「おばあちゃんの鐘馗(しょうき)さま」

安倍改憲ノー。戦争法と共謀罪廃止、野党は共闘。

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オウム死刑執行  事件の核心語らぬまま

 地下鉄、松本両サリン事件や坂本堤弁護士一家殺害事件などオウム真理教による一連の犯行の首謀者とされ、死刑が確定していた松本智津夫死刑囚(教祖名・麻原彰晃)の刑が、教団幹部だった6人の死刑囚とともに執行された。

 松本死刑囚は、裁判の途中から不規則発言を繰り返し、その後は沈黙した。動機など事件の核心を語らないまま死を迎えた。

 一連の犯行では計29人が犠牲になり、被害者は6500人を超えた。武装化し、テロまで企てた教団に、医師などのエリートをはじめ多くの若者が身を投じた。

 教団に引かれた理由は何か、抜け出せなかったのはなせだったのか。疑問は今でも消えない。
 被害者や遺族は松本死刑囚らに厳しい目を向けると同時に真相解明を望んでいた。真実が語り尽くされないまま刑が執行されたことには釈然としない思いも残る。

 教団関係者は計192人が起訴され、松本死刑囚ら13人の死刑が確定、6人が無期懲役となった。
 1995年に始まった裁判がすべて終了したのは、今年1月のことだ。逃亡していた元信者がいたとの事情があるにせよ、約23年という時間はあまりに長すぎた。

 松本死刑囚の一審は約7年10カ月かかり、公判は257回に及んだ。弁護人が事件と直接関係ない尋問を行うなど時間稼ぎとの批判が高まり、刑事司法の在り方に一石を投じる契機にもなった。

 一審を原則2年以内で終了させる努力目標を盛り込んだ裁判迅速化法や、争点を絞り込む公判前整理手続き、遺族などが意見を述べることができる被害者参加制度の導入などがその後、導入された。

 ただ、刑事責任や量刑の審理を主眼とする裁判での真相解明には限界もあったのではないか。

 知識も分別もあった若者らが教祖の言説を信じ込み、大勢の人々を殺傷した背景には何があったのか。刑事責任とは別に、社会的理由も含めた幅広い検証が必要だった。残る死刑囚や服役している元信者の証言が得られるなら、後世への貴重な教訓となろう。

 事件を知らない世代も増えた。当時に比べて社会の分断や格差が進み、不安は拡大している。カルト的な宗教に依拠しやすい環境が生じていないだろうか。

 それだけに、刑の執行で問題を終わらせてはならない。一連の事件は、特殊な人たちによる凶悪犯罪というにとどまらず、誰もが巻き込まれる可能性があることを改めて心に留めたい。

[京都新聞 2018年07月07日掲載]

http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/

松本死刑囚ら刑執行/事件の検証は今後も必要だ

社説

 地下鉄、松本両サリン事件などオウム真理教による一連の犯行を首謀したとして、殺人などの罪に問われ、死刑が確定した松本智津夫死刑囚(63)=教祖名麻原彰晃=の刑が6日、執行された。
 ほかに教団の幹部だった井上嘉浩死刑囚(48)ら6人も同日、執行された。一連の事件では、教団元幹部ら13人の死刑が確定、初の死刑執行となった。

 戦後の犯罪史に残る事件は大きな区切りを迎えたが、過去の事件として片付けるわけにはいかない。同様の事件が二度と起きないようにするためには、事件の詳細な検証と記憶の継承が欠かせない。
 教団は宗教の名の下に多数の信者を洗脳し、テロ集団と化した。サリンのような化学兵器を使い、社会を震撼(しんかん)させる無差別殺人に及んだ。

 1989年11月の坂本弁護士一家殺害事件、94年6月の松本サリン事件、95年2〜3月の公証役場事務長監禁致死事件、95年3月の地下鉄サリン事件など、松本死刑囚は教団幹部らと共謀、計13事件に関与。事件による死者は29人に上り、重軽傷などの被害者は6500人以上となった。

 なぜ教団が凶悪な無差別テロを引き起こしたのか、事件の全容が解明されたとは言い難い。数々の事件を首謀した松本死刑囚は一審途中から沈黙に転じ、事件の核心を語ることはなかったからだ。

 一連の事件では教団関係者約190人の判決が確定。教団トップが信者に及ぼした影響力の大きさや、事件における幹部の役割など輪郭は見えたが、全体像は今なおかすんだままだ。

