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中国経済の「L字」予測が示す不透明感
経済分析で自信を持っている筈の日経の予測が見事に外れました。
中国経済が予想外に早く回復しています。
読者としては、この予測外れの原因を知りたいところです。
中国の2016年4〜6月期の国内総生産(GDP)は前年同期比6.7%増だった。成長率は1〜3月期から横ばいだが、リーマン・ショック直後の2009年1〜3月期以来、7年ぶりの低い伸び率が続いた。警戒が必要だ。
世界経済は英国の欧州連合(EU)離脱などで揺れている。中国政府には国有企業改革を中心に中長期的に成長力を維持する抜本的な対策を求めたい。
中国経済の現状分析を巡り、注目すべき動きがあった。習近平国家主席の経済ブレーンと見られる人物が5月、共産党機関紙、人民日報で語った中身だ。
「中国経済はU字型回復などあり得ない。もっと不可能なのはV字型回復だ。それはL字型の道をたどる」「L字型は一つの段階で1、2年で終わらない。数年は需要低迷と生産能力過剰が併存する難局を根本的に変えられない」
「L字」とは下降した後、当面上向かないことを意味する。従来の中国政府の説明とは違う。古い手法によるテコ入れ策はバブルを生み、問題を大きくするとし、断行すべきはサプライサイド中心の大胆な構造改革だとも指摘した。先送りしてきた改革の再加速を意味するなら歓迎したい。
中国政府は6月の記者会見で、危機意識を裏付けるデータも示した。中国の社会全体の債務額は15年末で168兆4800億元(約2700兆円)。これをGDPで割った比率は249%とした。中国が「全社会レバレッジ率」と呼ぶこの比率は極めて高い。
中国政府は、貯蓄率が高いためコントロール可能だと説明している。だが、巨額の債務処理には長い時間が要る。返済に追われる民間部門は一定の期間、設備投資を控えざるをえない。最近の統計もこれを証明している。深刻さの認識が、先の「中国経済は当面『L字』に」という表現だった。
成長のけん引役だった工業生産は供給過剰で伸びず、輸出も大幅に減っている。中国経済には不透明感が漂う。今後は好調な新車販売などを含めた消費の後押しと、将来につながる効率的な公的投資でテコ入れを図る必要がある。
中国の今年の成長目標は6.5〜7%だ。李克強首相は中国経済について「楽観しており、自信がある」としている。習主席の経済ブレーンの指摘とはニュアンスが違う。経済政策を巡り路線対立がないのか。これも懸念材料だ。
日経 2016/7/16付
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中国、アセアン
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中国、最低賃金を3年連続で凍結 全土に抑制の波
この影響で,中国およびアセアン進出企業の業績改善のキーが「現地化」であることをJETROが伝えています。
【北京=中村裕】中国の製造業の間で、賃金を抑制する動きが強まってきた。最も製造業が盛んな広東省は2017年、最低賃金の引き上げを15年から3年連続で見送ることを正式に決めた。3年連続の賃金凍結は、中国経済の改革開放が本格化し、高い経済成長が実現する起点となった1992年以降、初となる。最低賃金の抑制は全国にも波及し始め、右肩上がりで賃金上昇が続いた中国の製造業は大きな転換期を迎える。
広東省は、最低賃金に関わるルールをこのほど変更した。従来は、最低賃金の見直し(実質的には賃上げ)のタイミングについて、各企業に「少なくとも2年に1度」を求め、工場で働く出稼ぎ労働者など低所得者を中心に賃上げを後押ししてきた。
これを今後は「原則3年に1度」に改め、一転して、賃金上昇のペースを大きく抑制する。ルール改定で、今後は3年連続で最低賃金を据え置くことも可能となった。
広東省は「世界の工場」といわれ、16年まで28年連続で域内総生産(GDP)が中国で首位。中国の製造業をリードする広東省が賃金の抑制を鮮明にしたことで、今後、同様の動きが全国にも広がるとみられる。
中国の最低賃金は各省が毎年、地域の事情を加味して、引き上げ幅と、引き上げ時期を決定している。これまで「少なくとも2年に1度」の改定がルールだったが、高い経済成長を背景に工場従業員からの賃上げ圧力が強く、ほぼ毎年、各省は最低賃金を引き上げてきたのが実態だった。
