れんげ草の咲くさんぽ径〜舟木一夫の世界

この度の豪雨により犠牲になられた方のご冥福を祈り、被災された方々に心からのお見舞いを申し上げます

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舟木さんの旅路をたどっているうちに、舟木さんは明治座や新歌舞伎座の舞台公演では時代物や新派系の明治物の作品をたくさん演じていらっしゃいましたが、いわゆるミュージカル風の現代物の舞台芝居も何作か経験されていることを知りました。60年代には「その人は昔」や「センチメンタルボーイ」も舞台化さイメージ 1れていたようですし、この「愛する時も死する時も」が上演された前年の四月には悲恋純愛物の代表作といえる「愛と死をみつめて」も舞台にかけていらっしゃいますね。
 
今回、ご紹介するのは、1973年に美輪明宏さんとの異色の顔合わせが話題になったという舞台作品です。まだ美輪さんが丸山明宏から美輪明宏に改名なさったばかりの頃のようです。私は舟木さんを見失って以降、45年ほどの間、全くといっていいほど舟木さんの消息すら気に留めることなく過ごしてしまっていましたが、その間、多くの才能ある舞台人であると尊敬してきた人たちのライブには足を運んだりCDを求めたりしていました。その中の一人が美輪明宏さんです。でも1972年当時の私はまだ二十歳になるかならずでしたし、この頃は東京に住んではいたのですが、学生という身分でしたから劇場に通うということは夢のまた夢でした。ですから、この舞台については「そういえば、そんな話題を耳にしたかも・・・」という程度でほとんど記憶に刻まれてはいません。6月頃に、明治座公演の初回公演を除いた68年から73年までのパンフレットがまとめて6冊手頃な価格でオークションに出品されていたのを幸運にも落札することができたのですが、その6冊以外にもこの当時のパンフレットがセットされていました。その時点では明治座のパンフレットが目当てでしたから、私にはオマケだ!という感じだったのですが、ところがドッコイです。そのオマケのように思っていたのが、この「愛する時も死する時も」のパンフレットでした。手にしてみて、その内容を知って、いろんな意味でズシンと重いものを感じました。この作品をいつ、どのような形で、まとめてブログに掲載したものか、迷っていました。今も迷っていますが、見切り発車という感じではあるのですが、今のブログの流れとしては、「今でしょ!」(すみません)という気がして、思い切ってアップすることにしました。文字数制限の関係で「上・下」に分けて掲載します。
掲載するにあたっては、シリーズで連載している「陽射し・旅人〜あの頃の舟木さん」というテーマの中でがいいのかと思いましたが、やはりこの作品は単独でテーマ立てることにしました。またまた前口上が長くなってますので、本題に入ります・・
 
例によって大倉明氏の「青春賛歌」の年表をお借りして、ブログにいつもご訪問下さっている皆さまにわかりやすいように1972年8月の明治座公演「大岡政談・魔像」「あの海の果て」以降の年表を、先ずは併せて御覧いただけるように構成しました。
 
イメージ 21972年
8月1日から28日。10周年記念明治座公演「大岡政談・魔像」「あの海の果て」開催
9月15日大阪・サンケイホール「芸能活動10周年記念リサイタル」開催
10月「流浪」(B面「青春」)発売
11月アルバム「渡世人 舟木一夫三度笠を歌う」発売
11月4日東京郵便貯金ホール「芸能活動10周年記念リサイタル」開催
12月1日大阪・新歌舞伎座で芸能活動10周年記念特別公演「浪士外伝・江戸の淡雪」開催
1973年
1月「都井岬旅情(B面「白鳥」)発売
2月3から22日。東横劇場公演「愛する時も死する時も」開催
4月「少年いろの空(B面「明日に向かって走れ!」)発売
5月急性胆のう炎で慶応病院に入院(6月12日退院)
6月アルバム「宵待草・竹久夢二の郷愁」発売
6月アルバム「舟木一夫 ベストアルバム」発売
6月24日大阪・サンケイホール「舟木一夫 フィーリングコンサート」開催
7月「親不孝通り」(B面「俺が死ぬ日」)発売
 
