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小説「満天の星空」第2章 6
 
私たちは、カウンテイフェアーへ向かいました。そこで、目にしたのは花を選ぶ瑛子さんの姿ではなく、予想をはるかにこえた瑛子さんの姿でした。
大きな馬のうえから
「Mさん・・。あなたもお乗りになって・・・?とっても、たのしいですわよ」
という弾んだ声でした。
私は呆然と言うか言葉にならない衝撃でした。白いワンピース姿で馬を実に見事に乗りこなしていました。私たちも、馬に乗ろうという話になりましたが、私は、気乗りしませんでした。うまれてこのかた馬には乗ったこともないし、そんな優雅な環境で育った訳でなく何だか余りに境遇の違いを感じ、両親に何だか申し訳なく思いました。そういえば、アメリカについてから1度だけ手紙を書いたきりで・・・何も連絡さえしていなかったのでした。
俊介さんも瑛子さんも乗馬は慣れているようで、楽しそうに乗っていました。なんだかうらやましく思っておりました。
 そのとき、瑛子さんが私のそばに来て馬から下りて馬の顔を何度か撫でながら
「さあ、Mさんあなたもお乗りになって・・。」
そういって乗り方を教えてくれました。
どうやら、馬という動物は人を見るようで、乗ったがいいがすぐさま駆けだし、私の言うこと等全く無視し、手綱を引いてもなかなか止まってくれません。私を見て馬鹿にしてるようでした。私はもう少しで落馬するところでした。
瑛子さんは長めのワンピースから白い足を覗かせた姿で大胆でしたが、馬の扱いがうまく馬を止めてくれたのも瑛子さんでした。
 「あなたは私のすることを不躾だと思いでしょ?」イメージ 2
 「えっ?・・・」
 「でも、貴方が私にみとれているのはわかっていますよ」
 「こりゃいいぞ、鮮やかな一本だ!」
俊介さんの声でした。
 私の心臓は止まりそうになりました。落馬しそうになったこと、自分の心を見透かされた様な気がしたこと、それらの混ざり合った気持ちがいたたまれなくなり、藁をつんだ場所に腰を下ろしたのでした。
 しばらく一人きりで座っていたのでしたが、瑛子さんが私の隣にやってきて腰を下ろしました。俊介さんは、遠くを馬と一体になり駆けていました。
瑛子さんは長い睫毛を伏せながら、さっきの言葉に対し、悪いと思ったのでしょうか。やがて、私の顔を見上げながら、そっと口づけしました。
私は、初めて瑛子さんの顔をすぐ傍らで見ました。これほど、変わりやすい人は初めてです。馬上の時の厳しい目、口づけの時の優しい姿、しばらくしてからの表情、そのどれもが違って感じるのでした。
しばらくして、瑛子さんは乗馬に夢中になっている俊介さんを追って馬に乗り駆けていきました。私は、しばらく呆然とし、何本も煙草を吸った気がします。私は乗馬が済むまで
二度と馬にはまたがることなく、ただ、二人を遠くから見ていました。
いや、正確に言うなら瑛子さんを見つめていたのでした。 ・・続く・・イメージ 1

