私的な考古学

丹沢山麓で考古学を学ぶ学生諸君との対話

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ところで今回の臨時総会開催の通知を受けた私は、こうした事態を招いたことに対し、悔やんでも悔やみきれない気持ちに駆られました。理事の一人として、また前理事選挙の際に私に投票してくださった350名余の会員の方に深くお詫びしなければならないと思いました。

なぜか、というと、5月の総会のときに緊急動議を促す発言を思いとどまったからです。あのとき、理事会報告への厳しい反対意見が出されましたので、その時点ではっきりと白黒をつけておくほうが無難だと思いました。この点は今でも悔やまれます。

なお総会の時の経緯については、「反対有志の会」が提起した7月30日付け文書「日本考古学協会理事会見解に対する私たちの意見」(協会HPに掲載)に関連する記載がありますので、その部分を引用しながら解説しておきましょう。

本意見書には「今年度の協会総会の際、この問題に関して会場から何度か上がった『動議』の声を無視するかたちで議事が進められたが、これは議長団の重大な不手際である。その理由を問いただしたい」(同意見書<5.あらためて理事会に問う>から)とあります。この理解は、半分は当たっているものの、半分は間違いです。当たっているところは、議長団が会場からの発言者の要求を受け入れなかった事実です。間違っているところは、発言者は「報告事項」の議事の場面でのみ上記の声を上げただけに終わったという厳然たる事実を、なぜかお忘れだということです。

「報告事項」の議事の際に緊急動議を提起しても無意味でしょう。それは議長の権限のもとに不規則発言だと処理されても、また取り合わなくても問題ないはずです。

肝腎なのは「その他」の議事の場面で緊急動議の声を改めて上げることだったはずです。議事の終了間際であっても一向に構いません。そうなった時点で議長がその声を無視したのであれば、議事進行上の重大な不手際でしょう。事実はそうでなかったことを、会場にいらっしゃったのであれば、どうかよく思い返してみてください。

私があのときの情景を忘れられない理由は、「その他」の審議事項の際に、本件に関する緊急動議を促す発言をしようかどうか、真剣に迷っていたからです。

当日のことを綴ったブログの文章を以下に再録しておきます。「初日の総会は予想どおりの混乱。しかしあの剣幕でしたら、きっと審議事項の局面で緊急動議を提出されるのだろうと予期していましたが、それもなし。少しばかり拍子抜けしてしまいました。本当に納得されたとは思いませんが、緊急動議の提示もないまま押し黙ってしまったのでは、単なるガス抜きのパフォーマンスに過ぎないと批判されても反論のしようがないのではなかろうか、と思います。もちろん、どのような緊急動議を出すのかを考えてみたとき、結局のところ出しようがないことも重々承知されていたのでしょう。」(本ブログ5月23日)

ではあのとき、会場では何が提案されたのか、といえば、日本国内への略奪文化財問題への対応を、とのご意見でした。私のブログのコメント欄でも記述したとおりですが、当該箇所を再録しておきます。「拍子抜けしたのは本件(図書の寄贈問題について緊急動議がなかったことー北條割注)ですが、実は審議事項の最終場面で、本件に比べると、もっともっと重大な緊急動議があったこともお伝えしなければなりません。
-中略ー私には溝口さんのご意見に次いで、海外流出反対論への究極の反論が提起されたかにも思えました。海外への図書流出を嘆く前に、海外からの略奪文化財を精算せよ、とのごく真っ当な主張だったからです」(本ブログ5月23日記事へのコメントから)。

実はこの重要なご意見が出されたことによって、反対意見の方々は緊急動議を提出するタイミングを逸したものと、会場での私は感じとったのです。私自身が発言するタイミングを逸したのと同様に、です。

いずれにしても総会における肝腎のところで動議の声が上がらなかったという事実は、やはり押さえるべき重要性をもつ、と思います。ですから「反対有志の会」の意見書は、この点について自己欺瞞を犯しているといわざるをえません。なぜあの肝腎の場面で押し黙り動議の声をあげなかったのか、「その理由を問いただしたい」のは私のほうです。

そして私は、あの会場において、反対意見の方に「理事会決定の白紙撤回を」との緊急動議を誘う発言をしなかったことを悔やんでいます。「理事会不信任案の提出」でもよかったはずなのです。