 愛する時も死する時も 艶歌ミュージカル  1973年2月3日〜23日 東横劇場
 
イメージ 3
このパンフレットには、嬉しいことに宣伝チラシも挟まれていましたのでそこから、この作品の概要を知ることができますので、まずは、チラシ内容をご紹介します。
 
新春二月公演 松浦企画
 
恋の想いと復讐に甘く悲しく揺れうごく 若き博徒の青春・・
名作「ハムレット」を大胆にミュージカル化した話題の舞台!
新春随一の娯楽作!!
 
藤田敏雄作 いずみたく作曲 松浦竹夫演出 関矢幸雄振付

 
 
イメージ 4〜チラシ裏 キャッチコピー〜
 
愛する時も死する時も 艶歌ミュージカル
 
「愛する時も死する時も」は、文豪シェイクスピアの永遠の名作「ハムレット」をヒントに『題名のない音楽会」の藤田敏雄が軽快なタッチで昭和初期の博徒の世界に舞台を移した艶歌ミュージカルです。日本人の心の底に流れる義理と人情の機微を背景に、悩み多き青春の哀感、恋のおののき 子を思う母の悲しみ、そして若き博徒の溢れでるエネルギー!これこそ新春二月を飾る娯楽大作です。
恋と復讐、母への思慕にひき裂かれる博徒に、初のミュージカルに挑む舟木一夫、女の情と母の愛の間で心を引き裂かれるその母、さらに安酒場の酌婦の二役に、女の陰陽を演じる美輪(丸山)明宏の異色顔合わせ!
この二人を中心にTV・映画・演劇界からよりすぐった多彩な助演陣による華やかな舞台!
演出は数々のミュージカルを手がけた第一人者松浦竹夫、作曲をベテランいずみたくが初めて艶歌に挑み、振付を斬新なスティジングで群を抜く関矢幸雄があたります。
新春にふさわしい歌と踊り、芝居の三拍子そろった超娯楽作品です。

物語 愛する時も死する時も  二幕 二十場
 
原案:藤田敏雄
脚本:田中基
演出:松浦竹夫
作曲:いずみたく
作詞:藤田敏雄・山川啓介
振付:関矢幸雄

キャスト
木挽悠介:舟木一夫
木挽麗(悠介の母)・お春(サロンの女給):美輪明宏
ほか
 
第一幕
 
第一場:オープニング・メリケン波止場
出航のドラの音、見送り出迎えの人々で賑わう横浜メリケン波止場。不慮の事故で死んだ木挽組組長の実子・悠介を迎えにきた組の若い衆の一群がいる。悠介は若さゆえの沖仲仕との喧嘩騒ぎで大連に身柄を預けられていた。無事に帰ってきた悠介を見て組員の市助は喜びと悲しみの涙を流す。組長亡き後の跡目が悠介不在のうちに、悠介の叔父である辰五郎に決定したからだった。ところが悠介は市助の無念さをいさめ、辰五郎こそ二代イメージ 5目として組を守ってくれる人だと明るく言い放った。
 
第二場:跡目相続
横浜は木挽組と神大組の二つの博徒勢力が縄張(しま)を分け合っている。跡目相続の日も、神大栄五郎は悠介の遅延を辰五郎に責め、あわや喧嘩が始まろうとしていた、その時「ちょいと、お待ちよ!」と二人の間に入ったのは亡き組長の女房お麗。彼女は女だてらにやくざ道を守っている大姐御だ。彼女の仲裁でその場はおさまる。彼女は喪服に威儀を正した悠介に自分は叔父辰五郎と夫婦になるつもりだと告げる。父の死後、数日を経ずしての結婚話に驚く悠介。しかし母の幸せを想い悠介は快く了解する。
 俺の故郷(山川啓介作詩):舟木一夫唄
 