小説「満天の星空」

小説「満天の星空」第2章 5
 イメージ 1
明くる朝、結構はやく私は目を覚ましましたが、起きずにいました。すると、ドアをノックする音がしました。そして、
「君はまだ眠りの中か、その眠りをばさまさん・・・!」とオペラ歌手のような声です。
日本語です。そう、俊介さんしか考えられません。私は急いで服を着、ドアを開けました。
「おーはーよーう!!」
 俊介さんは入ってきながらまだ鼻歌交じりです。
「あ、おはようございます。」
私は髪も整えてなくて、いささか驚きながら俊介さんの方を見ました。
「少し、早―すぎたかな??、ま、しかし、ご覧―なさい、すがすがしい朝じゃありませんか」と言いながら窓のカーテンを開けました。
まったく、昨日会ったばかりなのにすがすがしい顔で、僕の部屋を自由に歩き回り・・全く不思議な人です。もう、何年来の友人のような親しみのある表情、年齢も随分年上なのに偉そうな口ぶりや、先輩風1つとして出そうともしません。
 「今日は、搾りたてのミルクの入ったコーヒーで朝食だ。いいでしょ??」
私たちは、また彼の宿である牧場のある家へとむかったのでした。私たちは、三人で外のテラスで朝食をとりました。朝の広大な大陸の空の下、野外で朝食をとるのは生まれて初めての経験でした。それに、搾りたてのミルクの入ったコーヒーも初めてで、焼きたてのコーンブレッド、ベーコンエッグ、何もかもが新鮮ですがすがしい一日のスタートでした。
幸せな朝っていう感じが、身体全体を包み込んで、満足な朝食をとることが出来ました。
 食後は、俊介さんの未来設計について聞かされました。財産があって、誰にも頭を下げる必要のないことから、こうやって音楽を楽しみながら旅をしていることを・・。
私も同様に、自分の未来予想についてしゃべりました。ついでに、話すつもりは毛頭なかったのにも関わらず、不幸な恋愛の秘密についても打ち明けました。どうしてなんでしょうか自分でも解りません。空気も澄み、すがすがしい朝、豊かな朝食と食後のひととき
が、いや、話すことによって振り切りたかったのかも知れません。瑛子さんが例の調子で、どこかに出かけたこともそのきっかけになったのかも知れません。
俊介さんは、そのときは控えめに話を聞いていましたが、別に同情している様子もありませんでした。
 私たちは彼の部屋に行き、彼の弾くバイオリンで作曲した退屈な曲を3曲ほど聴き、その後またテラスに行き瑛子さんを捜しました。奥さんの話だとカウンテイへ行ったとのことでした。
俊介さんは私に曲の感想を求めました。
私は正直に感じるままを述べました。彼の曲には、真実味があり優美な感じがしましたが、何か不完全で中途半端な気がしました。
 俊介さんもそうかんじていたのか
「本当だ、そうなんだ!言われるとおりさ・・・」と溜息をつくのでした。そのとき俊介さんはひどく、自分を残念がっていたので、私は元気づけようと彼の才能を誉め讃えたのですが、俊介さんは諦めた様子で手を振りながら
「忍耐力がもう少しあれば、どうにかなるのでしょうがね・・。」と落胆したようすで言うのでした。
 私は、それ以上言葉をかけることが出来ませんでした。
しばらく、沈黙が続いた後、瑛子さんをさがそうと言うことになり、私たちもカウンテイフェアーへ走って行くことにしました。
俊介さんは
「きっと花でも買っているのだろう」
と笑いながら走りました。僕も食後の運動にはちょうどいいと思い、俊介さんの後に続いて走ったのでした。  ・・・続く・・

小説「満天の星空」

小説「満天の星空」 4
瑛子さんは最初、私に何か抵抗を感じているのか、ぎこちない接し方でしたが、俊介さんが瑛子さんに向かって、
「瑛子、そんなにいじいじするのはおよしなさい!この人は噛みつきはしないから。」イメージ 1
と、言いました。
 瑛子さんは、にっこり笑って、しばらくすると私に、話しかけました。私は、この人のように1分たりともじっとしてない人を見るのは初めてでした。席をたったり、家の中に入ったり駆けて出てきたり、小声で歌を口ずさんだり急に笑顔になったりと、私たちの会話を聞いて、笑ったのでなく、きっと自分の頭の中で何か思い出して笑っているかのようなようです。見ている私が思わず見とれてしまうほど、その涼しい目元は、明るく光って美しく、瞼を閉じて再び開けるときは、何とも美しくそしてまるで少女のような可愛さが感じ取れるのでした。
 それから、私と俊介さんは時を忘れ、日本のこと、アメリカのこと、文学、音楽、の事等を話しました。瑛子さんは、途中、私たちの会話が退屈になったのか、眠いと言って部屋の中に入ってしまいました。遠くから、カウンテイフェアーの音が聞こえますが、辺りはすっかり静まり月も落ちて行きそうでした。
 私は、
「時間も遅くなってきましたので、ホテルへ帰ります。瑛子さんにもよろしくお伝えください。」
と、言って席をたちました。
 俊介さんも
「そうですね。随分話し込んでしまいました。じゃ、お送りしましょう」
と言いキーをとりました。
 私たちが車のところへ歩いて行くと、瑛子さんは小走りにやってきました。
「瑛子、おまえ寝てたんじゃないの?」
と聞きましたが、それには、答えず、ドアの近くに駆け寄り、
「あなた、お月様も隠れてしまいましたわ・・・。」
「ええ、そうですね。今日はごちそうさまでした。とても、いい夜でした。」
と、私は、車に乗り込み俊介さんがエンジンをかけスタートしようとする後ろから
「さよなら、おやすみなさい!」
「さよなら、おやすみなさい!」と私も微笑みながら手を振りました。
車はゆっくり宿から離れていきました、瑛子さんはまだ手を振っていました。
俊介さんは、鼻歌を歌いながら私を見ながら、
「瑛子少し変わってるでしょ?」
私に尋ねてきました。私は、心の中で頷きながらも
「そうですか?」と答えました。
「あれで、瑛子のやつ、貴方のこと気に掛かるようですよ・・・・。」
道中いろいろ俊介さんは話していたようでしたが。私が部屋に戻った時には、何を話したのだったかそれ以上は覚えてはいませんでした。ただ相槌は、うってた様な気はしますが何だか頭の中で何が宙に浮いたようでした。
 不思議なことに、それまで毎晩の様に襲う東京で事故死したゆかりの夢も見ることもなかったのでした。ゆりかごの中で眠る赤子のように知らぬままに眠ってしまったようでした。・・・続く・・・

