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大地震続発 心をつなぎ九州を守ろう
2016年04月17日 10時34分
またしても「想定外」の事態である。14日夜の大きな揺れから始まった「熊本地震」は沈静化するどころか、16日から隣県の大分県側に震源域を延ばし、被害を一気に拡大・広域化させた。死者は40人を超え、余震が頻発する中、なお懸命の救援活動が続いている。
気象庁によると、今回の地震の「本震」は16日未明のマグニチュード(M)7・3の地震で、14〜15日に続いた地震は「前震」だったとみられる、という。
ひとたび大地震が起きればエネルギーが放出され、余震は続くとしても揺れは徐々に終息に向かうはずではなかったのか−。私たちにとっては大きな衝撃である。
自然の脅威はまさに計り知れない。改めて心に刻みたい。そして、被災地・被災者にとことん寄り添い、二次被害の防止や避難住民の支援に全力を挙げたい。
●「連鎖」で被害拡大
当初、九州で観測史上最大とされた14日夜の地震の破壊力を示すデータがある。「揺れ」のサイズでは阪神大震災を大きく上回っていた。防災科学技術研究所(茨城県つくば市)の解析によると、揺れの大きさの指標である加速度は、震度7を記録した熊本県益城町で最大1580ガルに及び、阪神の約900ガルより大きかった。
一方、16日午前1時25分に起きた「本震」の最大震度は6強だったが、地震の規模では14日夜のM6・5を大きく上回った。その結果、福岡、佐賀、長崎、大分、宮崎、鹿児島各県でも震度5以上の大きな揺れに見舞われた。
16日朝には大分県中部を震源とする震度5弱の地震も発生した。 中九州には、大きく見ると「別府−島原地溝帯」が走っている。そこで複数の断層帯が連鎖的に動いて震源域が大分県まで拡大したと推測されている。
九州全体では、主なものだけで17の活断層が確認されている。
九州電力が今のところ地震の影響はないとして、全国で唯一運転を続ける川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の近くには二つの活断層が存在する。
安全対策は万全なのか。原発周辺の住民が不安を感じるのも、また自然なことだろう。
九州中部の活断層の活動と阿蘇山の火山活動は互いに影響しているとの専門家の見方もある。
あくまで油断は禁物である。
●東北から支援の手
一連の地震の被害は深刻さを増している。熊本県南阿蘇村では、大学生がアパートの下敷きになって死亡した。道路網の寸断で孤立した住民は多数に上った。救援作業は難航の様相も見せている。
政府も急きょ、派遣自衛隊員を2万5千人規模に増強するなど新たな対応を迫られ、安倍晋三首相の16日の現地視察は見送られた。
九州新幹線の運休に続き、熊本空港が閉鎖されたことで、交通の動脈は断たれた。停電、断水などライフラインへの打撃は九州全域に拡大している。
プロ野球の福岡ソフトバンクが福岡市での16日の楽天戦を中止するなど、九州一円でイベントのキャンセルも相次いだ。
まさに「九州大震災」とも形容できる未曽有の事態である。
うれしいニュースも届いた。
東日本大震災の被災地から「ひとごとではない」「3・11の恩返しがしたい」と九州への支援の声が上がった。茨城県からは支援物資を載せたトラックが熊本へと向かった。震災の怖さを知るからこそ、被災者に思いを寄せる人々の素早い動きに感謝したい。
16日夜から九州一円は雨に見舞われ、余震とともに土砂崩れなどの二次被害が懸念されている。被災地の復旧・復興への道のりも長期化が予想される。
関係機関が緊密に連携し、また何よりも九州7県の住民が古里の暮らしを守るために心をつないで、この苦難を乗り越えたい。
今回の震災は、地震予知の難しさと、不断の備えの重要性を改めて私たちに教えている。
九州は地震が頻発する関東などに比べ、震災に対する防備の意識が薄いという指摘もあった。大きな油断や死角はなかったか。
私たちはきのうの本欄でも「オール九州」での結束を訴えた。それをさらに繰り返したい。
そして今後さらに、いつ来るか分からない災害の恐怖を見据え、自問自答を続けていきたい。
=2016/04/17付 西日本新聞朝刊=
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