第三場:奇妙な噂
陽が沈み、立ち並ぶサロン、カフェ、酔客が行きかい、女給たちの笑い声。そんな中のサロン「蝶々」。悠介を
友だちの政男が来ているからと店に引っ張り込むマダムのお松。政男はもとは木挽組の一員だったが今は盃を返し、新聞記者となっている。再会を喜び合う悠介と政男。その席で政男は悠介に奇妙な噂を伝える。それは悠介の父の亡霊が第三埠頭に夜中現れるという噂と、父が何者かに殺害されたという噂。一笑に付す悠介だが、その心には一つの疑問が・・・
 
盃の唄(藤田敏雄作):舟木一夫・山内賢 唄
 
第四場:壺ふり幻想
その頃、本牧では総長賭場が開かれていた。お麗は座興にと自らかつて振った壺を披露する。
第五場:波止場の黄昏波止場で一人ハーモニカを吹く悠介。そこへ悠介を兄のように慕う美代がやってくる。数ヵ月ぶりに逢う悠介を見て、自分が悠介を愛していると気づく美代。
 
愛する時も死する時も(山川啓介作詩):舟木一夫・牧れい 
 
イメージ 6第六場:第三埠頭怨念場
政男は、市助も悠介の父の幽霊を見たことをききつけ悠介とともに幽霊退治に出かける。そこで悠介が見たものは血まみれの父の姿と恐ろしい秘密だった。父の死は事故死と思われていたが実は叔父辰五郎の指がねで雇われた謎の人物に刺され、辰五郎に岸壁から突き落とされたのだった。復讐を叫ぶ父の亡霊・・悠介の心はそれを知らずにいるだろう母を想って引き裂かれる。
 
第七場:悠介狂乱の場
その日から悠介は狂ったように酒を飲み、暴れまわった。政男の忠告を無視し、美代にさえ冷たくあたる。人々
は悠介の変貌に眉をひそめ、口々に噂する。若は発狂した・・
 
第八場:辰五郎陰謀場
木挽組の居間では、悠介の異常な変貌を心配するお麗と市助、そして辰五郎もまた悠介の変化に疑惑を感じ代貸の為吉に娘の美代と悠介を一緒にしてはどうかともちかける。これにはお麗も手放しで喜ぶ。しかし辰五郎の本心は・・・悠介を神大組との喧嘩にまきこませ、その生命を狙おうとしていた。
 
イメージ 7第九場:本牧喧嘩場
本牧のサロン「蝶々」の前。女ものの着物を抱えた男が飛び出してきた。女給のお春の情夫だ。男は追いすがるお春を邪険に突き放す。通りがかった悠介は男を痛めつけてお春を助ける。しかしこうして酒を飲み、暴れながら叔父辰五郎の腹を探っている悠介だったが、証拠がつかめずあせりを感じていた。ひとり思い悩む悠介。そこへさっき痛めつけた男が、神大組の若い衆を連れて遺恨バラしにくる。木挽組の若い衆も加わり組同志の喧嘩が始まる。それを止めたの
 
は神大栄五郎だった。悠介はやくざの喧嘩のむなしさを知っているだけにその仲裁を快く受け入れたのだった。
 
第十場:追いつめられて
お春の部屋でなにもできない自分の不甲斐なさを酒でまぎらわせる悠介。そんな悠介になぜ、「芝居」をその心
を知りたい人の前でしないのかと尋ねる。その一言に悠介は光明を見いだす。本物の役者を使って父親の殺された場面を芝居にして辰五郎に見せれば・・。そこへ、政男が飛び込んで来て、辰五郎の手先の人物が判明したと告げる。がその生き証人の口から出たその名は、美代の兄・耕平だった。可憐な美代をも引きずり込む運命の残酷な刃に悠介は愕然とする。

