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東日本大震災後、
「今こそ日本人とともに生きたい」
とニューヨークの住まいを引き払い
2012年3月、日本国籍を取得し日本人となった。
18歳のとき、「源氏物語」に出合い
日本文学に魅せられ日本語の研究を志す。
太平洋戦争では日本人捕虜の尋問や日記で日本人への関心を高め、
また高見順の『敗戦日記』に感動。
日本文学を世界へ紹介した功績から様々な賞を受賞している。
(心を打つ内容の一部をここに引用する。)
心を揺さぶる日本兵の日記
――日本にいらっしゃる前に、日本兵の日記を読まれたそうですが、どのようなものだったか伺ってもよろしいですか?
はい、戦時中、私は通訳もしましたが、主な任務は翻訳でした。ただ、多くの書類は意味のない書類で、まことに無味乾燥たるものでした。ある部隊が所有するインクの数とか、筆がどの程度あるとか。そんな時、他の人が避けていたものに行き当たりました。それは小さな黒い手帳の山です。
避けられていた理由は、悪臭が立ちこめていたからです。その手帳は日記でした。死んだ日本兵が所持していたもので、悪臭は血痕から湧き出ていたのです。
――血がついていた?
全部に血がついていたわけではありません。
私はなるべく血を避けながら読んでみました。しかし、軍事的な情報などは一切ありません。人がまだ内地にいる頃には、「軍紀旺盛なり」などと勇ましい言葉が使われていましたが、出征後、船に乗って南洋の島を目指す最中に隣の船がアメリカの潜水艦に撃沈されたりして、戦争の現実に直面すると日記の調子が変わってきます。
ようやく南の島に到着してもホッとするのは束の間で、ここから本当の苦難の日々が始まる。木々が青々と繁った美しい島でも水はないし、食糧もない。
さらにはマラリアに苦しめられ、その上、毎日アメリカ軍の爆撃にさらされる。私はこの時点ですでに日本兵に同情を抱くようになっていました。
もともと戦争に反対していた私ですが、いよいよ戦争の終結を願うようになりました。祈っていたと言ってもよいほどです。
戦争や殺戮には、絶対反対でしたので。
とにかく、兵士の日記を読んだことで、新たな関心が湧いたと言えます。日記の最後のページには、アメリカ兵に向けて英語のメッセージが残されている場合もありました。
「この日記を見つけたならば、戦争が終わってから私の家族に送ってください」という具合に。
そして住所一式が書いてあったりしました。彼等は自分の最期を何とか家族に知らせたかったのです。私はそれらの日記を秘かに取っておきました。
しかし、私が沖縄戦に参加するためにハワイの本部を出た後、誰かがそれを没収したのです。その後、どうなったか今も不明ですが、まことに残念でした。
このような個人的な経験を通じて、日記は日本人にとって非常に貴重なものだと悟りました。私は後年、日本には日記文学というジャンルさえあると気づきます。古くから『土佐日記』『紫式部日記』『和泉式部日記』など、そして現在まで。
戦時中も毎年元旦にすべての兵士に日記帳が配られ、書くように奨励されたほどです。
――それは日本兵に、ですか?
はい。全員に真新しい、何も書いていない日記帳が配られたのです。アメリカとは正反対でした。アメリカ軍は日記を書くことを厳重に禁じていました。
万が一、敵の手に渡った場合、情報が筒抜けになることを怖れたのです。日本軍の場合は、そんな懸念は一切ないままに白紙の日記帳が元旦に配られていました。
日本には日記の伝統が強かったこともあるでしょうが、兵士の思想を監視する意味合いがあったのかもしれません。
とは言え、日記のほとんどには機密事項も書かれていないし、大した内容があったわけではありません。
ただ、私は初めて日本人の心に接したと思いました。食糧もない極限状態に置かれた人が南の島で迎える元旦の心境が書かれていたり、あるいは豆が13個しかない、それを3人でどう分けるかといったことも吐露されていました。日記の中には最後まで闘争を誓う人もいれば、戦争そのものに疲れ果てた人の告白、あるいは敵であろうとも人は殺せないと書いた兵士もいました。
あらゆる告白がありましたが、ある意味でどんな文学よりも私に深く訴えました。
――やっぱり人間が追い詰められた時の本当の気持ちを書いている……。
死に直面した、あのような状況では人は嘘をつけない筈です。家族にも知らせ得ずに過ごした最後のひとときの言葉を私は読んだのです。
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こんばんは!
ドナルドキーンさんは
今から、35年も前の中学生の頃、
家にあったリーダースダイジェストなる小誌に
よく投稿した作品が有り
日本人以上に日本人というイメージが当時からありました。
日本国籍を取った事は本当にびっくりしました。
久しぶりに
彼の著書を読んでみたくなりましたね
2013/12/17(火) 午後 10:24 [ ひでじ ]
ひでじさん
おはようございます。
私にとっては新潮選書の「日本文学を読む」が彼のスタートです。
老いてなお活躍していらっしゃる、すごいと思います。
2013/12/18(水) 午前 7:12