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社説:地上イージス回答 安全への懸念増大した

2018年7月21日


 政府が秋田市の陸上自衛隊新屋演習場への配備を計画している迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」(地上イージス)を巡り、県と市が提出していた質問状への回答が防衛省から出された。

 選定理由について、北海道や新潟県、島根県などに配置した場合とも比較したが、新屋演習場と山口県萩市のむつみ演習場への配備が最も広く防護できる選択肢と説明。新屋演習場は配備に必要な1平方キロ程度の平たんな敷地があり、弾道ミサイルの探知に支障を及ぼす山などがない上、資機材の運搬にも適切だとした。その上で、北朝鮮のミサイルを防ぐには万全の備えが必要であるとして、改めて配備に理解を求めた。

 最も心配されるのは住民への影響だ。新屋演習場が住宅地に隣接し、近くには小中学校や高校がある。テロや破壊工作など外部からの攻撃の標的となってしまわないか不安に感じるのは当然だ。防衛省は、200人程度の人員配置を見込み、万一の場合は陸自秋田駐屯地や警察、海上保安庁とも協力しながら住民を守り抜く態勢を構築すると回答しているが、本当に大丈夫なのか。懸念は払拭(ふっしょく)されず、むしろ一層大きくなったと言わざるを得ない。

 レーダーが放つ電磁波やミサイル発射による噴煙、衝撃の影響はない見込みだとしている。今後行う予定の地質測量調査や電波環境調査で仮に不適との結論に至った場合は「配備しないこともあり得る」としたが、調査で不適との結果が出なかった場合は速やかに進めるとの意思表示にも見える。住民の意思を無視して計画を進めることは断じて許されない。

 新屋演習場は速やかに配備する必要があるため、防衛省が確保する土地から選定したという。だがそんなに急ぐ必要があるのか。住宅地に近く防衛施設の設置場所にふさわしくないことは、小野寺五典防衛相も視察した際にはっきり認識したはずだ。いったん答えを出したとしても、問題が判明したら軌道修正が必要だ。他の選択肢も含めて再検討することを求めたい。

 日本の弾道ミサイル防衛は、北朝鮮が発射したミサイルをイージス艦搭載の海上配備型迎撃ミサイルが迎撃し、撃ち損じた場合は地対空誘導弾パトリオット(PAC3)で対処する二段構え。地上イージスはその防衛態勢を補強するものだという。

 だが今年6月の米朝首脳会談で情勢は大きく変化した。北朝鮮が非核化を実現するかは依然不透明で、脅威がなくなったとは言えないものの、昨年末のような切迫した状況ではないのは確かだ。

 県と市は今回の回答内容を受け、どう臨むのか。防衛は国の専権事項というが、地域の意向がないがしろにされていいはずがない。疑問点を徹底的にただした上で、毅然として対応することが求められる。


秋田魁新報


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