 凄惨(せいさん)な事件を起こした経緯や背景を巡っては、今後もさまざまな見地から検証を続けなければなるまい。事件を風化させることなく再発防止の教訓を引き出す必要がある。

 教団の流れをくむ「アレフ」などの団体は今も活動している。死刑執行によって信者らが元教祖を神格化し、殉教者扱いする懸念がある。後継団体が今後、先鋭化する恐れも否定できない。こうした団体への警戒は緩めるわけにはいかないだろう。

 事件を知らない世代が増えていることも心配だ。後継団体が会員制交流サイト(SNS)などで若い信者を勧誘しているといわれる。

 今回、刑を執行された者の多くは高学歴の若者だったが、将来への不安や悩みから入信。教義や修行などを通じて洗脳され、凶行に駆り立てられた。そうした経緯をいま一度、思い起こしたい。

 将来を嘱望されたエリートばかりではなく、松本死刑囚に傾倒した信者には一般の市民も数多くいた。世界に目を転じれば、過激な宗教や思想に染まってテロ行為に走る若者は少なくない。

 教団の何が人々を引き寄せたのか、どこに問題があったのか。事件を見つめ直すことは現在の問題にも通じる。

河北新報

https://www.kahoku.co.jp/editorial/20180707_01.html

オウム死刑囚執行 「なぜ」の解明は終わらぬ

 地下鉄サリンや松本サリンなど一連のテロを引き起こしたオウム真理教事件で、首謀者の松本智津夫死刑囚=教祖名麻原彰晃=ら7人の刑がきのう、執行された。

 松本死刑囚の刑確定から12年、事件は大きな節目を迎えた。
 しかし、若者たちがなぜ教祖の常軌を逸した計画に従い、未曽有の凶悪犯罪に突き進んだのか、いまだに謎は尽きない。

 悲劇が繰り返されることがあってはならない。それには今回の執行を区切りとせず、今後も疑問点を徹底的に解明する必要がある。

 宗教学のほか社会学、心理学といったさまざまな角度からの不断の検証が欠かせない。
 地下鉄サリン事件から20年以上が経過し、「オウム」を知らない若い世代も増えている。事件の記憶を風化させることなく、次代に伝えなければならない。

■検証は政府の責務だ
 確定判決によると、死者13人、重軽傷者6千人以上を出した地下鉄サリン事件は、教団への強制捜査を阻止するために東京都心で混乱を起こすことが目的だった。

 8人が犠牲となった松本サリン事件は、教団の施設建設を巡って自分たちに不利な判決が出そうになり、裁判所の宿舎を狙った。

 坂本堤弁護士一家殺害事件も教団の問題を追及していた弁護士を逆恨みした犯行だった。
 いずれもあまりに身勝手な犯行で、猛毒のサリンで市民を襲うという手口も残忍極まりない。社会に大きな不安を与えたことも見過ごすことはできない。

 松本死刑囚は教団を批判する個人や組織を敵と決めつけ、無差別テロを正当化していた。
 いまも判然としないのは、松本死刑囚が極端な思想を持つようになったいきさつや、犯罪とは無縁の若者が教祖の命じるまま凶行に手を染めてしまった理由だ。

 マインドコントロールを受けていたとの指摘もあるが、それだけでは説明がつきにくい。
 死刑の執行は、事件の当事者たちから話を聞く機会を永遠に失ったことを意味する。

 事件の真相を探るためには、なお死刑囚に語らせるという選択肢もあったろう。
 たとえば、今回執行された中川智正死刑囚は事件について謝罪し、サリン製造の経緯を手記で詳述していた。

 法廷では明らかにならなかった真実を聞きたかった。そう思う被害者や遺族は少なくないのではないか。
 死刑の執行で司法的な手続きは終わることになる。

 しかし、謎が数多く残っている以上、政府による積極的な解明が求められよう。
 実行犯や元信者からの聞き取りや被害者への継続的な調査などを含め、さまざまな手だてを講じてもらいたい。

■求められる情報開示
 一度に7人の死刑執行は異例にもかかわらず、法務省の説明は決して十分とは言えない。
 上川陽子法相はきのうの記者会見で、慎重な検討を重ねたうえで執行を命令したと述べたが、執行のタイミングや、13死刑囚の中から7人を選んだ理由などについては明らかにしなかった。