小説「満天の星空」

第1章 3
 彼は,宿に着くとビールを飲もうと1階のテラスに私を誘いました。
「ちょっと見てご覧なさい!・・・この景色」
なるほど、景色は本当に美しく素晴らしかった。緑の牧草、遠くに大きな二つの丘、その中央に大きく波打つ様に、河が銀を延べたように流れ、一カ所入り陽を受けて赤みを帯び、金色に輝いています。透明に澄んだ空気に輝く空の清らかさは目を見張るものがあります。私は、この広大な景観をこんなに素直に受け止めたことは、かつてありませんでした。
 「素晴らしい、本当に素晴らしい宿を取ったものですね。」
私はこころからそう感じ、俊介さんに言葉を返したのでした。
 「そうでしょう、これは、瑛子が見つけたのです。カウンテイフェアーに来たとき、この家の奥さんと仲良くなりましてね。」
私の顔を見上げながら、彼俊介さんは続けました。
 「瑛子、さあ、ビールを持ってきてここへ・・・」
 「ここの方が音楽もよく聞こえるしね、あなた気がつきませんでした?」
 「カウンテイの日は、朝までカントリーの歌や踊りをみんなで楽しむんですよ・・・踊り疲れるまでね。傍らで聞くと俗ぽくって、古めかしくて粗野な音ですがね、ここで、少し離れて聞くと結構いいもんですよ。」
 「そう・・・前を通った時聞こえたバンジョーやギターで歌っていたやつですね。いいですね。・・うん・・・
  日本で言うとさしずめ盆踊り???って感じですか?」
 「そう、そういう感じかも知れません、しかし、日本の盆踊りってのは、陰気でいかん、そう思いませんか?」
 「はあーー、そう言われるとそんな感じもしないことはないですが・・・」
私は子どもの頃は盆踊りで太鼓やお囃子がなると・・すぐに飛び出していったものですから、黙ってあいまいな
返事をしてすませました。
彼俊介さんは、私の様子を感じてか話題を変え
 「ところで、あなたは、大学で何を専攻されてるのですか?」と問いました。
私は
 「歴史学です。西洋史専攻です。」と答えました。
すると俊介さんは、
 「ほう・・おもしろそうですね。私は、音楽ですが、留学休学が長すぎて・・・もう8年もたってるんですが
  いまだに四年生ですよ。」
 瑛子さんは、テラスから居間に入っていきましたが、間もなく戻り、ビールにソーセージなどを持って来ました。
私たちは、それからそれぞれ席について、景色を眺めながらゆっくりと食事をとりイメージ 1ました。
  ・・・・続く・・・

小説「満天の星空」

第1章  2
 
その青年は今度はにっこりと笑いながら、
 「そうです。日本人です」と答えました。
 「実は私も、・・・それにしてもこんな観光地でもないところで・・・奇遇と言うか実に意外です。」
 「いやいや、こちらこそ、でもそのほうがおもしろいではありませんか?・・。私は杉村俊介。これ     は・・。」
 と言いながら青年は言いはにかんだ。
 「私の妹です。 ・・・ところで、貴方の名は?」
私は自分の名前と出身地を言い、何故ここに来たか等を話し、共に食事し、すっかり話し込んでしまいました。
この人たちは、私と同じように気随気ままな旅をしている間に、この町に立ち寄りすっかり腰を落ち着けてしまったということを理解したのでした。
 俊介というこの青年は、今までこの国で出会った日本人独特のそれと違い、愛嬌があり、人なつっこく、その大きな目には,柔らかみがあり、話しぶりは手振り身振りも大きくて、顔を見ずとも、にこにこと笑っているのが感じ取れるほどでした。
俊介が妹と呼ぶ娘は、一目見ただけでも可愛く感じられました。白く透き通る肌、小さめの顔、小振りな細い鼻、切れ長の目もと、子どもっぽい頬、そして,良く光る瞳、そういったなかに,何かしら一種独自のものがひっそりと潜んでいるようでした。そしてその体つきは、優美でしたが,何だかまだ充分に発達しきってないような感じが受け取れるのです。正直、兄妹って言っても少しも似てはいません。
 「私どもへお寄りになりませんか?」
俊介というこの青年が私に言いました。
 「お互いアメリカ人は充分見飽きたようだし、おまえどう思う? 瑛子?もう帰ってもいいだろ?」
娘は同意のしるしでしょうか、首を縦にゆっくりと頷きました。
 
 「私たち郊外に宿一軒家を借りてましてね・・・近くでカウンテイフェアーやってましてね。いいんですよこれが・・・。馬や牛もいっぱいいますよ。朝になると奥さんが,搾りたてのミルクを揃えてもって来てくれるんですよ。
暗くなったら、車で送りますから・・さあ行きましょう、いいでしょ?」
「ええ・・。」
なかば強引に案内されるまま私は郊外の彼らの宿に行ったのでした。
 続くイメージ 1
 

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