広東省では例えば、パソコンや複合機、スマートフォンなどの工場が集積する深圳市は、中国では上海市に続き2番目に最低賃金が高い。
経済の改革開放が本格化した92年は、月額245元(約4千円)だったが、15年には2030元(約3万3500円)にまで急上昇。二十数年間で最低賃金が上がらなかった年は、リーマン・ショックの影響を受けた09年などわずか2回のみだ。
その流れが今回断ち切られ、3年連続で最低賃金が据え置かれるのは、異例となる。背景には景気減速下で工場生産が振るわなくなる中、従来通り、賃金上昇が続く状況に今、ストップをかけなければ、今後さらに国際的な製品競争力を失うとの危機感がある。すでに中国の高い人件費を嫌い、一部の製造業は中国から、東南アジアなどへと工場拠点を移している。
広東省以外でも、最低賃金の抑制は全国で広がりつつある。全国32の行政単位(省、直轄市などの地区)のうち、最低賃金を引き上げたのは、12年は25地区、13年は27地区、14年は19地区、15年は27地区に上った。ほぼ毎年、大半の地区で最低賃金が上がってきたのに対し、16年は北京市、上海市など9地区と、例年の3分の1程度にとどまった。
ただ、工場従業員などの給料目安となる最低賃金が抑制される一方、都市部で働くホワイトカラーの賃金は依然として毎年数%上昇している。最低賃金の抑制は、中国で問題の所得格差がさらに広がる懸念もある。5日開幕の全国人民代表大会(全人代)でも重要な議論のテーマとなり、中国政府には一段と厳しいかじ取りが求められることになりそうだ。
2017/3/4 0:49日本経済新聞 電子版
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中国製造業の賃金、過去10年で3倍に
3月4日の日経が広東省の最低賃金3年連続凍結を伝えています。
中国は、過去10年間ですさまじい成長を遂げ、製造業の賃金が3倍になった。平均賃金はブラジルやメキシコなどの国々を追い抜き、ギリシャやポルトガルに迫る勢いだ。
中国の製造業の賃金はギリシャやポルトガルの水準に迫る勢いで伸びている=ロイター
英調査会社ユーロモニター・インターナショナルのデータによると、中国の労働者全体の時給は現在、チリを除く中南米の主要国を上回っており、ユーロ圏で経済が低迷している国々の約70%の水準となっている。
これらの数字から、中国の14億人の生活水準が向上したことがうかがえる。一部のアナリストは、生産性の向上が賃金をさらに押し上げ、所得水準が中程度の国さえも追い抜く可能性を指摘する。だが、賃金水準の急速な上昇は、中国より安い労働を積極的に提供する国々に雇用を奪われ始めることを意味する。
また、ユーロモニターはこのデータから、中南米とギリシャが直面する問題が浮き彫りになったと指摘する。中南米では賃金の上昇が停滞しており、実質ベースでは一部で低下もみられる。ギリシャの平均時給も2009年以降、半分未満に減少している。
新興国市場専門の投資銀行、ルネサンス・キャピタルのエコノミスト、チャールズ・ロバートソン氏は「中国が他国よりもうまくやってきたことは注目に値する」とした上で、「他の多くの新興国市場が停滞する中、中国は欧米の水準に近づきつつある」と述べた。
ユーロモニターによると、中国製造業の平均時給は05年から16年の間に3倍の3.60ドルまで上昇した。一方、同期間にブラジルは時給が2.90ドルから2.70ドルに、メキシコは2.20ドルから2.10ドルに、南アフリカは4.30ドルから3.60ドルに減少した。インド製造業の時給は07年以降、横ばいの70セントにとどまっており、ポルトガルは昨年は6.30ドルから4.50ドルにまで減少した。
中国の賃金はアルゼンチン、コロンビア、タイも上回った。01年に世界貿易機関(WTO)に加盟してから、中国が世界経済により深く溶け込んだことが背景にある。スタンダード・ライフ・インベストメンツのエコノミスト、アレックス・ウォルフ氏は「中国の賃金はWTO加盟後に非常に爆発的な伸びをみせた」と話した。
ユーロモニターの戦略アナリスト、オル・モヒウディン氏は、中国の労働者の生産性は賃金よりも速いペースで向上していると指摘する。同氏は「(賃金インフレは)文脈で判断しなければならない」とした上で、「製造企業はまだ中国に拠点を置いていても恩恵を受けられる」と述べた。
