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福永哲夫早稲田大学教授(運動生理学)の「もしも貯筋(「貯筋」 は平成14年に商標登録されている)がなかったら…」を読んだ。貯金ではない。貯筋はお金の貯金ではなくて、筋肉の貯筋のこと。コツコツ働いてお金を貯めて、さあ、老後に海外旅行に出かけよう、山登りに出かけようと計画しても、いざ定年退職してみたら貯金はあるものの貯筋不足、筋力不足、体力不足で計画を実現できないということになるかもしれないと福永教授は警告している。いまお金はあるが元気に身体を動かせるだけの筋肉が不足している人が最近増えてきていると言われている。福永教授は、老後に後悔しないためにも、貯筋を始めることが急務だとうったえている。
貯筋の仕方をみてみよう。貯筋は、適切な身体運動を実施することにより筋力と筋量をアップすることでもたらされるという。福永教授の研究室では、日本人約2000人を対象に貯筋量の調査を行った。その結果、次のようなことがわかかった。
① 年をとるにつれて男女ともに体脂肪率が増え、筋肉量が大きく減少する。 ② 腕の筋肉はあまり衰えないが、お腹と脚の筋肉量は大きく減少する。 ③ 年をとるにつれて歩幅の減少が起こり、歩行速度が遅くなる。 ① については、年とともに体脂肪率と除脂肪体重(体重と体脂肪率から算出する「脂肪の重さを除いた体重」)がどのように変化してくるかを男女別で見たものがある。除脂肪体重は20代から徐々に減りはじめ、男女とも70歳代になると20歳代に比べて3〜5kg程度減少している。体重自体が変わらなくても、筋肉量が減少し、体脂肪率が増加しているという結果になるのだそうだ。見かけ上はあまり変化がなくても、中身は大きく変わっているのである。
次に、②については、「老化は脚から」 という結果になるそうだ。筋肉は全身まんべんなく減ってくるのではなく、場所により減りやすいところと減りにくいところがある。なかでも特に太ももの前側の筋肉量の減少が大きい。このことが③の歩幅に影響を与えることになる。
「筋肉を貯めるための筋力トレーニング」は「辛くてきつい運動」とか「特別な装置がないとできないのでは?」 と思われがち。そんな心配はないと福永教授は言う。日常のちょっとした時間や家にある簡単な道具(座布団や椅子など)を使って、すぐに始めることができるというのだ。誰でもすぐに実践できる太もも貯筋法は「椅子」を使ったスクワット運動だった。椅子に座る・立つをゆっくりと繰り返すだけ。これだけで脚に貯筋することができるという。そういえば、かの有名な森光子さんの健康法もこのスクワットだった。この運動はゆっくりと行うほど効果的で、2秒で座り、2秒で立ち上がるくらいのスピードで1日に20回から30回行うことが理想的。大切なことは無理をしないで毎日続けること。スピードアップしたり、他の人と競い合うことはせず、あくまでも自分のペースで行うこと。
福永教授の研究所では、こうした貯金効果を含めたさまざまな健康と運動の関係を日々追及している。研究結果の講演も数多くある。書籍はもとよりインターネット配信でも手に入れられる。健康づくりに大いに役立たせていきたいものだ。
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