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長年の、恐らく半世紀以上もの間悩んでいた問題が、例の月刊誌「科学」(岩波書店)の連載記事「物理
の響き♪こころのひびき♯♭─音楽への認知的アプローチ 伊東乾」( http://blogs.yahoo.co.jp/yha
krymd/45776708.html )の最新号(12月)で解決した。言語の発音学習で、子音C、母音Vの組み合わ
せによる説明をされてきたが、当管理人の悩みは、例えば英語の little の語尾の発音であった。「t
l」には母音が無いのをどうやって「正確に」発音するのかという切実な問題であった。
先生の発音を聴く限り、母音「u」が入っているとしか思えなかった(しかも、二つ!)。しかし、教科
書や辞書の表記では、母音は入ってはいけないのである。自分が家庭教師などをやっていたときも、教科
書どおりの説明をしていた。内心疑問を抱えながら。その後の実体験で、「tl」などの子音は、実際には
母音を伴っていると認識するようにはなったものの、もやもやと、未解決の問題として、心の片隅に蟠っ
ていた。
今回の論文(第7回 歌うことと語ることの間)の中で、発音に関する所謂CV構造は、抽象概念であっ
て、物理的音声振動の波形上は、Cという固有の要素は認められないというようなことが書かれている。
日本語の「か」を k+a と表記すると解りやすいけれども、実際に kとaとを組み合わせて「か」の音
が出来るわけではないということらしい。もっとはっきり言えば、kという音は存在しないということ
だ。tl と違って、k は単独に発音できるように思われるが、それは「カ行」の k ではないということ
になる。
正確ではないかも知れないが、大体以上のような趣旨のことが書かれている。しかも、このことは、音声
科学者の間ではとっくに常識となっているのに、言語学も含めて、他の分野の専門家には殆ど知られてい
ないとも書かれている。そのため、当管理人のように、理論と実際との乖離に悩む者が、これからも大勢
存在し続けるに違いない。
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