By Steve Johnson
(2017年2月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
日経 2017/2/27 14:00
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日本が最大の米国債保有国に−中国は元相場下支えで大幅減
中国の米国債保有額(10月末時点)が大幅に減り、国別の順位で日本に抜かれて2位になりました。
中国が対ドルで人民元の急落を防ぐため、ドル売り・元買いの為替介入を繰り返した結果とのこと。
中国の米国債保有残高は10月に約6年ぶりの低水準に減少し、同国を抜いて日本が最大の米国債保有国となった。中国は人民元相場を下支えするため外貨準備高を減らしている。
米財務省が15日発表した10月の対米証券投資動向によれば、中国の米国債残高は1兆1200億ドル(約132兆円)と、前月から413億ドル減少した。これは2010年7月以来の低水準。日本も45億ドル減少し、1兆1300億ドルとなった。日本の保有残高の減少は3カ月連続。米国債の海外保有全体に占める日中合計の割合は約37%。
中国の外貨準備高は11月まで5カ月連続で減少し、3兆500億ドルと11年3月以来の低水準となった。昨年6月に過去最高の4兆ドルを記録して以来、減少傾向が続いている。
SarahMcGregor Bloomberg 2016年12月16日 06:16 JST
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中国、資金流出で保有国債減 人民元買い支え続き
【北京=原田逸策】中国が保有する米国債が減っている。2016年11月末は前月末比664億ドル減の1兆493億ドル(約120兆円)と約6年ぶりの低水準となった。国別保有額では2カ月連続で日本に首位を譲った。19日発表の16年の資金流出額は3053億ドルと過去最大を記録。人民元下落を食い止めようと中国人民銀行(中央銀行)がドル売り・元買い介入を増やしたのが主因とみられる。
中国の国債保有額は16年5月を直近のピークに減っており、今回の減少で6カ月連続。日本も同8月から減少が続くが、減少幅が小さい。米国債を市場で売却し、元買い・ドル売りの為替介入をした。
人民銀も外貨準備の減少を抑えるため無理な買い支えは控えた。それでも米国債が減るのは中国の為替売買が膨らんだため。16年11月はトランプ次期米大統領が当選しドルの先高観が強まり、外為取引も活発になった。売買額は15兆8900億元(約265兆円)と前月より45%増えた。急激な値動きを防ぐ介入だけでも巨額の資金が必要だったようだ。
介入規模は15年12月や16年1月がピークとされるが、当時は米国債はあまり減っていない。北京の金融筋は「当時は主に銀行に預けたドル預金を原資に介入していたのだろう。それがほぼ底をつき、最近は米国債を売らざるを得なくなったのではないか」と指摘する。
介入するのは中国からの資金流出が止まらないため。国家外貨管理局が19日発表した銀行口座を通して企業や個人が海外とやり取りした資金の動きをみると、16年は流出が流入を3053億ドル上回った。流出超は2年連続で差し引きの流出額は15年比57%増えた。
習近平指導部は資金流出と人民元安で市場が混乱する事態を懸念し、16年11月末から運用面での資本規制を本格化した。500万ドルを超す大口両替、海外送金、海外企業買収は事前に通貨当局と相談することを義務付けた。今年1月からは個人が銀行窓口で外貨を買う際に、目的などを記すA4判2枚の申請書を提出するよう義務付けた。
中国は年5万ドルまでに個人の両替を制限し、新たに枠が生まれる1月は例年なら両替額が膨らむ。外貨管理局の王春英報道官は19日の記者会見で「前月比でも前年同月比でも1月の両替額は減っている」と語った。
規則や法律を改めないままの運用で資本規制を強めるのは、16年に人民元が国際通貨基金の特別引き出し権(SDR)の構成通貨に採用され、国際通貨の「お墨付き」を得たから。SDRの条件は「自由に取引できる」ことで、規則を改めると批判を浴びかねない。
すでに一般庶民からは両替しづらくなったことへの不満が出る。人民元国際化というメンツと資本流出抑制という実利の二兎(と)を追う戦略には危うさがつきまとう。
日経 2017/1/1920:12 |



