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社説:自民党総裁選 安倍政治の是非議論を
2018年7月31日
9月の自民党総裁選に向け、構図が見えてきた。安倍晋三首相が連続3選を目指して立候補する方針を固めているほか、石破茂元幹事長が出馬への強い意向を示しており、現時点で一騎打ちの公算が大きくなっている。2015年の前回総裁選は無投票だったため、選挙戦となれば6年ぶりとなる。
人口減、少子高齢化が進む中で政権運営は厳しさを増している。その中でどう財政を立て直すかや、いかに地方再生を実現するか、長年の懸案である北朝鮮拉致問題にどう対峙(たいじ)するかなど課題は山積している。事実上日本のリーダーを決める選挙だけに、活発な論戦を展開することが求められる。
特に地方再生は掛け声ばかりで実効性が上がっていない。安倍首相が実績に挙げるアベノミクスでは、株価が上がり円安で大企業が大きな利益を上げている。だが、恩恵が地方には届いていないとの指摘は根強い。この経済政策を続けるのは果たして妥当なのか。総裁選は両氏が重視する憲法改正のほか、安倍政権が手掛けてきた政策を問い直す絶好の機会だ。
「安倍1強政治」のおごりや緩みが問われる。森友学園への国有地売却で8億円も値引きしたのはなぜなのか。加計(かけ)学園の獣医学部新設に関し、安倍首相が新設が決まるまで計画を知らなかったと主張しているのは本当なのか。長年の友人である加計孝太郎理事長を特別扱いしたことはないのか。
安倍首相は丁寧に対応すると約束しながら、実際は関係者の国会招致などに後ろ向きで真相究明する意思は見られなかった。このため国民の不信感は依然として払拭(ふっしょく)されないままだ。
その上、カジノを含めた統合型リゾート施設(IR)整備法や参院の定数を増やす公選法改正など国民の多くが望んでいない案件を、議論不十分のまま急いで可決、成立させた。
衆参とも与党で過半数を大きく上回っているとはいえ、中身を見れば熟慮を欠いた横暴な政治の連続と指摘されても仕方がない。にもかかわらず出馬するのが安倍氏と石破氏のみではいかにも寂しい。岸田文雄政調会長が出馬を断念して安倍首相支持を鮮明にしたのも閉塞(へいそく)的な状況に拍車を掛けた。
安倍首相は12年の総裁選で石破氏ら5人による戦いを制して総裁となり、その後の衆院選で勝利して以来、5年半余にわたって政権を維持している。今回3選を果たせば、首相在職期間が通算で歴代最長となることも視野に入るが、長期政権にはどうしても腐敗する恐れが付きまとう。
自民党総裁選は国会議員票(405票)と地方票(405票)の計810票で争われ、過半数を獲得した候補が勝利する。議員の4分の3は既に安倍首相支持だという。本当にそれでいいのか。国の将来を真剣に考えた上で結論を出すべきだ。
秋田魁新報
https://www.sakigake.jp/news/article/20180731AK0012/
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