おい、目をそらすなよ。
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はいどうもー。
はたまたライナーノーツ企画、はっじまるよー。
「その幼児番組的なノリはどうにかならぬのか」
いっくよー!(ジト目)
「怖いよ!」
……いっつもそうなんですけど、語り出しって本当に難しいんですよ。ネタ切れになるんですからね! なので、幼児番組とかの語り出しってすごく偉大だと思うんですよ。一つの芸ですあれは。
「それはわかるとしても、その芸にフリーライドする意味が分からん」
ぴーぴぴー(口笛)
「こいつは……。まあいい。今日はあたしが進めよう。―-はい、というわけで、今日はJ-NOVEL(実業之日本社)にご掲載いただいた「日輪の孤独」のライナーノーツをやります」
おお、お株を奪われた。
で、このお話はいったいどういう?
「はい。「日輪の孤独」は、伊能忠敬を主人公に描いたテクストです。田舎から出てきたばかりの伊能忠敬が、学者としての成功をつかむまでのお話です。そして、成功をつかむ代わりに失ったものがあった、というお話だったのですね」
なるほど。っていうかこれ、恋愛もの……?
「恋愛のつもりはなかったんです。なにせこのお話、名前が出てくる人(三人しかいませんが)はみんな実在ですし、おおむね実話なので、事実をトレースした結果こうなった、というね」
なるほど……。え、ってことは、お栄さんって実在するんですか!? 女流漢詩人で江戸に住んでたとかいうこの話は!
「はい。実話です。そして、今回の話にあったように、江戸に入ってから伊能忠敬と(どうやら)内縁関係となり、伊能の仕事の一部を手伝いながら漢詩人として活躍していたみたいです。この女性がいたらしいことはずいぶん前から言われていたらしいのですが、最近になって史料上実証されたようです。というわけで、さっそく登場させてみました」
ま、マジかよ……。当時の女性としては、とんでもなく特殊ですよね、お栄。
「ええ。特殊どころの騒ぎじゃありませんよ。実際もかなりぶっ飛んだ女性だったと思われます」
あのう谷津さん、このお栄さん、モデルとかいるんですか? ほら、最近谷津さん結婚なさったらしいじゃないですか。もしかして奥様を…?
「違うよ! モデルはあたし自身です」
え!?
「あたし、おおむねあんな感じ」
ええええええ!? 嘘だろ!?
「はい、続きましては高橋先生です。あえて名前を出しませんでしたが、彼は高橋至時さんです」
この方、こんな人だったんですか?
「人となりは不明ですが、体が弱かったことなどは当時の日記類を見ればわかりますし、また、当時の日本の天文学、暦学をけん引する一人でもありました。どうやら彼は地動説が正しいことを理解していたようですが、うまく一般の人々に説明できないことを理由に表立っては地動説の言明を避けていた、という説もあり、ともかく江戸時代中期の天文学者としてはずば抜けている一人です」
へえ。では、人物像はどのように…?
「天文学者、つまりは星読みですよね。本作の中であたしが彼に期待したのは、未来を暗示する役割です。彼は未来を提示する。けれど、それを伊能がはねのけてしまう。そういう位置づけです」
なるほど……。
で、次に伊能忠敬ですが。いいのかあれで。
「何が?」
あれ、いじわる爺さんじゃないっすか。
「でも、どうやら実際の伊能さん、ああいう偏屈、というか個人事業主的な押し出しの強さがあったみたいですよ。一般にはこつこつと日本中を測量して回ったという忍耐の人というイメージが強いですが、実際の彼は生まれ持った馬力で周囲の人間の尻に火をつけて回り、ずんずんと大股で進む人だったようですよ」
マジで…?
「そういう人はたいてい孤独なので、本作の伊能は孤独な人と設定してあります。そんな孤独な人が、たまたま縁あって女性とよしみを通じ、そして別れるまでを描いたテクストが本作なのですよ」
うーむ。
夢を捨てられぬ男と女のすれ違い、ということですか。
「けれど、伊能の中にはお栄のいた日々が確かに息づいている。そういう感触をお届けできたなら、本作は大成功です」
というわけで、現在発売中の J-NOVEL(実業之日本社)に掲載されている「日輪の孤独」、よろしくお願いいたします!
「お願いします!」
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