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2008/08/20 1516号 (転送紹介歓迎)
[JCJふらっしゅ]
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│H│記│者│の│「│報│道│ク│リ│ッ│プ│」│
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▽自国周辺の情勢に対するロシア政府の懸念を理解すべき 元英陸軍参謀総長
元英陸軍参謀総長・マイク・ジャクソン氏が、17日の英サンデー・テレグラフ紙
への寄稿で、グルジアにおけるロシア軍の武力行使について、自国周辺の情勢に対す
るロシア政府の懸念を理解すべきだと主張、「欧米諸国が取るべき正しい道は、自ら
の立場や価値観について妥協するのではなく、ロシアが今回の行動に走った理由をよ
り深く理解し、周辺の旧ソ連諸国に対するロシアの懸念をもっと理解することだろう。
政治家や外交官らにとってこれは新たな課題だ。軍事戦略的な敵意や衝突は過去のも
のにしなければならない」(AFP)と警告を発したという(→AFP)。
同氏は2003−06年に英陸軍参謀総長を務め、コソボでNATO主導のコソボ
自治州国際治安部隊、ボスニア・ヘルツェゴビナでは国連平和維持軍の司令官だった
人で、寄稿の中で、コソボにおけるNATOの武力介入を正当化したのは「民族浄化
のように、一国の政府が自国民に対して犯す人道的危機を抑止することは、その国家
の主権を尊重するより優先すべき場合があるという、当時国際法の中で登場してきて
いたドクトリン」だと指摘、「われわれが好むと好まざるとにかかわらず、グルジア
侵攻でロシア政府が展開したのはまさしくこの論法だ」などとして、ロシア政府の懸
念を理解すべきとしている。
北京オリンピックに合わせるように弾けたグルジアの南オセチア自治州。
グルジア軍が8月8日、同国からの分離・独立を目指す南オセチア自治州への大規
模攻撃を開始した。グルジア内務省は、同自治州の州都ツヒンバリを包囲したと発表
した。南オセチア自治州側も、ツヒンバリがグルジア軍の砲撃を受けていることを訴
えた。
緊張を高めてきたグルジアと南オセチア自治州。グルジアはNATOへの加盟を強
く志向し、南オセチア自治州は親ロシアの立場をとり独立性を強めてきた。90年代
前半からすでに事実上の独立状態を続けてきた。両者は、危機打開のために協議する
ことで合意したと報じられていたが、グルジア政府は「憲法秩序を回復する」(グル
ジア平和維持部隊将軍)ことを目的に、南オセチア自治州への攻撃を開始したとして
いる。
この事態を受けて、ロシアは国連安全保障理事会に緊急会合を召集を要請した。
またロシア軍は、同自治州に戦車を含む地上軍を派遣、グルジアとロシア両国の武
力衝突へと発展した。
つまり、グルジアのサーカシビリ大統領は8日に、テレビ演説で「グルジア軍は一
部地域を除き南オセチア自治州全域を支配し、ツヒンバリを掌握した」(AFP)と
胸を張って見せたわけだが、その直後に南オセチア自治州はこの声明を否定する。
そしてサーカシビリ大統領は、今度は「ロシア軍の攻撃を受けている」と被害者を
気取る発言へと態度を一転させ、米国のライス国務長官が「ロシアはグルジアの領土
保全を尊重すべきだ。空軍やミサイルによるグルジアへの攻撃停止と地上軍の撤退を
求める」との声明を発表するという段取りをたどった。
このグルジアのサーカシビリ大統領の「グルジア軍が南オセチア自治州全域を支配
し、ツヒンバリを掌握した」発言から、「ロシア軍の攻撃を受けている」発言への態
度の豹変の裏側については、サルコジ仏大統領に随行してロシアとグルジアの調停の
ためにモスクワとトビリシを訪問した仏政府高官の言葉が明確にしている。
同仏高官は13日、「サーカシビリ大統領は真夜中に(南オセチアを)攻撃するほ
ど頭がおかしかった」と語り、それにロシアが反撃した結果、「グルジアは自らの過
ちのために攻撃を受け、粉砕された」というわけである。同高官は、グルジアのサー
