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【社説】
悪質タックル 監督が真相を説明せよ
2018年5月18日
アメリカンフットボールの日本大の選手が、関西学院大との定期戦で危険で悪質な反則行為をした。ルール順守が最優先されるスポーツで何が起こったのか。指導者には真相を語る責任がある。
謎だらけである。アメフットは東京大や京都大がかつて強豪だったように、知力も重要な要素となるスポーツだ。プレーブックと呼ばれる作戦指示書はチームによっては二百ページに及ぶものもあり、選手はこれらを頭に入れることが求められる。
日大のアメフット部員は百人を超えるという。無防備な相手クオーターバックに背後からタックルして負傷させるなどラフプレーを繰り返した選手は、その中でレギュラーに近い位置にいた。選手は「『(反則を)やるなら(試合に)出してやる』と監督に言われた」と関係者に話しているというが、たとえそのような指示があったとしても、実行に移すことがどのような結果を招くか、十分に理解できたはずである。
一方の内田正人監督は日大広報部の調査に対し「必死で頑張ってこい。戦え。厳しくやれ」などとは言ったが、違反しろという指示はしていないとし、両者の言い分は食い違っている。
ヘルメットなどの防具を身に着けるアメフットは肉体と肉体が激しくぶつかり合う。そのためルールが細部にわたって決められ、選手を重大な事故から守っている。それでも本場の米国では脳に受けたダメージで競技経験者が若くして死に至る例が多いことが近年の調査で分かり、社会問題となっている。
日大の同部OBで、二〇〇三年から一五、一六年を除いて指揮を執り続ける同監督が、これらの事例を知らないわけがなく、たとえ勝利の重圧があったとしても、悪質な反則行為を選手に指示したとは普通なら考えがたい。監督の厳しい表現に選手が過剰に反応した可能性もあり、日大側も「指導者の指導と選手の受け取り方に乖離(かいり)が起きていたことが問題の本質」と説明している。
ただ、この問題が波紋を広げているのは、内田監督が公の場に姿を現さないことも一因としてある。
監督の指示を選手が誤って解釈したとしても、その監督がルールを順守して対戦相手に敬意を抱く指導を徹底できず、チーム内に反則許容の空気をつくったことは事実だ。その責任を背負って真相を語る覚悟が、指導者も大学側も問われている。
東京新聞
朝日新聞も天声人語に
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日大アメフット部悪質タックル問題、法大「偶発的でない」東大「見たことがない」
2018年5月14日 スポーツ報知
日大アメリカンフットボール部の守備選手による試合中の悪質なタックルで関学大の選手が負傷した問題で、日大との試合を予定していた法政大、東京大、立教大の3大学が試合中止を連盟に申し入れ、了承された。決定は14日付け。
法大は20日、東大は6月9日、立大は同10日にいずれもアミノバイタルフィールド(東京・調布)で日大との試合を予定していた。3大学は、現段階で監督ら指導者を含めた正式な処分や再発防止策が示されておらず、日大と試合を行うことは難しいと判断した。
試合中止が決まり、法大、東大の監督、ヘッドコーチは取材に以下のようにコメントした。
法大アメフット部・有沢玄監督「現段階で、日大がどのような対応を取るか明確になっておらず、試合はできません。問題となった映像を繰り返し見ましたが、偶発的なものでないことは明らかでした。部員には『相手を痛めつけることはスポーツではない』と改めて伝え、予期できないことがあった場合に、どのように身を守るのかなどを説明しました」
東大アメフット部・森清之ヘッドコーチ「30年以上、アメフットに携わっていますが、あのようなプレーは見たことがありません。連盟の処分が正式に決まっていない以上、試合をするのは適切ではないと判断しました。少子化が進む中、大学アメフット界全体で選手生命をどのように守るのかなど、安全対策に取り組んでいました。私自身、フットボールから多くのことを学びましたし、スポーツの教育的価値について議論していました。このような事態が発生し、非常に残念に思います」
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