そして直ちに採決を行っていれば、理事会案は粛々と承認されたものと思います。会場全体の雰囲気を感じとりながら、そう確信してもいました。だから反対意見の方は、あの場で議決を採られる事態を意図的に回避し、書名活動などの実績づくりを重ねながら今回の臨時総会に持ち込む選択をした、ということなのだろうと、勝手に現在にいたるまでの事情を詮索し、推測しています。

もちろん今となっては後悔先に立たず、です。次回の臨時総会にゆだねることとします。

書くべき事はまだまだあるのですが、新学期が本格始動した今、時間もありませんので協会図書の寄贈問題に対する私の意見表明を一旦終了することにします。

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私はあなたの意見に賛成する。臨時総会のときは徹底的に戦って欲しい。そして、否決されたら理事会が否定されたのと同じなのだから粛々と理事が総意で下野すべきである。ここは若いあなたが徹底的に戦って思う存分のご活躍を願うばかりである。

2010/9/27(月) 午後 10:16 [ 同意する ]

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所蔵図書問題への賛否を越えてコメントをいただき、ありがとうございます。徹底的に議論を尽くしたいのは山々ですが、理事会側の立場で、つまり防戦側で、というのは、やりにくいでしょうね。これまでは攻撃側の立場からの論戦しか経験してきていないものですから。もちろん理事会案が否決されることのないよう、全力を尽くさなければなりません。

なお臨時総会に私が出席できるかどうか、本務校での業務がらみで微妙なのです。もちろん万難を排したいのですが。10月の上旬までの間に土曜日の授業で問題が生じないことを祈るばかりです。

2010/9/27(月) 午後 10:38 [ flyingman ]

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協会員でありながら、埋文行政に奔走するばかりで疲弊し、考古学的情熱を失いつつある自分。総会、大会などここ10年間参加したこともなく、理事選挙にも非協力であった自分には、積極的に意見を表明する権利は無い、と思っています。しかしながら、増殖する蔵書の問題は自分の自治体でもエライ剣幕になっていて、他人事ではありません。長期間かけて検討されてきた理事、委員の皆さんのご足労と苦衷は想像に絶するものがあると理解します。
開発も、本も、収蔵遺物も何もかも、もう限界を超えました。若者の如く理想を語られる方々がうらやましいです。

2010/9/28(火) 午前 0:53 [ つかま ]

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恐縮です。大学に所属しておりますと、自治体の抱える問題を汲み取りきれない部分は確かにあるものと思います。その大学ですら収蔵遺物の増加や報告書類の増加も問題になっており、図書館も満杯で報告書の受け入れは原則的に拒否されるような情勢です。

行政で頑張っている友人たちの様子をみましても、協会の蔵書寄贈問題どころではない、とのお気持ちは察するにあまりあります。

それぞれの職場で、いまできること、やるべきことを維持する以外に手だてはないものと思います。が、どうかお体にはお気をつけください。

2010/9/28(火) 午後 3:32 [ flyingman ]

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どこの団体、学会様も蔵書の取り扱いに悩んでおられるのですね。
最近、私の団体でも急激に蔵書が増え、途方にくれております。
古本など二次流通に流そうものなら、すぐに廃棄処分になってしまいます。
学術書は高値がつくか廃棄かどちらかしかありません。
もう少し学術振興に金を使ってくれるところがあればいいのですけどね。
いっぱい、ビルなんか建てるんですから1つくらい恵んでくれてもいいのになあ、と思います。

2010/9/28(火) 午後 9:23 [ fuminori62 ]

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私が学生の頃、各地の発掘調査報告書を置いていることで有名だった神田の有名な古書店も潰れました。文系学者達の蔵書も寄贈先が見つからず、処分先からも渋られて困っているという話しも聞こえてきます。世の中、急速に本が有り余って商品価値も低迷し、古書が見向きもされなくなった段階を迎えたのかもしれませんね。
ご指摘の空きビル、ですが、たとえば廃校になった校舎を文化財収蔵庫や書庫にする、という流れも飽和状態を迎えたかに思えます。最近はどうなっているのでしょうね。

2010/9/28(火) 午後 9:51 [ flyingman ]


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