 死刑は「究極の刑罰」である。情報は国民にすべて公開してしかるべきだ。オウム事件は日本の犯罪史上最悪の無差別テロだけに、一層説明を尽くす必要がある。

 オウム真理教の後継団体は活動を活発化させ、若者への勧誘を強化しているとされる。
 今回の執行によって松本死刑囚が一部の信奉者から「神格化」される懸念もある。

 さまざまな不測の事態を防ぐためにも、事件に関する情報公開を怠ってはならない。

北海道新聞

■問題意識共有したい
 サリンによる後遺症などに苦しみ続ける被害者は依然多い。心的外傷後ストレス障害(PTSD)を訴える人もいる。
 政府は、継続的できめ細かい支援に取り組むべきだ。
 オウム真理教の後継団体による被害者らへの賠償も遅々として進んでいない。裁判で係争中の事件もあるようだが、後継団体には真摯(しんし)な対応を求めたい。
 オウム真理教を巡っては、世の中になじめず、居場所を見つけられない若者たちの心の隙間に巧妙に入り込んだという分析がある。
 バブル経済崩壊後の漠然とした将来への不安が、信者を増やしたとの側面も指摘される。
 だとすれば、この社会にオウムを生みだす土壌があったと言えるのではないか。
 オウム事件を異常な教祖と、それに従った信者による特異な犯罪と片付けてしまってはならない。
 広く問題意識を共有し議論を重ねることが、事件の再発を防ぐ有効な手段となる。

北海道新聞

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/206561?rct=c_editorial

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<社説>オウム死刑執行 真相解明の手だて失った

2018年7月7日

 オウム真理教の教祖麻原彰晃を名乗った松本智津夫死刑囚ら7人の刑が6日に執行された。松本死刑囚は一審途中から沈黙し、事件の核心を語らなかった。真相に迫る手だてを失ったことは残念と言わざるを得ない。

 確定判決によると、松本死刑囚は、他の教団幹部らと共謀し、1989年の坂本堤弁護士一家殺害、94年の松本サリン、95年の地下鉄サリンなど一連の事件を引き起こした。公証役場事務長監禁致死事件などを含めた13事件の死者は27人。起訴後の死亡を合わせると29人に上る。

 日本の犯罪史上、類例のない残忍、凄惨(せいさん)な事件だった。テロによる被害者は6500人以上で、多くの人が重い後遺症に苦しんでいる。

 死刑執行を命令した上川陽子法相は「二度と起きてはならない」と強調したが、再発防止のためには、犯行の全貌を詳細に至るまで徹底的に解明する必要があったはずだ。

 一宗教団体が無差別殺人集団に変貌していった経緯、若者たちが犯罪に関与するようになった理由を含め、突き詰めて明らかにしないままで、類似の犯罪を防ぐことができるのか。

 松本死刑囚は95年に逮捕された後、96年の公判で弟子が不利な証言をしたときから、意味不明な言動をするようになった。東京地裁が死刑を宣告した2004年2月以来、公の場に出ていない。08年半ばからは弁護士や家族との面会も避けていた。

 刑事訴訟法は確定死刑囚が心身喪失状態にあるときは法相の命令によって執行を停止する旨を定めている。

 松本死刑囚は刑を執行しても差し支えない精神状態にあったのだろうか。判決確定後の行動を見ると、疑問なしとしない。日弁連が指摘するように、独立した機関が心神喪失状態にあるかどうかを判定し、結果を公表する仕組みが求められる。

 もし、是非善悪をわきまえる能力を失っていなかったとすれば、執行を見合わせる選択肢もあった。いずれ動機や真相を聞く機会が得られたかもしれない。

 同じ日に刑が執行されたオウム真理教元幹部の井上嘉浩死刑囚は3月に東京拘置所から大阪拘置所に移送された際、東京高裁に再審を請求していた。再審請求中の死刑執行は異例だ。

 松本死刑囚が95年5月に逮捕されてから23年、06年に死刑が確定してから12年が経過している。他の元教団幹部を含め、刑の執行は時間の問題だったのだろう。首謀者の心の闇を解き明かすすべはなくなった。
 刑が執行されたからといって事件が終わるわけではない。遺族の悲しみは消えず、テロによる健康被害は残る。

 どうすればこのような悲惨な事件を防ぐことができるのか。社会全体で真剣に考える必要がある。事件を風化させてはならない。

琉球新報

https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-755294.html

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