 運命の別れ道(山川啓介作詩):舟木一夫 唄
 
イメージ 8
 
〜艶歌ミュージカル・愛する時も死する時も/東横劇場1973年パンフレットより(下)につづきます〜

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春日局さん、舟木さんは本当に多彩な舞台を踏んでおられたんですね。(いったいどういうお芝居だろう)と読んでみたところ・・なかなか重い内容ですね。読んだだけで疲れました(笑)あまり観たいとは思いませんが三輪明宏さんとの共演は興味がわきますね。舟木さんはお父様も役者志望の方でしたからやはりお芝居好きの傾向はあったのでしょうか。つい最近もDVDで「高校三年生」を見たばかりだったので、あの舟木くんがここまで変化する、経験を積み重ねるとはすごいものだなあ・・と思いました。古い雑誌に(昭和41年頃)歌手の映画、テレビ、舞台への進出のことが書かれていました。歌手がその方面に進出しプロダクションが大いにかせぎ人気がなくなったらポイ捨てで次を用意するという風潮をいかがなものかという論調です。舟木さんはまだデビュー3年目の頃で「歌優のトップということでした。三浦光一さんが「僕らの頃はデビューするまでに歌の勉強に時間がかかった」と述べています。舟木さんが歌優?ですごい活躍をし、真似た歌手が出てきたのでこういう意見があったのでしょうね。しかし舟木さんはトップだっただけあって本物でしたね。

2013/10/14(月) 午前 11:57 [ 復活舟木組 ] 返信する

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復活舟木組さん、実際の舞台そのものはもしかしたら私たちがダイジェストの脚本を読んで感じたものより重くないかもしれないのですが、どうしてもこの時期前後の舟木さんの胸中を察すると重たく感じてしまうのかもしれません。また原作は「ハムレット」でも博徒の世界を舞台に借りているので後年の舞台「おやじの背中」の前半部分ともいくらか重なってしまうというところもあるのかな?と思ったりします。でもこうして舟木さんの旅路をたどっていくとつくづく舟木さんは時代を象徴するような仕事をたくさん積み上げてこられたからこそ、復活舟木組さんや私のように長く離れてしまっていた者でもその旅路の足跡を後追いすることができるのだとありがたく思います。また舟木さんの旅路はまさに私たちが思春期から青年期、そして少しずつ大人になっていく頃の日本の社会の風景そのものだと感じています。舟木さんとは離れていたけれどあの頃は、世の中はこんなだった、芸能文化はこういう特徴があったと記憶を新たにすることができます。やはり大きなくくりで言うと私たちも「同世代」なんだと改めて思います。

2013/10/14(月) 午後 4:34 春日局 返信する

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春日の局さん
今晩は!
「青春賛歌」本も夕刊フジも読んでたのに「愛と死をみつめて」の舞台をなさったとは夢にも思わず前回の春日の局さんのコメントに
吉永小百合さんの映画とばかり思いこんで、間違ったコメントをしてしまいました。こんな風に誤った事をするので、コメントは慎重になってしまいます。美輪明宏さんと共演なさった事も知らなかったです
昨年の紅白歌合戦に舟木さんを・・・と言うお声の中で美輪明宏さんだったんですね・・・

2013/10/16(水) 午前 2:05 マリーローランサン 返信する

マリーローランサンさん、舟木さんが名古屋で「愛と死をみつめて」の舞台をなさった頃は舟木さんにとってお辛い時期だったですからあまり大々的に取り上げられることがなかったんでしょうね。私も「青春賛歌」で初めて知りました。でも舟木さんの「まこ」はきっと誠実で優しくて、短かかった「みこ」の青春と生涯に美しい花を咲かせた存在を舟木さんらしい魅力で表現なさったことと想像しています。私は「絶唱」の順吉さんが大好きなのでこの舟木さん演じる「まこ」を想い描くことができます。

2013/10/16(水) 午前 9:57 春日局 返信する

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