カシビリ大統領が「五輪期間中はプーチン首相は反撃しないだろうと考え」て、グル
ジアからの分離独立を目指す南オセチア自治州を攻撃した、というのである。
米国への傾斜を強めようとするグルジアは、ロシアと親密な関係を保とうとするア
ブハジア自治共和国や南オセチア自治州をめぐるロシアとの緊張関係を名目に、種々
のトラブルや情報戦を繰り広げたが、そこへライス国務長官にとどまらず、ブッシュ
大統領までが割ってはいり、ロシアをけん制するというあからさまな「自演」を繰り
広げるに至っている。グルジア側は、ロシアが南オセチアを占領しようとしていると
非難するキャンペーンにやっきになるという始末。
ブッシュ氏は4月の段階でウクライナとグルジアのNATO加盟を支持する発言を
していた。これにいてはフランスやドイツが難色を示している(ドイツが今回の戦闘
で南オセチア自治州のNATO加盟を支持する姿勢に)。5月にはグルジアのサーカ
シビリ大統領が、南オセチア自治州同様、グルジアからの独立を主張するアブハジア
自治共和国をめぐる緊張がロシア政府との間で高まっており、ロシアとの戦争突入の
可能性を示唆する発言を打ち出していた。アブハジア自治共和国は4月、5月と、グ
ルジアの無人偵察機の撃墜を発表していた。
冒頭で紹介したように、元英陸軍参謀総長・マイク・ジャクソン氏の指摘、ロシア
政府の自国周辺の情勢に対する懸念を一定理解したコメントの出し方から、ブッシュ
米政権が完全に逸脱しているわけではない。聞きようによっては、ロシアが先に侵攻
し、それに対してブッシュが歯止めをかけ、グルジアからから出て行くように指揮を
執っているように受け止められるようなコメントの出し方をしているにとどまる。
しかしながらこれが、もう過去のものにすべき「軍事戦略的な敵意や衝突」を煽り
立てる要素として働いていく。グルジアのサーカシビリ大統領の冒険主義の背後に、
しっかりとブッシュ米政権の影がはりついているのである。グルジアは7月から米国
の費用負担で、グルジアの首都トビリシ付近にある国防省基地で合同軍事演習を行っ
ていた。
サーカシビリ大統領はまた、イラクに派遣していた2000人の部隊を帰還させて
もいる。ロシアとの戦闘にこの部隊を振りむけるのだ狙いではないかと非難を浴びた。
パキスタンでムシャラフ体制が崩れ、ブッシュ政権のアフガン、イラク泥沼化戦争
を支えた一角が揺らぐなど、ブッシュ政権の終幕期に暗幕をがたれそうになっている。
それを払拭するには、どこかに非人道的な「敵」をつくり、それによって脅かされて
いる「犠牲者」をつくり、そこへブッシュ大統領が「神」のごとく現れるという使い
古されたシナリオを演じてみせるほかない。何でもいいのである、ブッシュ政権にと
っては。少しでも点数を稼げる機会を生み出せれば。
そのようなご都合主義的な挑発に乗ることは、何の役にも立たないことを、ロシア
もNATO加盟諸国もすべてわかったうえで動いていることを期待したいところであ
る。
「欧米はロシアが持つ懸念を理解すべき」元英陸軍参謀総長(AFP)
http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2507912/3225772
NATOが緊急外相理事会、対応策協議 南オセチア武力衝突(CNN)
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200808190026.html
ロシア軍、グルジアからの撤退を開始(AFP)
http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2508656/3236547
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はじめまして。その通りです。これはロシアの侵略なんて単純なものではないです。いかにもアメリカらしいやり方ですね。関係記事をTBします。それにしても、日本では、ロシアが悪い!って論調ばかり。この国のメディアリテラシーと言うか国際政治感覚は相変わらずです。
2008/8/23(土) 午後 5:52